健康情報: 正心湯(しょうしんとう・せいしんとう) の 効能・効果 と 副作用

2012年11月17日土曜日

正心湯(しょうしんとう・せいしんとう) の 効能・効果 と 副作用

勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯
正心湯
  此の方は帰脾湯の症にして、心風甚だしく、妄言妄行止まず、血気枯燥する者を治す。また小児、肝虚、内熱、精神爽やかならざる者に用ゆ。

勿誤薬室方函口訣解説(62)』 中島 泰三

正心湯
 正心湯(ショウシントウ)の出典は『古今医統』であります。
 「七情五志が久しく逆い(さからい)、心風となり、妄言妄笑(ぼうげんぼうしょう)し、苦しむ所の知らざるを治す。当帰(トウキ)、茯苓(ブクリョウ)、地黄(ジオウ)、羚羊(レイヨウ)、甘草(カンゾウ)、酸棗仁(サンソウニン)、遠志(オンジ)、人参(ニンジン)、右八味よりなる。
 此方は帰脾湯(キヒトウ)の症にして心風甚しく、妄言妄行止まず、血気枯燥するものを治す。又小児肝虚内熱、精神爽かならざる者に用う」。
 いろいろの感情や欲望が長期間抑圧されて精神障害をきたし、みだりに意味のわからないことをいったり、みだりに笑ったりする病識のない患者を治療します。酸棗仁、遠志は精神安定剤であり、羚羊角は鎮静、解熱、抗痙攣作用があります。当湖、地黄は陰を潤し、清熱し、茯苓、人参にもある程度のトランキライザー様の作用があります。甘草は急激な発作を抑えます。
 帰脾湯の症は憂い、思いなどの精神的なできごとが消化吸収機能を障害して、血虚、発熱成、食欲不振となり、全身倦怠感、物忘れ、動悸、不安感、不眠症などを治療したします。構成生薬は黄耆(オウギ)、当帰、人参、白朮(ビャクジュツ)、茯苓、酸棗仁、竜丸肉(リュウガンニク)、甘草、生姜(ショウキョウ)、木香(モッコウ)、遠志(オンジ)、大棗(タイソウ)の十二味より成り立ち、正心湯と非常に似ております。正心湯の方が地黄、羚羊角が入っているせいで、滋陰清熱作用がやや強くなります。一方、帰脾湯は木香、オウギ、白朮などの温熱剤が入っているため、正心湯よりもやや補気、理気の作用が強くなり、消化器系を刺激興奮させます。津村エキス剤では帰脾湯、加味帰脾湯(カミキヒトウ)がありますが、やや血虚や熱の症状がありましたら四物湯(シモツトウ)や温清飲(ウンセイイン)、酸棗仁湯(サンソウニントウ)を適当に追加して下さい。


