健康情報

2009年5月29日金曜日

鹿(シカ)を原料とする漢方薬

鹿(シカ)は、漢方薬の原料として色々と用いられますが、
やはり一番特徴的な部位は角ではないでしょうか?

鹿(シカ)の幼角(ようかく)は、鹿茸(ろくじょう)と呼ばれ、
いわゆる滋養強壮剤に良く使われます。

漢方的な効能は次のとおりです。

鹿茸(ろくじょう) 味:甘 性:温
 1.助陽益精 2.健骨振痿 3.納気平喘 4.温腎縮溺 5.固経止崩

薬理的には、末梢血管拡張作用があります。
更に、衰弱した心臓への強心作用と心血流量増大作用を中心とした循環器系改善作用があります。
これらのことから、男性の滋養強壮だけでなく、女性の冷え症や肩凝りなどにも良いと考えられます。

烏頭桂枝湯(うずけいしとう)に鹿茸(ろくじょう)を加えて用いることが
『勿語薬室方函口訣』(ふつごやくしつほうかんくけつ)に書かれています。

烏頭桂枝湯
寒疝の主剤也故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用ゆ
後世にては附子建中湯を用れども此方蜜煎にしたる方が即効あり
証に依て鹿茸を加え或は末とし加入するも佳あり


角化した角は、鹿角(ろっかく、ろくかく)と呼ばれ、こちらも薬として用いられます。

奈良の鹿の角が利用されているかどうかは知りません。

鹿茸(ろくじょう)は、医薬品扱いとなり、健康食品・サプリメントには使えませんので、
ご注意下さい。
代わりに、トナカイの角が、健康食品・サプリメントに使われています。

鹿の角を煮詰めてつくられる膠(にかわ;ゼラチン)は、
鹿角膠(ろっかくきょう)と呼ばれ、
精血不足、虚損労傷および虚寒の吐血、
鼻出血、不正性器出血、血尿さらに陰疽内陥などに用いられます。


この他、鹿の男性生殖器は、鹿鞭(ろくべん)などと呼ばれて
やはり滋養強壮剤に利用されています。

男性生殖器の利用については、
海狗腎(かいくじん)・海狗鞭(かいくべん)と類型同効論
も、ご参考下さい。

2009年5月14日木曜日

変形性膝関節痛(関節炎)に使用する健康食品・漢方薬

関節痛とは・・・
 関節そのもの、あるいはその付近をも含めた痛みを指します。
 様々な原因がきっかけとなって起きますが、最も多いのは、関節の炎症によるもがあげられます。また、その関節の炎症(関節炎)にも100種類以上のタイプがりますが、その中で最も一般的なのが変形性関節症です。(図‐1)
変形性関節症は、国際統計によれば
45歳以下で約2%、45~65歳で30%、65歳
以上になると63%~85%の層にあると
報告されています。膝や股関節、
腰の骨など、すべての関節におこり
うる症状で、その代表的なものが
変形(へんけい)性膝(せいしつ)関節症(かんせつしょう)です。

変形性膝関節症
 膝(ひざ)の痛む病気の中でもっとも多いのが変形(へんけい)性膝(せいしつ)関節症(かんせつしょう)で、半数以上と言われて
います。その名のとおり、膝の関節軟骨が擦り減ってしまい、関節が変形することに よって、痛みや運動の制限などをひきおこす膝の疾患です。若い頃のケガがもとに
なることもありますが、大半は老化によって引き起こされます。
発症時期 40歳代よりあと、多くは50~6
0歳代で発症する。自覚症状(初ある日なんとなく、たいていは膝の片方が痛みはじめる。
めて気付く(手指や手首、肘の関節などが同時に痛むことはない。)
時)初めはかすかな痛みか、違和感程度であることが多い。進み方次第に痛みが増していく。
進行は比較的遅く、何年もかかって悪くなっていく。主な症状【初期】・朝方、膝がこわばる。膝の後ろがひきつる。ギシギシする。
・膝を使う動作を始める時に痛い。
・階段の昇り降り、正座、あぐらの時などに痛み始める。
【中期】・痛みが強くなり、なかなかとれない。
・階段の昇り降りがかなりつらい。
・膝がはれ、熱っぽい。
・膝を伸ばしきれない、曲げきれない症状が出てくる。
【後期】・じっとしていても激しく痛む。
・数歩歩くのにも激痛を感じる。
・膝の変形が目立つ。
・膝がのばせない、曲げられない症状が強くなる。全身症状発熱、倦怠感などの全身症状は伴わない。
◆ 膝の痛みのメカニズム
膝の構造・・・右図のように膝の関節は、4つの骨で
構成されています。
骨と骨はじかに接しているのではなく、厚さ3~4mm
の弾力に富んだ関節軟骨で覆われています。
関節の動きをなめらかにすると同時に、関節に加わる
衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
痛みの発生経路
①関節軟骨の表面は平滑で、関節液で潤され、通常は非常に滑りが良い。しかし、年をとるにつれ、関節軟骨がえ、次第に水分が減少し、弾力が乏しくなる。
②弾力を失った関節軟骨には、強い圧力がかかるようにり、圧力の大きい部分が
すりへって、でこぼこになる。→軟骨には 神経がないので痛みは感じない。
③軟骨が摩耗してできた物質が関節包(軟骨を包む滑膜)に生じる。その成分ある酵素が科学的刺激となり、滑膜に炎がおこる。→滑膜には、血管や痛みを感る神経が集中しており、痛みを感じる。骨そのものが変形して棘のような突起がき、痛みを感じたり、膝に水がたまったり、膝の曲げ伸ばしがしにくくなったりする。 ⇒日常生活に支障をきたす。(図‐2)
④更に軟骨が擦り減り、軟骨に覆われてた骨が露出し、骨と骨とが直接
接触するようになって、強い痛みを感じるようになる。(図‐3),(図‐4)



