『漢方精撰百八方』
9. [方名] 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
[出典] 傷寒論
[処方] 柴胡4.0 桂枝4.0 黄?3.0 人参3.0 芍薬5.0 甘草2.0 半夏5.0 大棗4.0 生姜
[目標] 急性疾患の急性期を経過した後に微熱があり、心下部がつまった感じがして嘔気がしたり、神経症状を起こしてうわごとをいったりする者に用いる。また心腹卒中痛の者。
[かんどころ] 小柴胡湯の証で虚証がかったもの、つまり小柴胡湯証と小建中湯証の重複したような証。
[応用] 本方は非常に興味のある処方で、わたしの経験では今日の副腎皮質ホルモンの適応症の殆んど全部が本方の証であるように思われる。
まずてんかん(癲癇)であるが、殆んどすべてのてんかんは本方証であることを経験している。そして日本東洋医学会誌13.4に報告し、昨年十一月までの症例(第15回日本綜合医学会報告)では、取扱例38例中全治24例、軽快継続2例、軽快1例、中止4例、廃療7例で、ほぼ本方で癲癇を全治せしめ得る自信を得た。傷寒論小柴胡湯の条文に「血弱気尽きそう理開き、邪気因って入り正気と相搏り、脇下に結び、正邪分争、往来寒熱、休作時有り、云々」とある休作とは癲癇の発作に当たり、正邪分争は自律神経失調状態のことで、それが気力減弱、適応失調の桂枝加芍薬湯証を基盤として起るのが癲癇であると理解されると思う。
チック症も今日は自律神経症と理解されているが本方でこれを治している。
夜尿症は小児ばがりでなく成人にもあるもので、病院で手術までしてもどうにもならないものを本方の一発で全治せしめた経験もある。
小児の自家中毒症も自律神経失調症のーつと認められるが、本方で簡単になおっている。
一般にノイローゼといわれるものも間脳性疾患と思われるが、本方で恢復するところを見ると、西洋医学的に単に臓器に病理学的変化を証明できないからと言って身体的疾患でないと判断することは早計であろう。
胃下垂も単に胃の形態学的変化だけで胃切除などを行なうべきものではない、本方で胃下垂の愁訴が解決するところからしても胃下垂は自律神経失調の局所的表現と見るべきであろうと思う。
精神身体医学で最も興味のある潰瘍性大腸炎を頓挫的に本方で全治せしめた例もある。其他蕁麻疹、腰痛、リウマチ、起立性調節障害、円形禿頭、喘息、偏頭痛等々。
相見三郎著
『漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
1 柴胡剤
柴胡剤は、胸脇苦満を呈するものに使われる。胸脇苦満は実証では強く現
われ嘔気を伴うこともあるが、虚証では弱くほとんど苦満の状を訴えない
場合がある。柴胡剤は、甘草に対する作用が強く、解毒さようがあり、体質改善薬として繁用される。したがって、服用期間は比較的長くなる傾向がある。柴胡
剤は、応用範囲が広く、肝炎、肝硬変、胆嚢炎、胆石症、黄疸、肝機能障害、肋膜炎、膵臓炎、肺結核、リンパ腺炎、神経疾患など広く一般に使用される。ま
た、しばしば他の薬方と合方され、他の薬方の作用を助ける。
柴胡剤の中で、柴胡加竜骨牡蛎湯・柴胡桂枝乾姜湯は、気の動揺が強い。小柴胡湯・加味逍遥散は、潔癖症の傾向があり、多少神経質気味の傾向が ある。特に加味逍遥散はその傾向が強い。柴胡桂枝湯は、痛みのあるときに用いられる。十味敗毒湯・荊防敗毒散は、化膿性疾患を伴うときに用いられる。
各薬方の説明(数字はおとな一日分のグラム数、七~十二歳はおとなの二分の一量、四~六歳は三分の一量、三歳以下は四分の一量が適当である。)
5 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
〔柴胡(さいこ)五、半夏(はんげ)四、桂枝(けいし)二・五、黄芩(おうごん)、人参(にんじん)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)各二、甘草(かんぞう)一・五〕
本方は小柴胡湯(しょうさいことう)と桂枝湯(けいしとう)の合方であるため、小柴胡湯證に表証をかねているものに用いられる。したがって、
発熱、悪寒、頭痛、関節煩疼、腹痛、嘔吐、嘔気、悪心、心下部が痞えて緊張や疼痛のあるものを目標とする。神経症状を目標とすることもある。