※竜丸肉(リュウガンニク)は竜眼肉(リュウガンニク)の誤り。


『古今醫統(古今医統)』
癲狂門 病機  《內經》帝曰︰癲疾厥狂,久逆之所生也。脈解篇曰︰陽氣太上,甚則狂癲。陽盡在上,而陰氣從下,下虛上實,故癲狂疾也。又曰︰陰陽複爭,則欲登高而歌,棄衣而走也。  生氣通天論曰︰陰不勝其陽,則脈流薄疾,並乃狂。  《靈樞》云︰癲癇瘈瘲,不知所苦,兩蹺之下,陽男陰女。  又如︰狂始生,先自悲也,喜忘善怒善恐者,得之憂飢。治之取手太陰陽明,血變而止,及取足太陰陽明。狂始發,少臥不飢,自高賢也,自辯智也,自尊貴也,善罵詈,日夜不休。治之取手陽明太陽太陰、舌下少陰。視之盛者皆取之,不盛釋之也。狂言、驚駭、善笑、好歌樂、妄行不休者,得之大恐。 病機  癲狂病俗名心風,蓋謂心神壞亂而有風邪故也。丹溪謂︰癲屬陰,狂屬陽。癲多喜,狂多怒。  又云︰重陰者癲,重陽者狂。由此觀之,則是陰陽寒熱,冰炭不牟,安得概以一藥治之,而何可以同日而語也?又曰︰大概是熱,癲者神不守舍,狂者如有所見。斯得病之情狀,而理之不容易也。  春甫曰︰癲狂之病,總為心火所乘,神不守舍,一言盡矣。巔者,至高也。火性炎上,正如經云︰陽氣太上則狂巔。狂則孔子所謂狂狷者之狂也。《靈樞經》曰︰狂病始發,少臥不飢,自高賢也,自辯智也,自尊貴也。故曰︰狂者進取志大,而大言者也。前謂狂言如有所見,斯得之矣。蓋心火暴熾,言語善惡不避親疏,此神明之亂也。此之所謂狂也,蓋謂火熾之甚,陽氣太上,則病患亦乘陽火之上炎,故棄衣而登高,由狂而又癲。此則聖人命名之義,而有同中之異耳。 病機  戴人謂︰肝屢謀,膽屢不決,屈無所伸,怒無所泄,肝木膽火隨炎入心,心火熾亢,神不守舍,久逆而成癲狂,一因也。  有思慮過多,脾傷失職,心之官亦主思,甚則火熾,心血日涸,脾液不行,痰迷心竅,以致癲狂,二因也。 病機  古方每以癲、癇並治,出方乃大誤也。蓋癲為心病,而屬實者多,癇為五臟兼病,而屬虛者多。蓋因《靈樞》一云︰癲癇瘈瘲,不知所苦。後人不察,遂認為一証。殊不知《靈樞》自以兩証而言,不知所苦,皆言不能自知其病之所苦也,《玉機微義》始分別之,而亦未嘗白《靈樞》之旨也。 脈候  脈大堅實者,癲狂。脈虛弦為驚。沉數為痰熱。脈大而滑者,自已。沉小急實者,死。虛而弦急者,死。  寸口脈沉大而滑,沉則為實,滑則為氣,實氣相搏,入臟則死,入腑則愈。丹溪曰︰癲狂脈虛易治,實者難治。 治法  登高棄衣,引重致遠者為癲,乃痰火亢熾之甚而然。治宜降下之劑,滾痰丸之屬是也。  自高辯智,妄語狂言,神明失守為狂。治宜鎮心安神清上之劑,牛黃朱砂丸之屬是也。 治法  張子和治癲狂,令患人於燠室中,先涌痰二、三升,後與承氣湯一、二升頓服,大下二十行,而病即寧。 藥方  清心湯 治心受熱邪,狂言叫罵,動屐失常。  黃連 黃芩 薄荷 連翹 梔子 甘草 大黃 芒硝(各等分) 上水盞半,竹葉十個,煎八分,溫服。  (《局方》)牛黃清心丸 治心志不足,神氣不定,驚恐癲狂,語言譫妄,虛煩少睡,甚至棄衣登高,逾牆上屋等証。  羚羊角(鎊,一兩) 人參(二兩半) 白茯苓 川芎 防風(各半兩) 阿膠(炒,七錢半)乾薑(炮,七錢) 白朮(兩半) 牛黃(各兩半) 麝香(半兩) 犀角(鎊,二兩) 雄黃(研飛,八錢) 梅花冰片(五錢) 金箔(一千四百片) 白芍藥 柴胡(各兩半) 甘草(炒,五兩)山藥(七兩) 麥門冬(去心) 枯黃芩(各兩半) 杏仁(泡,去皮、尖及雙仁者,麵炒黃色,另研用)桔梗(各二兩二錢) 神曲(二兩半) 大棗(一百枚,蒸熟,去皮、核,另研成膏) 白蘞(七錢半)蒲黃(炒,二兩半) 大豆黃卷(一兩七錢半,微炒) 當歸(酒洗) 肉桂(去皮,各一兩七錢)上除棗、杏仁、金箔、二角及牛黃、腦、麝、雄黃四味,為末入藥和勻,煉蜜同棗膏和丸,每兩分作十丸 將前金箔除四百片為衣。每服一丸,食後溫水化下。  朱雄丸 治男女驚憂失志,思慮過多,痰迷心竅,以致叫呼奔走。此藥安魂定魄。  辰砂 明雄黃(各二錢半,研) 白附子(一錢)上研末,豬心血丸,金箔為衣。每服三丸,人參、菖蒲煎湯下。  抱膽丸 治男女一切癲狂風癇,及婦人產後驚氣入心,室女經行驚氣蘊結,頓服此藥屢效。  朱砂(二兩) 水銀(一兩) 黑鉛(兩半) 乳香(一兩,細研)上將鉛入銚內,下水銀結成砂子,下乳香,乘熱用柳木捶擂勻,丸如雞頭子大。每服一丸,空心井花水吞下。得睡切莫驚動,覺來則安,再進一丸可除根。  引神歸舍丹 治癲狂心風,心氣不足。  朱砂 膽南星(各一兩) 白附子(半兩) 上為細末豬心血泡,蒸餅為丸,梧桐子子大,每服十五丸。  五膽丸 治癲狂風癇妄走。  羊膽 豬膽 狗膽 雞膽 鯉魚膽(各一枚,傾汁作一處) 蛇黃(五兩, 紅,食膽汁盡為度) 上為末,另以膽汁和丸,綠豆大,朱砂為衣。每服十五丸,食後以磨刀汁吞下,或用末以磨刀水調服。  滾痰丸 治癲狂熱盛,不識人。(方見痰門。)  奪命散 治癲癇痰盛。