原因
1.老化(軟骨の減少、筋肉の衰え)
2.過体重(肥満)
3.姿勢(猫背、骨盤・脊椎のゆがみ)
4.合わない靴
5.膝の負担の多い仕事(正座をする、重い荷物を運ぶ、立ち仕事)
6.怪我(けが)
7.その他

治療方法
1.薬物治療
・内 服 薬 : 消炎鎮痛剤、非ステロイド系消炎鎮痛剤
   ・関節内注射 : ステロイド剤,ヒアルロン酸ナトリウム
2.物理療法
   ・温熱療法 ・寒冷療法 ・低周波療法 ・その他
3.手術(他の方法で良い効果の出ない時。)
   ・鏡視下手術
   ・骨切り術
   ・人工関節手術
4.運動療法
   ・ストレッチング
   ・筋力強化訓練(膝・太ももの筋肉、腹筋等)
     軟骨の変形が進んでも、全ての人に痛みが起こるわけではない。
     ストレッチや筋肉トレーニングにより、痛みにくくできる。
   ・その他
5.装具療法
   ・サポーター(膝の動きの補助と保温)
   ・つえ
   ・足底板(体重がバランス良く両足にかかる様にする、O脚の矯正)
6.体重の適正化

※しかし、1~3の治療法は一時的に症状を和らげるだけで、根本的に回復させるもの ではない。しかも、胃腸障害を起こしたり、化膿性関節炎を発生させ、軟骨や骨の
 破壊を早めるなどの副作用を生じる恐れがあり、また手術には大きなダメージがありリハビリの必要性がある。

*漢方療法
 漢方では、体質や症状に重点をおくので、変形性膝関節症も関節リウマチも同じ様
に扱います。
変形性膝関節炎のfirst(ファースト) choice(チョイス)の薬方に、防已(ぼうい)黄耆湯(おうぎとう)があります。
これは色白で太り気味(水太り)で下半身が重だるく、汗をかきやすい、おしっこ(尿)減少気味という場合の膝関節の腫れや痛みに良く効きます。
また、薏(よく)苡仁湯(いにんとう)も良く使われます。これは、体力は比較的あり、亜急性期から慢性期にけての強くはないがなかなか治らない膝関節の痛みに使用されます。
 この他、証に応じて、越婢(えつび)加朮(かじゅつ)(附(ぶ))湯(とう)、桂枝(けいし)加朮附湯(かじゅつぶとう)、桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)、五積散(ごしゃくさん)、疎(そ)経(けい)活(かっ)血(けつ)湯(とう)、八味(はちみ)丸(がん)等が良く使用されます。
 また、肥満も変形性膝関節症に悪影響を及ぼすことから、肥満の人には、防風通(ぼうふうつう)聖散(しょうさん)や大柴(だいさい)胡湯(ことう)なども、体質改善の意味も含めて使用(併用)されます。水太りの人に防已黄湯を使うのは前述のとおりで、膝関節の痛みを取るのと、水太りを解消するのと一石二となります。
 長期にわたるものは、瘀血(おけつ)が関与することが多いので、駆瘀血(くおけつ)剤を併用することもあます。

* 生活上の注意
太らない。
正座、重い物を持つ、和式トイレ等、膝に負担になることを避ける。
膝が冷えない様にする。
痛くない程度の運動やストレッチを気長に毎日行う。
ナス科の野菜を食べないようにすると良い場合がある(詳細は不明)。
(ナス科の野菜……ナス、トマト、ピーマン、唐辛子、ジャガイモ、シシトウ等) もち米を食べないと良いとも言われる(詳細は不明)



◆ 軟骨の構成成分
○水分(65~80%)
○軟骨細胞
○コラーゲンなどの蛋白質
→体内で水分の次に多い物質
軟骨においては、プロテオグリカンを 安定してつなぎあわせる糊のような
役割をしている。
○プロテオグリカン・・・蛋白質をもつ多糖で、軟骨、爪、心臓弁などに分布
            細胞中のコラーゲンや水分量を保つ働きがある。
            グリコサミノグリカンが結合したコアタンパク質の集体
 *これらは年齢とともに減少していき、軟骨の水分や弾力性が失われていく。

2009年5月2日土曜日

インフルエンザの漢方治療

漢方というと慢性病にしか効果が無いように思われがちですが、もともと漢方以外の治療方法が無かった時代には、全てを漢方で治療していたわけですので、インフルエンザに相当する病気も当然ながら治療の対象となりえます。

漢方の最も重要な古典といわれる『傷寒論』(しょうかんろん)は、傷寒と呼ばれる急性熱性病の治療の為に著わされた書物であることからも、インフルエンザに漢方で対処することが可能なことがわかります。

