健康情報: 麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう;まきょうよっかんとう) の 効能・効果 と 副作用

2012年6月7日木曜日

麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう;まきょうよっかんとう) の 効能・効果 と 副作用

漢方診療の實際』 大塚敬節 矢数道明 清水藤太郎共著 南山堂刊
 麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
麻黄四・ 杏仁三・ 薏苡仁一○・ 甘草二・
此方は能くリウマチ性の疼痛を治する効があるのて、筋肉リウマチ・関節リウマチに応用される。発熱して諸筋肉痛、または関節痛を訴える者に宜しい。急激の 症よりはやや緩症によく応ずる。本方中の麻黄と杏仁は血行を盛んにしてリウマチ性の病毒を駆逐する。薏苡仁も停滞を疎通する効があるので、麻黄・杏仁と協 力して筋肉や関節に病毒を駆逐する。甘草は諸薬を調和すると共に疼痛を緩和する効がある。
本方の応用は筋肉リウマチ・関節リウマチであるが、その他疣贅・手掌角化症などにも用いられる。これは薏苡仁に疣を消し、皮膚の栄養を良くする効があるからである。



漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
5 麻黄剤(まおうざい)
麻黄を主剤としたもので、水の変調をただすものである。したがって、麻黄剤は、瘀水(おすい)による症状(前出、気血水の項参照)を呈する人に使われる。なお麻黄剤は、食欲不振などの胃腸障害を訴えるものには用いないほうがよい。
麻黄剤の中で、麻黄湯葛根湯は、水の変調が表に限定される。これらに白朮(びゃくじゅつ)を加えたものは、表の瘀水がやや慢性化して、表よ り裏位におよぼうとする状態である。麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)・麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)は、瘀水がさらに裏位におよび、筋肉に作用 する。大青竜湯(だいせいりゅうとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)・越婢湯(えっぴとう)は、瘀水が裏位の関節にまでおよんでいる。 

4 麻杏薏甘湯(まきょうよっかんとう)  (金匱要略)
〔麻黄(まおう)四、杏仁(きょうにん)三、甘草(かんぞう)二、薏苡仁(よくいにん)一○〕
瘀水が少し深いところの筋肉の部位にあり、その瘀水にじゃまされて表位に血がめぐらず、皮膚が血燥状態(皮膚筋肉の栄養悪く、湿潤光沢や弾力 を失う)となっている。本方は、汗後冷えて疼痛を起こしたものや、諸筋肉痛または諸関節痛に用いられる。夕方になると痛みが激しくなることを目標とするこ ともある。
〔応用〕
一 筋肉リウマチ、関節リウマチその他の運動器系疾患。
一 イボ、手掌角化症、鮫肌、湿疹、水虫その他の皮膚疾患。
一 気管支台喘息、肺壊疽その他の呼吸器系疾患。
一 そのほか、神経痛、凍傷など。 




《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集 中日漢方研究会
75.麻杏薏甘湯(まきょうよっかんとう) 金匱要略
麻黄4.0 杏心g3.0 薏苡仁10.0 甘草2.0
(金匱要略)
○病者一身尽疼,発熱,日晡所劇者名風湿,此病傷於汗出当風,或久傷取冷所致也,可与本方。

現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
亜急性または慢性に関節,筋肉が痛むもの。
本方は夏期でも日没その他の原因で,身体が冷えると痛むようなリュウマチに卓効があるか台,通常急性症状には適せず,急性には葛根湯麻黄湯越婢加朮湯などを考慮すべきである。患部に麻痺感があり,四肢の屈伸がl不自由な場合は本方より桂枝加朮附湯が適当である。また色白の水太りの人で,関節が少しはれて痛みも軽微な時には防已黄耆湯がよい。本方はまた乾燥のいぼ,水虫に奏効することがあるから試みるべきである。本方を服用後浮腫を生ずる場合は五苓散で治療するとよい。


漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
本方は神経痛,リウマチ疾患一般に賞用されている処方で,急性症状よりむしろ亜急性,慢性に経過するものを目安に用いる。通常この疾患に罹患するものは,体質的な冷え症に多いが,本方が適応するものは体質的冷え症ではなく,湿度が高くなったり,気温の低下や水にぬれるなど外的条件によって,体が冷えると痛むというものによく,またフケ症の神経痛やリユウマチに応用して奇効がある。本方は一見丈夫な体を目安にするが,色白水ぶとり体質で発汗過多や軽度の浮腫など,水分代謝障害の傾向あるものには,本方と防已黄耆湯を合方投与するとさらに効果的である。また本方適応証で痛みが激しいものには芍薬甘草湯の合方を考慮するとよい。最近家庭の婦人層には指掌角化症が多くなり,中性洗剤がウンヌンされているが,その原因はともかく通常本方が一般的に応用されている。また本方のほか患部の炎症や角化の状態によって温清飲加味逍遙散柴胡清肝湯桂枝茯苓丸加ヨクイニンなどが用いられる。なかでも温清飲は患部が乾燥して充血,炎症,瘙痒性疼痛があり,しかも視診上顔色がさえず貧血の傾向があって,どうしても癒えないと訴えるものに著効がある。(後略)


漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
○発熱して(体温上昇と熱感)特に夕方熱が上がり,諸関節や各処の筋肉が腫れて痛むもの,この腫張は強いものではなく,痛みも割合に緩和である。
○本方の証は汗がでたあと風に当り,長い間からだを冷やしたためにおこることが多い。これを風湿という。
○類聚方広義には,風湿により関節が腫れて激痛のあるものは朮3.0附子0.5を加えるとよいとある。
○福井楓亭は「この症は湿気が皮膚にあって,関節には変化なく,熱が出て,からだの痛むものに用いる。この方を用いて強く発汗して病状が軽くなっても,処方はすぐ変えず,この方をつづけて用いる。もしこの方で発汗してのちも病気が治らず,関節が痛むようになれば海藻独活湯を用い,熱のある場合は当帰粘痛湯を用いるがよい。」といっている。



漢方診療の実際〉 大塚,矢数,清水 三先生
 

漢方処方解説〉 矢数 道明先生
  冷えが原因で発熱し,諸筋肉痛,または諸関節痛を訴えるものか目標で,急激の症より,やや緩症によく応ずる。皮膚は汗が出,あるいは浮腫があり,また枯燥して艶のないことが多い。頭のふけが多いというのも本方運用の目標の一つになる。



漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
構成 麻黄湯の桂枝の代わりに薏苡仁が加わったものと見るべきである。薏苡仁は表の血虚による疼痛や肌膚甲錯を治す。
   運用 1. リウマチ性の疼痛
「病者一身尽く痛み,発熱日晡所に劇しきものを風湿と名く。此病,汗出で風に当るに傷れ,或は久しく冷を取るに傷れ致す所なり。麻黄杏仁薏苡仁甘草湯を与うべし」(金匱要略湿病)この条文はよく本文の方意の核心をついて表現している。風湿とは風と湿とが一緒になったもので,風により発熱し,湿により身疼する。日晡所に劇しいとは日暮方になると疼みが増悪することで之は血の変化があることを示しており,本方に薏苡仁や杏仁の如き血に行く薬があることに対応する。汗が出れば表の腠理が開き,そこから風邪が入って来る。発汗剤を用いぬのに汗が出るのは身に水分が多いことを示し之が湿に該当する。汗が出るのは表気が漏れて表虚の状態になっていることだ。そこへ風邪が入り,熱を起すと表の虚熱になり,血は水分を失い熱を帯びて益々燥く,血燥により肌膚甲錯も起るのであって之は薏苡仁の治する所である。久しく冷を取るとは涼しい所に長居をしたり,長時間扇風機に吹かれていたり,冷水中で泳いだりなどすることで,そのために表の陽気が衰え表虚の状態になっている。それ故桂枝を加えて(麻黄加朮湯など)発表することが出来ぬ。麻黄石膏は裏水を取る薬である。之を要するに血虚燥があり,裏には湿水があるというのが本方の状態で,そのために身疼を起すものに用いる。急性亜急性の筋肉リウマチ、関節リウマチ,神経痛などでは皮膚乾燥に傾き,夕方疼痛増悪するときに適する。

