防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防已 黄耆各五・ 朮 生姜 大棗各三・ 甘草一・五
本方は表が虚して、体表に水毒のあるものを治す方剤である。従って色が白く、肉は軟く、俗に水ぶとりと称する体質の人で、疲れ易く、汗の多い傾向の人に用 いる。脈は多くは浮弱である。また下肢に浮腫が多く或は膝関節の腫痛するものにも用いる。有閑婦人で肥えている人にこの證が屡々みられる。
本方は防已・黄耆・甘草・朮・生姜・大棗からなり、防已と朮は利尿・鎮痛の効があり、黄耆には体表の水を去って皮膚の栄養をよくする効があり、大棗と甘草は矯味薬に兼ねるに滋養の効がある。
本方は以上の目標に従って、肥胖症・関節炎・下腿潰瘍等に用いられる。また卵巣機能不全と診断されて、月経のとどこおりがちのものに用いて、月経を通ずることがある。
『漢方精撰百八方』
48.〔方名〕防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
〔出典〕金匱要略
〔処方〕防已、黄耆各5.0 甘草1.5 朮、生姜、大棗各3.0
〔目標〕証には、水病、身体疼重し、汗出でて悪風し、小便不利のもの、とある。
水腫があって、身体が重く感じ、重だるく痛み、発汗の傾向があり、悪風し、尿利が減少し、陰証のもの。脉は主に浮弱。 いわゆる水太りで、水毒があって、表が虚している者であるが、防已茯苓湯の場合は、肌表に水毒うっ滞がある者で、本方証では、表にも裏にも水毒があるものである。 〔かんどころ〕水ぶとり状で水腫があり、腰以下が腫れる傾向があり、虚していて疲れやすく、発汗傾向が強く、身体が重だるく、小便不利、減少する者、を目標にする。
〔応用〕目標にあげた様な症状があるもので次のような疾患に応用される。
(1)貧血性疾患で、水ぶとりの感があり、下肢に微腫があり、脚弱の傾向のある者。
(2)リウマチ、或いは関節炎で、発汗しやすく四肢に微腫があり、冷感があり、脉細弱、浮弱の者。 水腫の関節炎には、麻黄3.0 附子(1.0~2.0)を加えて更に効果がある。このような場合、水ぶとり状の体質でなくても、局部の腫脹の状態を目標として適用される。
(3)水ぶとり状の肥胖症で、多汗な者。 〔治験〕三十八才男子。やや肥満型の色白の男子、歯科医で立ち仕事が多く、左膝関節が以前より痛む事があったが、数日前から、やや熱感があり腫脹して来たという。夏は発汗しやすく、汗かきである。起居に疼痛を伴う。防已黄耆湯に麻黄2.0附子1.0を加えて投与。七日間の服薬で、腫脹、疼痛ともに消失。爾後、仕事が多く、過労になると左膝関節に異状あるが、時々、防已黄耆湯加附子を与えているうち、体質的にも改善され、疲れが減り、夏の汗の出方も減り、ゴルフをしても痛むことがなくなった。
伊藤清夫
『漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
12 解毒剤
解毒剤は、自家中毒がうつ満して起こる各種の疾患に用いられる。また、やせ薬としても繁用される。
4 防已黄蓍湯(ぼういおうぎとう) (金匱要略)
〔防已(ぼうい)、黄耆(おうぎ)各五、朮(じゅつ)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)各三、甘草(かんぞう)一・五〕
本方は、体表に瘀水があり、表と下焦が虚しているため腎障害がおき、下肢の気・血がめぐらないものに用いられる。したがって、浮腫や関節の腫
痛が起こる。本方は、色白、水ぶとりの虚証体質で、疲れやすく、汗をかきやすく、小便減少または不利となり、足が冷え、下腹部に浮腫をきたし、関節の腫痛
するもの、身体が重いなどを目標とする。
本方は、麻杏薏甘湯(前出、麻黄剤の項参照)の虚証体質者に用いられ、疼痛は軽微である。
〔応用〕
つぎに示すような疾患に、防已黄耆湯を呈するものが多。
一 腎炎、ネフローゼ、陰嚢水腫その他の泌尿器系疾患。
一 関節痛、筋炎その他の運動器系疾患。
一 じん麻疹その他の皮膚疾患。
一 そのほか、感冒、よう、月経不順、肥胖症など。
『《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会
