【一般用漢方製剤承認基準】
喘四君子湯(ぜんしくんしとう)
〔成分・分量〕 人参2-3、白朮2-4、茯苓2-4、陳皮2、厚朴2、縮砂1-2、紫蘇子2、沈香1-1.5、桑白皮1.5-2、当帰2-4、木香1-1.5、甘草1-3、生姜1、大棗2(生姜、大棗なくても可)
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力虚弱で、胃腸の弱いものの次の諸症:
気管支ぜんそく、息切
『勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯著
喘四君子湯
此の方は其の人、胃虚して時々喘息を発する者に宜し。熱なくして短気が主になる症なり。若し熱あれば、一旦、麻杏甘石の類を用ひて解熱すべし。当帰を痰に用ゆること粉々説あれども、『千金』紫蘇子湯、清肺湯、蔞貝養栄湯の類、皆降気を主とするなり。本草を精究すべし。
『勿誤薬室方函口訣解説(76)』 細野八郎
喘四君子湯
喘四君子湯は『万病回春』の喘急門に四君子湯として出ている処方です。その主治によりますと、「気短くして喘するものは、呼吸短促して痰声なきなり。四君子湯、短気を治す」と述べてあります。
喘は呼吸困難のことで、喘がはげしくなると鼻をヒクヒクと動かしたり、口を開けて肩をもたげ、起坐呼吸をするようになります。また喘鳴があるのを哮(こう)といいます。哮の時は必ず喘(呼吸困難)を伴ってきますが、喘の時は喘鳴(哮)を必ずしも伴ってきません。ですから発作で呼吸困難と喘鳴があれば哮喘といい、呼吸困難だけなら喘といいます。一般に喘は虚証の喘息にみられ、哮喘は実証によくみられます。
『方函』に、まず「短気を治す」とあります。短気とは呼吸が途切れ途危れになる状態をいいます。ですから「気短くして喘する者」とは、いいかえますと、咳や喘鳴がなく、呼吸困難を起こしている虚証の喘息の状態に喘四君子湯は用いられるわけです。
『万病回春』の喘急門の初めに「喘するものは脾胃に痰がある」とあります。呼吸困難なら気管の機能異常をすぐ考えますが、脾胃の痰と喘とは、どう結びつければよいのでしょうか。このことについて少し考えてみましょう。もちろん東洋医学でも喘は、肺にまったく異常がないとは考えていません。ただ喘鳴がないだけで少量の痰があるとしています。そして痰の原因が脾胃の中の痰、すなわち脾胃の機能低下にあると考えています。そもそも、脾胃は「生痰の源」で、肺は「貯痰の器」といって、痰は脾胃の機能異常から生じ、肺の機能低下があると、この痰が肺に貯ってくると考えています。そのため喘四君子湯には脾胃の機能異常を治す生薬がたくさん入っています。人参、白朮、茯苓、甘草、陳皮は六君子湯から半夏をとった処方になります。縮砂、木香はさらに消化力を強くします。
先ほどから痰の話をしましたが、この痰は現代医学の痰と少し違っています。痰というのは脾胃の中にある生体に必要な液状物質が、機能異常のために代謝されず、粘度を増してきて、生体に有害になったものをいいます。一般に液体は熱が加わると粘度を増します。痰も生体の中に発生した異常な熱でできてきます。この異常な熱を火といいますが、火にはいろいろのものがあります。
喘息では腎の機能異常から発生する火が、痰の生成に関係して重要になってきます。ですから喘息は、腎の機能の悪い小児期とか、老年期に多発し、腎の機能が最盛期になる壮年期に治るので、この腎の火の消長で喘息を説明しようとする学者もあります。ところでこの火が体の弱っている時に発生したのを虚火といっていますが、喘四君子湯は、虚火による喘息に効果があります。処方の中の当帰は肝の火を、沈香は腎の火を、桑白皮は肺中の火を鎮火します。
喘息の発作の時に一番問題になるのは、肺の中の火です。これが激しいと、痰は粘っこくなり、切れにくく黄色になって、呼吸困難が強くなります。桑白皮はこんな時に効果的で、たとえば麻杏甘石湯に桑白皮を加えた「万病回春」の五虎湯は麻杏甘石湯で発作が止まらない場合でも、痰の切れをよくして発作を鎮めてくれます。
また喘息は精神的興奮から発作を起こしてくることがよくあります。喘息患者は神経過敏の人が多く、怒りやすく、いらつきやすいものです。このような人を肝火が亢進しているといいます。実証であれば、柴胡、黄芩のある小柴胡湯で肝の火を処理するのですが、虚証ではこのような寒性の薬を用いることができません。そこで当帰で肝の機能を亢め、発生した肝の火を間接的に鎮火させようとしています。
そもそも病的な火は、その臓器の機能が正常であれば発生しないものです。脾胃も当然、火が発生していますが、黄連や石膏などの寒性の強い薬で消すわけにはいきません。そこで当帰の肝の火を鎮火させたように、脾胃の機能を人参、甘草、茯苓、白朮、陳皮、縮砂、木香などで強めて、脾胃の火を鎮火する方法をとっています。このように喘四君子湯は痰の発生する原因を治して喘息を治す処方です。ですから発作の時に即効性はありません。そのことを「方函口訣』では、「熱なくして短気が主なる症なり、もし熱あれば一旦麻杏甘石の類を用いて解熱すべし」と書いています。
この場合の熱は肺の中で、しかも熱の勢いの強い実熱のことをいっています。肺の実熱による発作はよく見られます。麻黄で発表し、石膏で清熱する必要があります。それが「麻杏甘石の類で解熱すべし」の意味です。また、虚証でも喘鳴、咳、切れにくい痰、呼吸困難がある発作であれば、肺に実熱がある実証の発作として麻杏甘石湯で肺熱をとる必要があります。そして発作が鎮まれば喘四君子湯を用います。
江戸時代中期に、京都に和田東郭という名医がいました。東郭は喘息の治療に苦心して、次のような治療方法を考えたと『蕉窓方意解』の中で述べています。それによりますと、「生まれつき壮実で脈や腹に力がある人は麻杏甘石湯で即効する。しかし虚弱な人で脈や腹に力がない時は、麻杏甘石湯を用いると悪化することがある。こんな時には『局方』の蘇子降気湯を用いる。もっと虚の状態が強ければ喘四君子湯がよい。喘四君子湯は老人、虚人、あるいは大病後など全身状態が悪い時の短気や喘咳にも効果がある」といっています。
この東郭の考えでもわかるように、喘四君子湯は体力や気力の衰えているような状態に用いる処方です。私どもの診療所の統計によりますと、自覚的には食欲がなく、胃がもたれたり、胃のところがチャブチャブと音をたてるなど、胃の症状や足が冷えると訴える人が多くみられました。他覚的には骨細の体格で、顔は青白く、あるいは黄色味を帯び、痩せて神経過敏で、脈の力が弱く、舌苔はほとんどなく、湿りが強くやや赤味を帯びた舌状をしています。腹部は軟弱か、あるいは薄い板を張りつめたような、心下部または両側の薄い弱い腹直筋の緊張などがみられます。また肋骨弓角は狭く心下部に振水音がみられます。胸部は呼吸困難があるのに喘鳴や乾性ラ音が少なく、実証の喘息と大分違っています。これが短気の客観的な証拠であろうと思います。
以上のような自他覚的症状のある患者に、喘四君子湯はよく効きます。この処方を飲んでいると体力がつき、次第に発作が起きなくなります。しかし時には実証性の激しい発作が起こることがありますが、こんな時には麻杏甘石湯で一時的に処置したり、麻杏甘石湯を併用して治療します。
喘四君子湯につ感ていろいろ述べてきましたが、この処方は虚弱者の、虚証の喘息に用いる薬です。虚証の時には、麻黄や石膏など、強い薬で攻撃できないので、まず生体のもとである脾胃の調理より行ないます。そのため、六君子湯を中心とした、この処方は非常に役立ちます。また六君子湯から半夏をとってあるのは、半夏が虚証のきれにくい痰の発作に悪影響を与えるためです。虚証になっていると神経過敏になって、少しの刺激でも発作を起こすので、沈香、蘇子、木香で亢ぶった精神状態を鎮静しながら、呼吸困難を軽減します。またこれらの薬は脾胃の機能を促進する作用もあるので、当帰や沈香の肝の火を鎮火する作用と共同して、脾胃の機能は喘四君子湯服用によって正常化してゆきます。そして脾胃の正常化は肺の機能の正常化につながり、喘息の体質改善へとなってきます。
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
57 四君子湯(しくんしとう) 〔和剤局方〕
人参・朮・茯苓各四・〇 甘草一・五
この四味の性は温、味は甘で、君子中和の徳に似ているから四君子湯と名づけたという。古方の人参湯の類似方で、人参湯の方中より乾姜を去って茯苓を加えたものである。一般には乾生姜〇・五~一・〇、大棗一・〇を加えて用いることが多い。
〔加減〕
喘四君子湯 人参・厚朴・蘇子・陳皮 各二・〇、茯苓・朮・当帰 各四・〇、縮砂・木香・沈香・甘草 各一・〇、桑白皮 一・五
胃腸虚弱者の喘鳴と呼吸困難の激しいときに用いる。他の薬方が胃にもたれて受けつけないというとき、肺結核の末期・肺気腫・気管支喘息・気管支拡張症などで胃障害をともない症状激しいときに用いる。
『漢方医学 Ⅲ 病名別解説篇(その1)』 財団法人日本漢方医学研究所 (山田光胤)
b.虚弱体質で麻黄剤を用いがたい場合
6.喘四君子湯
胃下垂,胃アトニーが甚しく,胃腸が弱く,常に食欲不振,下痢しやすい人が,喘息症状で苦しむときによい。やせて元気がなく,顔色がわるく,冷え症で,常に食欲が減退し,下痢しやすい。腹部は皮下脂肪が少なく,腹力がなく,心下部に振水力が著明にみとめられる。
この薬方は,胃腸の機能を改善し,体力をつけつつ,喘息症状を軽快させる効がある。
2012年10月21日日曜日
2012年10月17日水曜日
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)・洗肝明目散(せんかんめいもくさん) の 効能・効果 と 副作用
【一般用漢方製剤承認基準】
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)〔成分・分量〕 当帰1.5、川芎1.5、芍薬1.5、地黄1.5、黄芩1.5、 山梔子1.5、連翹1.5、防風1.5、決明子1.5、黄連1-1.5、荊芥1-1.5、薄荷1-1.5、羗活1-1.5、蔓荊子1-1.5、菊花 1-1.5、桔梗1-1.5、蒺梨子1-1.5、甘草1-1.5、石膏1.5-3
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度のものの次の諸症:
目の充血、目の痛み、目の乾燥
『漢方後世要方解説』 医道の日本社刊 矢数道明著
『衆方規矩解解(43)』 藤平 健
眼目門(一)
洗肝明目散
「眼目門。洗肝明目散。一切の風熱眼目に中りて、赤く腫れ、痛むを治す」。
熱があって目に炎症があって、赤く腫れて痛む場合によいということでしょうが、こういう場合は実証か虚証か、陽証か陰証かわかりませんが、中の薬味を見ますと、「沂(当帰)、芎(川芎)、【赤勺】(芍薬)、【生也】(生地黄)、連(黄連)、芩(黄芩)、丹(山梔子)、羔(石膏)、翹(連翹)、芸(防風)、荊(荊芥)、荷(薄荷)、羌(きょうかつ)、蔓(まんけいし)、菊(菊花)、蒺(蒺藜子)、桔(桔梗)、決(決明子)、甘(甘草)」の一九味です。この中には黄連や黄芩のような冷薬もありますし、当帰、川芎というような温薬も入っていますし、いろいろのものが入っておりまして、実証か虚証か判断しにくいですが、「赤く腫れ痛むを治す」ということから考えますと、これは実証であろうと、あるいは少なくとも虚実間くらいにはなるだろうと思われます。
