健康情報: 康治本傷寒論の条文(書き下し文)

2010年8月18日水曜日

康治本傷寒論の条文(書き下し文)

1.太陽の病たる、脈浮、頭項強痛、而して悪寒する。
2.太陽病、発熱、汗出で、悪風、脈緩なる者、名づけて中風と為す。
3.太陽病、或いは己に発熱し、或いは未だ発熱せず、必ず悪寒し、体痛み、嘔逆し、脈陰陽倶に緊なる者、名づけて傷寒と曰く。
4.太陽の中風、陽浮にして陰弱、陽浮の者は、熱自ずから発し、陰弱なる者は、汗自ずから出づ、嗇々として悪寒し、淅々として悪風し、翕々として発熱し、鼻鳴、乾嘔する者、桂枝湯之を主る。
5.太陽病、頭痛、発熱、汗出で悪風する者、桂枝湯之を主る
6.太陽病、項背強ばること几々、反って汗出で、悪風する者、桂枝加葛根湯之を主る。
7.太陽病、発汗して、遂に漏れて止まず、其人悪風し、小便難、四肢微急、以って屈伸し難き者、桂枝加附子湯之を主る
8.太陽病、之を下して後、脈促、胸満の者、桂枝去芍薬湯之を主る
9.桂枝湯を服し、或いは之を下して後、仍お頭項強痛し、翕翕として発熱し、汗無く、心下満微痛し、小便不利の者、桂枝去桂枝加白朮茯苓湯之を主る
10.桂枝湯を服し、不汗出後,大いに煩渇して解せず、脈洪大の者、白虎加人参湯之を主る
11.傷寒、脈浮、汗自ずから出で、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急し、反って桂枝湯を服し、得之便厥,咽中乾き、煩躁して吐逆する者、甘草乾姜湯を与う、以って其陽復し、若し厥愈ゆる者、芍薬甘草湯を与え、以って其の脚伸ぶ。若し胃気和せず、譫語する者、調胃承気湯を与う。若し重ねて発汗する者、四逆湯之を主る

12.太陽病、項背強ばること几々、汗無く、悪風する者、葛根湯之を主る
13.太陽と陽明の合病の者、必ず自下利す、葛根湯之を主る
14.太陽と陽明の合病、下利せず、但だ嘔する者、葛根加半夏湯之を主る
15.太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風、汗無く而して喘する者、麻黄湯之を主る
16.太陽の中風、脈浮緊、発熱、悪寒、身疼痛、汗出ずして煩躁する者、青竜湯之を主る
17.傷寒 脈浮緩、身疼まず、但だ重く、乍ち軽き時ありて、少陰の証無き者、青竜湯 之を発す。
18.発汗、若しくは之を下して後、昼日煩躁し眠るを得ず、夜はすなわち安静して、嘔せず、渇せず、脈沈微、身に大熱無き者、乾姜附子湯 之を主る
19.発汗後、汗出でて喘し、大熱なき者、麻黄甘草杏仁石膏湯之を主る
20.発汗後,臍下悸し、奔豚を作さんと欲する者、茯苓桂枝甘草大棗湯 之を主る
21.発汗、若しくは之を下して後、心下逆満し、気上って胸を衝き、起てば則ち頭眩する者、茯苓桂枝甘草白朮湯 之を主る
22.発汗、若しくは之を下して後、煩躁する者、茯苓四逆湯 之を主る
23.発汗、若しくは之を下して後、反って悪寒する者は虚なり。芍薬甘草附子湯 之を主る。但し熱する者は実なり、調胃承気湯を与う。
24.発汗、若しくは之を下して後、虚煩して眠るを得ず、若し実劇しき者は、必ず反復顛倒し、心中懊憹す、梔子豉湯 之を主る。若し少気する者、梔子甘草豉湯 之を主る。若し嘔する者、梔子生姜豉湯之を主る
25.太陽病 発汗、汗出でて解せず、其の人なお発熱して、心下悸、頭眩、身瞤動、振々として地に擗れんと欲し、脈沈緊の者、真武湯之を主る
26.傷寒,中風,往来寒熱,胸脇苦満,嘿々不欲飲食,心煩喜嘔,或胸中煩而不嘔,或渇,或腹中痛,或脇下痞鞕,或心下悸、小便不利,或不渇、身有微熱,或咳者,小柴胡湯之を主る
27.傷寒,身熱,悪風,頚項強,脅下満,手足温而渇者,小柴胡湯之を主る
28.傷寒,陽脈濇,陰脈弦,法当腹中急痛,先与建中湯。不愈者,小柴胡湯之を主る
29.傷寒,心中悸而煩者,建中湯之を主る
30.太陽病,反二三下之後,嘔不止,心下急,鬱鬱微煩者,大柴胡湯之を主る
31.太陽病,熱結膀胱,其人如狂,血自下,下者愈。但少腹急結者,与桃仁承気湯。