69.防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 金匱要略
防已5.0 黄耆5.0 朮3.0 生姜3.0(乾1.0) 大棗3.0 甘草1.5
(金匱要略)
風湿,脉浮,身重,汗出悪風者,本方主之(湿)
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
水ぶとりで皮膚の色が白く,疲れ易くて浮腫または汗をかきやすいもの。
水ぶとりで皮膚の色が白く,疲れ易くて浮腫または汗をかきやすいもの。
本方は冷え症貧血気味で筋肉がぶよぶよした水ぶとりの人のヤセ薬として繁用される。反対に卒中体質で脂肪ぶとりの人には防風通聖散が適する。本方適応症状の浮腫は下肢または関節部に限られる。
〈漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
本方は望診上色白の水太り体むで筋肉は軟弱に見受けられ,夏期やあるいは少しの運動時に発汗が多く,または尿量が少なく下肢に浮腫の傾登があるなどを対象に,適応症記載の疾患に応用されている。したがって本方は組織液やリンパ液が皮下組織に異常に多く貯溜している状態の,現代医学的にWassersucht(水症)と呼ばれているものに該当すると考えられる。本方が最も繁用されているのは,料亭の中年主婦や有閑婦人などに多く見かける,水ぶとり肥胖症のヤセ薬として,その評価が高いがその目標は,色白でしまりなく ブクブク 太っている人を目安に投与されているが自他覚的に痩身を認めるためには,少なくとも六~七ヵ月以上の運用を要する。これに関連して最近生活水準が上昇し,食生活も美食に傾いたうてに,家庭の合理化による文化生活は婦人を太らせる結果となり,本方適応者が増加した感があり,生理不順や多汗あるいは夕刻になる不肢がむくむなどを訴えるものに,本方を投与し発汗が減少した,スタイルがよくなったなどと成功成た例が少なくない。以上のことから本方は男女の区別なく応用できるが,主として婦人を対象に推奨すると,特殊性が高揚する。通常女性は男子に比べて便秘症が比較的に多いので,スタイル美の効果を促進するために,本方と防風通聖散の合方を考慮すると,さらに治療効果があがる。
漢方ヤセ薬として応用されている処方に,本方と防風通聖散,大柴胡湯,桃核承気湯などがあってそれぞれの,適応条件に合して応用されているので,他のそれと異なり身体が好調となり喜ばれている。
発汗過多症には本方のほかに,五苓散(咽喉が渇いてむやみに水を欲しがり発汗する)柴胡桂枝干姜湯(衰弱して盗汗や発汗が多く,口が渇いて食欲減退)桂枝加竜骨牡蛎湯(神経衰弱の傾向がある虚弱者で汗が多い)などがあるが,詳細はいずれも各項の解説を参照されたい。
※不肢? 下肢の誤植か?
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
体表に水毒があるため,浮腫や関節の腫痛がおこるものに用いる。肥満の傾向があるが,体質は虚証なのでいわゆる水ぶとりである。色白で,筋肉軟らかく,多汗,尿利減少の傾向があり,痛れやすく,足が冷え,からだが重く,やや口渇がある。しかし必ずしも肥満が目標ではない。脈は多くは浮弱である。
○本方証は中年の婦人に多いが,必ずしもそればかりではなく,男子にも用いる。
○崇蘭館試験方「風湿の初は麻杏薏甘湯知向信r湿を発し,汗を取べし。防已黄耆湯は麻杏薏甘湯と虚実に分ちあり,麻杏薏甘湯は脈浮汗出でず悪寒する者に用い,解肌して癒ゆ。汗出で悪風する者は防已黄耆湯を用うべし」とあって本方と麻杏薏甘湯の区別がわかる。
〈漢腹証奇覧翼〉 和久田 叔寅先生
○「防已黄耆湯は水気が皮膚にあって腫れたようなもの,またほんとうにはれているものを治するものである。この方は防已が君薬で,黄耆と朮が臣薬であるけれども,黄耆が入っているところに意味がある。この黄耆は正気のめぐりをよくして,浮びあがってくる水気をめぐらして下す効がある。その他に気血の鬱滞を和解するの意味はない。病人の肌膚が肥白で,これをつまんでみるとその肉が軟虚でしまりがなく,ぐさぐさとす識ものは,正気が体表にめぐらず,浮水があふれたものである。浮腫とはいいにくいが表虚の水気とする。この証は男女老若を問わずあるけれども婦人で20才前後に急に肥満して,のぼせが強く,頬に紅がさして月経が少なくなり,気分鬱々とふさぐものにこの証がある。このように肥満するのはようように見えるが,その実は表の虚でよい徴候ではない。医者がもしその月経の不利をみて誤って通経破血の剤を投ずると奏効しないばかりか,反って害を招くことがある。かつて一男子,数年間冷え症にかかり,夏でも衣類を重ね足袋をはくという状態であらゆる温熱の薬剤をのんだが効かないので京帥に来て,名医の診察を請うたがどれも効をみなかった。ところが,一医が熟慮ののち,この方を一か月ほど与えたところ全治してしまった。
