健康情報: 三七人参について(別名:田七人参)

2008年12月6日土曜日

三七人参について(別名:田七人参)


1.三七人参

1)名称について

 サンシチには、三七(さんしち)、田七(でんしち)、田三七(でんさんしち)、山(さん)漆(しつ)、金不換(きんふかん)、人参三七(にんじんさんしち)、参三七(じんさんしち)と、各種の呼び名があります。

 三七の名称の由来については、葉が左に三枚、右に四枚あるから名付けたと言う説、栽培が容易ではなく、播種後三年から七年かかって採取できるので名付けられたという説、また、三椏七葉から名が付いたという説があります。また、後述の山漆のと音が同じであるので、山漆が転じたという説もあります。

 田七、 田三七の由来については、かつて産地が広西省田陽田東の地であったから名付けられたものといわれています。また、現在多く田野に植えられているから田七という俗説もあります。

 山漆の由来については、漆のように傷口をしっかりと癒合することから、名付けられたといわれています。また、先に述べましたとおり、この山漆の発音が、中国語ではsanqi(サンチー)となり、三七と同じ発音となることから、これが転じて三七になったとも言われています。

 金不換の由来は、お金にかえることのできない貴重なものとの意からきていると言われています。

 人参三七、参三七の由来は、その植物形態が人参(オタネニンジン)に似ていることから、名付けられたと言われています。

 

2)三七の基原について

 三七と称する生薬は、本草綱目及び本草綱目拾遺に収載されている重要な漢薬の一つであり、前記の様な各種の呼び名があります。

 基原的にみるとウコギ科のPanax属を中心とするものと、キク科のGynura属を中心とするものの二系統に大別することができますが、現在三七と呼ばれるものは通常ウコギ科のPanax属を基原とするものです。原植物としては別表1、2に示すとおり、次のものが記載されており、この中には同種異名のものが見られます。

 

 1. Panax pseudo­ginseng WALLICH

 2. Panax notoginseng (Burk.) F. H. CHEN

 3. Panax sanchi Hoo

 4. Panax ginseng C. A. MEYER form.notoginseng (BURKILL) CHAO et SHIN.

 5. Panax notoginseng BIRKILLl

   (Panax ginseng L. f. notoginseng CHAO et SHIN )

 6. Panax pseudo­ginseng WALL.var.notoginseng (BURK.) Hoo et TSENG

以上のように、文献にあらわれる三七の学名は、混乱がみられますが、

1975年の雲南植物研究所による「人参属植物のトリテルペン成分と分類系統、地理分布の関係」(植物分類学報、13巻第2期 P.29~45)により、人参属の三七は、Panax notoginseng (BURK.) F. H. CHEN  であると発表され、従来の各種文献にみられる三七の基原について整理されました。 

 同誌の41項には、次の記載がありますので、参考までに記します。

1.三七(雲南);田七(広西);山漆,金不換(本草綱目);人参三七(本草綱目拾遺);参三七(中国薬用植物誌)(図版6,図1,3)

Panax notoginseng (Burk.) F. H. CHEN

=Aralia quinquefolia (L.) DECNE. et PLANCH. var. notoginseng BURK.

=Panax pseudoginseng auct. non WALL.

=Aralia quinquefolia var. notoginseng BURK.

=Panax sanchi Hoo

=Panaxpseudo­ginseng WALL.var.notoginseng (BURK.) Hoo et TSENG 

 

 以上述べましたとおり、三七の学名は、以前はPanax pseudo­ginseng が繁用されていましたが、先の資料や難波恒雄らの報告「生薬の品質評価に対する基礎研究(第3報)、人参および類縁生薬の化学的ならびに生化学的品質評価について」(薬誌、94(2),252 (1974))により、植物の地理分布を考慮して、分類上、Panax notoginseng (Burk.) F. H.