〔応用〕
柴胡剤であるために、大柴胡湯や小柴胡湯のところで示したような疾患に、柴胡桂枝湯證を呈するものが多い。
その他
一 盗汗、皮膚掻痒症など。
『《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会
27.柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) 傷寒論
柴胡5.0 半夏4.0 桂枝2.5 黄芩2.0 人参2.0 芍薬2.0 生姜2.0(乾1.0) 大棗2.0 甘草1.5
(傷寒論)
○傷寒六七日,発熱,微悪寒,支節煩疼,心下支結,外証未去者,本方主之。
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
自然発汗があって微熱,悪寒し,しぞおちがつかえ頭痛,関節痛があるもの。あるいは胃痛悪心,腹痛が劇しく食欲不振などを伴なうもの。
本方は桂枝湯と小柴胡湯との合方であり,感冒がこじれて微熱が続き食欲もない場合,即ちもはや葛根湯もしくは桂枝湯は使えないが頭痛,関節痛,盗汗などの症状が残ってい小柴胡湯も不適であるという段階によく奏効する。
柴胡桂枝干姜湯との鑑別は,柴胡桂枝干姜湯適応症は頭痛よりむしろのぼせを伴って頭重があり,口内のかわき,頭汗,腹部の動悸などを目標とすればよい。本方はまた胸やけあるいは悪心,嘔吐を伴なった胃腸の劇痛によく用いられ本方と安中散の合方は胃・十二指腸潰瘍にしばしば著効を示す。肋間神経痛には柴陥湯と共によく利用されるが両者の鑑別は柴陥湯の項を参照のこと。
〈漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
(1) 呼吸器疾患 感冒のこじれや胸部疾患またはその疑いのあるもので,微熱ががなかなかとれず悪寒や頭痛がして自然発汗があり,食欲減退して全身倦怠感のあるもの。
(2) 胃腸・肝臓疾患,胃痛,腹痛,背部放線痛がひどくまたは胃痙攣様の疼痛,痙攣痛があって悪心,嘔吐を伴い食欲不振のもの。
(3) 更年期障害,体温の上昇は認められないが熱感があって頭痛,肩こり,疲労倦怠感を伴い食欲が減退す識もの。
本方は小柴胡湯と桂枝湯を合方したもので非常に応用範囲が広い処方である。とくに応用の目標欄記載の疾患および移動性盲腸炎や腎盂炎に繁用されている。
① 感冒 初期症状がこじれた人の目標欄(1)の記載症候群を目安に発病後4~5日から10日前後あるいはそれ以上,いつまでもスッキリしないと訴えるものに投与すれば良い。(後略)
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
本方は小柴胡湯と桂枝湯の合方で,傷寒の場合は,小柴胡湯証に表証が加わったものである。そこで熱病の場合は,小柴胡湯証に似て悪寒と発熱感が交互におこり,熱が高く,脈が浮で,頭痛,関節痛,悪心,嘔吐などがあり,心下支結がみられるものである。雑病の場合は胸腹が急に痛むもの,時には上腹部に持続的鈍痛のおこるものである。
○類聚方広義では「発汗の時期を失して,胸脇が満ちて,嘔きけがし,頭痛,身痛,往来寒熱が何日も癒えず,心下支撑(支結)飲食進まぬもの,あるいは発汗したり,下剤を用いたりしたあと,病気がいぜんとしてよくならず,またことさらに悪くもならず,ただ熱気纆繞として去らず,胸満微悪寒し,嘔気があって食欲がなく,数日た改aても治りそうで治らないもの。」
○医療手引草には柴胡湯は調和の剤で,感冒にかかったあと,余熱が残り,あるいは身体がだるく,少し頭痛や悪寒があるものに用いる。……大抵の外感で発熱,頭痛,熱強く少しでも身体がだるい気味のあるものにまずこの方を用いて発散するとある。
○雑病の指示は,金匱要略に,外台の柴胡桂枝湯方は心腹卒中痛を治すとある。心腹は胸腹で卒中痛は突然の痛みである。
○この点について類聚方広義に疝家(疝の病人)が腰や腹がひきつれ,痛みが胸脇に連なり,さむけと熱感がおこりさめし,心下痞硬があって嘔気するものとある。
※支撑:しとう
〈漢方治療の実際〉 大塚 敬節先生