※ 和久田 叔寅 は、通常、和久田 叔虎
〈漢方診療の実際〉 大塚,矢数,清水 三先生
本方は表が虚して,体表に水毒のあるものを治す方剤である。従って色が白く,は軟く,俗に水ぶとりと称する体質の人で,疲れ易く,汗の多い傾向の人に用 いる。脈は多くは浮弱である。また下肢に浮腫が多く或は膝関節の腫痛するものにも用いる。有閑婦人で肥えている人にこの證が屡々みられる。
本方は防已・黄耆・甘草・朮・生姜・大棗からなり,防已と朮は利尿・鎮痛の効があり,黄耆には体表の水を去って皮膚の栄養をよくする効があり,大棗と甘草は矯味薬に兼ねるに滋養の効がある。
本方は以上の目標に従って,肥胖症・関節炎・下腿潰瘍等に用いられる。また卵巣機能不全と診断されて,月経のとどこおりがちのものに用いて,月経を通ずることがある。
〈漢方処方解説〉 矢数 道明先生
表が虚し,下焦が虚し,腎の障害により起こる諸症を目標とする。色白で,筋肉が軟かく,水ぶとりの体質で,疲れやすく,汗が多く,小便不利で,下腹に浮腫をきたし,膝関節の腫痛するものなどを目標とする。中年後の有閑婦人で,太って疲れやすく,身体が重いという人に用いることが多い。脈は多くは浮弱である。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
運用 1. 感冒などの急性熱病
「風湿,脉浮,身重く,汗出で悪風するものは防已黄耆湯之を主る」(金匱要略湿)風は外邪で表の陽気を虚さしめる。湿は胃の悪む所で,又好んで下を傷り,関節に流れて疼みを起させる。防已黄耆湯の証では風により表の衛気が傷られて脉浮となり,汗出悪風が起り,湿によって身重をなす。この条文の中から身重を除外すると脉浮,汗出,悪風で桂枝湯の証と区別がつかなくなる。金匱要略水気病の所にも「風水,脉浮,身重,汗出で悪風するものは防已黄耆湯之を主る。腹痛するものは芍薬を加ふ」とあって風湿の予りに風水となっているだけで同文である。実際に風邪を引いて表虚だし桂枝湯の証だと思ってさっぱり効かずに反って防已黄耆湯にしたらよく効いたという例がある。蓋し湿気の多い日本では単なる中風でなく風湿となって発病することが多いのではあるまいか。しかし桂枝湯と防已黄耆湯とは症状として単に身重の有無だけの違いではない。両者を比較してみると桂枝湯は表の陽気の虚,衛気の虚で上衝を伴う。故に頭痛等もある。防已黄耆湯は同じく衛気の虚ながら同時に湿があり,むしろ湿が主になっているから病の本は裏の中焦胃と下焦腎に在る。防已,白朮は裏を本態として表に症状が現われる場合に使う薬物である。防已黄耆湯は表熱上衝が軽く,少くとも桂枝湯のように主症にはならない。桂枝湯は中風傷寒ともに太陽病たると陽明、太陰、厥陰たるとを問わず表熱あれば使うが防已黄耆湯はただ風湿若くは風水に使うだけである。
運用 2. 浮腫
前記の風水によって全身浮腫にも使うことが出来る。風だから発熱を伴う場合である。之を表水と見れば熱発を伴わない時にも使える。その時には汗出悪風はないが,脉浮弱身重を目標にする。身重は浮腫によって身が重く感ずるのだと思えばよい。(身重を麻痺,リウマチ等に転用することが出来るが,本方を使った経験は私には未だない。)腰以下の浮腫に使う。「風水,脉浮を表に在りとなす。其人或は頭汗出で表に他病なく,病者たた下重し,腰より以上は和すとなし,腰以下当に腫れて陰に及び以て屈伸し難かるべし」(金匱要略水気病)がそれで下重即ち下身半が浮腫のために重く感じ,腰から以下,陰部に及ぶ浮腫に使うことがある。この内,陰部だけの浮刺ゆ又は炎症を伴う疾患であっても宜い。又屈伸し難しを麻痺や攣縮に転用してもいいわけだが未だ経験はない。風水だから脉は浮で,腰以下の浮腫でも脉の浮が目標になる。前に本方は下焦の変化だと述べたがこの条文でそれが確かめられたわけである。頭汗は表証だが或はというから必発ではなく,頭汗がある時もある。頭汗があっても差支えないと考えて使うべきだ。反対に頭汗脉浮,他に表証及び下半身の浮腫なき場合にも使うことが出来るだろうし,頭汗を頭部湿疹などに転用し得るであろう。