CHEN に統一すべきであるとされています。

 

3)三七の成分について

 三七はウコギ科のパナックス属の植物の根であるので、同属の人参(オタネニンジン)と同様なサポニンを含有しています。

 植物分類学報13(2),p29~45(雲南植物研究所の人参属植物のトリテルペン成分と分類系統、地理分布の関係)の中の33項表2人参属植物の粗サポニンと粗サポゲニンの含量に、三七Panax notoginseng 、産地雲南省昆明、分析部位全根、エタノール抽出物21.35%、粗サポニン10.86%、粗サポゲニン6.06%となっています。

 また、人参属植物サポゲニン中で既に知られているトリテルペン類成分の組成表では、panaxadiolとpanaxatriolが最多で、oleanolic acidは検出されずとしております。

 日本における研究では、柴田ら(薬誌85(8),753~755(1965))の「薬用人参および類縁生薬のサポニンならびにサポゲニンについて」の研究の中で、「人参三七(香港市場品)のサポニンは白参のそれに類似するが、Roに相当するサポニンはほとんどなく、Rcに相当するサポニンの相対含量は白参に比し低い。総サポニンを加水分解するとpanaxadiolとpanaxatriolとが得られるがoleanolic acidはほとんど検出されない。」とあるのは、先の雲南植物研究所の三七のものと一致しています。

 また、難波ら(薬誌94(2),252(1974))の「生薬の品質評価に関する基礎研究(第3報)、人参および類縁生薬の化学的ならびに生化学的品質評価について」や真田ら(生薬32(2),96~99(1978))の「薬用人参及び関連生薬サポニンの比較研究(第1報)」においても同様の報告がみられます。

 

 以上を総合しますと、「三七は、人参に類似したサポニン配糖体約3~7%を含み、その主成分はginsenoside Rb2,Rg1,Rg2であり、その他少量のginsenoside Ra,e,dを含み、Roはないか、あるいはあっても極めて微量である。また、精油成分として人参と同様にpanaxynol,sitosterolを含む。」となります。

 

 

4)三七の効能・効果について

内服として、止血や滋養強壮等に、また、外用として外傷の止血に利用されています。

 また、『本草綱目拾遺』には、「人参補気第一、三七補血第一、味同而功亦同(人参は気を補うのを主とし、三七は血を補うのを主とするが、味は同じで効能もまた等しい)との記載があり、三七は人参に近い薬効をもつことがわかります。これに関連して、大量出血等に応用する独参湯(人参単味)と三七の効能の類似点を難波氏は『原色和漢薬図鑑(上)』(株式会社保育社刊、p8)で指摘しています。

 

 三七に薬効があることは、食薬区分において、昭和46年の制定当時は1-aであり、昭和62年の改正で1-b成分に指定が変更されたことからも明らかです。

 「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号、改正 昭和58年4月1日 薬発第273号、昭和62年9月22日 薬発第827号、平成2年11月22日 薬発第1179号)の食薬区分表において、三七は、ビタミン、ミネラルやオタネニンジン等と同様に、(1)その成分本質が医薬品として使用される物(b)主として医薬品として使用されるもの-として、いわゆる1-b成分に分類されています。この1-b成分についての医薬品とみなす範囲は、

 A医薬品的な効能効果を標榜するもの 

 B形状及び用法用量が医薬品的であるもの。

  なお、形状が明らかに医薬品的とみなされる場合は、用法用量にかかわらず、医薬品の範囲とする。

となっています。

 「主として医薬品に使用される」となっていることから、三七も当然薬効も期待されます。(現在は、食薬区分の分類方法は、『医』と『食』の二つに変更され、三七は『食』に分類されています。)

 

三七の薬理作用については、報告は少ないのですが、『中薬大事典』では、次の記載があります。

 

1.止血作用 三七はin vitroでは凝血作用はないが、麻酔したイヌに三七粉を経口投与すると、頚動脈からの出血凝血時間が短縮される。もし、あらかじめ門脈を結紮しておくと、上述の作用は消失する。したがってその体内止血作用と肝臓は関係があると推測される。さらにプロトロンビン時簡を短縮する。中国国外では早くから三七根の温浸剤がウサギの凝血時間を短縮できる点に関する報告がされている。三七中に含まれるアラサポニンA・Bはともに溶血作用があるが、比較的緩慢である。