○神経症や血の道症に用いることがあり,尾台榕堂は類聚方広義で婦人がこれといった原因もないのにさむけを訴えたり,熱感をおぼえたり,頭痛がしたり,めまいがしたり,みずおちがつっぱるように感じたり,嘔吐や悪心があったり,からだがだるかったり,またしびれ感を訴えたり,鬱々として人に接するのを嫌い,あるいは頻々として欠伸をする者はこれを血の道症というが,この方が良いとのべている。私もこれを神経症によく用いる。
〈漢方処方解説〉 矢数 道明先生
太陽の邪と少陽の邪とを兼ねたもので,表熱症状,心下部の緊張症状があもな目標である。太陽の症状は頭痛,頭重,関節痛,発熱,微悪寒,脈浮等であり,少陽の心下部を中心とした腹部の所見は,心下支結(みぞおちのところがつかえて堅くなる)臍傍あるいは下腹部等に腹筋の緊張や苦満や疼痛を訴え,直腹筋の緊張が強い。この心下部症状の場合は熱がなくてもよい。また多分に神経症状を目標にとることもある。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
運用 1. 発熱
「傷寒6,7日,発熱微悪寒,支節煩疼,微嘔,心下支結,外証未だ去らざるものは柴胡桂枝湯 之を主る」(傷寒論太陽下) 微悪寒,微嘔は薬の分量が減っているせいもあるが,同時に陽気が乏しくなっているからでもある。発熱微悪寒,支節煩疼は表証で,外証未だ除かざるものに該当する。支節の支は肢と同じで四肢のこと,節は関節,軽いから身体でなく支節に限られている。煩疼は煩が主で疼が従,煩は熱でわずらわしい感じ,疼は主として自覚的ないたみ。以上の症状は熱によって起ったものであり,熱の在る場所は表と心下である。微嘔と心下支結は共に心下の痰飲症状である。支結とは心下部が自覚的にも緊張感を訴え,他覚的にも緊張が認められることを云う。臨床的にはこ英自覚的緊張感は疼痛のこともあり,他覚的の緊張は肋骨弓下縁から直腹筋が臍近くまで緊張を増していることである。柴胡桂枝湯の証は表熱があり,心下に血熱と水とがある。表熱は裏気をして上衝させようとする。心下の水とは支結というのが痰飲性のものであり,柴胡桂枝湯が結胸の部類に偏入されているも英であり,且つ後に述べるように津液を通じる作用があることからも容易に考えられる。所が傷寒だと熱症状を主とするもので主と成て表の熱症状が著明に現れて来る。之に反して後条に述べる無熱性の腹痛では水血が主になってくる。この時は表証はなく専ら心下から腹中にかけての症状が現れている。この辺の消息をよく考えたら柴胡桂枝湯証の病理はつかめるであろう。「発汗多く,亡陽譫語する者は下すべからず。柴胡桂枝湯を与えてその栄衛を和して以て津液を通じ,後自ら愈ゆ」(傷寒論発汗後)はその病理を解く一つの鍵である。発汗すると表の水分が汗によって失われ,熱が奪われ,実している気は脱力され、虚していれば益虚に陥る。そうすると内の熱が動いて表の生理的な熱をカバーして行かなければならぬ。熱は単独には動かず,熱を動かすのは気である。そこで気も動かねばならなくなる。斯くして裏の熱と気が動くにつれて上衝の症状を伴うことがある。微嘔などはそれである。譫語もそれである。譫語は承気湯でも明らかな如く陽の症状で熱,実の場合に起る。譫語とか狂とかは血熱が頭の方に昇って行って起るが,譫語は中焦の熱,狂は下焦の血から起ることが多い。柴胡桂枝湯は心下支結というが如く中焦が中心で上焦にも波及する状態である。柴胡桂枝湯は表が虚している。そこへ熱が行ってもただ補うだけで過剰にならぬ限り病的症状は現れない。前に引用した条文も発熱微悪寒で寒より熱の方が優っているのは裏熱が表に行って亡陽をカバーするのと同じ状態であろう。熱は表に行くと同時に上の頭への昇って行く。頭は発汗剤を使った位だから陽気の熱が多かったと見なければならぬ。そこへ裏から熱が上って行ったので譫語を起したのであろう。熱は膀胱経に入れば狂となり,胃経に入れば譫語になる。水が減れば火が盛んになる。津液を亡すれば熱症状が強くなる。承気湯などの胃の実熱なら胃症状が著明だが,表虚亡陽では心下の症状は著明でなく反って虚している部分(今の場合は頭)の症状の方が著明になる。不可下とは譫語を起す承気湯証もあるから譫語なら下すものと思って承気湯などを使ってはいけないと戒めたもので,傷寒論の文章は実に行届いている。柴胡桂枝湯を与うというのは,必ずしも柴胡桂枝湯の絶対指示ではない。他の柴胡剤を見合せて使えということだ。だから場合によっては小柴胡湯も,柴胡去半夏加括呂湯も柴胡桂枝干姜湯も使う場合があるかも知れぬ。之から起して栄衛を和し,津液を通じるのは柴胡桂枝湯ばかりでなく他の柴胡剤にもその機序があることを含んでおいてよい。柴胡桂枝干姜湯などは正に亡陽である。傷寒論はこんな風にして他と引較べながらそのものを考え,応用の途を開いていくのである。
