健康情報: 2月 2011

2011年2月24日木曜日

不眠症・睡眠障害に使用される漢方薬・健康食品

◎睡眠障害
 睡眠障害とは、寝つけないこと、熟睡できないこと、逆に起きていられないこと、
睡眠中に異常行動を起こす夜驚症(やきょうしょう)や夢遊症(むゆうしょう)などを指します。

人が健康に生きていくためには、睡眠は重要で欠かせません。
しかしながら、なぜ睡眠が必要なのか、睡眠がどんな利益をもたらすのか、 まだはっきりとはわかっていません。
必要な睡眠時間は個人差があり、人によって大きく異なります。 健康な成人でも毎日の睡眠が4時間で足りる人(ショートスリーパー)から 10時間を必要とする人(ロングスリーパー)までさまざまです。 一般的に8時間睡眠が良いと思われがちですが、 医学的な根拠は無いようです。

更に、だいたいの人は夜に眠ります。 夜に眠るのが自然ですが、発達した現代社会においては、勤務形態の関係で昼間に睡眠を取らなければならない人も沢山います。
このような状況は、やはり不自然ですので、この不規則な生活が原因で、しばしば睡眠障害につながることがあります。


◎不眠
 不眠とは、なかなか寝つけない、熟睡できない、睡眠が妨げられるため不十分でリフレッシュできないことです。 不眠は症候名で、病名では無いとされていますが、 不眠に悩む人は多いようです。

 不眠は、様々な異なる原因がもたらす症状で、不規則な睡眠・覚醒リズム、肉体的な病気、薬の使用やその離脱症状、夜間の多量飲酒、情緒的問題、ストレスなどが関係しています。 しばしば、不安、神経質、鬱病(うつ病)、恐怖が不眠の原因になりますが、単に体が疲れていないだけということもあります。

 中には肉体的な病気、薬物の使用や離脱症状、ストレスなどがほとんどないにもかかわらず、長い間慢性の不眠に悩まされている人もいます。

 寝つきの悪さは、老若問わずみられる症状です。成人の約10%に慢性の不眠があるとされ、約50%はときどき不眠を経験します。
 睡眠パターンは年をとるにしたがって変化するため、高齢者は実際には不眠ではないのに不眠だと思いこみがちです。
 高齢になるほど夜の睡眠が短くなり、昼間にうたた寝をする傾向があります。深い睡眠である第4段階の時間は次第に短くなっていき、最終的にはなくなります。さらに、高齢者はどの睡眠段階でも目を覚ます回数が多くなります。これらの変化は正常なもので、通常は睡眠障害ではありません。

 不眠は、症状によって次の大きく4種類に分けられます。
 ①.入眠障害 寝つきが悪く、なかなか眠れない。
   寝つきに30分~1時間以上かかる場合と定義されている。

 ②.中途覚醒
   朝起きる時間までに、何度も目が覚める。中高年に多い。

 ③.早朝覚醒 朝早く目覚めてしまい、再度眠ることが出来ない。
   年齢を問わず鬱(うつ)病のサインであることがあります。

 ④.熟眠障害 十分に睡眠時間はとっているが、眠りが浅く、熟眠感が得られない。

更に不眠を大きく分ければ、 寝付きの悪い場合と、続けて眠ることができない場合の2つとも考えられます。


睡眠・覚醒リズム障害は睡眠パターンが分断されると起こります。不適当な時間に眠ってしまい、本来眠るべき時間に眠れなくなります。
このような睡眠・覚醒の逆転はしばしば、時差ぼけ、シフト制による不規則な夜勤、労働時間の頻繁な変更、アルコールの飲み過ぎなどによるものです。

 薬の副作用による逆転もあります。
薬の副作用による睡眠障害は、意外と多く、気付き難いこともあるようです。

 薬の副作用による睡眠障害の症状には、不眠、日中の眠気、睡眠時の幻覚に伴って異常行動を起こす睡眠随伴症などがあります。
 しかし、薬剤誘発性睡眠障害のメカニズムはほとんど明らかになっていないため、薬剤の副作用と気付かずに睡眠薬が処方されているケースも少なくないとされています。

特にステロイドでは、不眠が高頻度で起こり、インターフェロンではうつ症状が起こったりすることがあるそうです。
ステロイドやインターフェロンの副作用は、専門家には良く知られているので、薬剤師や医師に相談すれば、睡眠障害が薬から来ている可能性を考えて、他の薬に変更してくれるかもしれませんが、他の薬剤でも睡眠障害が起こる可能性があり、それらは専門家も見過ごしてしまうかもしれません。