2.循環系に対する作用 麻酔して胸部を開いたイヌの冠状静脈洞にカニューレを挿入し、三七の抽出液を静脈注射すると、冠状動脈血流量が明らかに増加し、下垂体後葉ホルモンの作用に拮抗する。同時に心筋の酸素消費量も減少する。その有効成分はフラボノイド配糖体であって、アルカロイドではないと思われる。抽出液は麻酔したイヌに静脈注射すると、明瞭迅速で、持続時間の比較的長い高圧作用を起こすが、心拍数に対しては顕著な変化はない。 アルコール浸剤にも高圧作用があるが、アラサポニンにはない。五加A素(恐らくアラサポニン)はカエルの摘出心臓に対し強心作用がある。あひるの下肢の血管に対し、低濃度なら収縮作用があり、高濃度なら拡張作用があるが、作用は短時間で、その性質は直接血管壁に作用する。三七のアルコール抽出物はウサギに対し顕著な持続性の降圧作用があり、カエルの摘出心臓を興奮させる。浸剤をマウスに皮下注射すると、毛細血管の透過性を低下させ、毛細血管の抵抗力を高める。

3.その他の作用 ニューカッスル病ウィルスに対し抑制作用があり、感染後の鶏胎児の生命を12~22時間延ばすことができる。皮膚真菌に対し、in vitro(1:3)でなんらかの抑制作用があるといわれている。五加A素はイヌに対して利尿作用がある。50mg/kgを静脈注射すると利尿作用は極めて明瞭となり、もし薬量を75mg/kgに増加すると、さらに顕著になって、正常泌尿量の5倍以上に及ぶ。

 

 2.を要約すると「冠状動脈血流を増加させ、心筋の酸素消費量を減少させる」となりますが、このことから、強壮保健薬として利用されることの裏付けになると考えられます。

 また、久保道徳らは、『三七の実験的DICに対する作用』(薬学雑誌、104(7) 757-762 (1984))で、三七の駆?血作用に注目し、血液の凝固-線溶系に対する作用を検討し、ラットへのエンドトキシン静注による肝臓の出血性壊死に対して、有意に抑制する作用が認められたと報告しています。これは、三七が近年、肝臓病(肝炎、肝硬変等)に利用されることを示唆するものであると考えられます。

 

 三七の薬理の研究は前述のとおり、余りありませんが、同属の人参(オタネニンジン)の研究は多数あります。人参の薬効成分は主にサポニンであると言われておりますが、先に述べましたように三七にも同様のサポニンが含まれていることがわかっております。

 そこで、人参の薬理の報告のうち、これらのサポニンに関する報告を参考までに記します。

 1975年、加来天民ら(Arzneim-Forsch.,25,343,539(1975))はginsenoside Rg1,Re,Rd,Rc,Rb2,Rb1,Rfについて一般薬理学的作用を調べて報告しています。要点は次のとおりです。

(1)一般に毒性は小さいが、ginsenoside Rg1,Rf,Rb1は特に弱い。LD50(mg/kg,

  i.p.)は、Rg1 1250, Rf 1340, Re 405, Rd 324, Rc 410, Rb2 305, Rb1 1110。

(2)全てのサポニンはマウス摘出腸管のアセチルコリンによる収縮を抑制した。

  高濃度のRb2はそれ自身による収縮を起こすが、アセチルコリン誘発収縮は抑制した。

(3)全てにサポニンの静脈注射(5~10mg/kg)で、ラットの心拍数の減少、血圧のわずかな上昇後の低下がみられたが、呼吸への影響は少ない。これらの作用はRg1に目立って現れた。サポニンの昇圧、降圧作用には、アトロピン、ジフェンヒドラミン、フェントラミン、プロプラノールの前処理による影響はなかった。

(4)イヌでRg1、Reがパパベリンのそれぞれ1/20、1/50の血管拡張作用を示したが、 Rc,Rb2では弱く、Rb1では認めなかった。

(5)溶血性は7種のサポニンの中で、Rd,Re,Rb2により強く現れた。これは急性毒性の強弱に対応している。

 

