健康情報: 洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)・洗肝明目散(せんかんめいもくさん) の 効能・効果 と 副作用

2012年10月17日水曜日

洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)・洗肝明目散(せんかんめいもくさん) の 効能・効果 と 副作用

【一般用漢方製剤承認基準】
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)〔成分・分量〕 当帰1.5、川芎1.5、芍薬1.5、地黄1.5、黄芩1.5、 山梔子1.5、連翹1.5、防風1.5、決明子1.5、黄連1-1.5、荊芥1-1.5、薄荷1-1.5、羗活1-1.5、蔓荊子1-1.5、菊花 1-1.5、桔梗1-1.5、蒺梨子1-1.5、甘草1-1.5、石膏1.5-3

〔用法・用量〕 湯

〔効能・効果〕 体力中等度のものの次の諸症:
目の充血、目の痛み、目の乾燥


漢方後世要方解説』 医道の日本社刊 矢数道明著
方名及び主治  三三 洗肝明目湯(センカンメイモクトウ) 万病回春 眼目門
○一切の風熱、赤腫、疼痛を治す。
千葉医大実験処方
 南天実、木賊各一・五 茯苓、黄芩、黄連、連翹、当帰、川芎、山梔、桔梗、柴胡、石膏各一、大黄、甘草各〇・五
処方及び薬能 当帰 芍薬 川芎 地黄 黄芩 梔子 連翹 防風 決明子各一・五 黄連 荊芥 メンタ 羗活 蔓荊 菊花 桔梗 蒺梨 甘草各一 石膏三
 蔓荊=肝経に入り、血を凉まし、目赤を治す。
 木賊=肝胆の経に入り、目翳を去る。
 菊花=肝を平らにし、目を養い翳膜を去る。
 蒺梨子=肝を散じて補し、目を明らかにす。
 決明=肝経に入り風熱を除く、一切目疾を治す。
 石膏=熱を清め、火を降す。
 南天実=筋骨を強め、気力を益す。
解説及び応用 ○実証にして炎症、充血、疼痛等刺激症状のある角膜結膜の疾患に広く応用される。経過の長びく難治とされている角膜疾患には特に必要の剤である。

千大眼科に於いて鈴木宜民教授の研究が発表されている。防風、羌活、黄連、黄芩等は眼部の充血、腫脹、疼痛には不可欠とされ、更に当帰、山梔、連翹、川芎、地黄等もこれを補助する。

○応用
① 硬化性角膜炎、② 角膜実質炎、③ 鞏膜炎、④ 春季カタル、⑤ 虹彩炎。




『衆方規矩解解(43)』 藤平 健
眼目門(一)
洗肝明目散
「眼目門。洗肝明目散。一切の風熱眼目に中りて、赤く腫れ、痛むを治す」。
熱があって目に炎症があって、赤く腫れて痛む場合によいということでしょうが、こういう場合は実証か虚証か、陽証か陰証かわかりませんが、中の薬味を見ますと、「沂(当帰)、芎(川芎)、【赤勺】(芍薬)、【生也】(生地黄)、連(黄連)、芩(黄芩)、丹(山梔子)、羔(石膏)、翹(連翹)、芸(防風)、荊(荊芥)、荷(薄荷)、羌(きょうかつ)、蔓(まんけいし)、菊(菊花)、蒺(蒺藜子)、桔(桔梗)、決(決明子)、甘(甘草)」の一九味です。この中には黄連や黄芩のような冷薬もありますし、当帰、川芎というような温薬も入っていますし、いろいろのものが入っておりまして、実証か虚証か判断しにくいですが、「赤く腫れ痛むを治す」ということから考えますと、これは実証であろうと、あるいは少なくとも虚実間くらいにはなるだろうと思われます。
 この薬方は私も使います。といいますのは、私が終戦後間もなく眼科に帰ってきまして、教室で研究生活をしていた時に、その時の講師が眼科だけの漢方をやっておりましたが、『傷寒論』や『金匱要略』などを基本にした使い方ではないのです。ですから私どもがやっている漢方とは違うのですが:その方が洗肝明目散を、眼の赤くなる病気で、角膜にも時には変化が来たりするという病気に使って、実際に相当よくなるということを経験しまして、これを学位論文にしたのです。これを使って、当時結核性の疾患と思われていた角膜の疾患で、角膜のはじから濁りが出てくる硬化性角膜炎という病気をよく治したということです。
 そんなわけで、私も充血していて赤い目にこれを使ってみますと、皆が皆よくなるわけではありませんが、かなりよくなるものがあるという経験をしました。私か使った経験からいいますと、実証か虚実間によく、あまり虚証のものにはよくないようです。実証の充血というのは、赤味が鮮明で、痛みも強いことが多いのです。そういうものを目当てにして使いますと、硬化性角膜炎のみならず、外眼部から虹彩、毛様体、およびブドウ膜などの炎症にまで効くことがあります。洗肝明目散は、私もそういう経験がありますから、実証に近い疾患で、角膜あるいは虹彩などに及ぶような場合で、西洋医学的になかなか治りにくいという場合に使ってみる価値のある薬方であると思います。
 「痛み忍び難きには川(川芎)、烏(烏頭)を加う」。「翳障ある(角膜に濁りがある)には芍(芍薬)を去って蒺(蒺藜子)、賊(木賊)を加う」。「風熱肝火甚しくば荷(薄荷)を去って游(竜胆)、柴(柴胡)を加う」。「大便実せば芎(川芎)、虎(大黄)、桔(桔梗)を加う」とありますが、こういうふうにすれば効くかもしれませんが、私は洗肝明目散だけを使っております。これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります(※)。
 「按ずるに眼暴に赤く痛むを治するの方なり」とありますが、こういうところが洗肝明目散の一番の眼目というところかもしれません。時間の関係で飛ばして読みます。
 「暴に眼赤く、初発に升麻葛根湯を用いて蟬(蟬脱)を加え、三貼を与う。もし退かざるには敗毒散を用い虎(大黄)を加う。尚退かざるには却って五膈寛中湯を用いて酒にて調え下す」とありますが、五膈寛中湯は170頃に出ております。これは使ったこともありませんし、使い方も明確にされておりませんが、なかなか治らない場合にこういうものを使ってよい場合があるということでしょう。