この薬方は私も使います。といいますのは、私が終戦後間もなく眼科に帰ってきまして、教室で研究生活をしていた時に、その時の講師が眼科だけの漢方をやっておりましたが、『傷寒論』や『金匱要略』などを基本にした使い方ではないのです。ですから私どもがやっている漢方とは違うのですが:その方が洗肝明目散を、眼の赤くなる病気で、角膜にも時には変化が来たりするという病気に使って、実際に相当よくなるということを経験しまして、これを学位論文にしたのです。これを使って、当時結核性の疾患と思われていた角膜の疾患で、角膜のはじから濁りが出てくる硬化性角膜炎という病気をよく治したということです。
そんなわけで、私も充血していて赤い目にこれを使ってみますと、皆が皆よくなるわけではありませんが、かなりよくなるものがあるという経験をしました。私か使った経験からいいますと、実証か虚実間によく、あまり虚証のものにはよくないようです。実証の充血というのは、赤味が鮮明で、痛みも強いことが多いのです。そういうものを目当てにして使いますと、硬化性角膜炎のみならず、外眼部から虹彩、毛様体、およびブドウ膜などの炎症にまで効くことがあります。洗肝明目散は、私もそういう経験がありますから、実証に近い疾患で、角膜あるいは虹彩などに及ぶような場合で、西洋医学的になかなか治りにくいという場合に使ってみる価値のある薬方であると思います。
「痛み忍び難きには川(川芎)、烏(烏頭)を加う」。「翳障ある(角膜に濁りがある)には芍(芍薬)を去って蒺(蒺藜子)、賊(木賊)を加う」。「風熱肝火甚しくば荷(薄荷)を去って游(竜胆)、柴(柴胡)を加う」。「大便実せば芎(川芎)、虎(大黄)、桔(桔梗)を加う」とありますが、こういうふうにすれば効くかもしれませんが、私は洗肝明目散だけを使っております。これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります(※)。
「按ずるに眼暴に赤く痛むを治するの方なり」とありますが、こういうところが洗肝明目散の一番の眼目というところかもしれません。時間の関係で飛ばして読みます。
「暴に眼赤く、初発に升麻葛根湯を用いて蟬(蟬脱)を加え、三貼を与う。もし退かざるには敗毒散を用い虎(大黄)を加う。尚退かざるには却って五膈寛中湯を用いて酒にて調え下す」とありますが、五膈寛中湯は170頃に出ております。これは使ったこともありませんし、使い方も明確にされておりませんが、なかなか治らない場合にこういうものを使ってよい場合があるということでしょう。
※ 「これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります」の
エキス剤になっているの部分は、何か別の漢方薬方と勘違いされているのでは?
ウチダの洗肝明目湯
株式会社 ウチダ和漢薬 東京都荒川区東日暮里4-4-10
※エキス剤ではなく、煎剤(煎じ薬)
添付文書(2012 年1 月改訂(記載要領変更に伴う改訂 第1 版)1 )
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人.
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
3.服用後,次の症状があらわれることがあるので,このような症状の持続又は増強が見られた場合には,服用を中止し,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
下痢
4.1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
5.長期連用する場合には,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
効能・効果
炎症,充血,疼痛などの刺激症状のある角膜,結膜の疾患硬化性角膜炎,角膜実質炎,春季カタル,虹彩炎
用法・用量
〈用法・用量に関連する注意〉
(1)小児に服用させる場合には,保護者の指導監督のもとに服用させること.
(2)1歳未満の乳児には,医師の診療を受けさせることを優先し,止むを得ない場合にのみ服用させること.
成分・分量
本品1袋中
トウキ(当帰) 1.5g
ケイガイ(荊芥) 1.0g
センキュウ(川芎) 1.5g
ハッカ(薄荷) 1.0g
シャクヤク(芍薬) 1.5g
トウドクカツ(唐独活) 1.0g
ジオウ(地黄) 1.5g
マンケイシ(蔓荊子) 1.0g
オウゴン(黄芩) 1.5g
キクカ (菊花) 1.0g
サンシシ(山梔子) 1.5g
キキョウ(桔梗) 1.0g
ハマボウフウ(浜防風) 1.5g
シツリシ(蒺藜子) 1.0g
レンギョウ(連翹) 1.5g
カンゾウ(甘草) 1.0g
ケツメイシ(決明子) 1.5g
セッコウ(石膏) 3.0g
オウレン(黄連) 1.0g
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管すること.
(2)小児の手の届かない所に保管すること.
(3)他の容器に入れ替えないこと.(誤用の原因になったり品質が変わる.)
本剤は生薬を原料としていますので,製品により多少色が異なることがありますが,効能・効果にかわりはありません.
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)〔成分・分量〕 当帰1.5、川芎1.5、芍薬1.5、地黄1.5、黄芩1.5、 山梔子1.5、連翹1.5、防風1.5、決明子1.5、黄連1-1.5、荊芥1-1.5、薄荷1-1.5、羗活1-1.5、蔓荊子1-1.5、菊花 1-1.5、桔梗1-1.5、蒺梨子1-1.5、甘草1-1.5、石膏1.5-3
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度のものの次の諸症:
目の充血、目の痛み、目の乾燥
『漢方後世要方解説』 医道の日本社刊 矢数道明著
| 方名及び主治 | 三三 洗肝明目湯(センカンメイモクトウ) 万病回春 眼目門 ○一切の風熱、赤腫、疼痛を治す。 千葉医大実験処方 南天実、木賊各一・五 茯苓、黄芩、黄連、連翹、当帰、川芎、山梔、桔梗、柴胡、石膏各一、大黄、甘草各〇・五 |
| 処方及び薬能 | 当帰 芍薬 川芎 地黄 黄芩 梔子 連翹 防風 決明子各一・五 黄連 荊芥 メンタ 羗活 蔓荊 菊花 桔梗 蒺梨 甘草各一 石膏三
蔓荊=肝経に入り、血を凉まし、目赤を治す。 木賊=肝胆の経に入り、目翳を去る。 菊花=肝を平らにし、目を養い翳膜を去る。 蒺梨子=肝を散じて補し、目を明らかにす。 決明=肝経に入り風熱を除く、一切目疾を治す。 石膏=熱を清め、火を降す。 南天実=筋骨を強め、気力を益す。 |
| 解説及び応用 | ○実証にして炎症、充血、疼痛等刺激症状のある角膜結膜の疾患に広く応用される。経過の長びく難治とされている角膜疾患には特に必要の剤である。 千大眼科に於いて鈴木宜民教授の研究が発表されている。防風、羌活、黄連、黄芩等は眼部の充血、腫脹、疼痛には不可欠とされ、更に当帰、山梔、連翹、川芎、地黄等もこれを補助する。 ○応用 ① 硬化性角膜炎、② 角膜実質炎、③ 鞏膜炎、④ 春季カタル、⑤ 虹彩炎。 |
『衆方規矩解解(43)』 藤平 健
眼目門(一)
洗肝明目散
「眼目門。洗肝明目散。一切の風熱眼目に中りて、赤く腫れ、痛むを治す」。
熱があって目に炎症があって、赤く腫れて痛む場合によいということでしょうが、こういう場合は実証か虚証か、陽証か陰証かわかりませんが、中の薬味を見ますと、「沂(当帰)、芎(川芎)、【赤勺】(芍薬)、【生也】(生地黄)、連(黄連)、芩(黄芩)、丹(山梔子)、羔(石膏)、翹(連翹)、芸(防風)、荊(荊芥)、荷(薄荷)、羌(きょうかつ)、蔓(まんけいし)、菊(菊花)、蒺(蒺藜子)、桔(桔梗)、決(決明子)、甘(甘草)」の一九味です。この中には黄連や黄芩のような冷薬もありますし、当帰、川芎というような温薬も入っていますし、いろいろのものが入っておりまして、実証か虚証か判断しにくいですが、「赤く腫れ痛むを治す」ということから考えますと、これは実証であろうと、あるいは少なくとも虚実間くらいにはなるだろうと思われます。
この薬方は私も使います。といいますのは、私が終戦後間もなく眼科に帰ってきまして、教室で研究生活をしていた時に、その時の講師が眼科だけの漢方をやっておりましたが、『傷寒論』や『金匱要略』などを基本にした使い方ではないのです。ですから私どもがやっている漢方とは違うのですが:その方が洗肝明目散を、眼の赤くなる病気で、角膜にも時には変化が来たりするという病気に使って、実際に相当よくなるということを経験しまして、これを学位論文にしたのです。これを使って、当時結核性の疾患と思われていた角膜の疾患で、角膜のはじから濁りが出てくる硬化性角膜炎という病気をよく治したということです。
そんなわけで、私も充血していて赤い目にこれを使ってみますと、皆が皆よくなるわけではありませんが、かなりよくなるものがあるという経験をしました。私か使った経験からいいますと、実証か虚実間によく、あまり虚証のものにはよくないようです。実証の充血というのは、赤味が鮮明で、痛みも強いことが多いのです。そういうものを目当てにして使いますと、硬化性角膜炎のみならず、外眼部から虹彩、毛様体、およびブドウ膜などの炎症にまで効くことがあります。洗肝明目散は、私もそういう経験がありますから、実証に近い疾患で、角膜あるいは虹彩などに及ぶような場合で、西洋医学的になかなか治りにくいという場合に使ってみる価値のある薬方であると思います。
「痛み忍び難きには川(川芎)、烏(烏頭)を加う」。「翳障ある(角膜に濁りがある)には芍(芍薬)を去って蒺(蒺藜子)、賊(木賊)を加う」。「風熱肝火甚しくば荷(薄荷)を去って游(竜胆)、柴(柴胡)を加う」。「大便実せば芎(川芎)、虎(大黄)、桔(桔梗)を加う」とありますが、こういうふうにすれば効くかもしれませんが、私は洗肝明目散だけを使っております。これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります(※)。
「按ずるに眼暴に赤く痛むを治するの方なり」とありますが、こういうところが洗肝明目散の一番の眼目というところかもしれません。時間の関係で飛ばして読みます。
「暴に眼赤く、初発に升麻葛根湯を用いて蟬(蟬脱)を加え、三貼を与う。もし退かざるには敗毒散を用い虎(大黄)を加う。尚退かざるには却って五膈寛中湯を用いて酒にて調え下す」とありますが、五膈寛中湯は170頃に出ております。これは使ったこともありませんし、使い方も明確にされておりませんが、なかなか治らない場合にこういうものを使ってよい場合があるということでしょう。
※ 「これはエキス剤になっておりますが、エキス剤で使ってもしばしばよい場合があります」の
エキス剤になっているの部分は、何か別の漢方薬方と勘違いされているのでは?