宇津木昆台先生曰く「さて其病者ただ下部に水気ありて重く,腰以上はよく和して病患なく,腰より以下腫て陰茎陰嚢に及び,足脛腰膝のびちぢみあしくなる者なり。この下重は泄利下重のいきづむ者とは異にして,上に変化なく下に腫ありて重く第一に腰の屈伸のなり難き者なり。これ表水の者なれども,一変して下部の腫るに至る証なり。然らば証を転じたるかと云にただ病状のみ転じて本方の証は少しも変ぜず(中略)この条は表にあるべき所の風水脉浮の者なれども表に病患なく,気上に逆して頭汗の出ることあれば下部の気も皆上づりになりて反て下の気の不順なる所へ水気たまりて下重く腰以下陰部までも腫れて屈伸の難き者なり。上表に和せざる処あれども病者も覚えず医者も急度目当とする処見えず。故に或は頭汗出の一証にて上逆して其上逆の為につり上られて下重をなすことを知らしめたるなり。たとひ頭汗無とも上逆の為に下に水気たまりて腫をなすと云ことを示したるなり(中略)太陽下篇の火逆の凡例の四ヶ条目にある。脉浮宣以汗解,用火灸之,邪無従出,因火而盛,病従腰以下必重而痺,名火逆也とある証と同く火に因て盛なる邪なれば,上逆の甚しきことを知るべし。然れども病は腰以下の重而痺するなれば証と病との上下の差別これにて併せ考て知るべし」(古訓医伝)証と病の上下とは病が下にあるのに症状は上に現われる。或は病が上に在るのに症状は下に現れるということで,この場合は後者を指している。つまり本質と現象とが反対部位にあることを云ったもので,漢方にはかかることが頗る多い。
※宣は宜の間違い
運用 3. 化膿症
尾台榕堂先生曰く「風毒腫,附骨疽,穿踝疽稠膿已に歇み稀膿止まず,或は痛み,或は痛まず,身体痩削し,或は浮腫を見すものを治す」(類聚方広義)風毒腫は癰,筋炎又はそれに類するもの,附骨疽は骨髄骨膜炎,結核性足関節炎,脊髄癆性潰瘍等を指すものであろう。
運用 4. 肥満症,月経不順
和久田叔寅先生曰く,「病人肌膚肥白にして之を捫するに其肉軟虚にしてしまりなく,ぐさぐさとするもの是正気表に旺せずして浮水泛濫するものなり。腫に非といえども以て表虚の水気とすべし。此証男女老少を問はずといへども多くは室女許嫁の年歯より以上廿才の前後までに卒に肥満をなして衝逆つよく両瞼紅にして経水短少,心気鬱して開かざるもの此証あり。是其の肥満を成すもの成長の時に当りて可なるに似たりといへども其実は表虚に属して以て佳候とすべからず。医若し其経行不利なるを見て誤て通経破血の剤を投ぜば徒に効果奏せざるのみならず反って禍を啓くことあらん」(腹証奇覧翼)前に防已黄耆湯証の本態は腎に在ることを述べたが,この条もそれに関連し,しかも実に巧みに運用しているので敬服の外はない。
運用 5. 冷え症
和久田叔寅先生曰く「一男子痼冷を患ること年あり。夏月衣を重ね足袋を着く。遍く温熱の剤を服して寸効なし(中略)一医生あり,深考て以此方を与ること一月許りにして宿痾全癒ゆと」(同右)防已黄耆湯が表と下焦の陽気を補い,衝気を実せしめて三焦の気を順らすというのが狙いである。
※衝気 衛気の間違い
〈勿誤方函口訣〉 浅田 宗伯先生
此方は温湿表虚の者を治す。故に自汗久しく止まず,皮表常に湿気ある者に用いて効あり。蓋し此方と麻黄杏仁甘草湯と虚実の別あり。彼湯は脈浮昔出でず悪風の者に用いて汗を発す。此方は脈浮にして,汗出で悪風の者に用いて解肌して愈ゆ。即ち傷寒中風に麻黄桂枝の分あるが如し。身重は湿邪なり,脈浮汗出では表虚する故なり。(中略)服後虫の行くが如く,腰以下水の如く云々は,皆湿気下行の徴と知るべし。
〈漢方の臨床〉 第2巻第10号 大塚 敬節先生
