1.饂飩粉(うどんこ)と酒
打ってから三十分以内に、
饂飩粉(うどんこ)(メリケン粉)盃(さかずき)一杯(いっぱい)を、
酒盃一杯でどろどろに溶いてすぐに飲む。
酒はよく薬を廻(めぐ)らすものなので、欝血(うっけつ)を去ると思われる。
捻挫(ねんざ)にも効く。
2.梔子(くちなし)と蕃椒(とうがらし)
蕃椒(とうがらし)粉少々か、赤蕃椒ならば約二本を粉にして、梔子(くちなし)粉大匙三杯(おおさじさんばい)と混ぜ、卵白(しろみ)で、どろっとするくらいに煉(ね)ります。
これを患部にたっぷり塗り、
油紙(ゆし)か生紙(きがみ)を当てて繃帯(ほうたい)をしておき、
熱を除(と)って、からからになったら取り替える。
3.梔子(くちなし)と蕎麦(そば)粉
梔子粉(くちなしこ)茶匙(ちゃさじ)二杯に、卵白(しろみ)一個分を入れ、
固すぎぬように、蕎麦(そば)粉(なければ饂飩粉(うどんこ))少々を混ぜて
生紙に延べ、患部に貼る。
4.黄檗(きはだ)粉と饂飩粉(うどんこ)
黄檗(きはだ、黄柏)粉茶匙一杯と卵白半個分、饂飩粉茶匙一杯、
それに酢 五六滴を混ぜてどろどろに煉り、
半紙に塗って貼る。
挫いたのにもよろしい。
5.卸し黒芋(おろしさといも)
里芋(さといも)の皮を剥(む)いて卸金(おろしがね)で卸し、
とろとろになったものに、
饂飩粉(うどんこ)をつなぎに入れてねっとりさせる。
これを二分(にぶ;約6mm)くらいの厚みに患部に塗り、
ガーゼか日本紙を当てて繃帯(ほうたい)をし、
熱を除って硬ばってきたら取り替える。
捻挫(ねんざ)や火傷(やけど)に特効有り。
大きな「おでき」に貼ったところ、
蜂の巣のように沢山口が開き、膿(うみ)が出て
痕方(あとかた)もなく治ったという例もある。
6.蓬(よもぎ)の貼薬
蓬(よもぎ、艾)を洗って擂木(すりこぎ)でとんとん叩き、
これをそのまま当てて繃帯(ほうたい)しておき、
からからになったら取り替える。
7.接骨木の煎汁(にわとこのせんじゅう)
接骨木の枝や葉を一緒にして濃く煎じ出し、
これで患部をぴしゃぴしゃたでる(蒸す)ようにすると、
温まるにつれて痛みが薄らぎ、欝血(うっけつ)を去ります。
またこれで風呂を立て温まるのも奇効がある。
8.玉蜀黍(とうもろこし)
玉蜀黍(とうもろこし)を焼いて実をこそげ、
布巾(ふきん)に包んで金槌(かなづち)で叩くと、
粉々になる。
これに御飯粒(ごはんつぶ)を少し入れて
そくひのように煉り、
なお、酒か酢を少量入れてどろどろにしたのを、
打身の箇所にはって、
乾く度に貼り替える。
※そくひは漢字で書けば、“続飯”。米粒を練って作った糊のこと
9.大黄の粉末(だいおうのふんまつ)
大黄(だいおう)の粉末を童尿(乳児の小便)で糊(のり)より軟らかいくらいに溶いて塗り、
油紙を当てて繃帯(ほうたい)をしておく。
童尿は、有効成分を色々と含んでいて、昔から珍重されている。
10.生姜(しょうが)の汁と葛粉
古生姜(ひねしょうが)の搾り汁(しぼりじる)を酒と等分にしたものに、
葛粉(くずこ)をべとべとになるくらいに入れて煉り混ぜ、
打ち身の所へ貼り付ける。