柴胡桂枝湯が栄衛を和すとはどういうことであろうか。之は処方の構成上主として桂枝湯が与る所である。桂枝湯の適応証に「病常に自汗出づるものはこれ栄気和すと為す。栄気和するものは外諧わず。衛気,栄気と共に諧和せざるを以ての故に爾り。栄は脉中を行り,衛は脉外を行るを以てその汗を発し,栄衛和するときは則ち愈ゆ」(太陽中)がそれである。栄衛は漢方の基本的な生理だが,栄はさかえる。栄養を運ぶの意,衛は脉外を流れる気の意だが,血管を指しているらしく,現代医学的に云えば血管運動神経,血管収縮神経,その血管自律神経などを指しているものらしい。之を衛生と概称している。栄衛と汗の関係は栄気が和していても衛生が不和だと汗が出る。「病人蔵に他病無く,時に発熱し,自汗出でて愈えざるものはこれ衛生の不和なり」(太陽中)も参考になる。つまり守る衛生が弱くなっていると血から水分の汗が漏れて来るというのだ。「其脉浮にして汗出づること流珠の如きものは衛気衰うるなり」(弁脉法)が是である。前述の衛気,栄気の不諧和と表現したのは衛気が衰え栄気が正常でアンバランスになっていると云うことである。栄衛の不調和を示す脉や症状は他に多くの例証があるが,今の場合は自汗出であって,この状態は柴胡桂枝湯の発汗後と共通しており,栄衛を調和することによって津液の循環を調整するのである。それは主として桂枝湯が与ることなので,柴胡桂枝湯に於ても亦津液を通じるということが言えるのである。柴胡桂枝湯の証はそればかりでなく津液を通ぜぬもう一つの要因がある。それは心下支結で表現されている所の変化であり,之は小柴胡湯の胸脇苦満の変形であることは誰しも気が付く所であろう。之は即ち胸膈部(部位からいうと胸,脇,心下になり内臓からいうと肺,肝,胃などが之に当たる。)に熱を滞び,気が実し,水が停滞している状態である。大小柴胡湯とか柴胡桂枝湯とかは此等の状態のそれぞれに度合の強弱こそあれ皆この状態を具えている。身体を上中下に分ければその中部がふさがっているから,上下の気の通じが悪くなる。それに伴って上下の津液のめぐりが悪くなる。それを通じるには中部のふさがりを取らねばならぬ。柴胡剤はそういう働きをする薬で殊に柴胡桂枝湯は栄衛を和す働きと相俟って上下の津液のめぐりを流通させる働きがある。津液を通じるとは之を云う。ひとり上下ばかりでなく,表裏に於ても亦津液の流通疎碍が起るし,それを通じるのも柴胡桂枝湯の役目である。(中略)
柴胡桂枝湯は下剤になる。但し通常の下剤の概念とは凡そ違ったもので,上下の津液がめぐらぬために便中の水分が不足し,便が硬くなって出にくいのを津液をめぐらすことによって便通を容易にするとの意味である。心下支結の症状があれば使う。肺結核で微熱がとれぬもの,内熱のために津液が不足し,津液が不足するから内熱がとれぬという悪循環を繰返していると見て柴胡桂枝湯でこの微熱が取れることがある。漢方はこういうふうに条文を聞み,生かし,運用して行くから一つのものが10にも20にも応用されるのであり,一見妙な使い方をしているようでも決して思付きや出鱈目でなく,理に合ったことをしているのである。それを胸脇苦満とか心下支結とかの症状だけにしがみ付いているから動きがと取れなくなるのだ。柴胡桂枝湯は条文通りの場合に使うことがあるのも勿論だが,その中の症状をうまく転がして使うことも頗る多い。例えば感冒が抜け切らずに微熱が続いているもの。四肢煩疼を主にして発熱心下支結するもの,発熱嘔吐心下部が支結するもの等々。また無熱の時でも構わない。例を挙げると,発熱を主にする場合。体温は高熱でも微熱でもよい。微悪寒も必発ではない。往来寒熱することもある。脉は浮細数,弦細,寸口尺小緊など症状に応じて現われ方が違う。食欲不振,軽咳,頭痛,関節筋痛,心下部の重苦しい感成;,心下部が全体に緊張し或は直腹筋が特に緊張し,或は肋骨弓下が僅かに緊張するなど度合は様々だが,大部分のものに心下症状が見られる。感冒,流感,中耳炎,その他凡ての急性発熱性の病気で前記症状のあるもの。肺結核,肋膜炎で発熱,或は微熱,自汗,軽咳,軽い胸痛などあり,心下部症状を伴うもの。