ウチダの洗肝明目湯
株式会社 ウチダ和漢薬 東京都荒川区東日暮里4-4-10
※エキス剤ではなく、煎剤(煎じ薬)
添付文書(2012 年1 月改訂(記載要領変更に伴う改訂 第1 版)1 )
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人.
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人.
(3)胃腸が弱く下痢しやすい人.
(4)胃腸虚弱で冷え症の人.
(5)高齢者。
(5)高齢者。
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人.
(7)次の症状のある人.
むくみ
むくみ
(8)次の診断を受けた人.
高血圧、心臓病、腎臓病
高血圧、心臓病、腎臓病
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
| 関係部位 | 症状 |
| 皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
| 消化器 | 吐き気・嘔吐,食欲不振,胃部 不快感,腹痛 |
まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
| 症状の名称 | 症状 |
| 偽アルドステロン症、 ミオパチー | 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。 |
3.服用後,次の症状があらわれることがあるので,このような症状の持続又は増強が見られた場合には,服用を中止し,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
下痢
4.1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
5.長期連用する場合には,医師,薬剤師又は登録販売者に相談すること
効能・効果
炎症,充血,疼痛などの刺激症状のある角膜,結膜の疾患硬化性角膜炎,角膜実質炎,春季カタル,虹彩炎
用法・用量
| 年齢 | 1日量 |
| 大人(13 才以上) | 1袋(1日分)につき水600mL(約3合3勺)を加え,あまり強くない火にかけ300mL(約1合7勺)に煮つめ,袋をとり出し,2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。 |
| 13 才未満5 才迄 | 大人の煎液の1/2 量を2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。 |
| 5 才未満 | 大人の煎液の1/3 量を2~3回に分けて食前1時間または食間空腹時に温服する。 |
〈用法・用量に関連する注意〉
(1)小児に服用させる場合には,保護者の指導監督のもとに服用させること.
(2)1歳未満の乳児には,医師の診療を受けさせることを優先し,止むを得ない場合にのみ服用させること.
成分・分量
本品1袋中
トウキ(当帰) 1.5g
ケイガイ(荊芥) 1.0g
センキュウ(川芎) 1.5g
ハッカ(薄荷) 1.0g
シャクヤク(芍薬) 1.5g
トウドクカツ(唐独活) 1.0g
ジオウ(地黄) 1.5g
マンケイシ(蔓荊子) 1.0g
オウゴン(黄芩) 1.5g
キクカ (菊花) 1.0g
サンシシ(山梔子) 1.5g
キキョウ(桔梗) 1.0g
ハマボウフウ(浜防風) 1.5g
シツリシ(蒺藜子) 1.0g
レンギョウ(連翹) 1.5g
カンゾウ(甘草) 1.0g
ケツメイシ(決明子) 1.5g
セッコウ(石膏) 3.0g
オウレン(黄連) 1.0g
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管すること.
(2)小児の手の届かない所に保管すること.
(3)他の容器に入れ替えないこと.(誤用の原因になったり品質が変わる.)
本剤は生薬を原料としていますので,製品により多少色が異なることがありますが,効能・効果にかわりはありません.
2012年10月14日日曜日
神仙太乙膏(しんせんたいつこう) の 効能・効果 と 副作用
【一般用漢方製剤承認基準】
神仙太乙膏(しんせんたいつこう)
〔成分・分量〕 当帰1、桂皮1、大黄1、芍薬1、地黄1、玄参1、白芷1、ゴマ油30-48、黄蝋12-48
〔用法・用量〕 外用
〔効能・効果〕 切り傷、かゆみ、虫刺され、軽いとこずれ、やけど
『訓註和剤局方』 陳師文編纂 吉富兵衛訓註 緑書房刊
八発擁疽, 一切の悪瘡軟痛を治す。年月の深遠を問わず, 已に膿を成すにも, 未だ膿を成さざるにも,之を貼れば即ち 効あり。蛇,虎,蜴,犬.湯火,刀斧に傷付けられるに,並びに内服,外貼すべし。背に発するには,先ず温水を以て瘡を洗い,拭き乾かし,吊子 を用い薬を灘げ貼り,傍,水を用いて一粒を下す。血気には,木通酒にて下す。赤白帯下は当帰酒にて下す。咳漱・喉閉・纏喉風には,並びに綿に裏み含み化す。一切の赤眼には,太陽穴に貼 り,後に山楯子湯を用いて下す。打撲傷損には,薬を貼り,傍, 橘皮湯を用い下す。腰膝痛には,之を貼り,塩湯にて下す。唾血には,桑白皮湯に て下す。諸漏には,先ず塩湯を以て其の諸瘡痴を洗う。並びに大小を量り,紙を以て薬を灘げ之を 貼り,並びに毎服一粒。桜桃大に旋円し,蛤粉を以て衣と為す。其の薬は十年を収めても壊れざるべし。愈久しく愈烈し,神効具に述ぶべからず。
川当帰(去藍), 玄参, 肉桂(去粗皮), 生乾地 黄, 赤右薬, 白苗, 大黄各一両
上七味を到み松子大の如くし, 麻油二斤を用い て浸すこと, 春は五日, 夏は三日, 秋は七日, 冬 は十日澤を濾し去り, 油熱して所を得せしめ, 次 に黄丹一斤を下し, 以て油を滴らして水中に在り て散ぜざるを度となす。
一般用漢方製剤承認基準では、外用となっていますが、
原典である和剤局方では、外用のみならず、
内服の方法も書かれています。
また、もともとは、硬膏ですが、
現在市販されているものは、軟膏になっています。
既存の神仙太乙膏
製造販売元 メルスモン製薬株式会社
商品名:タイツコウ
使用上の注意
[相談すること]
①次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談してください。
1.医師により治療をうけている人
2.本人又は家族がアレルギー体質の人
3.今までに薬や化粧品等によるアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人
4.湿潤やただれのひどい人
5.傷口が化膿している人
6.患部が広範囲の人
②次の場合は、直ちに使用を中止し、この文書を持って医師または薬剤師に相談してください。
1.使用後、次の症状があらわれた場合
2. 5-6日間使用しても症状の改善がみられない場合
【効能・効果】
きりきず(切傷)、虫さされ(蚊傷)、とこずれ(褥瘡)、やけど及びその他の肉芽形成(火傷)
【用法・用量】
外用、適量を患部に塗布する。
(用法及び用量に関連する注意)
(1)小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。
(2)目に入らないように注意して下さい。万一目に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗ってください。 なお、症状が重い場合には、眼科医の診察を受けてください。
(3)外用にのみ使用してください。
【タイツコウ軟膏はこのようにご使用ください。】
(1)患部を清潔にしてから、1日2-3回皮膚をいためないように静かに塗布してください。
(他の軟膏剤のように患部にスリ込むのではなく、患部の上に置いておくといった感じでご使用ください。)
(2)患部の傷口、はれがひどい場合は、患部をつつみこむように厚めに塗るか、ガーゼに塗って患部にはって下さい。
(3)直射日光下で使用の際、日やけするおそれがありますので患部をガーゼ等でおさえてご使用ください。
【成分・分量】
103g中
トウキ、ケイヒ、ダイオウ、シャクヤク、ジオウ、ゲンジン、ビャクシ:各1g
ゴマ油、ミツロウ:各48g
【保管及び取り扱い上の注意】
1.高温・直射日光をさけ、なるべく湿気の少ないなるべく涼しい所に、必ず密栓して保管してください。
2.小児の手のとどかない所に保管してください。
3.誤用をさけ、品質を保持するため、他の容器に入れかえないようにしてください。
4.本剤は生薬(薬用の草根木皮)を用いた製品ですので、製品により、軟膏の色調が多少異なる事がありますが、効果に変わりありません。
【製造販売元】
メルスモン製薬株式会社
〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目39番1号 堀越ビル3階
048-223-1755(代表)
『漢方薬の選び方・使い方』 木下繁太朗著 土屋書店刊
神仙太乙膏
症状
広く万能的に使え効果があるところから、神仙の名がついたもので、家庭常備薬として便利なものです。消炎、鎮痛、解毒、肉芽形成作用があって、外傷、やけど、虫刺されをはじめ、広く皮膚疾患に応用します。患部に直接塗るか、ガーゼなどにのばして貼ります。制菌作用があるので、擦り傷、軽い切り傷にも使えます。
適応
やけど(第一、二、三度を通じて使えます。)外傷(切り傷、擦り傷)、虫刺され(かゆみが止まります)、打撲、打ち身、捻挫(布にのばして貼る)、瘭疽(布にのばして貼っておく)、湿疹、口内炎、歯槽膿漏(口の中にも塗れる)、結膜炎、鼻炎、口角炎、下腿腫瘍、褥瘡(とこずれ)。
【処方】胡麻油480ml。蜜蠟480ml。
当帰(とうき)、桂皮(けいひ)、唐大黄(とうだいおう)、芍薬(しゃくやく)、玄参(げんじん)、熟地黄(じゅくじおう)、白芷(びゃくし) 各10g。
神仙太乙膏(しんせんたいつこう)
〔成分・分量〕 当帰1、桂皮1、大黄1、芍薬1、地黄1、玄参1、白芷1、ゴマ油30-48、黄蝋12-48
〔用法・用量〕 外用
〔効能・効果〕 切り傷、かゆみ、虫刺され、軽いとこずれ、やけど
『訓註和剤局方』 陳師文編纂 吉富兵衛訓註 緑書房刊