32.傷寒,結胸熱実,脈沈緊,心下痛,按之石硬者,陥胸湯之を主る
33.太陽病,発汗而復下之後,舌上燥渇,日晡所有潮熱,従心下至小腹鞕満,痛不可近者,陥胸湯之を主る
34.傷寒,発汗而復下之後,胸脇満微結,小便不利,渇而不嘔,但頭汗出,往来寒熱,心煩者,柴胡桂枝乾姜湯之を主る
35.太陽病、発汗而復下之後,心下満鞕痛者,為結胸,但満而不痛者,為痞,半夏瀉心湯之を主る
36.太陽中風,下利,嘔逆,発作有時,頭痛,心下痞鞕満,引脇下痛,乾嘔,短気,汗出不悪寒者,表解裏未和也,十棗湯之を主る
37.傷寒汗出,解之後,胃中不和,心下痞鞕,乾噫食臭,脇下有水気,腹中雷鳴,下利者,生姜瀉心湯之を主る
38.傷寒中風,反二三下之後,其人下利日数十行,穀不化,腹中雷鳴,心下痞鞕満,乾嘔,心煩不得安者、甘草瀉心湯之を主る
39.傷寒,胸中有熱,胃中有邪気,腹中痛,欲嘔吐者,黄連湯之を主る
40.太陽与少陽合病,自下利者,黄芩湯主之。若嘔者,黄芩加半夏生姜湯之を主る
41.傷寒,脈浮滑,表有熱裏有寒者,白虎湯之を主る
42.傷寒,下後,不解,熱結在裏,表裏倶熱,時時悪風,大渇,舌上乾燥而煩,欲飲水数升者,白虎加人参。
43.傷寒,無大熱,口煩渇,心煩,背微悪寒者,白虎加人参湯之を主る

44.陽明之為病,胃実也。
45.陽明病,発熱,汗出,讝語者,大承気湯之を主る
46.陽明病,発熱,但頭汗出,渇,小便不利者,身必発黄,茵蔯蒿湯之を主る
47.三陽合病,腹満,身重,難以転側,口不仁,面垢,遺尿,発汗,譫語,下之額上生汗,手足逆冷,若自汗出者,白虎湯之を主る

48.少陽之為病,口苦,咽乾,目眩也。

49.太陰之為病,腹満而吐,自利也。
50.太陰病,腹満而吐,食不下,自利益甚,時腹自痛者,桂枝加芍薬湯主之。大実痛者,桂枝加芍薬大黄湯之を主る

51.少陰之為病,脈微細,但欲寐也。
52.少陰病,心中煩,不得眠者,黄連阿膠湯之を主る
53.少陰病,口中和,其背悪寒者,附子湯之を主る
54.少陰病,身体疼,手足寒,骨節痛,脈沈者,附子湯之を主る
55.少陰病,下利,便膿血者,桃花湯之を主る
56.少陰病,吐利,手足逆冷,煩躁欲死者,呉茱萸湯之を主る
57.少陰病,咽痛者,甘草湯之を主る
58.少陰病,下利,白通湯之を主る
59.少陰病,腹痛,小便不利,四肢沈重疼痛,自下利,或欬,或小便利,或不下利嘔者,真武湯之を主る
60.少陰病,下利清穀,裏寒外熱,手足厥逆,脈微欲絶,身反不悪寒,其人面赤色,或腹痛,或乾嘔,或咽痛,或利止,脈不出者,通脈四逆湯之を主る
61.少陰病,下利,欬而嘔,渇,心煩不得眠者,猪苓湯之を主る
62.少陰病,脈沈者,四逆湯に宜し。

63.厥陰之為病,消渇,気上撞心,心中疼熱,飢而不欲食,食則吐,下之利不止。
64.発汗,若下之後,煩熱,胸中窒者,梔子豉湯主之。
65.傷寒,脈滑,厥者,裏有熱,白虎湯主之。

参考文献
1.康治本傷寒論の研究 長沢元夫 健友館
2.傷寒論再発掘 遠田裕政 東明社
3.康治本傷寒論解説 森山健三 関西漢法研究会出版部
4.康治本傷寒論要略 神靖衛、越智秀一、長沢元夫 たにぐち書店
5.ステップアップ傷寒論 康治本の読解と応用 村木毅 源草社
6.漢法を知る 伊沢 凡人 中山書店
7.康治本傷寒論 出版科学総合研究所