次表は、睡眠障害をもたらす薬剤の例です。

ステロイド製剤 プレドニゾロン 不眠
インターフェロン製剤
興奮・不眠・焦燥・せん妄・幻覚
抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 不眠・過眠
抗パーキンソン病薬 ドパミン製剤 レボドパ 不眠・過眠・悪夢
MAO-B阻害薬 セレギニン 不眠
ドパミンアンタゴニスト プラミペキソール 不眠・突発性睡眠
ドパミン放出促進薬 アマンタジン 不眠
抗コリン薬 トリヘキシフェニジル 不眠・幻覚・興奮
抗精神病薬 第一世代抗精神病薬 クロルプロマジン、ハロペリドール 眠気・むずむず脚症候群
第二世代抗精神病薬 リスペリドン、オランザピン、 クエチアピン 眠気・むずむず脚症候群
第三世代抗精神薬 アリピプラゾール 不眠
抗うつ薬 三環系、四環系抗うつ薬 アミトリプチリン、ミアンセリン 眠気
SSRI、SNRI パロキセチン、フルボキサミン、 ミルナシプラン 不眠
降圧薬 β-遮断薬 プロプラノロール、アテノロール 不眠・悪夢
カルシウム拮抗薬 ニフェジピン、ベラパミル 焦燥感・過覚醒
睡眠薬 ベンゾジアゼピン系薬剤 トリアゾラム、ジアゼパム、 フルニトラゼパム 眠気・反跳性不眠
非ベンゾジアゼピン系薬剤 ゾピクロン、ゾルピデム 眠気・反跳性不眠



治療 不眠の治療は、その原因と深刻さによって異なります。
不眠が別の病気によるものなら、その病気を治療すれば不眠が改善されることがあります。
不眠に悩むほとんどの人は、規則正しい睡眠が取れるようにライフスタイルを変えるだけでよく眠れるようになります。

光療法(適切な時間に明るい光をあてる治療法)を行うと、
生体時計を正常な状態にリセットすることができます。
この治療は特に、時差ぼけで睡眠・覚醒リズムが逆転している人、なかなか寝つけない人、寝てから目が覚めるのが早すぎる人に効果があります。

睡眠障害が日常生活の妨げとなっていて、健康であるという意識がもてない場合は、睡眠補助薬(催眠薬とも呼ばれます)を1週間以内の期間で間欠的に服用すると役に立つことがあります。
ほとんどの睡眠補助薬は処方せんが必要です。
処方せんなしに購入できる睡眠補助薬(市販薬)には、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンが含まれています。
これらの薬には副作用があり、特に高齢者で起こりやすくなっています。
  ※抗ヒスタミン薬の副作用: 抗アセチルコリン作用に基づく副作用(口渇、発汗抑制、眼圧亢進、排尿障害)など 特に緑内障、前立腺肥大等の人に注意

高齢者が経験する睡眠の変化は、通常は年齢によるものなので睡眠補助薬は必要ありません。夜のトータルな睡眠時間は年齢とともに減少する傾向があるため、夜遅く寝て早く起きたり、昼寝をしないようにするとよく眠れるようになります。

たとえ不眠であっても、高齢者の睡眠補助薬による治療は、錯乱、転倒、失禁といった、不眠以上に厄介な問題を引き起こすことがあります。

 情緒的ストレスが原因の不眠は、睡眠補助薬の服用よりも、ストレスを緩和する治療の方が有効です。不眠と抑うつがある場合は、医師の診察を受けうつ病の治療を行うべきです。うつ病の治療はしばしば不眠も軽減しますが、一部の抗うつ薬は鎮静作用があるため、直接睡眠を改善します。

アメリカでは、メラトニンが不眠の治療に用いられることがあり、特にメラトニンの量が減る高齢者に使用されます。この薬は時差ぼけの症状を最小限にするためにも使われます。しかし、使用については議論があります。メラトニンは、長くて2〜3週間の短期間の使用なら安全だと思われますが、長期に使用した場合の影響はわかっていません。(日本では認められていません)

寝酒は、眠りを浅くし、中途覚醒につながるので逆効果になります。
更に、耐性を生じ易いので、アルコール量も増えてしまいます。
その上、睡眠薬の副作用(健忘や転倒など)の副作用も増強されます。

昼寝は、15~30分程度なら良いのですが、長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げますので、逆効果です。うたた寝にも注意しましょう。
昼寝を上手に行うと、午後の活動が活発になるという研究もありますので、
適度の昼寝を心掛けましょう。


就寝時間は、眠くなってから、布団に入りましょう。
寝付くのに時間がかかるからといって、早目に布団に入りすぎた場合、布団に横になっているのに眠れないという経験が重なり、眠りを意識しすぎて本当に眠れなくなってしまうことがあるので、眠くなってから布団に入るのが望ましい習慣です。