八発擁疽, 一切の悪瘡軟痛を治す。年月の深遠を問わず, 已に膿を成すにも, 未だ膿を成さざるにも,之を貼れば即ち 効あり。蛇,虎,蜴,犬.湯火,刀斧に傷付けられるに,並びに内服,外貼すべし。背に発するには,先ず温水を以て瘡を洗い,拭き乾かし,吊子 を用い薬を灘げ貼り,傍,水を用いて一粒を下す。血気には,木通酒にて下す。赤白帯下は当帰酒にて下す。咳漱・喉閉・纏喉風には,並びに綿に裏み含み化す。一切の赤眼には,太陽穴に貼 り,後に山楯子湯を用いて下す。打撲傷損には,薬を貼り,傍, 橘皮湯を用い下す。腰膝痛には,之を貼り,塩湯にて下す。唾血には,桑白皮湯に て下す。諸漏には,先ず塩湯を以て其の諸瘡痴を洗う。並びに大小を量り,紙を以て薬を灘げ之を 貼り,並びに毎服一粒。桜桃大に旋円し,蛤粉を以て衣と為す。其の薬は十年を収めても壊れざるべし。愈久しく愈烈し,神効具に述ぶべからず。
川当帰(去藍), 玄参, 肉桂(去粗皮), 生乾地 黄, 赤右薬, 白苗, 大黄各一両
上七味を到み松子大の如くし, 麻油二斤を用い て浸すこと, 春は五日, 夏は三日, 秋は七日, 冬 は十日澤を濾し去り, 油熱して所を得せしめ, 次 に黄丹一斤を下し, 以て油を滴らして水中に在り て散ぜざるを度となす。
一般用漢方製剤承認基準では、外用となっていますが、
原典である和剤局方では、外用のみならず、
内服の方法も書かれています。
また、もともとは、硬膏ですが、
現在市販されているものは、軟膏になっています。
既存の神仙太乙膏
製造販売元 メルスモン製薬株式会社
商品名:タイツコウ
使用上の注意
[相談すること]
①次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談してください。
1.医師により治療をうけている人
2.本人又は家族がアレルギー体質の人
3.今までに薬や化粧品等によるアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人
4.湿潤やただれのひどい人
5.傷口が化膿している人
6.患部が広範囲の人
②次の場合は、直ちに使用を中止し、この文書を持って医師または薬剤師に相談してください。
1.使用後、次の症状があらわれた場合
| 関係部位 | 症状 |
| 皮ふ | 発疹、発赤、かゆみ |
2. 5-6日間使用しても症状の改善がみられない場合
【効能・効果】
きりきず(切傷)、虫さされ(蚊傷)、とこずれ(褥瘡)、やけど及びその他の肉芽形成(火傷)
【用法・用量】
外用、適量を患部に塗布する。
(用法及び用量に関連する注意)
(1)小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。
(2)目に入らないように注意して下さい。万一目に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗ってください。 なお、症状が重い場合には、眼科医の診察を受けてください。
(3)外用にのみ使用してください。
【タイツコウ軟膏はこのようにご使用ください。】
(1)患部を清潔にしてから、1日2-3回皮膚をいためないように静かに塗布してください。
(他の軟膏剤のように患部にスリ込むのではなく、患部の上に置いておくといった感じでご使用ください。)
(2)患部の傷口、はれがひどい場合は、患部をつつみこむように厚めに塗るか、ガーゼに塗って患部にはって下さい。
(3)直射日光下で使用の際、日やけするおそれがありますので患部をガーゼ等でおさえてご使用ください。
【成分・分量】
103g中
トウキ、ケイヒ、ダイオウ、シャクヤク、ジオウ、ゲンジン、ビャクシ:各1g
ゴマ油、ミツロウ:各48g
【保管及び取り扱い上の注意】
1.高温・直射日光をさけ、なるべく湿気の少ないなるべく涼しい所に、必ず密栓して保管してください。
2.小児の手のとどかない所に保管してください。
3.誤用をさけ、品質を保持するため、他の容器に入れかえないようにしてください。
4.本剤は生薬(薬用の草根木皮)を用いた製品ですので、製品により、軟膏の色調が多少異なる事がありますが、効果に変わりありません。
【製造販売元】
メルスモン製薬株式会社
〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目39番1号 堀越ビル3階
048-223-1755(代表)
『漢方薬の選び方・使い方』 木下繁太朗著 土屋書店刊
神仙太乙膏
症状
広く万能的に使え効果があるところから、神仙の名がついたもので、家庭常備薬として便利なものです。消炎、鎮痛、解毒、肉芽形成作用があって、外傷、やけど、虫刺されをはじめ、広く皮膚疾患に応用します。患部に直接塗るか、ガーゼなどにのばして貼ります。制菌作用があるので、擦り傷、軽い切り傷にも使えます。
適応
やけど(第一、二、三度を通じて使えます。)外傷(切り傷、擦り傷)、虫刺され(かゆみが止まります)、打撲、打ち身、捻挫(布にのばして貼る)、瘭疽(布にのばして貼っておく)、湿疹、口内炎、歯槽膿漏(口の中にも塗れる)、結膜炎、鼻炎、口角炎、下腿腫瘍、褥瘡(とこずれ)。
【処方】胡麻油480ml。蜜蠟480ml。
当帰(とうき)、桂皮(けいひ)、唐大黄(とうだいおう)、芍薬(しゃくやく)、玄参(げんじん)、熟地黄(じゅくじおう)、白芷(びゃくし) 各10g。
2012年10月13日土曜日
梔子柏皮湯(ししはくひとう) の 効能・効果 と 副作用
『《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会
31.梔子柏皮湯(ししはくひとう) 傷寒論
梔子3.0 甘草1.0 黄柏2.0
(傷寒論)
○傷寒、身黄発熱,本方主之(陽明)
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
肝臓部の緩和な圧迫感,軽微な黄疸症状、あるいは皮ふの瘙痒や炎症充血があるもの。症状が緩和で大黄剤が適しない虚弱者または軽症のものに用いられている。
〈カタル性黄疸〉 茵蔯蒿湯と同様に利胆作用があって肝臓疾患に用いられるが,皮ふ粘膜の発黄が緩和で胸部苦悶感なども著しくないもの。
〈ジンマ疹,皮ふ瘙痒症〉 発赤や腫脹または瘙痒を訴えるが,その他の所見が少ないもの。
〈打撲,捻挫〉 本方エキス散に卵白を加え撹拌したうえ,徐々に水を加え,適度の泥状としたものを布地にのばし,患部に繃帯しかわくごとに更新すると,痛みや腫脹をすみやかに好転させる。
〈結膜炎〉 本方を稀釈した水溶液で温罨法すると,炎症,充血などに奇効を奏することがある。肝炎,黄疸,ジンマ疹などに使うとき茵蔯蒿湯との鑑別は,本方適応症は前記のとおり,全般的に緩和であるのに対し,茵蔯蒿湯は著しい口渇,胸内苦悶,頭汗,発黄が著明で便秘する点で区別できる。黄連解毒湯はのぼせ,充血,出血その他神経症状を伴い本方の証には,これらの点が少ないことで鑑別すればよい。
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
黄疸があっても腹満や胸脇苦満の腹証がなく,悪心,嘔吐,口渇,尿利減少などのないものに用いる。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
運用 1. 黄疸
「傷寒,身黄発熱するは梔子柏皮湯之を主る。」
(傷寒論陽明病)身熱,発黄,或は瘀熱発黄に使う。麻黄連軺赤小豆湯の如く表証は兼ねず,茵蔯蒿湯の如く裏実して下すべき証なく,大小便普通のものに用いる。多少心熱煩躁の気味がある。
運用 2. 痒み
黄疸でも皮膚が痒くなるが,皮膚炎,じん麻疹,その他の皮膚病でも発赤乾燥熱感のある痒みに使う。梔子豉湯との区別は必ずしも容易でないが黄疸なら本方を使うのが普通の仕方であり,本方は小便が赤いことも参考になる。黄柏が湿熱を去り,香豉が潤す所より見れば梔子柏皮湯はかゆき皮膚面に湿り気あるべく,梔子豉湯は乾燥強きことが察せられるが,今後の経験によってその是非を確めたい。
運用 3. 眼の充血
尾台榕堂先生は,「眼球黄赤熱痛甚しきを洗ふに効あり。又胞瞼糜燮痒痛及び痘瘡落痂以後眼ナホ開かざるものは枯礬少許を加へて之を洗踊。皆妙なり」(類聚方広義)と経験を述べている。この他梔子豉湯の適応症を参照して応用の途を考えたい。
医療用漢方製剤
コタロー梔子柏皮湯エキス細粒
Shishihakuhito
〔有効成分〕
1日量6.0g(分包品:2.0g×3包)中、
日局 サンシシ 3.0g
日局 カンゾウ 1.0g
日局 オウバク 2.0g
上記の混合生薬より抽出した梔子柏皮湯の水製乾燥エキス1.2gを含有する。
〔添加物〕
ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖、プルラン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム。
*保存剤、安定剤、溶媒、溶解補助剤、基剤等は使用していない。
〔効能・効果〕
肝臓部に圧迫感があるもの。黄疸、皮膚痒症、宿酔。
〔用法・用量〕
通常、成人1日6.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
〔使用上の注意〕
(1)重要な基本的注意
1)本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
2)本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意し、異常が認められた場合には投与を中止すること。
3)他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
(2)相互作用
併用注意(併用に注意すること)
(3)副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。
1)重大な副作用
①偽アルドステロン症:低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
②ミオパシー:低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
*2)その他の副作用
(4)高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
(5)妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
(6)小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少
ない。]
〔取扱い上の注意〕
(1)漢方製剤は吸湿しやすいので、湿気を避け、直射日光の当らない涼しい場所に保管してください。
特に、ポリ瓶の場合はキャップを堅く締めて保管してください。