(6)Rf,Re,Rdの1回投与では条件回避反応を抑制したが、連続投与で応答が促進された。Rb2はいずれも弱い抑制を示した。

(7)マウスの闘争実験ではRg1,Rf,Re,Rdに抑制、Rb1,Rb2,Rcにはわずかの作用がみられた。

(8)全てのサポニンにマウスで抗疲労作用がみられた。

(9)猫の脳波測定で穏やかな鎮静作用がみられ、Rg1,Re,Rb2がより強く現れた。

 

 上記のなかで、(3)の血圧降下作用、(4)の血管拡張作用は、三七が近年、高血圧や心疾患などにも利用されることに関連があるように考えられます。

 また、(8)では、すべてのサポニンに抗疲労作用があるとしていることから、三七が滋養強壮剤として使用されることの裏付けの一つと考えられます。

 

 また、喜多富太郎ら(J.Pharm.Dyn.,4,381(1981))は副交感神経緊張型ストレス(SARTストレス)と交感神経緊張型(拘束水浸ストレス)のモデル動物を用いて、ginsenoside Rb2,Rcは副交感神経緊張型ストレスに、Rg1は交感神経緊張型ストレスに、Rb1とReとプロゲサポニンC20(S)Rg3はいずれにも有効であったことを示しており、自律神経失調症、あるいは心身症の予防、治療に人参の有効性を示唆するものである。-と報告しています。 

 また、秦多恵子ら(J.Pharm.Dyn.,8,1068(1985))は、副交感神経緊張型ストレス(SARTストレス)動物(マウス)と交感神経緊張型ストレス(拘束水浸ストレス)動物(マウス)にプロトバナキサジオール系ジンセノサイドの共通構造であるC20(S)Rg3を投与(2.5~10mg/kg/日,i.p.)し、水素クリアランス法で組織外周の血流への影響を調べた。ストレス動物は何れも胃の血流低下、胃幽門部位の血流低下、肩、腰の皮膚血流の増加が起こるが、C20(S)Rg3はこれらの変動を阻止した。-と報告しています。

 このことから、同様のサポニンを含有する三七もストレスに有効であると考えられます。

 

5)三七を配合した漢方薬・中成薬について

三七を配合した漢方薬について、『漢方処方大成』(矢数圭堂監修)を検索すると、次の処方が見出されました。

 















































処方名 薬      味 出典
化血丹

 
花蘂石3三七2乱髪霜1

 
/医学衷中参西録・治吐衂方
加味復肝散

 
人参5当帰5白芍薬5三七5亀板膠5紫河車7.5シャ虫4川キュウ4何首烏4姜黄4丹参4赤芍薬3 /中医方剤手冊新編
月華丸

 
天門冬2麦門冬2地黄2熟地黄2山薬2百部2沙参2川貝母2阿膠2茯苓1獺肝1三七1菊花4桑葉4 医学心吾・巻3・虚労
参黄散

 
三七2大黄0.8厚朴2枳実2桃仁6後期6赤芍薬3紅花3穿山甲3鬱金2延胡索2肉桂1柴胡1.2甘草0.8青皮2 傷科補要・巻3・湯頭歌訣
止血粉

 
川貝母2阿膠6三七1

 
北京中医学院/中医処方解
通変白頭翁湯

 
白頭翁2三七1.5山薬5秦皮1.5甘草1地楡1.5白芍薬2鴨胆子3 /医学衷中参西録・治痢方
平肝開鬱止血湯

 
白芍薬5白朮5当帰5牡丹皮1.5地黄1.5甘草1三七1.5荊芥1柴胡0.5 傳青主女科・上巻・崩漏門
黎山同丸    

 
三七2血竭2阿魏1乳香2没薬2藤黄2竹黄2大黄2阿仙薬2竜脳1雄黄1牛黄1麝香1山羊血1 /中華人民共和国薬典1977

 

 