熱があっても寒けがある場合は、体を温めて発汗させる治療方法を行ないます。
代表的な薬方は、葛根湯(かっこんとう)麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)です。
葛根湯は、「太陽病、項背強几几、無汗悪風、葛根湯主之」(太陽病、項背強ばること几几、汗なく悪風する者、葛根湯これをつかさどる)と『傷寒論』に書かれていて、
つまり、太陽病(脈が浮いていて、頭痛がしたりうなじがこわばる、悪寒がある状態)で、首や背中がかたくこわばって(首・肩こり)、汗が出ていない状態で、寒けがある人には葛根湯が効くとされています。

葛根湯が効くのは、本当に初期の段階です。

村田恭介先生は、
葛根湯が効くのは初期の寒気があって項背部が凝る人に限られる。
これはヤバイ!本格的に風邪を引いたぞ!病院にいかなくちゃ~~!
という段階になって葛根湯を病院で処方されても、ほとんど効くわけがない。」
とおっしゃっています。
http://cyosyu.exblog.jp/i7

また、
「首の真裏を自分で揉んでみて「気持ちがよい」ということと、その「首の真裏を温めると気持ちがよい」という二つが揃わない限りは使用しても無意味だから、使用すべきでない。」
ともおっしゃっています。
http://ryukan.seesaa.net/article/112807937.html


更に、
「寒い思いをして、少しゾクゾク、喉が痛くならない風邪であることが、絶対的な条件」
ともおっしゃっています。

「喉が痛くならない風邪」については意見が分かれることと思いますが、
村田先生は、喉が痛い場合には、
温病論に基づく「銀翹散」系列の方剤が主役であるとされています。

喉(のど)が痛い場合、日本の漢方では、
葛根湯(かっこんとう)に桔梗(ききょう)と石膏(せっこう)を加えたり、
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を合方したりします。

また、藤平健先生の系列の先生は、のどチクの風邪に、
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)略称:桂麻各半湯(けいまかくはんとう)
桂枝二麻黄一湯(けいしにまおういちとう)
桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)
を用いられます。


麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)も同様に、
基本的には、インフルエンザの初期にしか効果を発揮しません。

麻黄湯は、『傷寒論』に
「太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風、無汗而喘者、麻黄湯主之。」と書かれていて、
葛根湯に似ていますが、腰痛や関節痛がある場合に用いられます。
ここでは書かれていませんが、脈も、葛根湯よりも緊張した脈であるとされています。
インフルエンザは、関節痛などが出ることが多いので、葛根湯(かっこんとう)よりも麻黄湯(まおうとう)の方が、適応する可能性は高いと思われます。

一般の漢方書では、首や肩のこりがあれば葛根湯(かっこんとう)で、
腰痛や関節痛があれば麻黄湯(まおうとう)と言われますが、
麻黄湯(まおうとう)も太陽病(たいようびょう)期に用いられる薬方で、
太陽病の症状として、頭項強痛(づこうきょうつう、頭痛やうなじのこわばり)があげられていますので、
理論的には、麻黄湯も肩こりにも効果を発揮します。

村上光太郎先生は、
葛根湯は、上焦のみに症状がある場合で、麻黄湯は全身に症状がある場合。
麻黄湯の方が薬味は少ないが、適応は広い」とおっしゃっています。

葛根湯麻黄湯のどちらも、麻黄(まおう)と桂枝(けいし)による発汗作用がありますので、
汗をかいていない状態(無汗)の人に使用します。
また、麻黄(まおう)は、胃腸障害を起こしやすいので、胃腸の弱い方には原則として使用しません。


もし、汗が出ている場合は、桂枝湯(けいしとう)を用います。
更に、汗をかいていて、なおかつ肩こりが強い場合は、
桂枝湯(けいしとう)に葛根(かっこん)を加えた
桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)を用います。

葛根湯(かっこんとう)桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)は、
麻黄(まおう)が入っているか否かだけの違いだけですが、
虚実が異なってきますので、注意が必要です。

桂枝湯(けいしとう)は「衆方の祖(しゅうほうのそ)」、「衆方の嚆矢(こうし)」、「経方の権輿(けいほうのけんよ)」などと呼ばれ、非常に有名な漢方薬方ではありますが、
良く知られている割に、桂枝湯単独で使われることは少ないようです。

麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)を合わせると、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)
略して桂麻各半湯(けいまかくはんとう)となります。
伊藤清夫先生などは、葛根湯より、桂麻各半湯の方を良く使うとおっしゃっています。


葛根湯(かっこんとう)麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)は、
いずれも寒けのある時に使われる漢方薬で、暖めて発汗させて病気を治すものです。

ですので、薬を飲むだけではだめで、布団(ふとん)に入ったり、熱いうどんやお粥を食べたりして、
体を暖めて、軽く発汗する必要があります。
「軽く発汗」というのが大切で、じんわりと汗ばむ程度が良く、汗がだらだらと出るのは発汗させすぎで、体力を消耗してしまい、逆に治らなくなってしまいます。

また、体を温めないと、いくら薬が適応していても(証に合っていても)、効果を発揮できません。


上記の薬方で治れば良いのですが、治らない時は、香蘇散(こうそさん)参蘇飲(じんそいん)桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう(桂麻各半湯(けいまかくはんとう))、桂枝二麻黄一湯(けいし にまおういちとう)、桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)柴胡桂枝湯(さい こけいしとう)小柴胡湯(しょうさいことう)麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう(麻黄細辛附子湯(まおうさいしんぶしとう))藿香正気散 (かっこうしょうきさん)、竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)麦門冬湯(ばくもんどうとう)など、色々と使われます。