その他、 決まった時刻に就寝・起床する(特に起床) 寝る少し前から部屋を暗くしてテレビやPC などの強い光を避ける なども重要です。


不眠に良く使われる漢方薬

薬方名 症状 柴胡加竜骨牡蛎湯 三黄瀉心湯 黄連解毒湯 加味逍遥散 甘麦大棗湯 猪苓湯 桂枝加竜骨牡蛎湯 甘草瀉心湯 柴胡桂枝乾姜湯 竹筎温胆湯 酸棗仁湯 加味帰脾湯
便秘がち








尿の出が少ない









汗をかきやすい








寝汗をかく








顔色が悪い(貧血気味)








のぼせやすい






頭痛・頭重






口・のどが渇く







動悸がする





鳩尾がつかえる感じ








ささいなことが気になる




イライラする


普段から不眠傾向がある
寝付きが悪い





夜中に目が覚めると眠れない







夢をよく見る








1.酸棗仁湯(さんそうにんとう)
 体力は中等度で以下で、不眠の他に特徴的な症状がない。

2.加味帰脾湯(かみきひとう)
 酸棗仁湯証よりやや虚状が強く、血色が悪い。イライラしたり、くよくよしたりしやすい。

3.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこぼれいとう)
 不眠、多夢、動悸、イライラなどの神経症状が強く、胸脇苦満(きょうきょうくまん)と臍上悸(さいじょうき)(or臍下悸(さいかき))が認められる。

4.甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
 理由もなく悲しがったり、怒ったりする。生あくびが出やすい。

5.加味逍遙散(かみしょうようさん)
 背中が急にカーッと熱くなり、汗が出て、そのあと寒くなる。不定愁訴がむやみに多い。

6.桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
 のぼせる傾向があり、諸種の神経症状がある。臍上悸を認める。

7.竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
 虚状が強く、胃腸障害があり、咳や痰が出て熟睡しにくい。

8.甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)
 腹鳴(ふくめい)があり、下痢しやすく、不眠、イライラなどの神経症状がある。

9.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
 がっちりした、色は赤黒い女性で、下腹部が痛み、血圧が高く、便秘、頭痛があり、
いつも眠い眠いという人

10.黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
 のぼせ気味で、イライラして眠れない。血色が良くお腹が張り、肩凝り、動悸、疲労を訴える。

11.三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
 のぼせ気味で、イライラして眠れない。血色が良くお腹が張り、肩凝り、動悸、疲労を訴え、便秘がある。

12.加味温胆湯(かみうんたんとう)
 神経過敏で、小さな物音にも驚くというような人で、胃腸が弱くなっている場合。
胃のあたりを、軽くゆすぶるようにたたくと、水の音がする。
病後や、長い病気で衰弱している人。

13.半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
 体格,体力が普通程度、ないしはやや虚弱な人が、動悸、めまい、頭重感などを訴え、不安、不眠がある。特に咽喉に何か物が詰まった様な感じや、咽喉が塞がった様な感じの咽喉症状があり、病状の激しい場合はひどく動悸がしたり、痙攣を伴ったりする発作(不安発作またはヒステリー発作)を起すことがある。
 肉付は、普通ないしやや痩せ型で、腹部は腹力がやや弱く、しばしば胃内停水を若干認める。

14.女神散(にょしんさん)
 種々な神経症状や不定愁訴があり、殊に女性の血の道症で、出産のあとで発病したり、月経と関連して症状が消長する。症状は余り変動がなくて、固定的なことが多く、患者は体力が充去していて、便秘の傾向がある。
 腹部は、腹力が充実していて、多くの場合下腹部に抵抗・圧痛を認める。

その他、大柴胡湯(だいさいことう)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)抑肝散(よくかんさん)、三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)、釣藤散(ちょうとうさん)香蘇散(こうそさん)猪苓湯(ちょれいとう)柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)帰脾湯(きひとう)温経湯(うんけいとう)滋陰至宝湯(じいんしほうとう)八味丸(はちみがん)六味丸(ろくみがん)などが良く使われます。

健康食品・サプリメントとしては、ギャバ(γ-アミノ酪酸(がんまあみのらくさん))、テアニン(お茶のうまみ成分)、ホップ、SAMe(サミー、サムイー、Sアデノシル-L-メチオニン、S-Adenosyl-L-Methionine)、パッションフラワー(トケイソウ、時計草)、カノコソウ(吉草根)、バレリアン(西洋カノコソウ、ワレリア)、カモミール(カモマイル、カミツレ、カミルレ、ジャーマンカモミール)、バコパ・モニエラ、紅麹、カキ殻、カルシウム剤などが良く使われます。

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