(2)本剤は天然の生薬を原料としていますので、ロットにより色調等に異同がありますが、効能その他に変わりはありません。
【有効成分】
本剤の有効成分は特定できないが、配合生薬のサンシシ由来のゲニポシド、カンゾウ由来のグリチルリチン酸、オウバク由来のベルベリン等が含有されている。
※参考
麻黄連軺赤小豆湯(まおうれんしょうしゃくしょうずとう;まおうれんしょうせきしょうずとう)
傷寒瘀熱裏に在れば、身必ず黄、麻黄連軺赤小豆湯これを主る。
麻黄、連軺、杏仁、赤小豆g、大棗、生梓白皮、生姜、炙甘草
31.梔子柏皮湯(ししはくひとう) 傷寒論
梔子3.0 甘草1.0 黄柏2.0
(傷寒論)
○傷寒、身黄発熱,本方主之(陽明)
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
肝臓部の緩和な圧迫感,軽微な黄疸症状、あるいは皮ふの瘙痒や炎症充血があるもの。症状が緩和で大黄剤が適しない虚弱者または軽症のものに用いられている。
〈カタル性黄疸〉 茵蔯蒿湯と同様に利胆作用があって肝臓疾患に用いられるが,皮ふ粘膜の発黄が緩和で胸部苦悶感なども著しくないもの。
〈ジンマ疹,皮ふ瘙痒症〉 発赤や腫脹または瘙痒を訴えるが,その他の所見が少ないもの。
〈打撲,捻挫〉 本方エキス散に卵白を加え撹拌したうえ,徐々に水を加え,適度の泥状としたものを布地にのばし,患部に繃帯しかわくごとに更新すると,痛みや腫脹をすみやかに好転させる。
〈結膜炎〉 本方を稀釈した水溶液で温罨法すると,炎症,充血などに奇効を奏することがある。肝炎,黄疸,ジンマ疹などに使うとき茵蔯蒿湯との鑑別は,本方適応症は前記のとおり,全般的に緩和であるのに対し,茵蔯蒿湯は著しい口渇,胸内苦悶,頭汗,発黄が著明で便秘する点で区別できる。黄連解毒湯はのぼせ,充血,出血その他神経症状を伴い本方の証には,これらの点が少ないことで鑑別すればよい。
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
黄疸があっても腹満や胸脇苦満の腹証がなく,悪心,嘔吐,口渇,尿利減少などのないものに用いる。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
運用 1. 黄疸
「傷寒,身黄発熱するは梔子柏皮湯之を主る。」
(傷寒論陽明病)身熱,発黄,或は瘀熱発黄に使う。麻黄連軺赤小豆湯の如く表証は兼ねず,茵蔯蒿湯の如く裏実して下すべき証なく,大小便普通のものに用いる。多少心熱煩躁の気味がある。
運用 2. 痒み
黄疸でも皮膚が痒くなるが,皮膚炎,じん麻疹,その他の皮膚病でも発赤乾燥熱感のある痒みに使う。梔子豉湯との区別は必ずしも容易でないが黄疸なら本方を使うのが普通の仕方であり,本方は小便が赤いことも参考になる。黄柏が湿熱を去り,香豉が潤す所より見れば梔子柏皮湯はかゆき皮膚面に湿り気あるべく,梔子豉湯は乾燥強きことが察せられるが,今後の経験によってその是非を確めたい。
運用 3. 眼の充血
尾台榕堂先生は,「眼球黄赤熱痛甚しきを洗ふに効あり。又胞瞼糜燮痒痛及び痘瘡落痂以後眼ナホ開かざるものは枯礬少許を加へて之を洗踊。皆妙なり」(類聚方広義)と経験を述べている。この他梔子豉湯の適応症を参照して応用の途を考えたい。
医療用漢方製剤
コタロー梔子柏皮湯エキス細粒
Shishihakuhito
〔有効成分〕
1日量6.0g(分包品:2.0g×3包)中、
日局 サンシシ 3.0g
日局 カンゾウ 1.0g
日局 オウバク 2.0g
上記の混合生薬より抽出した梔子柏皮湯の水製乾燥エキス1.2gを含有する。
〔添加物〕
ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖、プルラン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム。
*保存剤、安定剤、溶媒、溶解補助剤、基剤等は使用していない。
〔効能・効果〕
肝臓部に圧迫感があるもの。黄疸、皮膚痒症、宿酔。
〔用法・用量〕
通常、成人1日6.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
〔使用上の注意〕
(1)重要な基本的注意
1)本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
2)本剤にはカンゾウが含まれているので、血清カリウム値や血圧値等に十分留意し、異常が認められた場合には投与を中止すること。
3)他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
(2)相互作用
併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ①カンゾウ含有製剤 ②グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤 |
偽アルドステロン症があらわれやすくなる。 また、低カリウム血症の結果として、ミオパシーがあらわれやすくなる。(「重大な副作用」の項参照) |
グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることが考えられる。 |
(3)副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。
1)重大な副作用
①偽アルドステロン症:低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
②ミオパシー:低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
*2)その他の副作用
| 頻度不明 | |
| 消化器 | 食欲不振、胃部不快感、下痢等 |
(4)高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
(5)妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
(6)小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少
ない。]
〔取扱い上の注意〕
(1)漢方製剤は吸湿しやすいので、湿気を避け、直射日光の当らない涼しい場所に保管してください。
特に、ポリ瓶の場合はキャップを堅く締めて保管してください。
(2)本剤は天然の生薬を原料としていますので、ロットにより色調等に異同がありますが、効能その他に変わりはありません。
【有効成分】
本剤の有効成分は特定できないが、配合生薬のサンシシ由来のゲニポシド、カンゾウ由来のグリチルリチン酸、オウバク由来のベルベリン等が含有されている。
※参考
麻黄連軺赤小豆湯(まおうれんしょうしゃくしょうずとう;まおうれんしょうせきしょうずとう)
傷寒瘀熱裏に在れば、身必ず黄、麻黄連軺赤小豆湯これを主る。
麻黄、連軺、杏仁、赤小豆g、大棗、生梓白皮、生姜、炙甘草
2012年10月10日水曜日
梔子豉湯(しししとう) の 効能・効果 と 副作用
【一般用漢方製剤承認基準】
梔子豉湯(しししとう)
〔成分・分量〕 山梔子1.4-3.2、香豉2-9.5
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以下で、胸がふさがり苦しく、熱感があるものの次の諸症:
不眠、口内炎、舌炎、咽喉炎、湿疹・皮膚炎
『漢方診療の實際』 大塚敬節 矢数道明 清水藤太郎共著 南山堂刊
梔子豉湯(しししとう)
本方は心中の懊悩と身熱 とを目標としている。心中の懊悩とは、心胸中に憂悶の感があって、如何とも名状出来ない状態で、しばしば不眠を訴え、身熱とは悪感を伴わずして身体に熱感 を覚えるのをいい、この際、体温の上昇を認めなくてもよい。またその身熱は、身体の一部分に限局されていてもよい。例えば顔面もしくは肛門の周囲にだけ訴 えることがある。腹診するに心下部には堅硬膨満等の状はないが、軟弱無力という程ではない。
本方は梔子と香豉の二味から成る。梔子には消炎・鎮静の効があり、香豉もまた、鎮静の効がある。故に二味合して心中の苦煩を去り、身熱を消すのである。
本方はカタル性黄疸で心下痞満の状のないものに用いまた食道癌の如き症状を呈するものに用い、奇効を奏することがある。その他不眠・口内炎・痔核等で灼熱感のあるものにも用いることがある。
梔子甘草豉湯は、梔子豉湯に甘草を加えた方剤で、梔子豉湯の證で急迫の状あるもの、例えば呼吸浅表のものを治し、梔子生姜豉湯は梔子豉湯に生姜を加えた方剤で梔子豉湯證で、嘔吐の状あるものに用いる。
一般に、梔子剤は下痢の傾向があるものには用いない。
『漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
2 順気剤
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
59 梔子豉湯(しししとう) 〔傷寒・金匱〕
梔子三・〇 香豉四・〇
水三〇〇ccをもって、まず山梔子を煮て二〇〇ccとし、次に香豉を布に包んで加え、再び煮て一〇〇ccとし滓を去って二回に分服する。一般にはそのまま一緒に煎じて用いている。服後吐を生じた者は後の分はのませなくてもよいとある。香豉は黒大豆を特殊の醗酵方法によって製するのであるが、中国原産のもののないときは普通の納豆を乾燥したもの、あるいは大豆を蒸してから乾燥したものを代用してもよい。
〔応用〕
虚証に属するもので、胸中に気が塞がって、心中懊悩するものに用いる。
本方は主としてカタル性黄疸、食道癌・食道狭窄・不眠症・口内炎等に用いられ、また舌炎・咽喉炎・痔核・二日酔い・発汗吐下の後の虚煩・喀血・吐血・下血・身熱・心中懊悩・高血圧症・神経衰弱・ノイローゼ・血の道症・心臓病・肺結核・肺炎・流行性黄疸・胆嚢炎・凍傷・湿疹・乾癬・ヘルペス・蕁麻疹などで煩熱する者、胃炎・胃酸過多症・胃酸欠乏症・胃痛・胃潰瘍・夏に四肢煩熱して眠れぬもの等に応用される。
臨床的には胸中煩熱・不眠・出血・瘙痒・心下部の疼痛・口内の炎症・食道狭窄・黄疸等を主症として運用されるものである。
〔目標〕
心中の懊悩と身熱とが目標である。すなわち、心胸中に憂悶の感があって、いかんとも名状しがたい状態である。しばしば不眠を訴える。身熱というのは悪寒をともなわず、身体に熱感を覚えることで、体温の上昇はなくともよい。また身体の一部に限局されるてもよみもので、たとえば手足、顔面もしくは肛門の周囲にだけ訴えることもある。心下部は緊硬膨満というほどのことはなく、またそれほど軟弱でもない。