一貫堂の森道伯先生は、スペイン風邪に対して、
胃腸型には香蘇散加茯苓白朮半夏(こうそさんかぶくりょうびゃくじゅつはんげ)を、
肺炎型には小青竜湯加杏仁石膏(しょうせいりゅうとうかきょうにんせっこう)を、
また高熱のため脳症を発するものには升麻葛根湯加白朮川芎細辛(しょうまかっこんとうかびゃくじゅつせんきゅうさいしん)を用いたそうです。

小青竜湯加杏仁石膏は、小青竜湯麻杏甘石湯(しょうせいりゅうとうごうまきょうかんせきとう)と同じです。

浅田流では、
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が使われます。
浅田流の細野史郎先生は、葛根湯(かっこんとう)小柴胡湯(しょうさいことう)とを合方して、
柴葛湯(さいかつとう)と名付けられ、柴葛解肌湯の代わりに用いられます。

後世派(ごせいは)では、参蘇飲(じんそいん)などが使われます。
和剤局方(わざいきょくほう)の傷寒門(しょうかんもん)に出ている漢方薬方です。

また、中医学(ちゅういがく:中国でのいわゆる漢方)では、銀翹散(ぎんぎょうさん)の薬方(涼解楽や天津感冒片(てんしんかんぼうへん)等)が使われます。
喉(のど)が痛む時は、トローチのように、ゆっくり口で溶かしながら咽(のど)を潤すように飲むのが良いそうです。

銀翹散(ぎんぎょうさん)は、中国の医書である『温病条弁』(うんびょうじょうべん)という本に記載されている漢方薬方です。
日本でも製造されています。
クラシエ(昔の鐘紡(カネボウ))からも出ていて、内容は、キンギンカ(金銀花)、タンチクヨウ(淡竹葉)、レンギョウ(連翹)、ケイガイ(荊芥)、ハッカ(薄荷)、タンズシ(淡豆豉)、キキョウ(桔梗)、ゴボウシ(牛蒡子)、カンゾウ(甘草)、レイヨウカク(羚羊角)となっています。
効能は、「かぜによるのどの痛み・口(のど)の渇き・せき・頭痛」です。

その他色々な会社から販売されているようですが、
メーカーによって、効果の違いもあるそうです。
イスクラ産業の錠剤 天津感冒片(てんしんかんぼうへん) や、
顆粒剤なら 涼解楽(りょうかいらく) などは
無難で効果が安定していると、
村田恭介先生はおっしゃっています。


『温病条弁』(うんびょうじょうべん)は、中国の清(しん)の時代に、呉鞠通(ごきくつう)により著わされた書物です。三焦弁証の概念を取り入れており、温病学(うんびょうがく)の重要書籍とされています。

旧来の日本の漢方では、「温病」(うんびょう)は余り重視されていませんが、現代の中国医学(中医)では、『温病条弁』(うんびょうじょうべん)は、傷寒論(しょうかんろん)と同等以上に重要な書物であると考えられています。

日本では余り重視されていないと書きましたが、古方家(こほうか)で有名な奥田謙蔵(おくだけんぞう)先生は、晩年、「これからは温病(うんびょう)を研究しなくてはならない」旨をおっしゃっていたそうです。


また、板藍根(ばんらんこん)を併用するのも良いそうです。
板藍根(ばんらんこん)とは、タイセイやホソバタイセイというアブラナ科の植物の根を乾燥させた生薬です。
板藍根は「清熱解毒(せいねつげどく)」や「涼血利咽(りょうけつりいん)」の薬能をもつ生薬とされています。
「清熱解毒」とは、細菌やウイルスによる感染や炎症に伴う発熱、腫脹(しゅちょう;はれ)、疼痛(とうつう;いたみ)などを抑える働きをいいます。
「涼血利咽」とは、のぼせや発赤(ほっせき)、紅班(こうはん)、衂血(じくけつ;鼻血)、充血などの症状やのどの症状を抑える働きを意味します。

中国では、風邪(インフルエンザを含む)の予防や、発熱やのどの痛みなどの症状に、 煎じ液をお茶代わりに飲むなどの方法で、広く利用されています。
また、煎じ液でうがいをすることも風邪(インフルエンザ)等の感染症予防に役立ちます。
このほか、扁桃腺炎(へんとうせんえん)や口内炎、ニキビなどにも効果があるそうです。

2009年4月30日木曜日

インフルエンザと普通の風邪との違い

新型インフルエンザが話題となっていますが、インフルエンザと普通の風邪とはどこが違うのでしょうか?
風邪の定義にもよりますが、広義の風邪の中に、インフルエンザは含まれます。インフルエンザと、他の風邪をと区分する際は、普通感冒と呼びます。
昔は、検査キットなどはありませんでしたので、インフルエンザと普通感冒は、その症状より区分するしかありませんでした。症状による見分け方は、下記のとおりです。
インフルエンザと普通感冒との違い(厚生労働省「インフルエンザの基礎知識」より)