マラリヤ,初期に寒熱往来して心下部に緊張あるもの。慢性でも脉,腹証を参照して使うことがある。小柴胡湯との鑑別は本方には表証があるか心下部の所見が軽いか,若くは心下部の緊張が一見した所では強そうに見えるが薄く浅く緊張していて深く根を張っていない。亡津液があるかなどで見当がつく。柴胡桂枝干姜湯との区別は,柴胡桂枝干姜湯には表証がなく,上衝が主で,口渇,頭汗,腹動などがあるからそれに目をつける。心下部の緊張は強ければ柴胡桂枝湯だと直ぐに判るが,弱いときには両者全く同じことがあって区別が付きかねる。その時は他の症状で区別して行くより外はない。
運用 2. 腹痛
金匱要略の寒疝に「心腹卒中するものを治す」という。外台には寒疝腹中痛むものとなっている。心腹とは心臓と腹という意味ではなく,概して心下部ということだ。卒中痛は卒かに中り痛むで宣通発作の意。 寒疝は腹が冷えて痛むものでその部位は不定である。柴胡桂枝湯の腹痛は概して心下部,或は臍部,稀には側腹部に起る。之は心下支結の応用であって,心下部全体がピンと緊張していることもあり,直腹筋だけが目立って緊張していることもある。胃酸過多症,胃カタル,胃潰瘍,胃痙攣,腹石症,胆嚢炎などで発熱の有無に拘らず,心下部の緊張感,圧重感,病痛,劇痛を発し,同部が緊張しているもの,或は呑酸嘈囃,或は嘔吐,或は黄疸等を伴うこと社悪現乗:急性虫垂炎の初期に胃部疼痛,嘔吐するもの,急性大腸炎で少し発熱悪寒が残り,腹痛下痢するもの,或は荏苒として左下腹部の不快感が去らず圧痛あり,便通渋り粘液止まぬもの,肋間神経痛で前胸部又は側胸部に痛みを訴え,発熱心下支結の候あるもの。
運用 3. 神経症状
小柴胡湯を癇とし,桂枝湯を上衝とすると柴胡桂枝湯は興奮性の神経症状が強いものに使うことが判る。条文の譫語は極端な場合だが,そこまで行かずに,癇,神経質,神経症,ヒステリーなどと呼ばれるものに使うことが屢ある。「婦人故なく憎寒壮熱,頭痛眩暈,心下支結,嘔吐悪心,支体酸輭或は麻痺,鬱々として人に対するをにくみ,或は頻々として欠伸するもの。俗にこれを血の道と謂う。此方に宜し」(類聚方広義)もよい参考になる。矢数道明氏は神経が亢ぶり身体中を掻き皮膚紋画症あるものに著効を奏した経験を発表しておられる。痒みを亡陽煩躁と見たものである。柴胡剤や瀉心剤と鑑別を要する。脉や腹証では鑑別困難なことがあるから多くは症状で区別する。
〈蕉窓方意解〉 和田 東郭先生
これまた小柴胡湯と桂枝湯を合したる方なり。故にその腹候は,小柴胡湯の腹候にして,鳩尾にしかとしたる凝りありて,任脈通りに凝り強きものと知るべし,すでに任脈に凝り強くなりて邪気その凝りに引きしめられるゆえ,その熱の位は小柴胡湯よりは,また一等上わざめしたるようにみえて,実は底に根づよき熱とは格別軽きものなり。故に本論に傷寒6,7日と説けり。6,7日とは熱の位は小柴胡湯よりすこし強きをいうなり。されども任脈の凝りにしめつけるゆえ,上わべにうく熱は,少なき意ゆえに,本論に,熱微悪寒と説けり。(やはり微の字を発熱もかけてみるべし,本論において外にもこの文例あり) 姜桂湯は心下に飲を蓄うるゆえ,心下の結聚底に沈み腹表は,飲ばかりなるゆえ微結といえり,この症は飲少なく心下の痞鞕表に浮かみやすき形なり。故に本論に心下支結と説けり,すなわちこの心下を桂枝,芍薬にて柔らぐるなり,支節煩疼とは鳩尾に引きしむること強きゆえ,四肢の関節に気めぐらす。かつ初め桂枝表症の時分,汗解たらず,かれこれするうちに柴胡の症に移り,もはや汗も止みて出でざるゆえ,最初よりの邪熱水飲関節の間に滞るなり,故に本論に支節煩疼と説けり,外証とは最初よりの桂枝の位の外症なり,これをもって,これを観ずれば桂枝湯を合方したるは鳩尾より任脈をゆるむるためにして,また関までも桂枝にて表散することにもあるべし。 (この症,汗止むようになるは鳩尾にしまり強くなるゆえなり。桂芍を組みては,ぜひとも,心下鳩尾にかかるなり,この方,表と裏とを兼ざるとは自然の具合いにてあらかじめいいがたし。)
〈医療引手草〉 加藤 謙斎先生
古方ノ柴桂湯ハ調和ノ剤ニシテ感冒時ノ後余熱アリ,或ハ身ダルク少シ頭痛又悪寒ナドアルニ用ルナリ。少シ小便濁リ口中粘リナドスルヲ目当トスベシ,又婦人諸病ニ用テヨシ。此方瘀血ヲメグラス意アリ。婦人腰痛ニハ大黄ヲ加ヘテ用ル尤モヨシ。或ハドコニテモ痛ムコトニ用テ効アリ。