〔方解〕
山梔子は胸中の熱煩を治し、香豉は胸になじむ気を順らし、かつ胃の虚熱を去る働きや解毒作用があると考えられる。梔子には消炎鎮静の効があり、香豉にも鎮静の効がある。
主治条項に掲げてある諸症状を、龍野一雄氏は次のように整理した。
(1) 胸部症状。心中懊悩・心中結痛・心憒憒、胸中窒・喘。
(2) 神経症状。不得眠。讝語・煩・煩操。
(3) 腹部症状。腹満・胃中空虚・客気動膈・不結胸・心下濡・飢不能食・口苦・舌上苔。
(4) 体症状。身熱・悪熱・煩熱・躁・煩躁・怵惕(おそれること)・反履顚倒・身重・頭汗・手足温。
(5) 熱症状。虚煩・煩熱・煩躁・外熱・咽燥。
これらの複雑な諸症状を、山梔子と香豉の二味によって好転させるというものである。
これらの症状は余邪が心胸間に鬱滞して、虚煩するもので、この二味がよく胸中の欝邪を解するものというべきである。
〔主治〕
傷寒論(太陽病中篇)に、「発汗シテ後、虚煩眠ルコトヲ得ズ、若シ劇シキ者ハ、必ズ反履顚倒、心中懊悩(もだえ苦しむ)ス。梔子豉湯之ヲ主ル。若シ少気ノモノハ梔子甘草豉湯之ヲ主ル。若シ嘔スル者ハ、梔子生姜豉湯之ヲ主ル」とあり、
また「発汗若クハ下シ、而シテ煩熱胸中窒ル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」
「傷寒五六日、大ニ下シテ後、身熱去ラズ、心中結瘕スル者ハ、未ダ解セント欲セザルナリ、梔子豉湯之ヲ主ル」とある。
また陽明病篇に、「陽明病、脈浮ニシテ緊、咽燥口苦、腹満シテ喘シ、発熱汗出デ、悪寒セズ、反テ悪熱シ、身重シ、若シ汗ヲ発スレバ則チ躁シ、心憒憒(カイカイ;心思いみだれる貌)トシテ反テ譫語ス。若シ焼鍼ヲ加フレバ、必ず怵惕(ジュッテキ;おそれること)煩躁眠ルコトヲ得ズ。若シ之ヲ下セバ則チ胃中空虚、客気膈を動ジ心中懊悩ス。舌上苔アル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」
「陽明病、之ヲ下シテ、其ノ外ニ熱アリ、手足温カク、結胸セズ、心中懊悩、饑エテ食スルコト能ハズ、但ダ頭汗出ル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」とあり、
厥陰病篇には、「下痢ノ後、更ニ煩シ、之ヲ按ジテ心下濡(ナン;軟かい)ナル者ハ、虚煩ト為スナリ。梔子豉湯之ヲ主ル」とある。
類聚方広義には、「此方梔子、香豉ノ二味ノミ、然レドモ之ヲ其ノ証ニ施スルトキハ、其効響ノ如シ。親ラ之ヲ病者ニ試ムルニアラザレバ、焉ンゾ其ノ効ヲ知ランヤ」といっている。
古方薬嚢には、「熱のある病気にて、汗をとったり、吐かせたり、又は下剤を与えて下したりした後、胸の中が空っぽの様な、たよりない気持だして眠れず、そのひどいときには転展として落着かれない者。以上のような状態で、のどのふさがる者、或は胸の中や胃の中が痛むもの、或は手足が温かく、胸中が苦しいので、腹がへっても食べることのできない者」が梔子豉湯の証であるといっている。
〔加減〕
梔子甘草豉湯。梔子豉湯に甘草二・〇を加えた方剤で、梔子豉湯の証で、急迫の状のあるもの、たとえば呼吸浅表のもの、瘙痒激しいものなどに用いる。
梔子生姜豉湯。梔子豉湯に生姜四・〇(乾生姜は一・五)を加えたもので、梔子豉湯の証に嘔吐の状あるものに用いる。
〔治例〕
(一) 子宮出血
村民金五郎の妻、年廿五歳。子宮出血が数日続き、全身倦怠・心煩・微熱、諸薬を服するも効かなかった。梔子豉湯二貼を与えると出血は半減し、更に数貼を与えて落治した。
(二) 子宮出血
岳母某が転んで腰を打ち、その後子宮出血が続いて下腹が軽く痛いという。いろいろの薬をのんだが効がないという。余が思うに、この病は転倒して驚き惕れて起こったものである。そこで梔子豉湯を数貼与えたところ、それですっかり治った。
(三) 衂血
月洞老妃、年七十余。鼻血がどんどん出で、止血の薬をいろいろのんだが効かない。余はその様子を訊いてみると、どうも虚煩(衰弱していて神経が興奮している)の状がある。よって梔子豉湯を作って与えたところ、すぐよくなった。 (以上三例は、腹証奇覧、松川世徳の治験)
(四) 肛門瘙痒
五七歳の男子。痔核の手術を三回うけたが、そのあとで肛門の周囲がかゆくなった。夜はそのため眠れないという。身熱、虚煩眠るを得ず。心中懊悩等の傷寒論の条文にヒントを得て、梔子甘草豉湯を与えたが、三週間で全快した。(大塚敬節氏、漢方診療三十年)
(五) 食道炎
私自身が焼きたての熱い餅を急いで食べたので、食道を痛めて困った。食道に火傷を起こしたのであろう。胸中のふさがるもの、心中の結痛するものということから、梔子豉湯を思いつき、香豉がないので、山梔子と甘草二味を煎じて一服のむと著効があり、そのすばらしさに驚いた。 (大塚敬節氏、漢方診療三十年)
(六) 急性肺炎
四九歳の婦人。四〇度を越える高熱が数日続き、脳症を発して讝語狂乱の状を呈した。患者の訴えるところによれば、胸が苦しい、胸部正中線から、右乳下部にかけて苦しい。見ていると咳嗽がある。喀痰はさび色である。舌には厚い褐色の苔があり、それほど乾燥していない。脈は沈で遅のようである。腹は右季肋心下に抵抗を触れ、圧すと苦悶し、咳嗽を誘発する。右胸全面濁音で、大小水泡音を聴取する。大葉性肺炎である。
柴胡桂枝湯に、桃核承気湯を小服兼用したが、好転しない。翌日往診してみると口渇がある。一刻も水を離せない。苦しい息づかいで、呼気性呼吸困難ともいうべきものである。すなわち呼気するごとにクックッと異様な音声をたて、煩躁悶乱の状である。顔面は紅潮し、胸全体がいうにいわれず苦しいという。体温は三九度であった。
「発汗吐下の後、虚煩眠を得ず、反履顛倒、心中懊悩」「急迫の状」であるので、大塚敬節氏の助言によって、梔子甘草豉湯を与えたところ、服後時余にして粘痰が音もなく流れ出し、解熱、食欲出で、咳嗽も著しく好転し、数日にして全治した。 (著者治験、漢方百話)
梔子豉湯(しししとう)
〔成分・分量〕 山梔子1.4-3.2、香豉2-9.5
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以下で、胸がふさがり苦しく、熱感があるものの次の諸症:
不眠、口内炎、舌炎、咽喉炎、湿疹・皮膚炎
『漢方診療の實際』 大塚敬節 矢数道明 清水藤太郎共著 南山堂刊
梔子豉湯(しししとう)
本方は心中の懊悩と身熱 とを目標としている。心中の懊悩とは、心胸中に憂悶の感があって、如何とも名状出来ない状態で、しばしば不眠を訴え、身熱とは悪感を伴わずして身体に熱感 を覚えるのをいい、この際、体温の上昇を認めなくてもよい。またその身熱は、身体の一部分に限局されていてもよい。例えば顔面もしくは肛門の周囲にだけ訴 えることがある。腹診するに心下部には堅硬膨満等の状はないが、軟弱無力という程ではない。
本方は梔子と香豉の二味から成る。梔子には消炎・鎮静の効があり、香豉もまた、鎮静の効がある。故に二味合して心中の苦煩を去り、身熱を消すのである。
本方はカタル性黄疸で心下痞満の状のないものに用いまた食道癌の如き症状を呈するものに用い、奇効を奏することがある。その他不眠・口内炎・痔核等で灼熱感のあるものにも用いることがある。
梔子甘草豉湯は、梔子豉湯に甘草を加えた方剤で、梔子豉湯の證で急迫の状あるもの、例えば呼吸浅表のものを治し、梔子生姜豉湯は梔子豉湯に生姜を加えた方剤で梔子豉湯證で、嘔吐の状あるものに用いる。
一般に、梔子剤は下痢の傾向があるものには用いない。
『漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
2 順気剤
順気剤は、各種の気の症状を呈する人に使われる。順気剤には、
気の動揺している場合に用いられる動的なものと、気のうっ滞している場合に用い
られる静的なものとがある。静的なものは、体の一部に痞えや塞がりを感じるもので、この傾向が強くなるとノイローゼとなったり、自殺を考えたりする。動的なものは、ヒステリーや神経衰弱症を訴えるが、この傾向が強くなると狂暴性をおびてくる。順気剤は単独で用いられる場合もあるが、半夏厚朴湯(はんげこう ぼくとう)などのように他の薬方と併用されるのもある。
順気剤の中で、半夏厚朴湯・梔子豉湯(しししとう)・香蘇散(こうそさん)は気のうっ滞に用いられ、柴胡加竜骨牡蠣湯・柴胡桂枝乾姜湯・桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)は気の動揺が強いものに用いられ、釣藤散(ちょうとうさん)・甘麦大棗麦(かんばくたいそうとう)は気の動揺と気のうっ滞をかねそなえたもので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)は気の上逆による咳嗽を、小柴胡湯・加味逍遙散は、柴胡剤の項でのべたように潔癖症を 呈するものに用いられる。なおこのほか、駆瘀血剤の実証のもの、承気湯類(じょうきとうるい)などにも、精神不安を訴えるものがある。
各薬方の説明
2 梔子豉湯(しししとう) (傷寒論、金匱要略)
梔子豉湯の加味方
(2) 梔子生姜豉湯(しししょうきょうしとう) (傷寒論)
2 梔子豉湯(しししとう) (傷寒論、金匱要略)
〔山梔子(さんしし)三、香豉(こうし)四〕
本方も、半夏厚朴湯のように気のうっ滞しているものに使われるが、半夏厚朴湯の
ように咽中で気のうっ滞が起こるのではなく、胸中で気のうっ滞
が起こっているものである。したがって、胸中や食道が塞がった感じとなり、程度が強くなる痛むようになる。本方は虚証に用いられ、心中懊憹(しんちゅうお
うのう)、身熱(悪寒を伴わない熱感を覚えるもの)、咽喉乾燥、口苦、喘咳、腹満、自汗、身重などを目標とする。本方の身熱は、全身的に現われる場合と局所的な場合がある。また、各種の症状は急激なものが多い。なお、本方は下痢の傾向のあるものには用いられない。
〔応用〕
つぎに示すような疾患に、梔子豉湯証を呈するものが多い。
一 ノイローゼ、神経衰弱、不眠症その他の精神、神経系疾患。
一 食道炎、食道狭窄、食道癌、口内炎、咽喉炎、のどのやけどその他の食道系疾患。
一 肺結核、肺炎その他の呼吸器系疾患。
一 心臓病、高血圧症その他の循環器系疾患。
一 急性肝炎、黄疸、二日酔い、胆嚢炎その他の肝臓や胆嚢の疾患。
一 胃酸過多症、胃酸欠乏症、胃カタル、胃潰瘍その他の胃腸系疾患。
一 喀血、吐血、下血その他各種の出血。
一 湿疹、乾癬、じん麻疹、掻痒症その他の皮膚疾患。
一 そのほか、血の道、凍傷、痔核など。
梔子豉湯の加味方
(1) 梔子甘草豉湯(ししかんぞうしとう) (傷寒論)
〔梔子豉湯に甘草二を加えたもの〕