インフルエンザ 普通感冒
症状 高熱頭痛関節痛筋肉痛、咳、のどの痛み、鼻水など のどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、発熱(高齢者では高熱でないこともある)
発症 急激 比較的ゆっくり
症状の部位 強い倦怠感など全身症状 鼻、のどなど局所的
すなわち
  • 38度~40度前後の突然の発熱
  • 全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛
  • 鼻水が、ひきはじめではなく発熱などの症状の後に出る
このような症状が出た場合は、インフルエンザの疑いありということです。
ただ、体質などによっては、インフルエンザの感染しても、高熱などを発しない場合もありますので、油断は大敵です。(直中の少陰などと言います)
インフルエンザを含めて風邪に使われる漢方薬には、葛根湯(かっこんとう)麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)香蘇散(こうそさん)参蘇飲(じんそいん)桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう(桂麻各半湯(けいまかくはんとう))、桂枝二麻黄一湯(けいしにまおういちとう)、桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)小柴胡湯(しょうさいことう)麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう(麻黄細辛附子湯(まおうさいしんぶしとう))藿香正気散(かっこうしょうきさん)、竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)麦門冬湯(ばくもんどうとう)など、色々とあります。
風邪に葛根湯とよく言われますが、葛根湯が効くのは、本当に初期だけです。しかも使うには、首のこり、無汗などが目標となり、節々が痛い場合などは、葛根湯よりも、麻黄湯の方が適応となりますし、汗が出ていれば桂枝湯(又は桂枝加葛根湯)の適応となります。
奥田謙蔵先生の流れをくむ先生方は、葛根湯より桂麻各半湯の方が使い易い旨をおっしゃっています。
藤平健先生の「のどチクの風邪」に、桂麻各半湯や桂枝二麻黄一湯、桂枝二越婢一湯、及び麻黄附子細辛湯を使うのは、有名です。
中医学では温病(うんびょう)の考えがあり、日本とは異なる薬方を使うようです。


【関連情報】
インフルエンザの漢方治療
http://kenko-hiro.blogspot.com/2009/05/blog-post.html

2009年4月27日月曜日

甲字湯、乙字湯、丙字湯、丁字湯について

乙字湯(おつじとう)は、痔疾(じしつ)に効果がある漢方薬として良く知られています。乙というからには、甲字湯や丙字湯はあるのでしょうか?

答えは………

あります。


『叢桂亭医事小言』(そうけいていいじしょうげん)という江戸時代後期に著された書物の中に、
甲字湯、乙字湯、丙字湯、丁字湯があります。


甲字湯(こうじとう)は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)に生姜(しょうきょう)と甘草(かんぞう)を加えた薬方です。
いわゆる210処方に含まれており、一般用薬としても販売されています。


乙字湯(おつじとう)は、現在主として使われるものは、浅田宗伯の創作した薬方で、
当帰(とうき)、 柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、当帰(とうき)、升麻(しょうま)、大黄(だいおう)、甘草(かんぞう)からなりますが、『叢桂亭医事小言』に記載の乙字湯は、
柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)各七分、升麻(しょうま)、大黄(だいおう)各四分、甘草(かんぞう)三分、大棗(たいそう)四分、生姜(しょうきょう)二分となっていて、
当帰(とうき)が含まれておらず、大棗(たいそう)と生姜(しょうきょう)が含まれています。
当帰には滋潤、鎮痛、駆瘀血作用がありますので、痔核に用いるには、
浅田宗伯の薬方が優れているように思われます。

大塚敬節は、乙字湯より大黄を去り、桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、魚腥草(ぎょせいそう:どくだみ)を加えて用いると記しています。


丙字湯は、甘草(かんぞう)六分、梔子(しし)四分、沢瀉(たくしゃ)二分、当帰(とうき)、地黄(じおう)、滑石(かっせき)、黄芩(おうごん)各五分
からなり、「諸淋を治する方」となっています。


丁字湯は、牡蛎(ぼれい)一銭六分、茯苓(ぶくりょう)一銭二分、呉茱萸(ごしゅゆ)八分、橘皮(きっぴ)四分、朮(じゅつ)、枳実(きじつ)各六分、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)各二分、人参(にんじん)三分からなる薬方です。


十干(じっかん)は、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸です。
上記のように甲乙丙丁はありますが、残りの十干の○字湯は、不明です。

2009年4月24日金曜日

WTTCと漢方

W・T・T・Cは、厳密に言えば漢方薬ではなく家伝薬の一種となりますが、藤瘤(とうりゅう)、訶子(かし)、菱実(りょうじつ)、薏苡仁(よくいにん)の4種類の生薬から成立っている、生薬製剤です。
各10~15gを煎剤として用います。

WTTC(ダブリュティーティーシー)という名は、
・藤瘤(Wisteria floribunda)
・訶子(Terminalia chebula)
・菱実(Trapa japonica)
・薏苡仁(Coix lacyma-jobi)
の植物学名(ラテン名)の頭文字をつないだものだそうです。