〈古方節義〉
此方ハ表裏ヲ和スル剤タルニヨッテ感冒傷寒ノ後調理ノ剤トナスベシ。其外瘧痢,産後,積聚疝気ノ類悪寒発熱アル者ニスベテ用ユベシ。又婦人瘀血血滞ニ因テ種々ノ證ヲナスモノ必ズ用ユベシ甚ダ効アリ。此證多クハ大便秘結スルモノナリ。或ハ耳鳴手足麻痺疼痛ヲナスコトアリ。此湯ヲ宜トス。尤モ何レモ大黄ヲ加フベシ。
大抵外感発熱頭痛熱強ク少シニテモ身ダルキ気味アルニ先此方ヲ用テ発散スルナリ。
柴胡湯和解ノ薬,桂枝湯栄衛ヲ和スル,此二ツヲ合シタル意ニテ用ベシ。故ニ気血ヲメグラシ和スル良剤ナリ。又婦人ノ病ハ多クハ気滞ニ瘀血ヲ兼ルモノナリ。肩背痛ミ,腰痛ミ,或ハ足痛ミ或ハ腹左ノ方ニ動悸アリ,或ハ積聚アルノ証スベテ柴桂湯ヲ用ユベシ。此柴桂湯ハ何病ニモ意ヲ以テ用カタ多シ。産時ノ血ブルヒナドニ竜王湯フリダシ薬ノ類ニテ効ナキニ此方即効アリ。尤モ瘀血ツヨキニハ大黄ヲ加ルナリ。
『漢方医学十講』 細野史郎著 創元社刊
柴胡桂枝湯
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
〔傷寒論〕 | 〔細野常用一回量〕 | ||
柴胡(さいこ) | Bupleuri Radix | 四両 |
2.5g
|
黄芩(おうごん) | Scutellariae Radix | 一両半 |
1.5g
|
半夏(はんげ) | Pinelliae Tuber | 二合半、洗う |
2.7g
|
人参(にんじん) | Ginseng Radix | 一両半 |
0.7g
|
甘草(かんぞう) | Glycyrrhizae Radix | 一両、炙る |
0.3g
|
芍薬(しゃくやく) | Paeoniae Radix | 一両半 |
3.0g
|
桂枝(けいし) | Cinnamomi Cortex | 一両半、皮を去る |
2.4g
|
大棗(たいそう) | Zizyphi Fructus | 六枚、擘く |
5.0g
|
生姜(しょうきょう) | Zingiberis Rhizoma | 一両半、切る |
6.5g
|
右九味。以水七升。煮取三升。去滓温服一升。本云人参湯。作如桂枝法。加半夏柴胡黄芩。
本方は柴桂湯(さいけいとう)と略称され、小柴胡湯と桂枝湯の合方で、小柴胡湯の薬味に桂枝と芍薬を加えたものである。だから単に薬方の構成上から見ても、 桂枝湯の太陽病証と小柴胡湯の少陽病証との混在したものに用いるものと考えられる。つまり少陽病の時期となり、その病状が具(そな)わりながら、なお桂枝 湯を用いるべき表証が残っていて、前述の『傷寒論』の条文のような状態となり、また少陽病で頭痛や悪風が止まず、自汗も止まないような状態に用いるのであ る。
さらに『傷寒論』中、本方に関する条文を拾ってみると、
「発汗多。亡陽讝語者。不可下。與柴胡桂枝湯。和其栄衛。以通津液。後自癒。」
(発汗すること多く、亡陽讝語するものは下すべらかず。柴胡桂枝湯を与え、その栄衛を和し、以て津液を通ぜば、後自ら癒ゆ。)
とある。
このように譫語するものはすでに陽明病の症状であるが、この場合の讝語は胃実によるものではなく、虚弱な人が発汗過多のために亡陽を来たし、その結果起 こったもので、亡陽を救うことが急務であって、胃実と考えて決して攻下してはならない。陽気を補う桂枝湯に和剤である小柴胡湯を合わせた柴胡桂枝湯を用い るとよいのである。
このほか『金匱要略』にも付方として、
「外台柴胡桂枝湯方。治心腹卒中痛者。」(外台の柴胡桂枝湯の方は、心腹卒中痛する者を治す。)
とあるとおり、本方は腹痛の治療薬方ともなり得る。
さらに、これら『傷寒論』『金匱要略』に述べられている使い方をおしひろめて、急性・慢性の種々の病気にも応用することができる。
まず、カゼのこじれたものに甚だよく効くことは『傷寒論』の教えるとおりであるが、自汗の出やすい感冒では、すぐ後に来るであろう少陽病の治療をも含め て、予防的に初発より用いることもある。したがって吉益東洞の時代に、流感の新しい治療薬と世に唱えられ、後世方家の間でも賞用されたものである。
私は、背筋の微悪寒がいつまでもとれず、ぞくぞくするものには、本方に黄連の極く少量(〇・一g)を加えて用いる。
