健康情報: ドリンク剤の違い(医薬品・医薬部外品・清涼飲料水)

2009年2月16日月曜日

ドリンク剤の違い(医薬品・医薬部外品・清涼飲料水)

「リポビタンDとオロナミンCの法律的な違いは?」と聞かれて、即答できる方は少ないと思います。
どちらも、ドラッグストアやコンビニなどのストッカーに並べられて、特に大きな違いがあるようには思えません。
しかし、実はリポビタンDとオロナミンCには大きな違いがあります。
リポビタンDは薬事法で規定される医薬部外品で、オロナミンCは、食品衛生法で規定される清涼飲料水だからです。
更にややこしいことに、リポビタンDはもともと医薬品だったのですが、規制緩和の流れで、99年より、医薬部外品に移行しました。同じリポビタンと名が付くものの、リポビタンD PROやリポビタンDIIαは医薬品ですので、ますます混乱します。

簡単にまとめると、
清涼飲料水:食品の一種です。食品に配合できるものしか、配合できません(専ら『医』成分不可)。
また、効能・効果や用法・用量も表現できません。
ただし、栄養機能食品として適合すれば、ビタミン、ミネラル類についての効果の表現可能です。

医薬部外品:1999年の4月より、従来医薬品であったもののうち、成分や効能・効果が適合するものが部外品へと移行し、
これにより、コンビニやスーパー等での販売が自由になりました。
効能・効果や用法・用量は医薬品と同じです。
動物性の生薬は使用できないなど、配合できる成分・量に医薬品より制限があります。
新規に承認・許可を得るには時間と費用がかかります。

医 薬 品:販売業の許可のある所(薬局・薬店)でないと、販売できません。
また、医薬品として前例のない成分(コブラ、サソリ等)は、原則として配合できません。
新規に承認・許可を得るには時間と費用がかかります。

簡単にまとめたものが次の表です。

主に関係する法律

表示

効能・効果

用法・用量

工場の許可

製造品目毎の承認

販売の許可

自動販売機

清涼飲料水 食品衛生法 清涼飲料水の文字

×

×


(食品衛生法)

不要

不要

医薬部外品 薬事法 医薬部外品の文字


(薬事法)

不要

医薬品 薬事法 医薬品の文字


(薬事法)


(薬局・薬店のみ)

×

いわゆる強壮剤として用いられる、医薬品と医薬部外品のドリンクの効能・効果は基本的に同じものです。これは、先に書きましたとおり、以前は医薬品であったものの一部が、医薬部外品に移行した際、効能・効果はそのまま医薬品のものを用いたからです。医薬部外品となっていますが、販売されるまでの扱いは基本的に医薬品とほぼ同じで、医薬品と医薬部外品の両方を作っている所が多いようです。

 

ビタミン類

朝鮮人参

ローヤルゼリー

ニンニク

ムイラプアマ注2

海狗腎

マムシ

海馬

コブラ

サソリ

清涼飲料水

×

×

医薬部外品

×

×

×

×

×

医薬品

×注1

×注1

注1 コブラやサソリは、毒性試験や臨床データ等を取れば可能かもしれませんが、前例がないので、現時点では医薬品や医薬部外品に配合できません。
注2 ムイラプアマの根は『医』、茎葉は『食』に該当します。単にムイラプアマと表示すると、『医』とみなされ、清涼飲料水には配合できません。

 

上記の表のように、医薬品・医薬部外品・清涼飲料水の、いずれにも使える成分があり、清涼飲料水と医薬品・医薬部外品との違いはますますややこしくなります。

例えば、ビタミン類と朝鮮人参(高麗人参)、ローヤルゼリー、マムシ、海馬(カイバ(タツノオトシゴ))を配合したドリンクは、清涼飲料水でも、医薬品でも製造可能です。(医薬品は、承認・許可を取れたことが前提) では、どのように違ってくるのでしょうか?

まず、成分の配合量については、医薬品は表示の義務がありますが、清涼飲料水については書く必要はありません。原材料名の表示だけです。極端な話、100Lの中に一滴だけ入れたようなものでも、配合成分として書くことは可能です。医薬品の場合は、基本的に前例の範囲内で配合することになりますので、極端に少ない量は配合することができません。

ただ、この「医薬品は前例の範囲内」ということは、上限も決まってしまいます。前例を越えて配合しようとす場合、なぜ前例を越えなければならないのかという根拠が必要となり、臨床データ等が必要となり、開発に多額の費用と時間が必要となりますので、実際には無理です。これに対し、清涼飲料水の場合は、特に基準は設けられていませんので、医薬品よりも多く配合することも可能です。(ドリンクとしては溶解度の問題がありますので、ある程度の制限はでてきますが……)

なお、清涼飲料水を栄養機能食品とした場合は、ビタミン等には当然ながら栄養機能食品としての上限・下限がありますので、栄養機能表示したビタミンについては、それに従う必要はあります。

また同じ原料が仮に同じ量配合されていたとしても、全く同じとは限りません。医薬品として用いる原料には、成分の含量などの厳しい規格基準がありますが、清涼飲料水に用いられるものは、食品として安全か否かが重要なので、成分の規格が無い、あるいは劣るものが使われていることがあります。生薬(しょうやく)は、産地や採取時期などによって成分が異なりますので、効能にも違いが出ます。それを均一にする為のものが医薬品としての規格です。ただ、医薬品としての規格が生薬(しょうやく)としての良否とは直結しない場合もありますので、必ずしも清涼飲料水に用いられている原料が、悪いと決めつけることはできません。とはいえ、医薬品に使われる原料の方が管理がて厳しいことが多いので、安心感があります。

簡単にまとめますと、医薬品・医薬部外品は管理が厳しいので、一定の水準以上である安心感がありますが、清涼飲料水になると、ピンからキリまであり、いいものもあるかもしれないが、ほとんど成分が含まれていないようなものがある可能性もあり、判断が難しいといえます。