※ 「これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります」の
エキス剤になっているの部分は、何か別の漢方薬方と勘違いされているのでは?



ウチダの洗肝明目湯
株式会社 ウチダ和漢薬 東京都荒川区東日暮里4-4-10
※エキス剤ではなく、煎剤(煎じ薬)
添付文書(2012 年1 月改訂(記載要領変更に伴う改訂 第1 版)1 )

 してはいけないこと 
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。

 相談すること 
 1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

(1)医師の治療を受けている人.
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人.
(3)胃腸が弱く下痢しやすい人.
(4)胃腸虚弱で冷え症の人.
(5)高齢者。 
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人.
(7)次の症状のある人.
    むくみ 
(8)次の診断を受けた人.
    高血圧、心臓病、腎臓病 

2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

関係部位症状
皮膚発疹・発赤、かゆみ
消化器吐き気・嘔吐,食欲不振,胃部 不快感,腹痛

まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。

症状の名称症状
偽アルドステロン症、
ミオパチー
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。


3.服用後,次の症状があらわれることがあるので,このような症状の持続又は増強が見られた場合には,服用を中止し,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
   下痢

4.1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること

5.長期連用する場合には,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること



効能・効果
炎症,充血,疼痛などの刺激症状のある角膜,結膜の疾患硬化性角膜炎,角膜実質炎,春季カタル,虹彩炎

用法・用量
年齢 1日量
大人(13 才以上) 1袋(1日分)につき水600mL(約3合3勺)を加え,あまり強くない火にかけ300mL(約1合7勺)に煮つめ,袋をとり出し,2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。
13 才未満5 才迄 大人の煎液の1/2 量を2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。
5 才未満 大人の煎液の1/3 量を2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。

〈用法・用量に関連する注意〉
(1)小児に服用させる場合には,保護者の指導監督のもとに服用させること.
(2)1歳未満の乳児には,医師の診療を受けさせることを優先し,止むを得ない場合にのみ服用させること.

成分・分量
本品1袋中
トウキ(当帰)       1.5g
ケイガイ(荊芥)     1.0g
センキュウ(川芎)    1.5g
ハッカ(薄荷)       1.0g
シャクヤク(芍薬)     1.5g
トウドクカツ(唐独活)   1.0g
ジオウ(地黄)        1.5g
マンケイシ(蔓荊子)    1.0g
オウゴン(黄芩)       1.5g
キクカ (菊花)        1.0g
サンシシ(山梔子)     1.5g
キキョウ(桔梗)      1.0g
ハマボウフウ(浜防風) 1.5g
シツリシ(蒺藜子)        1.0g
レンギョウ(連翹)         1.5g
カンゾウ(甘草)            1.0g
ケツメイシ(決明子)      1.5g
セッコウ(石膏)            3.0g
オウレン(黄連)          1.0g

保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管すること.
(2)小児の手の届かない所に保管すること.
(3)他の容器に入れ替えないこと.(誤用の原因になったり品質が変わる.)

本剤は生薬を原料としていますので,製品により多少色が異なることがありますが,効能・効果にかわりはありません.