古くから横須賀市の薬局で、「船越の胃腸薬」と称して用いていたものを、昭和30年頃に、千葉大学の中山恒夫教授がガンに有効だと発表して有名になりました。
昭和34年ですからかなり昔の話ですが、「化学療法に関するパネルディスカッション」において千葉大の中山教授が「漢方療法の経験」と題して、胃の患者168名にWTTCを投与された症例を発表し、延命効果があったとしています。
(日本医師会雑誌、第41巻第12号、945頁、昭和34年)。
内容は、
「漢方薬というのが古くからあって,それが癌にも使われている.私,3年ばかり前に,知っている人から頼まれまして,噴門癌(胃ガン)の患者なんですが, 軽く取れると思ってあけてみましたら,Dissemination(ガンが広範囲に広がっている)のような形で全然取れませんで,Probe(試験切除) をやりました.もちろん3月ぐらいで死ぬだろう……本人にはもちろん言いませんが,『癌をすっかり取ったからお前は再発することはない』と,こう本人には 言ったんですが,家の人には『3月ぐらいで死ぬだろう』と言ったんですが,1年半くらいたってその患者がピンピンして私の所に挨拶に来ました.『先生が 言った通りだ.先生は手術がうまい,再発なんかしない.飯もだんだん食えるようになった』と,こう言うんです.それから私,こういうばかなことはない,と にかく試験切片を採って検鏡してあるんですから,確かに胼胝性潰瘍とか何とかじやない.それからこれは食べ物のせいか環境のせいか,そういう特殊なことが あるのかと思って聞きましたら,『帰ってから近所の者にすすめられて漢方薬を飲んだ.あれを今でも飲んでいる.非常に工合がいい』と,こういうことなんで す」と。                     その患者の飲んだ「漢方薬」は、藤瘤(ふじこぶ)、詞子(かし)、菱の実(ひしのみ)、薏苡仁(よく いにん)を各10gを煎じ薬として服用したというものです。藤瘤、詞子、菱の実、薏苡仁の学名の頭文字が、W、T、T、CでしたのでWTTCという処方に 名前を付けて患者に投与し、すでに転移のあるガン患者168例について調べてみたところ、WTTCを投与したグループはかなり延命効果があることが明らか となりました。私自身もWTTCを用いて、なかなか良い効果があると実感しています。」
とのことです。

胃に限らず他の臓器の者についても追試されています。


『漢方症例選集』(緒方玄芳著)にも記載されていますので、抜粋してみます。

治験例1
患者は59歳の女性。 初診は昭和47年8月28日。
現病歴=昭和47年6月、健康診断で右卵巣の異常を指摘されて、同年8月3日、某病院で手術をうけ、右卵巣に原発したもので、既に腹腔内転移が肉眼ではっきり認められる状態であった。 従って、すでに放射線治療の適応ではなかった。主治医が家族に「手遅れの状態であるから、あとは漢方でも飲んでみたらどうか」といった主旨のことを話したそうだ。
現症=体格は小柄で、筋肉は締っていて、顔色よく、生来著患を知らぬ。舌は淡紅色。脈は沈で細、小。腹部は臍から下方に正中線皮切痕がみられ、中等度の左右胸脇苦満がある。
 そこで、WTTCを投与したところ、段々元気になって、年末にはすっかり健康を取戻し、現職に復帰し、8月以後、患者は来院しなくなった。
その後、昭和48年12月初め、突然来院して右鼡径部に不調を訴えた。それから後は、またWTTCを 飲み続けた。昭和49年8月、直腸の疑いで初回の手術をうけた病院で手術をうけた。執刀医の説明によれば、前回の手術のときの病巣はきれいになっていて、 異常を認めなかった。しかし、直腸にできていたのでこれを切除して、人工肛門を増設したという。そして後三ヶ月位はもつでしょうとのことだった。
昭和49年12月2日、患者は来院して、「多量の帯下が流出し、また左下腹部におできが生じた」と訴えた。みると腹部は腹水のため高度に膨隆し、左鼡径部に拇指頭大に腫れた瘤を認める。
 托裏消毒飲を与えたところ、数日後に自潰し、開口したが、水様のものが少々流出し、肉芽の腐ったようなものが出口をふさいでいるので、千金内托散を与え たところ、約三週間できれいになった。しかし、一方、腹水は依然たまっていて、一般状態はよくならない。
ただ末期にみられる疼痛は全くといってよいほど訴えない。そんな状態がつづく内、昭和50年2月初め、死亡した旨、知らせをうけた。

治験例2
患者は40歳の男性。 初診は昭和50年5月12日。
 最初、肺ないしその附近にあって、コバルト照射で数年間はなんとか抑えていたが、昭和49年ころから腹部臓器にすすみ、最近遂に末期症状をきたした。
 そこで患者の妻に後刻薬を取りにくるようにいった。彼女が薬を取りに来たとき、「末期で腹水が一杯たまっています。」というと、彼女は「よくわかっています。病院の先生にそのことを聞きました」「漢方で も治すことはできません」「そのこともよく知っています。今の苦しみが少しでも楽になれば、と思いお願いするのです。病院の先生はあと一ヶ月の命だとおっ しゃっています」「そこまでの承知の上での話なら薬を出しましょう。今よりは楽になり、延命効果も上がると思います」といってWTTCを30日分渡した。それを飲み終えて、次回、請薬にきた彼の妻は「腹部の膨満がとれ、小便が多量に出て、
食欲が出て、浣腸なしで便通がある。顔面浮腫が消えた。」と報告してくれた。
 その後もひきつづき服用したが、9月10日の時点では顔に浮腫があわわれ、衰弱が増してきて、一ヵ月後には遂に死亡した。