なお、太陽・少陽の併病でも実証に傾くものには、私は、小柴胡湯に葛根湯を合わせて柴葛湯(さいかつとう)と略称して、よく用いている。この柴葛湯から人 参・大棗を去り石膏を加えたものに、浅田家方の柴葛解肌湯(さいかつげきとう)という薬方がある。主治は太陽・少陽の合病を治すとなっているが、きわめて 良い薬方で、「大正八、九年に全国的にひろがった流感のときに沢山の死亡者が出たが、自分はこの薬方だけで悪性の肺炎に追い込むこともなく、死亡者を出す こともなかった」と恩師新妻荘五郎先生から聞いたことがある。
柴胡桂枝湯の適応症
〔1〕呼吸器系
肺結核、胸膜炎で、微熱、自汗などがあり,表虚を伴っている場合に用いる。ただし、柴胡桂枝乾姜湯証の”裏の虚”にまで陥っていないもので、しばしば軽い 関節痛を伴うことが、本方を決める手がかりとなることがある。しかし、前述のように、感冒薬として用いる場合が一番多いであろう。
〔2〕消化器系
本方は小柴胡湯加芍薬の意もあり、小柴胡湯方後にあるように、腹中痛を治すことにもなり、種々の腹痛を伴う腹部疾患に用いる。『金匱要略』の腹満寒疝宿食 病篇に「心腹卒中痛を治す」とあり、『外台秘要』には「寒疝腹痛のもの」とあることも、拠りどころである。本方を用いる腹痛は、上腹部、臍部、側腹部など のこともあるが、心下支結を目標として与える。もちろん胸脇苦満証はほとんど全例に確認される。
胃酸快多のある胃炎、胃・十二指腸潰瘍に、本方に牡蛎を加えて、胸やけや上腹痛を止め、胃痙攣はもとよ胆石症、胆嚢炎などでも、発熱の有無にかかわらず、応用される。
胆石症では、胆石疝痛の特効薬とも言われよく用いられる大柴胡湯ほどではないが、体力が落ちてきて、それほど強く治い発作が頻々と起こるような場合には、本方の適することが多い。
また、腹膜炎、急性虫垂炎の初期または軽症のものに用いられる。その場合、茴香または大黄を加えることが多い。
急性大腸炎の腹痛、下痢するもの、あるいは常に左下腹部に不快感、圧痛があり、大便がしぶって快痛せず粘液を混じたりするものにも、本方を応用することがある。
〔3〕神経症状
小柴胡湯の適応症状に神経症状のあることはすでに述べたが、本方は、桂枝を含み、上衝をともなう神経症状を治すのをよく経験する。なおノイローゼやヒステリーの状態にも用いられる。
〔4〕血の道症
本方は第一講で述べた逍遙散の実証性のものと考えられ、血の道症、子宮附属器炎、卵管炎などにも用いられる。また腰痛には蒼朮や茴香を加えて用いることがある。
尾台陽動は『類聚方広義』において、「婦人。無故憎寒。壮熱。頭痛。眩暈。心下支結。嘔吐悪心。支体酸軟。或痺。鬱々悪対人。或頻々欠伸者。俗謂之血道。 宜此方……。」(婦人、故なく憎寒し、壮熱あり、頭痛眩暈、心下支結、嘔吐悪心、支体酸軟(四肢が痛痛み、力が入らなくなる)し、或いは痺(くんぴ)(麻 痺)し、鬱々として人に対するを悪み、或は頻々欠伸する者は、俗に之を血の道と謂う。此の方に宜し。……」と言っている。
柴胡桂枝湯の症例
〔症例1〕女子、二十二歳。
〔既 往症〕幼時より腸が弱く、疫痢、赤痢にかかり、また肺炎にも三回かかった。十五歳のとき、呼吸困難、心悸亢進を来たし、レ線で診た結果、心肥大と言われ、 同時に諸関節が腫れたと言う(リウマチ性のものであったと想像される)。四年前より疲れやすくなり、医師より肝腫大と診断され、次第に右側胸部に疼痛を来 たし、その程度と回数を増し、さらに右背中、肩にも痛みが放散するようになり、昨年病院で手術を受けたところ、胆嚢に膿がたまっていた。手術後二ヵ月ほど はよかったが、その後、再び疼痛を来たし、立っているのが辛く、立っていると右側胸部、背中がつまってくる。毎日この鈍痛はあるが、二~三週間に一回くら いは疝痛発作が起こってくる。最近一ヵ月ほどは三七・五~三八度の発熱が続いている。
〔現症〕食欲不振、少し食べるといやになり、それ以 上無理に食べるとムカムカしてくる。腹には膨満感があり、ことに暁方になるとガスがたまり、腹が張ってくる。便通は五~七日に一度、それも下剤をかけて やっと出る。尿は、約二ヵ月前に頻尿で膀胱炎と言われたことがあるが、一日二~三回で出にくい。寝つき、睡眠も悪く、目がさめやすく、びっくりして目を開 くこともある。常に頭痛があり、顔が赤く熱くなり、目がかすむ。いわゆる冷えのぼせがあり、立ちくらみ、動悸もあり、寝汗がときどき出る。手足は冷え、冬 は背柱のあたりに寒気を感じ、関節痛が起きることもある。