 また、現在中国で製造されている生薬製剤、いわゆる中成薬のうち、三七を含有した製剤としては、次表に記したものが知られています。




































































































































































処 方 名 薬      味 出典・製造元等 効 能・効 果 等
雲南白薬



 
田七等



 
雲南白薬廠、昆明製薬廠

 
刀傷、槍傷、創傷の出血、打撲症、紅腫瘡毒、咽喉腫痛、慢性胃痛、婦人の出血を治す
田七粉



 
田七末



 
昆明製薬廠



 
吐血、衂血、外傷出血、跌打於血、腫痛、産後血暈、於血腹痛等に用う。
筋骨跌傷丸



 
当帰尾、旱三七、人参、乳香、没

薬、血竭、紅花等
天津中薬製薬廠



 
打撲、骨折、癰腫等の疼痛に用う。

 
田七補酒



 
黄耆、党参、枸

杞、杜仲等10種類余、清酒




 
(薬用酒)新陳代謝の促進、健康増進、成人病の予防

 
田七補精



 
田七、党参、当

帰、白芍薬、川キュウ 雌鶏肉
広西玉林製薬廠



 
身体虚弱、病後補強、神経過敏、疲労回復、精神安定、体力増強
田七鶏精





 






 
雲南白薬廠





 
身体虚弱、栄養不良、病後失調、貧血、コレステロール過多、食欲不振、発育不全、疲労、体力増強
金不換痛片



 




 
南寧製薬廠



 
胃・十二指腸潰瘍疼痛、分娩後の子宮縮痛、神経性胃痛、月経痛、痙攣、咳嗽
片仔廣







 
田七85%、蛇胆15%、牛黄3%、麝香7%



 
章州製薬廠







 
急・慢性肝炎、耳炎、眼炎、牙齦発膿、扁桃腺炎、口舌諸瘡、湯火灼傷、刀傷痛、癰疔腫毒及び一切の疼痛を伴う炎症、疼痛、発熱
熟田七粉







 
熟田七末







 
雲南白薬製薬廠







 
身体虚弱、病後、産後、気血不足・食欲不振、貧血畏冷、神経衰弱、失眠健忘、陰陽盗汗、発育不良、コレステロール血症
田七花精 田七花、 雲南白薬製薬廠 凉血、清熱、平肝、解毒
化血丹

 
三七、花蕊石、血余炭 衷中参西録

 
吐血、衂血、便血等、各種内出血
跌打薬精





 
乳香、没薬、紅花、児茶(阿仙薬)、田七、芦薈、当帰尾、血竭 仏山聯合製薬廠





 
刀傷、打撲傷、湯火灼傷





 
熊胆跌打丸





 
田七、熊胆、当帰尾、川紅花、広木香、川鬱金、砂仁、大黄等 広州聯合製薬廠





 
打撲、捻挫、切り傷等の痛み、腫れに使う。



 
定坤丹



 
当帰、川牛膝、田七、白芍薬等、29味



 
気虚血暈から引き起こした、月経不調、行経腹痛、子宮寒冷、崩漏不止等に用いる。
黎山同丸



 
牛黄、雄黄、田七、麝香、冰片等、13味



 
於血、消腫、止痛、跌打損傷、すべての無名の腫毒に用いる。

 
三七傷薬片





 
三七、雪枝一枝蒿、紅花、扞扞活、香附子、細辛、当帰、陳皮等21味 蘇州中薬廠、上海中薬製薬二廠



 
急・慢性挫傷、関節痛、神経痛、打撲傷



 
跌打丸





 
香附子、白及、赤芍薬、陳皮、田七、大黄、元胡、烏薬等23味 抗州第一中薬廠





 
活血止痛、舒筋活経、跌打外傷により引き起こした赤腫疼痛等に用いる。

 
止痛丹



 
田七、麝香、乳香、没薬等

 
広東省茶叶土産進出公司

 
慢性胃炎、胃痛、腹痛、歯痛、切り傷、跌打痛み、悪性腫瘍の痛み等に用いる。
田七片







 
田七頭







 
中国土産畜産進出口公司





 
補気、補血、身体虚弱、産後血暈、発育不良、冠心病、狭心症、心筋梗塞、高血圧、肝臓病、動脈硬化、コレステロール過多症
田七片





 
生田七粉





 
雲南白薬廠





 
狭心症等の心疾患、コレステロール過多症、肥胖症、吐血、鼻血、血便、内外傷出血、外傷腫痛
田七精





 
田七エキス





 