運用 2. いぼ
薏苡仁はいぼとりの薬として知られているが,漢方的に見れば薏苡仁の適応証になるいぼは,血燥し且つ虚して表へ張出して来た肉である。故にあまり軟いものよりはやや堅めの方に有効であり,乾燥性のものによい。桂枝茯苓丸加薏や当帰芍薬散加薏の如きは裏の血証が必在する。いぼは漢方的には肉=血の変化であると見ているのだ。

運用 3. 水虫
水虫で乾燥性のものに使う。患部は赤くてもより落屑性でもよし,とにかく 乾燥しているのを血燥と見て本方を使う。一部がじくじくしていることが多く,それは湿と見るのである。之と同じ状態の湿疹にも使える。

運用 4. その他
妊娠腎「妊婦,浮腫,喘咳息迫,或は身体麻痺,或は疼痛する者を治す」(類聚方広義)
肺壊疽,肺膿瘍「肺癰初起,悪寒息迫,咳嗽止まず,面目浮腫,濁唾臭痰,胸痛するものを治す(同右)
此等の使い方は要するに処方中の麻黄を主にするか,杏仁を主にするか,薏苡仁を主にするか,或は此等を組み合わせたものを主にするかなどして応用をひろめて行くのだ。


勿誤方函口訣〉 浅田 宗伯先生
此方は風湿の流注して,痛み解せざる解せざる者を治す。蓋し此症風湿皮膚に有て,未だ関節に至らず,故に発熱身疼痛するのみ,此方にて強く発汗すべし,若しその証一等重き者は,明医指掌の薏苡仁湯とす。若し発汗後,病瘥えず,関節に聚って痛み,熱甚しき者は当帰粘痛湯に宜し,又一男子固身疣子数百を生じ走痛する者此方を与えて即治す空:


古方薬嚢〉 荒木 性次先生
永く冷える処に居たり,冷える仕事をしたり,また薄着して汗をうんとかくほど仕事を永くしたりりたため,身体中が疼痛し,特に午後か4時頃になると疼痛も一段強きを加え,熱も出てくるという者,冷えから起こるというのが本方の行く根本たり。



【一般用漢方製剤承認基準】
麻杏薏甘湯
〔成分・分量〕
麻黄4、杏仁3、薏苡仁10、甘草2
〔用法・用量〕

〔効能・効果〕
体力中等度なものの次の諸症:
関節痛、神経痛、筋肉痛、いぼ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)


【添付文書等に記載すべき事項】
 してはいけないこと 
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)

 次の人は服用しないこと 

生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
相談すること
1. 次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。

(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。

(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。

(4)胃腸の弱い人。

(5)発汗傾向の著しい人。

(6)高齢者。
〔マオウ又は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算
して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

(7)次の症状のある人。
むくみ1)、排尿困難2)
〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して
1g以上)含有する製剤に記載すること。2)は、マオウを含有する製剤に記載するこ
と。〕

(8)次の診断を受けた人。
高血圧1)2)、心臓病1)2)、腎臓病1)2)、甲状腺機能障害2)
〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して
1g以上)含有する製剤に記載すること。2)は、マオウを含有する製剤に記載するこ
と。〕

2. 服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

関係部位 症状
消化器 吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感

まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
症状の名称 症状
偽アルドステロン症、
ミオパチー
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。

〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕

3. 1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

4. 長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕

(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕

(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕

1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく
注意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕

2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕

3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。

〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕


保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくてもよい。〕

【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1. 次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕

2. 次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
(4)胃腸の弱い人。
(5)発汗傾向の著しい人。
(6)高齢者。
〔マオウ又は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

(7)次の症状のある人。
むくみ1)、排尿困難2)

〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。2)は、マオウを含有する製剤に記載すること。〕

(8)次の診断を受けた人。
高血圧1)2)、心臓病1)2)、腎臓病1)2)、甲状腺機能障害2)
〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。2)は、マオウを含有する製剤に記載すること。〕

2´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔2.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には2´.を記載すること。〕

3. 服用に際しては、説明文書をよく読むこと

4. 直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕


※福井楓亭(ふくい ふうてい)
一七二五年(享保十年)~一七九二(寛政四年)
折衷派
福井榕亭の父
『方読弁解』、『集験良方』、『瀕湖脈解』、『病因考』、『証治弁義』、『集験良方考按』

疝気八味方、痿症方
     

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