梔子豉湯證で急迫の状を訴えるものに用いられる。呼吸促拍、掻痒のはなはだしいものを目標をする。
〔応用〕
梔子剤であるために、梔子豉湯のところで示したような疾患に、梔子甘草豉湯證を呈するものが多い。
(2) 梔子生姜豉湯(しししょうきょうしとう) (傷寒論)
〔梔子豉湯に生姜四を加えたもの〕
梔子豉湯證で、嘔吐の状を訴えるものに用いられる。
〔応用〕
梔子剤であるために、梔子豉湯のところで示したような疾患に、梔子生姜豉湯證を呈するものが多い。
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
59 梔子豉湯(しししとう) 〔傷寒・金匱〕
梔子三・〇 香豉四・〇
水三〇〇ccをもって、まず山梔子を煮て二〇〇ccとし、次に香豉を布に包んで加え、再び煮て一〇〇ccとし滓を去って二回に分服する。一般にはそのまま一緒に煎じて用いている。服後吐を生じた者は後の分はのませなくてもよいとある。香豉は黒大豆を特殊の醗酵方法によって製するのであるが、中国原産のもののないときは普通の納豆を乾燥したもの、あるいは大豆を蒸してから乾燥したものを代用してもよい。
〔応用〕
虚証に属するもので、胸中に気が塞がって、心中懊悩するものに用いる。
本方は主としてカタル性黄疸、食道癌・食道狭窄・不眠症・口内炎等に用いられ、また舌炎・咽喉炎・痔核・二日酔い・発汗吐下の後の虚煩・喀血・吐血・下血・身熱・心中懊悩・高血圧症・神経衰弱・ノイローゼ・血の道症・心臓病・肺結核・肺炎・流行性黄疸・胆嚢炎・凍傷・湿疹・乾癬・ヘルペス・蕁麻疹などで煩熱する者、胃炎・胃酸過多症・胃酸欠乏症・胃痛・胃潰瘍・夏に四肢煩熱して眠れぬもの等に応用される。
臨床的には胸中煩熱・不眠・出血・瘙痒・心下部の疼痛・口内の炎症・食道狭窄・黄疸等を主症として運用されるものである。
〔目標〕
心中の懊悩と身熱とが目標である。すなわち、心胸中に憂悶の感があって、いかんとも名状しがたい状態である。しばしば不眠を訴える。身熱というのは悪寒をともなわず、身体に熱感を覚えることで、体温の上昇はなくともよい。また身体の一部に限局されるてもよみもので、たとえば手足、顔面もしくは肛門の周囲にだけ訴えることもある。心下部は緊硬膨満というほどのことはなく、またそれほど軟弱でもない。
〔方解〕
山梔子は胸中の熱煩を治し、香豉は胸になじむ気を順らし、かつ胃の虚熱を去る働きや解毒作用があると考えられる。梔子には消炎鎮静の効があり、香豉にも鎮静の効がある。
主治条項に掲げてある諸症状を、龍野一雄氏は次のように整理した。
(1) 胸部症状。心中懊悩・心中結痛・心憒憒、胸中窒・喘。
(2) 神経症状。不得眠。讝語・煩・煩操。
(3) 腹部症状。腹満・胃中空虚・客気動膈・不結胸・心下濡・飢不能食・口苦・舌上苔。
(4) 体症状。身熱・悪熱・煩熱・躁・煩躁・怵惕(おそれること)・反履顚倒・身重・頭汗・手足温。
(5) 熱症状。虚煩・煩熱・煩躁・外熱・咽燥。
これらの複雑な諸症状を、山梔子と香豉の二味によって好転させるというものである。
これらの症状は余邪が心胸間に鬱滞して、虚煩するもので、この二味がよく胸中の欝邪を解するものというべきである。
〔主治〕
傷寒論(太陽病中篇)に、「発汗シテ後、虚煩眠ルコトヲ得ズ、若シ劇シキ者ハ、必ズ反履顚倒、心中懊悩(もだえ苦しむ)ス。梔子豉湯之ヲ主ル。若シ少気ノモノハ梔子甘草豉湯之ヲ主ル。若シ嘔スル者ハ、梔子生姜豉湯之ヲ主ル」とあり、
また「発汗若クハ下シ、而シテ煩熱胸中窒ル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」
「傷寒五六日、大ニ下シテ後、身熱去ラズ、心中結瘕スル者ハ、未ダ解セント欲セザルナリ、梔子豉湯之ヲ主ル」とある。
また陽明病篇に、「陽明病、脈浮ニシテ緊、咽燥口苦、腹満シテ喘シ、発熱汗出デ、悪寒セズ、反テ悪熱シ、身重シ、若シ汗ヲ発スレバ則チ躁シ、心憒憒(カイカイ;心思いみだれる貌)トシテ反テ譫語ス。若シ焼鍼ヲ加フレバ、必ず怵惕(ジュッテキ;おそれること)煩躁眠ルコトヲ得ズ。若シ之ヲ下セバ則チ胃中空虚、客気膈を動ジ心中懊悩ス。舌上苔アル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」
「陽明病、之ヲ下シテ、其ノ外ニ熱アリ、手足温カク、結胸セズ、心中懊悩、饑エテ食スルコト能ハズ、但ダ頭汗出ル者ハ、梔子豉湯之ヲ主ル」とあり、
厥陰病篇には、「下痢ノ後、更ニ煩シ、之ヲ按ジテ心下濡(ナン;軟かい)ナル者ハ、虚煩ト為スナリ。梔子豉湯之ヲ主ル」とある。
類聚方広義には、「此方梔子、香豉ノ二味ノミ、然レドモ之ヲ其ノ証ニ施スルトキハ、其効響ノ如シ。親ラ之ヲ病者ニ試ムルニアラザレバ、焉ンゾ其ノ効ヲ知ランヤ」といっている。
古方薬嚢には、「熱のある病気にて、汗をとったり、吐かせたり、又は下剤を与えて下したりした後、胸の中が空っぽの様な、たよりない気持だして眠れず、そのひどいときには転展として落着かれない者。以上のような状態で、のどのふさがる者、或は胸の中や胃の中が痛むもの、或は手足が温かく、胸中が苦しいので、腹がへっても食べることのできない者」が梔子豉湯の証であるといっている。
〔加減〕
梔子甘草豉湯。梔子豉湯に甘草二・〇を加えた方剤で、梔子豉湯の証で、急迫の状のあるもの、たとえば呼吸浅表のもの、瘙痒激しいものなどに用いる。
梔子生姜豉湯。梔子豉湯に生姜四・〇(乾生姜は一・五)を加えたもので、梔子豉湯の証に嘔吐の状あるものに用いる。
〔治例〕
(一) 子宮出血
村民金五郎の妻、年廿五歳。子宮出血が数日続き、全身倦怠・心煩・微熱、諸薬を服するも効かなかった。梔子豉湯二貼を与えると出血は半減し、更に数貼を与えて落治した。
(二) 子宮出血
岳母某が転んで腰を打ち、その後子宮出血が続いて下腹が軽く痛いという。いろいろの薬をのんだが効がないという。余が思うに、この病は転倒して驚き惕れて起こったものである。そこで梔子豉湯を数貼与えたところ、それですっかり治った。
(三) 衂血
月洞老妃、年七十余。鼻血がどんどん出で、止血の薬をいろいろのんだが効かない。余はその様子を訊いてみると、どうも虚煩(衰弱していて神経が興奮している)の状がある。よって梔子豉湯を作って与えたところ、すぐよくなった。 (以上三例は、腹証奇覧、松川世徳の治験)
(四) 肛門瘙痒
五七歳の男子。痔核の手術を三回うけたが、そのあとで肛門の周囲がかゆくなった。夜はそのため眠れないという。身熱、虚煩眠るを得ず。心中懊悩等の傷寒論の条文にヒントを得て、梔子甘草豉湯を与えたが、三週間で全快した。(大塚敬節氏、漢方診療三十年)
(五) 食道炎
私自身が焼きたての熱い餅を急いで食べたので、食道を痛めて困った。食道に火傷を起こしたのであろう。胸中のふさがるもの、心中の結痛するものということから、梔子豉湯を思いつき、香豉がないので、山梔子と甘草二味を煎じて一服のむと著効があり、そのすばらしさに驚いた。 (大塚敬節氏、漢方診療三十年)
(六) 急性肺炎
四九歳の婦人。四〇度を越える高熱が数日続き、脳症を発して讝語狂乱の状を呈した。患者の訴えるところによれば、胸が苦しい、胸部正中線から、右乳下部にかけて苦しい。見ていると咳嗽がある。喀痰はさび色である。舌には厚い褐色の苔があり、それほど乾燥していない。脈は沈で遅のようである。腹は右季肋心下に抵抗を触れ、圧すと苦悶し、咳嗽を誘発する。右胸全面濁音で、大小水泡音を聴取する。大葉性肺炎である。
柴胡桂枝湯に、桃核承気湯を小服兼用したが、好転しない。翌日往診してみると口渇がある。一刻も水を離せない。苦しい息づかいで、呼気性呼吸困難ともいうべきものである。すなわち呼気するごとにクックッと異様な音声をたて、煩躁悶乱の状である。顔面は紅潮し、胸全体がいうにいわれず苦しいという。体温は三九度であった。
「発汗吐下の後、虚煩眠を得ず、反履顛倒、心中懊悩」「急迫の状」であるので、大塚敬節氏の助言によって、梔子甘草豉湯を与えたところ、服後時余にして粘痰が音もなく流れ出し、解熱、食欲出で、咳嗽も著しく好転し、数日にして全治した。 (著者治験、漢方百話)
2012年10月9日火曜日
柴胡枳桔湯(さいこききつとう) の 効能・効果 と 副作用
【一般用漢方製剤承認基準】
柴胡枳桔湯(さいこききつとう)
〔成分・分量〕 柴胡4-5、半夏4-5、生姜1(ヒネショウガを使用する場合3)、黄芩3、栝楼仁3、桔梗3、甘草1-2、枳実1.5-2
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以上のものの次の諸症:
せき、たん
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
41柴胡枳桔湯(さいこききつとう)〔傷寒薀要〕
柴胡・半夏各五・〇 黄芩・瓜呂実・桔梗各三・〇 枳実一・五 甘草・乾生姜各一・〇
「小結胸、脈弦数、口苦、心下硬痛、或は胸中硬満、或は脇下硬満、或は発熱、或は日晡潮熱、或は往来寒熱、耳聾、目眩するものを治す。(柴陥湯、柴胡半夏湯、瓜呂枳実湯と鑑別を要す)
この方は肋膜炎・肺炎・肋間神経痛・腹石症・胆嚢炎・膵臓炎などに応用される。
『勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯著
柴胡枳桔湯 此の方は結胸の類症にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に三方あり。胸中より心下に至るまで結痛する者を柴陥湯とす。胸中満して痛み、或は肺癰を醸さんとする者を此の方とす。また両脇まで刺痛して咳嗽甚だしき者を柴梗半夏湯とす。世医は瓜蔞枳実湯を概用すれども、此の三方を弁別するに如くはなし。
『勿誤薬室方函口訣解説(36)』 岡野正憲
柴胡枳桔湯
次は柴胡枳桔湯です。出典は『傷寒蘊要』で、「小結胸、脈弦数、口苦く、心下硬痛、あるいは胸中満して硬、あるいは脇下満して硬、あるいは発熱し、日晡所潮熱、あるいは往来寒熱、耳聾し、目眩するを治す」とあります。
これを解釈しますと、結胸といわれる、胸郭内あるいは横隔膜下の病変のために、心下部がふくらんで、石のように硬く痛むものがある。これの症状の軽いものが小結胸、重いものが大結胸といわれますが、現代医学的に肋膜、肺、横隔博下、肝臓等に炎症などがある症状と考えられます。その小結胸の状態で、脈が弓づるを張ったような弦という状態で、数が多い脈であって、口の中は苦く、みずおちが硬くなって痛むもの、あるいは胸の中が充満したようになって硬くなっているもの、あるいは脇の下が充満してように硬いもの、あるいは発熱のあるもの、あるいは熱の上下があるもの、あるいは悪寒と発熱が交互に来たりして耳が聞こえなくなり、目がくらんで目えないものなどを治す処方であるというわけです。