 
滋養増強、強身作用、冠心病の症状改善予防、狭心症の予防治療、新陳代謝促進、コレステロール・血中脂質の低下
田七補丸



 
熟田七85%、北耆8%、党参7%

 
広西梧州製薬廠



 
補血理気、滋養強壮、筋骨を強健にする、神経を休める、貧血、虚弱体質
生田七片 生田七粉    
三七蜜精 

 
三七エキス、蜂蜜

 
雲南省文山州製薬廠

 
三七薬物牙膏

 
三七

 


 
(歯磨) 歯肉の腫、出血、歯槽膿漏等の予防効果
複方丹参片

 
丹参、三七、冰片

 
上海中薬製薬二廠

 
血行促進、於血を除く、胸のもたれ、狭心症

 

 この表からもわかるとおり、これら中成薬は、止血、鎮痛、滋養強壮等に利用されており、三七の薬効と類似しています。

 

6)三七の安全性について

 三七は本草綱目に山漆の名称で記載されていますが、上品に属し、気味の項にも「甘く少しく苦く、温にして毒なし」と記されており、安全性が高いとされています。

 漢方薬は、東洋医学独特の診断によって処方される薬物であり、特に虚実の判別を重視しています。人参(御種人参、朝鮮人参)は、虚証に用いる薬味で、実証に用いても効果はなく、特に高血圧症の人には禁忌となっているのは一般に良く知られたところです。

 これに対し三七は、使用を制限する報告は少なく、虚証から実証まで幅広く用いることができる薬味であるといわれています。更に高血圧に対しては、人参とは逆に三七の服用により改善されることが多数報告されております。その一例として、南ら(臨床薬理15(4),479-487(1984))の「Effect of the Chinese Tienchi Ginseng on Blood Pressure inStroke-

prone Spontaneously Hypertensibe Rats」の研究によりますと、三七(田七)を投与したグループでは、P<0.02で、有意に血圧が下がったとの結果がでています。

 また、現代的な報告として、経利木杉は『愼三七的生理作用』(国立北平研究院生理学研究所中文報告所 4(1),1(1937))で、三七の流エキスの生理作用を試験する際、その毒性についても下記のとおり述べています。

 

   ウサギの致死量     2.5g/kg  (静脈注射)、

   ラットの致死量  0.5~0.75g/100g (腹腔内注射)

   マウスの致死量 0.075~0.1g/10g (腹腔内注射)。

   マウスの致死量     22mg/10g (サポニン成分について)

 

 また、張焜は『新医学雑誌』(10期)(1973年版『中薬研究文献摘要』p.31)で、高血圧症・冠状性心疾患・脳動脈硬化症の患者10例に対して、生山漆粉(三七末)0.6gを毎日3回服用させ、総脂質とコレステロールに対して低減作用があることが認められ、特に副作用はなかったとしています。

 また、先に述べました様に、三七は食薬区分において、昭和46年6月の制定時は1-a成分であったのが、昭和62年9月の改正の際、1-b成分となりました。これは、中国では三七の使用が、医薬品のみではなく、レストランのメニュー(中華料理)にもかなり用いられているからだといわれています。

 一般に1-b成分は、1-a成分に比べ、安全性の高いことは周知のことでありますから、三七も安全性の高いものであると思われます。

 

 また、三七はスープの味を良くするといわれ、食材としても多く用いられています。これを応用した料理の中で特に良く知られているものに、田七汽鍋鶏があります。一説には、三国志で有名な諸葛亮孔明が考案したともいわれており、鶏肉と三七等を特殊な鍋で一緒に蒸した料理です。中国の広州及び雲南省昆明が本場とされていますが、香港でも多くのレストランで提供されています。

