誌上漢方講座 症状と治療 生薬の配剤から見た漢方処方解説の勝手なまとめ
1.陰陽・虚実・寒熱・表裏・内外・上中下を理解する
2.薬味の組み合せを覚える
3.症状を血-気-水に分け、それぞれの症状に対応する系統を覚える。
4.薬方(漢方処方)の系統図を覚える
5.薬方(漢方処方)で治る(可能性のある)症状を覚える
6.実際に使ってみる
1.陰陽・虚実・寒熱・表裏・内外・上中下は『漢方薬の実際知識』参照。
特に虚実には注意。
発汗は基本的には虚証。ただし、虚像の発汗・実像の発汗に注意。
麻杏甘石湯や越婢湯は、発汗している状態に用いるので虚証の薬方。
(一般的な漢方の本では、麻杏甘石湯や越婢湯は実証の薬方)
2.薬味の組み合せ
相加作用、相乗作用、方向変換、相殺作用の四つ。
基本的には相加作用と考えて良いが、繁用される薬味に特殊な組み合せが多く注意が必要(組み合せによっては期待する作用と反対の場合がある)
麻黄(組み合わせなし) → 発汗作用
麻黄 + 桂枝 → 発汗作用(相加作用)
麻黄 + 石膏 → 止汗作用(方向変換)
麻黄 + 桂枝 + 石膏 → 大発汗作用(相乗作用)
麻黄 + 杏仁 → 鎮咳作用(方向変換)
麻黄 + 白朮 → 利尿作用(方向変換)
桂枝 → のぼせを抑える(組み合わされても変化しない薬効)(尿を止める)
桂枝(組み合わせなし) → 発汗作用
桂枝 + 麻黄・防風 → 発汗作用(相加作用)
桂枝 + 大棗 → 止汗作用(方向変換)
桂枝 + 芍薬 → 緩和作用(方向変換)
桂枝 + 白朮 → 利尿作用(方向変換)
桂枝 + 茯苓 → 利尿作用(方向変換)
桂枝 + 地黄 → 強壮作用(方向変換)
桂枝 + 茯苓 + 甘草 → 心悸亢進・めまいを治す(方向変換)
半夏(単独) → 胃のムカムカ(嘔)、咽喉痛を起こす
半夏 + 生姜 → 鎮嘔・鎮痛作用(方向変換・相殺作用)
半夏 + 大棗・甘草 → 鎮痛・鎮嘔作用(方向変換・相殺作用)
桔梗(単独) → 化膿・分泌物を治す
桔梗 + 芍薬 → 発赤・腫痛を治す(方向変換)
桔梗 + 芍薬 + 薏苡仁 → 化膿・分泌物も発赤・腫痛も治す (方向変換)
桔梗 + 荊芥・連翹 → 化膿・分泌物も発赤・腫痛も治す (方向変換)
桔梗 + 蕃椒(トウガラシ) → (方向変換)
茯苓(単独) → 胃内停水を除き、心悸亢進・めまいを治し、利尿作用
茯苓 + 白朮 → 胃の機能亢進・胃内停水を除く
茯苓 + 猪苓・沢瀉 → 利尿作用
茯苓 + 桂枝 + 甘草 → 心悸亢進・めまい・筋肉の痙攣を鎮める
知母 + 石膏 → 口渇・漏水を治す
附子を表に導く 麻黄・葛根・桂枝・防風
附子を半表半裏~裏に導く 黄連・黄芩・乾姜・人参・茯苓
附子を全身に導く 防已・細辛・白朮・芍薬 → 水毒を除く
附子を食道・咽部・胸部に導く 半夏・山梔子
柴胡(4g以上) → 胸脇苦満(主証又は主証の一部)
柴胡(3g) + 順気剤 → 胸脇苦満(主証又は主証の一部)
柴胡(3g未満) → 体質改善(胸脇苦満はないかあっても弱い)
黄連・黄芩(合わせて1g以上) → 心下痞(主証又は主証の一部)
(どちらか一方でも良いが、組み合わせた方が良い)
甘草 → 急迫症状の緩解(薬味の少ない時)
甘草湯 → 精神的な痛み、神経の興奮による各種の急迫症状を治す
芍薬甘草湯 → 急迫性の激しい筋肉の痙攣と疼痛のあるものを治す
甘麦大棗湯 → 甘草と大棗による急迫した筋肉の拘攣、神経の興奮、諸疼痛の緩解
柴胡桂枝湯 → 薬味は多いが痛みに効果がある
芍薬(4g以下) → 全身の筋肉の拘攣の緩解(緩和・鎮痛作用)
芍薬(6g以上) → 裏位の筋肉の拘攣の緩解(緩和・鎮痛作用)
黄耆 → 盗汗、黄汗を治す
薏苡仁 → 皮膚を潤し、瘀血・血燥を治す(皮膚病・いぼ・ガン・むち打ち等)
人参 → 全身の水毒を除く
生姜 → 胃内停水を除く
乾姜 → 新陳代謝機能亢進(体を温める作用) + 生姜(胃内停水を去る)
蒼朮 → 麻痺作用
駆瘀血生薬 当帰・川芎・桃仁・牡丹皮・地黄
鎮咳薬 杏仁・五味子・麦門冬・大棗
順気生薬(鬱滞) 厚朴・蘇葉・枳実・薄荷
順気生薬(上衝) 桂枝
【鎮咳剤】
麻黄 + 杏仁
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(麻黄)
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杏仁
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麻黄 + 石膏
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五味子
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細辛
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麦門冬
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大棗
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麻黄 + 附子
【下剤、温補剤】
大黄 + 芒硝 + 順気剤(鬱滞)
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大黄 + 順気剤(鬱滞)
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大黄 + 芒硝 + 順気剤(上衝)
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大黄 + 順気剤(上衝)
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大黄 + 芒硝
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大黄≒センナ≒アロエ
| (アロエは使わない方が良い)
山梔子
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車前子
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乾姜≒麦芽糖(マルツエキス)≒蜂蜜
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附子
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乾姜 + 附子