治験例3
患者は70歳の男性。 初診は昭和50年5月28日。
現病歴=昭和49年7月10日、直腸で某病院で切除術と人工肛門増設術とをうけた。昭和50年1月腹水がたまって、微熱が続くようになった(主治医は今年6月までもてばよい方でしょう、といった由)。
 を投与したところ、まず、熱がでなくなり、浮腫と腹水が現象し、食欲が増進した。つづけて投与し、10月18日、請薬に来院した時は浮腫、腹水とも消失し、体重が2kg増え、調子がよいといっていた。
 後日,新聞紙上で彼の死亡報道を読み、以外に思った。数日後、遺族の話をきいたところ、次のような経過を聞いた。
 「死亡の数日前、勤務先で尻持ちをついて、腎部を強打し、その直後入院したが、腹水が急に大量にたまってきて、遂に死亡した。
その間、余り苦しむことがなかった。」と。

長倉製薬株式会社(大阪)が、W.T.T.C.という名称で商品化しています。
(粒状の医薬品です)


土方康世氏(茨木市・東洋堂土方医院)は、WTTCに霊芝・梅寄生(ラテン名の頭文字GE)を加方したものを、WTTC-GEと称して、癌(がん)の他、単純ヘルペス感染症(口唇ヘルペス、ヘルペス性口内炎、性器ヘルペス等)や、慢性肝炎、アトピー性皮膚炎に応用されています。

アトピー性皮膚炎に対する効果は、下記のサイトで概容を見ることができます。
http://nels.nii.ac.jp/els/110002536680.pdf?id=ART0002814846&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1240553272&cp=


癌(ガン)に応用される漢方薬などについては、下記のサイトもご参考下さい。
http://kenko-hiro.blogspot.com/2008/11/blog-post_28.html

2009年4月23日木曜日

うつ(鬱)に良く使われる漢方薬

 うつ病に関しては、国内の患者は100万人を超えると言われています。「心の風邪」とも言われ、正しい治療を行えば、一般的には半年から1年で治ると言われています。

 しかしNHKの報道では、実際には4人に1人は治療が2年以上かかり、半数が再発するとのことです。

 更には、医師の能力にも問題があり、不必要に多くの種類や量の抗うつ薬を投与され、薬の副作用で、病気がひどくなったりしている人もいるとも放送していました。

 今まで飲んでいた薬を減らすことで、劇的に改善した方も出演していました。
何か症状が出るとそれに対処する薬を使いたくなる気持ちは、わからないでもないですが、放送されていた薬の量は、尋常ではありませんでした。医師や薬剤師は、その薬の量を見て何とも思わないのでしょうか?

 番組では、双極性障害であるのに、うつ病の治療が行われ、良くならない例も出ていました。双極性障害の方に安易に抗うつ薬が使われると、逆効果になりかねないようです。

 「うつ先進国」のイギリスでは2年前から、国を挙げて抗うつ薬に頼らず、カウンセリングでうつを治す認知行動療法(CBT, Cognitive Behavioral Therapy)(「心理療法」)を治療の柱に据え、効果を上げているとの報道もありました。しかし日本では、まだ保険で認められていないので、全額自費になってしまい、「心理療法」を受けるのは難しいようです。

 日本の保険は、検査をしたり、薬を出したりしないとお金がもらえない仕組みです。問診にどれだけ時間を掛けても、例えば3分間しか話しを聞かなくても、1時間話しを聞いても、もらえる報酬は同じです。 ですので、保険の仕組みとして、どうしても検査漬、薬漬になりがちです。


漢方薬は、色々な症状に対して単一の処方(薬方)で対応可能なことがあります。複雑な病態の場合は、複数の処方(薬方)を合方(ごうほう・がっぽう)することもありますが、多くはせいぜい二~三方です。


うつ病に良く用いられる漢方薬には、
香蘇散(こうそさん)柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)加味逍遙散(かみしょうようさん)などのいわゆる順気剤(じゅんきざい)があります。
 その他、酸棗仁湯(さんそうにんとう)加味帰脾湯(かみきひとう)分心気飲(ぶんしんきいん)などが用いられます。

 また、体力が低下している場合など、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を併用することもあります。
症状
便秘がち










汗をかきやすい











疲れやすい







のぼせやすい










めまい











肩が凝る










耳鳴りがする










のどに何かつかえている感じ










起床時口中が粘り、苦い









ささいなことが気になる






イライラする





気分が沈む

悲しい
睡眠障害






夢をよく見る










物忘れをする










治療効果があらわれ、やや快方に向かった時に油断をしていると、突然自殺に走ってしまう場合がありますので、注意が必要です。


甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう):理由もなく悲しんだり怒ったりし、むやみにあくび(欠伸)をする。


柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):胸脇苦満(きょうきょうくまん(胸や脇の圧迫感・季肋下部の抵抗・圧痛))があり、動悸が激しく、クヨクヨする、気分が沈む等の神経症状が強い。便秘がある。
柴胡加竜骨牡蠣湯については、「柴胡加竜骨牡蠣湯 と うつ(鬱)」もご参照下さい。
http://kenko-hiro.blogspot.com/2010/09/blog-post.html

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
 体質が虚弱で、皮膚枯燥してつやがなく、脈・腹ともに力なく、胸脇苦満はほとんど認めないものに用います。

桂枝加龍骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)柴胡加竜骨牡蛎湯とほぼ同様だが、体力は弱く、胸脇苦満や便秘傾向はない。のぼせて汗が出やすく、毛髪が抜けやすい。
桂枝加竜骨牡蛎湯については、「桂枝加竜骨牡蛎湯とうつ(鬱)」もご参照下さい。
http://kenko-hiro.blogspot.com/2010/10/blog-post.html