 また、嶋野武氏は、『漢方の臨床』(第23巻第2号、1976p6-8、「中草薬紹介」)のなかで、「料理して食べるには田七を鶏油、ラード、植物油でとろ火で黄色に揚げた後、くだくか蒸して柔らかくし薄片に切って鶏・豚肉と煮て食べる。補血の効があり、老若男女を問わず、病後、産前産後に食すれば速やかに健康を回復し、年若くて虚弱な人には補血保暖の作用、小児には発育を促進する。また田七を油で揚げて細末とし、チキンスープ、豚肉スープあるいは牛乳で毎回三~五gを飲んでもよい。雲南特製の鍋で重湯をつくる形で料理する方法もある。」と三七を料理に利用する方法を紹介しています。

 その他にも下表に示すような三七を料理が見出されましたので参考までに

付記します。






















料理名    読み       材 料
冷拌葛皮  リャンバンカッピイ   三七末50g 葛根末20g 桂皮末5g 等 
天麻炒猪肝 ティェンマーツァォヅーカン 天麻30g 三七末20g 等
滷猪心  

 
ルージゥシン

 
甘草20g 桂皮10g 茴香5g 八角10g 三七20g 等

 このように、三七は医薬品以外に料理の材料としても利用され、食用とされていますので、安全性は高いと考えられます。

 

 

人参との比較考察について

 高瀬ら(薬理と治療11(4),115-133(1983))の「薬用人参と田七との急性毒性及び薬理活性比較試験」によると、人参末及び三七末については、マウス及びラットに8g/kgを経口投与して、いずれも毒性を示さなかったと報告しています。

表 人参と田七の薬理活性比較



































































































試験項目

 



動物

 



凡例

 



人参末

 



田七末

(三七末)



竹節人参末

 

















 



血小板凝集

 



ウサギ

↑:促 進

-:作用なし

↓:抑 制






 






 






 



血小板凝集能

(最大凝集率)







ラット



 



 Cont.

(46.2%)

    57.5%

 Cont.と有意差あり

(P<0 .05="" font="">






 






 



血小板粘着能



 Cont.

(70.6%)



    75.1%

 

   81.7%

 Cont.と有意差あり

(P<0 .05="" font="">






 






摘出気管筋に

及ぼす作用

モルモット



 

↑:収 縮

↓:弛 緩


 

   2500μg/mL



 

   2500μg/mL



 

 2500μg/mL



 













 

摘出胃平滑筋に及ぼす作用

ラット

↑:収 縮

↓:弛 緩




 




 




 

摘出回腸平滑筋に及ぼす作用



モルモット

 

↑:収 縮

-:作用なし

↓:弛 緩

   2500μg/mL



 

   2500μg/mL



 

 2500μg/mL



 

抗アセチルコリン、

抗ヒスタミン作用

モルモット

 

↑:収 縮

↓:弛 緩




 




 




 



















 

血圧作用

 

SHR

↑:上 昇

↓:下 降




 




 




 

摘出心房に及ぼす作用





 

モルモット







 

↓:収縮力低下

-:作用なし

 :拍動数減少

   2500μg/mL

   42% 11%



 

   2500μg/mL

   31% 15%



 

 2500μg/mL

 90% 30%



 

血流量に及ぼす影響

 

ウサギ

 

↑:増 大

↓:減 少


 






 






 






 

 

 更に、今田ら(基礎と臨床18(1),133-145(1984))の「田七エキス(HK302)のラットにおける1カ月経口投与毒性試験」においては、田七エキスをラットに1カ月間経口投与(250,500,1000mg/kg)して、1.一般症状、2.体重推移、3.摂餌量および摂水量、4.血液学的検査、5.血液生化学的検査、6.尿検査、7.剖検所見、8.臓器重量、9.病理組織学的検査、10.骨髄細胞の分類の10項目について検討していますが、田七エキスの好ましくない作用は認