防已黄耆湯証は男子より婦人に多く,ことにいわゆる有閑マダムに多く見られる。水ぶとりの婦人にこの証がある。もっと痩せたいとの希望を持っている人が多い。この種の人はからだが重くて,起居動作がものうく,掃除や炊事をまめまめしくすることを好まないというよりは,それをするのが大儀である。外出しても自動車を利用し,からだを動かさないでますます肥満してくる。食事の量は少く,1回ぐらい食事をしなくても平気である。湯茶を好む人が多い。大便はたいてい毎日あるが,月経の量は少ない人がある。また不順を訴える。多汗症で夏は流れる如くである。この種の婦人で50才を越すと,膝関節の痛みを訴えるものがかなりある。また夕方,靴や足袋が窮屈になるほと足に浮腫がくる。腹診しても腹部は一体に膨張しているが抵抗や圧痛はなく軟弱である。
【一般用漢方製剤承認基準】
防已黄耆湯
〔成分・分量〕 防已4-5、黄耆5、白朮3(蒼朮も可)、生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3)、大棗3-4、甘草1.5-2
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症: 肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
【添付文書等に記載すべき事項】
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(5)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1)は、1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1
g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3. 1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
漢方ヤセ薬として応用されている処方に,本方と防風通聖散,大柴胡湯,桃核承気湯などがあってそれぞれの,適応条件に合して応用されているので,他のそれと異なり身体が好調となり喜ばれている。
発汗過多症には本方のほかに,五苓散(咽喉が渇いてむやみに水を欲しがり発汗する)柴胡桂枝干姜湯(衰弱して盗汗や発汗が多く,口が渇いて食欲減退)桂枝加竜骨牡蛎湯(神経衰弱の傾向がある虚弱者で汗が多い)などがあるが,詳細はいずれも各項の解説を参照されたい。
※不肢? 下肢の誤植か?
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
体表に水毒があるため,浮腫や関節の腫痛がおこるものに用いる。肥満の傾向があるが,体質は虚証なのでいわゆる水ぶとりである。色白で,筋肉軟らかく,多汗,尿利減少の傾向があり,痛れやすく,足が冷え,からだが重く,やや口渇がある。しかし必ずしも肥満が目標ではない。脈は多くは浮弱である。
○本方証は中年の婦人に多いが,必ずしもそればかりではなく,男子にも用いる。
○崇蘭館試験方「風湿の初は麻杏薏甘湯知向信r湿を発し,汗を取べし。防已黄耆湯は麻杏薏甘湯と虚実に分ちあり,麻杏薏甘湯は脈浮汗出でず悪寒する者に用い,解肌して癒ゆ。汗出で悪風する者は防已黄耆湯を用うべし」とあって本方と麻杏薏甘湯の区別がわかる。
〈漢腹証奇覧翼〉 和久田 叔寅先生
○「防已黄耆湯は水気が皮膚にあって腫れたようなもの,またほんとうにはれているものを治するものである。この方は防已が君薬で,黄耆と朮が臣薬であるけれども,黄耆が入っているところに意味がある。この黄耆は正気のめぐりをよくして,浮びあがってくる水気をめぐらして下す効がある。その他に気血の鬱滞を和解するの意味はない。病人の肌膚が肥白で,これをつまんでみるとその肉が軟虚でしまりがなく,ぐさぐさとす識ものは,正気が体表にめぐらず,浮水があふれたものである。浮腫とはいいにくいが表虚の水気とする。この証は男女老若を問わずあるけれども婦人で20才前後に急に肥満して,のぼせが強く,頬に紅がさして月経が少なくなり,気分鬱々とふさぐものにこの証がある。このように肥満するのはようように見えるが,その実は表の虚でよい徴候ではない。医者がもしその月経の不利をみて誤って通経破血の剤を投ずると奏効しないばかりか,反って害を招くことがある。かつて一男子,数年間冷え症にかかり,夏でも衣類を重ね足袋をはくという状態であらゆる温熱の薬剤をのんだが効かないので京帥に来て,名医の診察を請うたがどれも効をみなかった。ところが,一医が熟慮ののち,この方を一か月ほど与えたところ全治してしまった。