加味逍遙散(かみしょうようさん):背中が急にカーッと熱くなり汗が出て、そのあと寒くなる。不定愁訴(ふていしゅうそ)がむやみに多い。加味逍遥散
http://kenko-hiro.blogspot.com/2010/10/blog-post_25.html


香蘇散(こうそさん):平素から胃腸が弱く、気分が沈み、ささいなことが気になる。
http://kenko-hiro.blogspot.com/2010/09/blog-post_18.html


女神散(にょしんさん): のぼせとめまいがあり、不安、動悸、不眠、頭重などの訴えのある人に使われる処方です。神経症状は一定で、余り変化せず、一つ二つの訴えをいつまでも頑固に固執する傾向があります。別名を安栄湯(あんえいとう)ともいいます。


酸棗仁湯(さんそうにんとう)
 虚弱体質で、身心の疲労、不眠を伴う鬱(うつ)に用いられます。

加味帰脾湯(かみきひとう):疲労倦怠・食欲不振・動悸・貧血・不眠・感情不安定などの精神症状の顕著な場合に用いられます。心身共に衰微している状態です。

四逆散(しぎゃくさん)
 胸脇苦満・口苦・口粘・肩背強急・心下痞鞕・手足厥冷・掌蹠自汗・疲労倦怠・神経過敏:抑鬱気分などのあるものに用いる。

・抑肝散加芍薬(よくかんさんかしゃくやく)・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
 感情不安定・興奮・多怒・寝つきが悪い・心悸亢進・腹直筋緊張・四肢痙攣などのあるものに抑肝散加芍薬を用います。
 もし、腹力低下し、腹部大動脈の拍動の亢進のある場合には抑肝散加陳皮半夏を使用する。


三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
 体力が中程度またはそれ以上で、不安感、焦燥感とともに感情の動揺が激しくて、便秘気味の人に合う処方です。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
 三黄瀉心湯とほぼ同じ症状で、便秘がない人はこちら。

半夏瀉心湯
 心窩部のもたれ、悪心、嘔吐、食欲不振、ときに心窩部の振水音、腹鳴下痢などの胃腸症状とともに、不眠、落着かないなどの精神神経症状を訴えるものに用います。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
 下腹部の急迫性の圧痛があるものに用います。多くは月経異常と便秘を伴います。
 月経時に気が荒くなって、イライラしたり、怒ったりするもの、あるいは狂ったように乱暴するもので、特殊に腹証(小腹急結(しょうふくきゅうけつ))があるものに用いる。


桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
 のぼせ、肩こり、めまい、足の冷えなどを伴う鬱(うつ)に効果があります。左の下腹部に充実した抵抗と圧痛があることも処方の目安の一つです。


当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血・顔色蒼白・手足冷・寒がり・小腹硬満・月経異常・腹痛・上腹部振水音・浮腫傾向・尿不利・無気力・疲労倦怠・前屈姿勢などのあるものに用います。
しばしば、頭冒・目眩・耳鳴・亡背強急・心悸亢進・不眠・不定愁訴・感情不安定などを伴います。


半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう): 体力がなく体質も弱い虚証タイプで、不眠感や不眠、動悸、抑欝感などがある場合に効果を発揮します。咽喉(ノド)に何かが痞えて(つかえて)いるような異物感があることが重要な目安になります。

正心湯(しょうしんとう):極度の精神疲労により、意識が呆然として、とりとめのないことを口走るというものに用いられます。

・大承気湯(だいじょうきとう):
 強い便秘・腹堅満・食欲不振・微熱・熱臭のある自汗・燥屎・口渇・心煩などのあるものに用いられます。肥満して腹力あり、便秘するものの抑鬱気分の顕著な場合、躁状態が激しく狂暴な傾向のあるある場合にも使われます。

竜骨湯(りゅうこつとう)
 他の漢方薬方が無効の際に、ときに著効がある場合があります。
 抑鬱気分・易驚・悲傷・健忘・不眠・独語・痴狂などのあるものに用いる。
 普段から驚き易く精神不安定で、希望を失い、がっかりしてよく物忘れをし、悲感的で哀愁にたえず、性欲がなくなり,時に独語を発したり精神薄弱や狂人のような者に用いる。

反鼻交感丹(はんぴこうかんたん)
 極度のうつ状態などで、呆然自失の態のものに用いて、著効のある場合があります。
 呆然自失・放心・失心・抑鬱気分・健忘などのあるものに用いられます。
 気虚が顕著で、うつ状態で気の抜けたようなもの。
 

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
 疲労倦怠・気力減退・自汗・盗汗、貧血、顔色不良、羸痩(るいそう)、全身衰弱、皮膚枯燥、口乾などのあるものに用います。


清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
 うつ傾向、泌尿生殖器系症状、胃腸虚弱を目標として用います。


茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
 急・慢性肝炎、胆石症、蕁麻疹、皮膚掻痒症などで、不眠、興奮を呈する者に用います。


苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
 不安感があって、動悸、めまい、ふらつきのある方(水毒)。
 不安神経症タイプで、不安感が強いと血圧が変動しやすく、動悸、めまいを訴える方に使われます。
 立ちくらみにも良く使われます。