浅田宗伯は、「この処方は、小柴胡湯の中、人参、大棗を除いて、括蔞仁、枳実、桔梗を加えた形である」といっております。
『口訣』は、「この処方は、結胸といわれる胸郭内あるいは横隔膜下の炎症の類似の症状で、胸や季肋部の痛みがあって、咳があり、呼吸促迫し、悪寒、発熱あるを治するものであります。これの類に三つの処方があって、胸の中から心下部に至るまで、しこったように痛むのは柴陥湯の症状であって、胸の中が充満して痛んだり、呼吸器系の化膿などが起ころうとするのは、柴胡枳桔湯の症状であります。また両脇まで激しく痛んで、咳が激しいものは、柴梗半夏湯の症状であります。世の中の医師は、このような類の症例に慢然と瓜蔞枳実湯を用いるようでありますが、このように三つの処方を区別して使い分けるのに越したことはありません」といっております。
柴胡枳桔湯の応用として、肋膜炎、肺炎、肋間神経痛、胆石症、胆のう炎、膵臓炎などに用いられます。症例として『漢方と漢薬』に、三上平太氏の一例が載っております。
「患者は四四歳の男子、身体は肥満して頑健な体格、平常大酒家である。六月の初めころより次第に体が痩せてくる傾向に気づいた。また時々頭痛と軽い寒悪があったが、平常頑健な人なので、風邪くらいに考えていた。そのうち咳をすると、右の乳のあたりに痛みがあり、体温も三八・六度ほどあった。肋膜炎ではないかと思い、七月初めころ医師を訪ねた。しかし、医師は脚気であろうと注射をしたが熱は下がらず、時に三九・五~三九・六度に及ぶことがあるので、レントゲンを撮ったが、古い肺浸潤のあとを見ただけで大した所見はなかったという。七月十四日、依頼されて小生往診す。みると熱は三九・五度ほどあり、咳嗽頻発している。脈は浮緊で軽い頭痛がある。咳をすると、胸下にひびいて痛みがあるので、湿布をしていた。しかし胸部に何ら症状はないので、小生も何であろうと思案するうち、ふと患者が吐いた痰が非常に臭いのに気づいた。聞くと痰は以前から臭かったという。そこで直ちにその痰をコップに入れてみると、膿らしく見えたので、恐らくは肺膿瘍の初期であろうと思った。
薬は、まず『金匱要略』の葦茎湯に、『聖剤総録』の四順湯を合方し、
柴胡枳桔湯(さいこききつとう)
〔成分・分量〕 柴胡4-5、半夏4-5、生姜1(ヒネショウガを使用する場合3)、黄芩3、栝楼仁3、桔梗3、甘草1-2、枳実1.5-2
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以上のものの次の諸症:
せき、たん
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
41柴胡枳桔湯(さいこききつとう)〔傷寒薀要〕
柴胡・半夏各五・〇 黄芩・瓜呂実・桔梗各三・〇 枳実一・五 甘草・乾生姜各一・〇
「小結胸、脈弦数、口苦、心下硬痛、或は胸中硬満、或は脇下硬満、或は発熱、或は日晡潮熱、或は往来寒熱、耳聾、目眩するものを治す。(柴陥湯、柴胡半夏湯、瓜呂枳実湯と鑑別を要す)
この方は肋膜炎・肺炎・肋間神経痛・腹石症・胆嚢炎・膵臓炎などに応用される。
『勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯著
柴胡枳桔湯 此の方は結胸の類症にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に三方あり。胸中より心下に至るまで結痛する者を柴陥湯とす。胸中満して痛み、或は肺癰を醸さんとする者を此の方とす。また両脇まで刺痛して咳嗽甚だしき者を柴梗半夏湯とす。世医は瓜蔞枳実湯を概用すれども、此の三方を弁別するに如くはなし。
『勿誤薬室方函口訣解説(36)』 岡野正憲
柴胡枳桔湯
次は柴胡枳桔湯です。出典は『傷寒蘊要』で、「小結胸、脈弦数、口苦く、心下硬痛、あるいは胸中満して硬、あるいは脇下満して硬、あるいは発熱し、日晡所潮熱、あるいは往来寒熱、耳聾し、目眩するを治す」とあります。
これを解釈しますと、結胸といわれる、胸郭内あるいは横隔膜下の病変のために、心下部がふくらんで、石のように硬く痛むものがある。これの症状の軽いものが小結胸、重いものが大結胸といわれますが、現代医学的に肋膜、肺、横隔博下、肝臓等に炎症などがある症状と考えられます。その小結胸の状態で、脈が弓づるを張ったような弦という状態で、数が多い脈であって、口の中は苦く、みずおちが硬くなって痛むもの、あるいは胸の中が充満したようになって硬くなっているもの、あるいは脇の下が充満してように硬いもの、あるいは発熱のあるもの、あるいは熱の上下があるもの、あるいは悪寒と発熱が交互に来たりして耳が聞こえなくなり、目がくらんで目えないものなどを治す処方であるというわけです。
浅田宗伯は、「この処方は、小柴胡湯の中、人参、大棗を除いて、括蔞仁、枳実、桔梗を加えた形である」といっております。
『口訣』は、「この処方は、結胸といわれる胸郭内あるいは横隔膜下の炎症の類似の症状で、胸や季肋部の痛みがあって、咳があり、呼吸促迫し、悪寒、発熱あるを治するものであります。これの類に三つの処方があって、胸の中から心下部に至るまで、しこったように痛むのは柴陥湯の症状であって、胸の中が充満して痛んだり、呼吸器系の化膿などが起ころうとするのは、柴胡枳桔湯の症状であります。また両脇まで激しく痛んで、咳が激しいものは、柴梗半夏湯の症状であります。世の中の医師は、このような類の症例に慢然と瓜蔞枳実湯を用いるようでありますが、このように三つの処方を区別して使い分けるのに越したことはありません」といっております。
柴胡枳桔湯の応用として、肋膜炎、肺炎、肋間神経痛、胆石症、胆のう炎、膵臓炎などに用いられます。症例として『漢方と漢薬』に、三上平太氏の一例が載っております。
「患者は四四歳の男子、身体は肥満して頑健な体格、平常大酒家である。六月の初めころより次第に体が痩せてくる傾向に気づいた。また時々頭痛と軽い寒悪があったが、平常頑健な人なので、風邪くらいに考えていた。そのうち咳をすると、右の乳のあたりに痛みがあり、体温も三八・六度ほどあった。肋膜炎ではないかと思い、七月初めころ医師を訪ねた。しかし、医師は脚気であろうと注射をしたが熱は下がらず、時に三九・五~三九・六度に及ぶことがあるので、レントゲンを撮ったが、古い肺浸潤のあとを見ただけで大した所見はなかったという。七月十四日、依頼されて小生往診す。みると熱は三九・五度ほどあり、咳嗽頻発している。脈は浮緊で軽い頭痛がある。咳をすると、胸下にひびいて痛みがあるので、湿布をしていた。しかし胸部に何ら症状はないので、小生も何であろうと思案するうち、ふと患者が吐いた痰が非常に臭いのに気づいた。聞くと痰は以前から臭かったという。そこで直ちにその痰をコップに入れてみると、膿らしく見えたので、恐らくは肺膿瘍の初期であろうと思った。
薬は、まず『金匱要略』の葦茎湯に、『聖剤総録』の四順湯を合方し、
2012年10月8日月曜日
柴梗半夏湯(さいきょうはんげとう) の 効能・効果 と 副作用
【一般用漢方製剤承認基準】
柴梗半夏湯(さいきょうはんげとう)〔成分・分量〕 柴胡4、半夏4、桔梗2-3、杏仁2-3、栝楼仁2-3、黄芩2.5、大棗2.5、枳実1.5-2、青皮1.5-2、甘草1-1.5、生姜1.5(ヒネショウガを使用する場合2.5)
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以上で、かぜがこじれたものの次の症状:
腹にひびく強度のせき
『改訂3版 実用漢方処方集』 藤平 健、山田光胤/監 日本漢方協会/編 じほう社刊
柴梗半夏湯(医学入門)
効能効果
こじれた風邪で脇腹にひびく咳。柴陥湯は胸に響く咳で胸痛を伴うのが特徴だが、本方は脇腹あるいは腹に響く咳で鑑別する。(中田敬吾先生談)
成分 柴胡4 半夏4 桔梗3 杏仁3 瓜呂仁3 黄芩2.5 大棗2.5 枳実2 青皮2 甘草1.5 生姜1.5
『勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯著
柴胡枳桔湯
此の方は結胸の類症にして、胸脇痛み、咳嗽短気、寒熱ある者を治す。此の類に三方あり。胸中より心下に至るまで結痛する者を柴陥湯とす。胸中満して痛み、或は肺癰を醸さんとする者を此の方とす。また両脇まで刺痛して咳嗽甚だしき者を柴梗半夏湯とす。世医は瓜蔞枳実湯を概用すれども、此の三方を弁別するに如くはなし。
柴梗半夏湯
此の方は『蘊要』の柴胡枳桔湯に青皮、杏仁を加ふる者なり。枳桔湯の症にして、咳嗽甚だしき者に用ゆ。
『勿誤薬室方函口訣解説(35)』 寺師睦宗
柴梗半夏湯
次は柴梗半夏湯で、『医学入門』に記載してある処方です。『方函』は「発熱して咳嗽し、胸満し、両脇が針を刺すように痛むものを治す。これは邪熱が、痰を胸の中に挟んで攻めるからである」とあります。内容は、柴胡、桔梗、半夏、黄ごん、枳実、青皮、瓜呂仁、杏仁、甘草、大棗、生姜の十一味です。
『口訣』は「この方は『蘊要』の柴胡枳桔湯に青皮、杏仁を加えたものである。枳桔湯の症で咳嗽の甚だしいものに用う」とあります。柴胡枳桔湯は、小柴胡湯方中より人参、大棗を去り、瓜呂仁、枳実、桔梗を加えたもので、したがって、柴胡、黄ごん、甘草、生姜、半夏、瓜呂仁、枳実、桔梗ということになります。
この柴胡枳桔湯の『方函』には、「小結胸、脈は弦数、口は苦く、心下硬痛し、あるいは胸中満硬、あるいは脇下満硬、あるいは発熱、あるいは夕方に潮熱、あるいは往来寒熱し、耳聾し、めまいするものを治す」とあります。
また『口訣』は「この方は結胸の類症で、胸脇が痛み、咳嗽、短気、寒熱あるものを治す。この類に三方あり。胸中より心下に至るまで結痛するものは柴陥湯とする。胸中満して痛み、あるいは肺癰の出るものは柴胡枳桔湯とする。両脇まで刺痛して咳嗽の甚しいものは柴梗半夏湯がよい」といっております。
このように結胸の類には柴陥湯、柴胡枳実桔梗湯、柴梗半夏湯があります。この処方を使ったことがありませんから、何とも申し上げられません。
『東醫寶鑑』 (東医宝鑑)
柴胡2銭、瓜蔞仁・半夏・黄芩・桔梗各1銭、青皮・杏仁各8分、甘草4分、姜3片 水煎服。
『漢方処方集』 竜野一雄著 中国漢方刊
柴胡・半夏各4.0g、桔梗・杏仁・瓜蔞仁各3.0g、黄芩・大棗各2.5g、枳実・青皮各2.0g、甘草1.5g、干姜1.5g《医学入門》
気管支喘息・気管支炎・肺気腫に応用
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