※ 和久田 叔寅 は、通常、和久田 叔虎
〈漢方診療の実際〉 大塚,矢数,清水 三先生
本方は表が虚して,体表に水毒のあるものを治す方剤である。従って色が白く,は軟く,俗に水ぶとりと称する体質の人で,疲れ易く,汗の多い傾向の人に用 いる。脈は多くは浮弱である。また下肢に浮腫が多く或は膝関節の腫痛するものにも用いる。有閑婦人で肥えている人にこの證が屡々みられる。
本方は防已・黄耆・甘草・朮・生姜・大棗からなり,防已と朮は利尿・鎮痛の効があり,黄耆には体表の水を去って皮膚の栄養をよくする効があり,大棗と甘草は矯味薬に兼ねるに滋養の効がある。
本方は以上の目標に従って,肥胖症・関節炎・下腿潰瘍等に用いられる。また卵巣機能不全と診断されて,月経のとどこおりがちのものに用いて,月経を通ずることがある。
〈漢方処方解説〉 矢数 道明先生
表が虚し,下焦が虚し,腎の障害により起こる諸症を目標とする。色白で,筋肉が軟かく,水ぶとりの体質で,疲れやすく,汗が多く,小便不利で,下腹に浮腫をきたし,膝関節の腫痛するものなどを目標とする。中年後の有閑婦人で,太って疲れやすく,身体が重いという人に用いることが多い。脈は多くは浮弱である。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
運用 1. 感冒などの急性熱病
「風湿,脉浮,身重く,汗出で悪風するものは防已黄耆湯之を主る」(金匱要略湿)風は外邪で表の陽気を虚さしめる。湿は胃の悪む所で,又好んで下を傷り,関節に流れて疼みを起させる。防已黄耆湯の証では風により表の衛気が傷られて脉浮となり,汗出悪風が起り,湿によって身重をなす。この条文の中から身重を除外すると脉浮,汗出,悪風で桂枝湯の証と区別がつかなくなる。金匱要略水気病の所にも「風水,脉浮,身重,汗出で悪風するものは防已黄耆湯之を主る。腹痛するものは芍薬を加ふ」とあって風湿の予りに風水となっているだけで同文である。実際に風邪を引いて表虚だし桂枝湯の証だと思ってさっぱり効かずに反って防已黄耆湯にしたらよく効いたという例がある。蓋し湿気の多い日本では単なる中風でなく風湿となって発病することが多いのではあるまいか。しかし桂枝湯と防已黄耆湯とは症状として単に身重の有無だけの違いではない。両者を比較してみると桂枝湯は表の陽気の虚,衛気の虚で上衝を伴う。故に頭痛等もある。防已黄耆湯は同じく衛気の虚ながら同時に湿があり,むしろ湿が主になっているから病の本は裏の中焦胃と下焦腎に在る。防已,白朮は裏を本態として表に症状が現われる場合に使う薬物である。防已黄耆湯は表熱上衝が軽く,少くとも桂枝湯のように主症にはならない。桂枝湯は中風傷寒ともに太陽病たると陽明、太陰、厥陰たるとを問わず表熱あれば使うが防已黄耆湯はただ風湿若くは風水に使うだけである。
運用 2. 浮腫
前記の風水によって全身浮腫にも使うことが出来る。風だから発熱を伴う場合である。之を表水と見れば熱発を伴わない時にも使える。その時には汗出悪風はないが,脉浮弱身重を目標にする。身重は浮腫によって身が重く感ずるのだと思えばよい。(身重を麻痺,リウマチ等に転用することが出来るが,本方を使った経験は私には未だない。)腰以下の浮腫に使う。「風水,脉浮を表に在りとなす。其人或は頭汗出で表に他病なく,病者たた下重し,腰より以上は和すとなし,腰以下当に腫れて陰に及び以て屈伸し難かるべし」(金匱要略水気病)がそれで下重即ち下身半が浮腫のために重く感じ,腰から以下,陰部に及ぶ浮腫に使うことがある。この内,陰部だけの浮刺ゆ又は炎症を伴う疾患であっても宜い。又屈伸し難しを麻痺や攣縮に転用してもいいわけだが未だ経験はない。風水だから脉は浮で,腰以下の浮腫でも脉の浮が目標になる。前に本方は下焦の変化だと述べたがこの条文でそれが確かめられたわけである。頭汗は表証だが或はというから必発ではなく,頭汗がある時もある。頭汗があっても差支えないと考えて使うべきだ。反対に頭汗脉浮,他に表証及び下半身の浮腫なき場合にも使うことが出来るだろうし,頭汗を頭部湿疹などに転用し得るであろう。
