健康情報: 柴胡枳桔湯(さいこききつとう)  の 効能・効果 と 副作用

2012年10月9日火曜日

柴胡枳桔湯(さいこききつとう)  の 効能・効果 と 副作用

【一般用漢方製剤承認基準】
柴胡枳桔湯(さいこききつとう)
〔成分・分量〕 柴胡4-5、半夏4-5、生姜1(ヒネショウガを使用する場合3)、黄芩3、栝楼仁3、桔梗3、甘草1-2、枳実1.5-2

〔用法・用量〕 湯

〔効能・効果〕 体力中等度以上のものの次の諸症:
せき、たん
 


臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
41柴胡枳桔湯(さいこききつとう)〔傷寒薀要〕
 柴胡・半夏各五・〇 黄芩・瓜呂実・桔梗各三・〇 枳実一・五 甘草・乾生姜各一・〇

 「小結胸、脈弦数、口苦、心下硬痛、或は胸中硬満、或は脇下硬満、或は発熱、或は日晡潮熱、或は往来寒熱、耳聾、目眩するものを治す。(柴陥湯、柴胡半夏湯、瓜呂枳実湯と鑑別を要す)
 この方は肋膜炎・肺炎・肋間神経痛・腹石症・胆嚢炎・膵臓炎などに応用される。


勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯著
柴胡枳桔湯  此の方は結胸の類症にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に三方あり。胸中より心下に至るまで結痛する者を柴陥湯とす。胸中満して痛み、或は肺癰を醸さんとする者を此の方とす。また両脇まで刺痛して咳嗽甚だしき者を柴梗半夏湯とす。世医は瓜蔞枳実湯を概用すれども、此の三方を弁別するに如くはなし。


勿誤薬室方函口訣解説(36)』 岡野正憲 
柴胡枳桔湯
 次は柴胡枳桔湯です。出典は『傷寒蘊要』で、「小結胸、脈弦数、口苦く、心下硬痛、あるいは胸中満して硬、あるいは脇下満して硬、あるいは発熱し、日晡所潮熱、あるいは往来寒熱、耳聾し、目眩するを治す」とあります。
 これを解釈しますと、結胸といわれる、胸郭内あるいは横隔膜下の病変のために、心下部がふくらんで、石のように硬く痛むものがある。これの症状の軽いものが小結胸、重いものが大結胸といわれますが、現代医学的に肋膜、肺、横隔博下、肝臓等に炎症などがある症状と考えられます。その小結胸の状態で、脈が弓づるを張ったような弦という状態で、数が多い脈であって、口の中は苦く、みずおちが硬くなって痛むもの、あるいは胸の中が充満したようになって硬くなっているもの、あるいは脇の下が充満してように硬いもの、あるいは発熱のあるもの、あるいは熱の上下があるもの、あるいは悪寒と発熱が交互に来たりして耳が聞こえなくなり、目がくらんで目えないものなどを治す処方であるというわけです。
 浅田宗伯は、「この処方は、小柴胡湯の中、人参、大棗を除いて、括蔞仁、枳実、桔梗を加えた形である」といっております。
 『口訣』は、「この処方は、結胸といわれる胸郭内あるいは横隔膜下の炎症の類似の症状で、胸や季肋部の痛みがあって、咳があり、呼吸促迫し、悪寒、発熱あるを治するものであります。これの類に三つの処方があって、胸の中から心下部に至るまで、しこったように痛むのは柴陥湯の症状であって、胸の中が充満して痛んだり、呼吸器系の化膿などが起ころうとするのは、柴胡枳桔湯の症状であります。また両脇まで激しく痛んで、咳が激しいものは、柴梗半夏湯の症状であります。世の中の医師は、このような類の症例に慢然と瓜蔞枳実湯を用いるようでありますが、このように三つの処方を区別して使い分けるのに越したことはありません」といっております。
 柴胡枳桔湯の応用として、肋膜炎、肺炎、肋間神経痛、胆石症、胆のう炎、膵臓炎などに用いられます。症例として『漢方と漢薬』に、三上平太氏の一例が載っております。
「患者は四四歳の男子、身体は肥満して頑健な体格、平常大酒家である。六月の初めころより次第に体が痩せてくる傾向に気づいた。また時々頭痛と軽い寒悪があったが、平常頑健な人なので、風邪くらいに考えていた。そのうち咳をすると、右の乳のあたりに痛みがあり、体温も三八・六度ほどあった。肋膜炎ではないかと思い、七月初めころ医師を訪ねた。しかし、医師は脚気であろうと注射をしたが熱は下がらず、時に三九・五~三九・六度に及ぶことがあるので、レントゲンを撮ったが、古い肺浸潤のあとを見ただけで大した所見はなかったという。七月十四日、依頼されて小生往診す。みると熱は三九・五度ほどあり、咳嗽頻発している。脈は浮緊で軽い頭痛がある。咳をすると、胸下にひびいて痛みがあるので、湿布をしていた。しかし胸部に何ら症状はないので、小生も何であろうと思案するうち、ふと患者が吐いた痰が非常に臭いのに気づいた。聞くと痰は以前から臭かったという。そこで直ちにその痰をコップに入れてみると、膿らしく見えたので、恐らくは肺膿瘍の初期であろうと思った。
薬は、まず『金匱要略』の葦茎湯に、『聖剤総録』の四順湯を合方し、