一見栄養の良い、いわゆる水ぶとりで、食べる量は少ないのに一向に痩せることはない。諸種多彩な症状から言っても、水毒で、アレルギー性体質でもある。
身長は中ぐらい、よく太っていて、皮膚は白く、頬は赤い。顔は腫れぼったく、舌は白苔があり、爪は非常に軟らかく爪半月はない。脈は弦小軟で、按ずると凹んだ感じがして、右関上の脈は特に弱い。尿ウロビリノーゲン反応(+)のほかには尿所見はない。
レ線透視検査をすると、胃粘膜は荒れ、やや肥厚している感じ、緊張はよく、牛角型で、幽門は固く閉じ、通過困難の様子。十二指腸部は強く変形していて、三 時間後になお胃の中にバリウムが残り、小腸部には散在した腸炎の像がある。六時間後もなお十二指象部には造影剤が残っていた。
この患者はそれほど実証でなく、また腹候は、手術瘡のある右季肋部にはそれほど抵抗を認めず、
※諧和(かいわ;かいか)
(1)やわらいで親しみあうこと。協調。
(2)音・調子などがよく整うこと。
※爾り:しかり(然り)
※柴胡桂枝湯は条文通りの場合に使うことがあるのも勿論だが,その中の症状をうまく転がして使うことも頗る多い。→ いわゆる転用(てんよう)のこと。
※荏苒(じんぜん):なすことのないまま歳月が過ぎるさま。また、物事が延び延びになるさま。
※支体酸輭:だるく痛
※姜桂湯=柴胡姜桂湯=柴胡桂枝乾姜湯=柴胡桂枝干姜湯
【一般用漢方製剤承認基準】
柴胡桂枝湯
〔成分・分量〕
柴胡4-5、半夏4、桂皮1.5-2.5、芍薬1.5-2.5、黄芩1.5-2、人参1.5-2、大棗1.5-2、甘草1-1.5、生姜1(ヒネショウガを使用する場合2)
〔用法・用量〕
湯
〔効能・効果〕
体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・はきけなどのあるものの次の諸症:
胃腸炎、かぜの中期から後期の症状
【添付文書等に記載すべき事項】
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(5)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
関係部位 | 症状 |
皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
その他 | 頻尿、排尿痛、血尿、残尿感 |
まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
関係部位 | 症状 |
皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
その他 | 頻尿、排尿痛、血尿、残尿感 |
〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3.1ヵ月位(かぜの中期から後期の症状の場合には1週間位)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
4.長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載すること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」をしてはいけないことに記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくてもよい。〕
【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(5)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g
254
以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔2.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には2´.を記載すること。〕
3.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
4.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