宇津木昆台先生曰く「さて其病者ただ下部に水気ありて重く,腰以上はよく和して病患なく,腰より以下腫て陰茎陰嚢に及び,足脛腰膝のびちぢみあしくなる者なり。この下重は泄利下重のいきづむ者とは異にして,上に変化なく下に腫ありて重く第一に腰の屈伸のなり難き者なり。これ表水の者なれども,一変して下部の腫るに至る証なり。然らば証を転じたるかと云にただ病状のみ転じて本方の証は少しも変ぜず(中略)この条は表にあるべき所の風水脉浮の者なれども表に病患なく,気上に逆して頭汗の出ることあれば下部の気も皆上づりになりて反て下の気の不順なる所へ水気たまりて下重く腰以下陰部までも腫れて屈伸の難き者なり。上表に和せざる処あれども病者も覚えず医者も急度目当とする処見えず。故に或は頭汗出の一証にて上逆して其上逆の為につり上られて下重をなすことを知らしめたるなり。たとひ頭汗無とも上逆の為に下に水気たまりて腫をなすと云ことを示したるなり(中略)太陽下篇の火逆の凡例の四ヶ条目にある。脉浮宣以汗解,用火灸之,邪無従出,因火而盛,病従腰以下必重而痺,名火逆也とある証と同く火に因て盛なる邪なれば,上逆の甚しきことを知るべし。然れども病は腰以下の重而痺するなれば証と病との上下の差別これにて併せ考て知るべし」(古訓医伝)証と病の上下とは病が下にあるのに症状は上に現われる。或は病が上に在るのに症状は下に現れるということで,この場合は後者を指している。つまり本質と現象とが反対部位にあることを云ったもので,漢方にはかかることが頗る多い。
※宣は宜の間違い
運用 3. 化膿症
尾台榕堂先生曰く「風毒腫,附骨疽,穿踝疽稠膿已に歇み稀膿止まず,或は痛み,或は痛まず,身体痩削し,或は浮腫を見すものを治す」(類聚方広義)風毒腫は癰,筋炎又はそれに類するもの,附骨疽は骨髄骨膜炎,結核性足関節炎,脊髄癆性潰瘍等を指すものであろう。
運用 4. 肥満症,月経不順
和久田叔寅先生曰く,「病人肌膚肥白にして之を捫するに其肉軟虚にしてしまりなく,ぐさぐさとするもの是正気表に旺せずして浮水泛濫するものなり。腫に非といえども以て表虚の水気とすべし。此証男女老少を問はずといへども多くは室女許嫁の年歯より以上廿才の前後までに卒に肥満をなして衝逆つよく両瞼紅にして経水短少,心気鬱して開かざるもの此証あり。是其の肥満を成すもの成長の時に当りて可なるに似たりといへども其実は表虚に属して以て佳候とすべからず。医若し其経行不利なるを見て誤て通経破血の剤を投ぜば徒に効果奏せざるのみならず反って禍を啓くことあらん」(腹証奇覧翼)前に防已黄耆湯証の本態は腎に在ることを述べたが,この条もそれに関連し,しかも実に巧みに運用しているので敬服の外はない。
運用 5. 冷え症
和久田叔寅先生曰く「一男子痼冷を患ること年あり。夏月衣を重ね足袋を着く。遍く温熱の剤を服して寸効なし(中略)一医生あり,深考て以此方を与ること一月許りにして宿痾全癒ゆと」(同右)防已黄耆湯が表と下焦の陽気を補い,衝気を実せしめて三焦の気を順らすというのが狙いである。
※衝気 衛気の間違い
〈勿誤方函口訣〉 浅田 宗伯先生
此方は温湿表虚の者を治す。故に自汗久しく止まず,皮表常に湿気ある者に用いて効あり。蓋し此方と麻黄杏仁甘草湯と虚実の別あり。彼湯は脈浮昔出でず悪風の者に用いて汗を発す。此方は脈浮にして,汗出で悪風の者に用いて解肌して愈ゆ。即ち傷寒中風に麻黄桂枝の分あるが如し。身重は湿邪なり,脈浮汗出では表虚する故なり。(中略)服後虫の行くが如く,腰以下水の如く云々は,皆湿気下行の徴と知るべし。
〈漢方の臨床〉 第2巻第10号 大塚 敬節先生
防已黄耆湯証は男子より婦人に多く,ことにいわゆる有閑マダムに多く見られる。水ぶとりの婦人にこの証がある。もっと痩せたいとの希望を持っている人が多い。この種の人はからだが重くて,起居動作がものうく,掃除や炊事をまめまめしくすることを好まないというよりは,それをするのが大儀である。外出しても自動車を利用し,からだを動かさないでますます肥満してくる。食事の量は少く,1回ぐらい食事をしなくても平気である。湯茶を好む人が多い。大便はたいてい毎日あるが,月経の量は少ない人がある。また不順を訴える。多汗症で夏は流れる如くである。この種の婦人で50才を越すと,膝関節の痛みを訴えるものがかなりある。また夕方,靴や足袋が窮屈になるほと足に浮腫がくる。腹診しても腹部は一体に膨張しているが抵抗や圧痛はなく軟弱である。
【一般用漢方製剤承認基準】
防已黄耆湯