められず、ラットにおける無影響量は1,000mg/kg以上と推定されると結論しております。





























































































































  試験項目 動物  作 用     田 七     人 参
















































 




















摘出回腸に

対する作用

























 




















モルモット



























 
直接作用

 
0.025~4.0mg/mL(9)

0.25mg以上で収縮
0.025~4.0mg/mL(9)

0.25mg以上で収縮


抗コリン作用

 
1~3mg/mL(3)

Ach.5×10-8M

作用なし
1~3mg/mL(3)

Ach.5×10-8M

作用なし


抗ヒスタミン作用

 
1~3mg/mL(3)

His.2×10-7M

2mg/mL以上であり
1~3mg/mL(3)

His.2×10-7M

2mg/mL以上であり


抗バリウム作用



 
1~3mg/mL(3)

Bacl2 5×10-4M

1,2,3mg/mLであり

収縮後弛緩
1~3mg/mL(3)

Bacl2 5×10-4M

1,2,3mg/mLであり

   弛緩


アトロピンに

よる拮抗

 
1mg/mL(1)

    Atr.1×10-7M

   あり

収縮の抑制
3mg/mL(1)

    Atr.1×10-7M

   あり

収縮の抑制


ジフェンドラミン

による拮抗



 
1mg/mL(1)

    Dip.5×10-7M

完全ではないがある

収縮は1/3に抑制
2mg/mL(1)

    Dip.5×10-7M

完全ではないがある

収縮は1/2に抑制
ヘキサメトニウム

による拮抗



 
1mg/mL(1)

    Hex.1×10-5M

作用なし
2mg/mL(1)

    Hex.1×10-5M

作用なし








































 


血圧

 






家兎





 


直接作用

 
5~50mg/kg i.v.(4)

12.5mg/kg(i.v.)以上で

一過性に下降
5~50mg/kg i.v.(4)

12.5mg/kg(i.v.)以上で

一過性に下降
総頚動脈

血流
直接作用

 
血圧の下降とともに一過

性の減少
血圧の下降とともに一過

性の減少
心拍数

 
直接作用

 
血圧の下降とともに一過

性の減少
血圧の下降とともに一過

性の減少


摘出心房







 


モルモット







 
直接作用

心拍数



 
3×10-5,×10-4,×10-3g/mL

3×10-4g/mL以上で抑制
3×10-5,×10-4,×10-3g/mL

3×10-4g/mL以上で抑制
直接作用

心収縮力
3×10-3g/mL以上で抑制 3×10-3g/mL以上で抑制
摘出心臓









 
モルモット









 
直接作用

心拍数
0.05~0.8mg(5)

0.8mgで減少
0.05~0.8mg(5)

0.8mgで減少
直接作用

心収縮力
0.2および0.4mgで抑制

 
0.4mg以上で抑制

 
直接作用

拍出滴数
0.2~0.4mgで増大

 
0.2~0.4mgで増大

 
摘出家兎

耳介
家兎

 
末梢血管

拡張・収縮
0.75~3mg(3)

拡張
0.75~3mg(3)

拡張
























 
血小板

凝集能

(in vitro)

 
ラット





 
(ADPによる)

凝集促進

凝集抑制
1mg/mL 対照

50.2±2.0%(60.5±2.3%)

抑制
1mg/mL

54.0±2.0%

抑制

 
血小板

凝集能

(in vivo)

 
ラット





 
(ADPによる)

凝集促進

凝集抑制
2g/kg  対照

54.5±1.6%(51.4±1.7%)

作用なし
2g/kg

51.3±1.9%

作用なし

 
血小板

粘着能



 
ラット





 
粘着促進

粘着抑制



 
2g/kg  対照

49.1±6.5%(49.2±5.2%)

作用なし
2g/kg

49.9±5.9%

作用なし

 

 

その他、南らの研究におきましても、500mg/kg/dayの投与では、体重増加に違いはみられず、血液の化学的データも何の毒性も示さず、毒性は無いと考えられるとも述べています。

 以上の点から三七は人参と同程度の安全性はあると考えられます。


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