〔成分・分量〕 防已4-5、黄耆5、白朮3(蒼朮も可)、生姜1-1.5(ヒネショウガを使用する場合3)、大棗3-4、甘草1.5-2
〔用法・用量〕 湯
〔効能・効果〕 体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症: 肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
【添付文書等に記載すべき事項】
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(5)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
関係部位 | 症状 |
皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
消化器 | 食欲不振、胃部不快感 |
症状の名称 | 症状 |
間質性肺炎 | 階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等がみられ、これらが急にあらわれたり、持続したりする。 |
偽アルドステロン症、ミオパチー1) | 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。 |
肝機能障害 | 発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等があらわれる。 |
g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3. 1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
4. 長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注
意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくて
もよい。〕
【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(5)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔2.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には2´.を記載すること。〕
3.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
4.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
製品名 ▼ | 規格 | 単位 | 薬価 | 製造会社 | 販売会社 |
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JPS防已黄耆湯エキス顆粒〔調剤用〕 | 1g | G | 8.1 | JPS | JPS |
本草防已黄耆湯エキス顆粒-M | 1g | G | 6.2 | 本草製薬 | 久光製薬 |
太虎堂の防已黄耆湯エキス顆粒 | 1g | G | 6.5 | 太虎精堂製薬 | 太虎精堂製薬 |
マツウラ防已黄耆湯エキス顆粒 | 1g | G | 7 | 松浦薬業 | 松浦薬業 |
テイコク防已黄耆湯エキス顆粒 | 1g | G | 6.2 | 帝國漢方 | テイコクメディックス |
ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用) | 1g | G | 10.5 | ツムラ | ツムラ |
ジュンコウ防已黄耆湯FCエキス細粒医療用 | 1g | G | 11.3 | 康和薬通 | 大杉製薬 |
コタロー防已黄耆湯エキス細粒 | 1g | G | 7.2 | 小太郎漢方製薬 | 小太郎漢方製薬 |
クラシエ防已黄耆湯エキス錠 | 1錠 | 錠 | 4.2 | 大峰堂 | クラシエ |
クラシエ防已黄耆湯エキス細粒 | 1g | G | 7.9 | 大峰堂 | クラシエ |
オースギ防已黄耆湯エキスG | 1g | G | 6.5 | 大杉製薬 | 大杉製薬 |