健康情報: 二朮湯(にじゅつとう) の 効能・効果 と 副作用

2014年7月31日木曜日

二朮湯(にじゅつとう) の 効能・効果 と 副作用

『漢方医学』 Vol.33 No.1 2009 (43) 31

107 漢方重要処方マニュアル 基礎と実践の手引き

五淋散・二朮湯
東京女子医科大学東洋医学研究所 稲木一元

二朮湯(にじゅつとう)
構成生薬/半夏,蒼朮,威霊仙,黄芩,香附子,陳皮,白朮,茯苓,甘草,生姜,天南星,和羗活

処方の特徴

1.二朮湯とは

 二朮湯は,肩関節周囲炎 (五十肩) および上肢の痛みに用いる漢方薬である. 二種の朮 (蒼朮(そうじゅつ) ・白朮(びゃくじゅつ) ) の配合されていることが処方名の由来であろう. 生薬構成は, 水毒に用いる二陳湯に, 蒼朮, 白朮, 天南星(てんなんしょう) , 威霊仙(いれいせん) ,羗活(きょうかつ) など,水毒による痛みに用いる生薬が加味されている. 蒼朮と白朮の違いについて浅田 宗伯は 「発汗除湿の功は蒼者を優(まさ)れりと為 な す.而(しか)して理中利水の力は反って白者に及ばず.二朮各々長 ずる所あり」 1) とする. しかし, 薬理学的には両者の差異はなお明らかでな く, 古医書における蒼朮・白朮と現在のソウジュツ ・ビャクジュツとの適合性についても検証が必要とされる 2)

2. 臨床上の使用目標と応用
 二朮湯を用いる目標は, 肩関節および上肢の疼痛である.肩関節周囲炎(五十肩),頸肩腕症候群, 上腕神経痛 に有用とされる.いわゆる水毒体質(浮腫傾向)に用いるとされるが, こだわる必要はない.

論説

1.原典の記載
 〔原典〕二朮湯の出典は一般に龔廷賢の『万病回春』(1587年成立)とされるが,虞摶(ぐたん) の『医学正伝』(1515年成立)に,ほぼ同じ処方が朱丹渓のものとして記載される.こうしたことから,本処方は朱丹渓の創方とも推定される3)
 ここでは,こうした議論は保留して, 『万病回春』巻之五・臂痛(ひつう)門4)の記載を紹介する.
 〔条文〕臂(ひじ)痛むは,湿痰,経絡に横行するに因(よ)る.
 ○二朮湯 痰飲,双臂(そうひ)痛むを治す.又,手臂(しゅひ)痛むを治す.是れ上焦の湿痰,経絡の中に横行して痛みを作(な)す.
 〔解説〕大意は,「肩から腕のあたりが痛むのは,経絡に水毒があるからだ.これには二朮湯を用いる.また,手から肘にかけて痛むのにもよい」.臂とは,肩の付け根から肘まで.上腕全体とも解釈できる5).痰飲(たんいん)は,いわゆる水毒(すいどく)の意.非生理的状態にあり,体内で偏在し病的状態を惹起した体液を痰飲あるいは水毒と呼ぶ.朝,顔がむくむ,夕方足がむくむ,舌辺縁に歯痕が見られる,心窩部拍水音などの徴候をみる.疼痛性疾患には水毒の関与が多いとされ,二朮湯もこれに対応する処方の一つ.

2.中国医書の記載
 虞摶(1438~1517)『医学正伝』 (1515年成立)痛風門には,朱丹渓の書からの引用として,「手臂(しゅひ)痛むは是(これ)上焦(じょうしょう)の湿痰経絡の中に横行して痛みを作(な)すなり」6)と,『万病回春』と同文があり,名称のない処方が記載される. その内容は『万病回春』二朮湯から羗活を除いたものである.

3.江戸期医書の論説(筆者意訳)
 香月牛山(1656~1740)の『牛山活套』には,「肩臂(けんひ)痛は多くは痰に属するなり.二朮湯を用うべし」7)とある.
 甲賀通元の『古今方彙』(1747年初版)には,二朮湯は「痰飲にて双臂痛む者,及び手臂痛むを治す」8)とある.
 浅井貞庵(1770-1829)の『方彙口訣』 臂痛門・二朮湯には,「此の方は痰で手や臂(ひじ)の痛むに好(よ)い.故に痰を取り気滞を行(めぐ)らす」9)という.


4.近年の論説
 大塚敬節は,1963年の『漢方の臨床』誌での座談会で「五十肩の人でいろいろやって効かなかったのに,このごろ二朮湯というのをやってじつによく効くことを経験しました.(略)いままで五十肩に用いた処方としてはこの二朮湯が一番効くように思います」10)と述べた.その後の座談会で,二朮湯につ いての反響が大きかったと述べて,「ある時,五十肩の患者に,最初, 葛根湯加朮附(カッコントウカジュツブ)を使ったのです.すると, その患者は便秘して,食欲がなくなり,すこしもよくならないというのです.この患者はやせぎすの六十歳をすぎた人(略).この二朮湯を使いましたら,すごく調子がよくて,一週間か十日でとんとん拍子によくなって治ってしまったのです.(略)五十肩で治りにくい患者があったら一応これを使ってみ たらいいと思うんです」11)と言ってい る. 大塚敬節・矢数道明らの『漢方診療 医典(第6版)』頸肩腕症候群の項にも 「水毒のある者を目標にするが,証にとらわれずに用いてよい」12)とある.

症例
 肩の痛みに二朮湯(松田邦夫治験)13)
 〔症例〕77歳,婦人.(略)〔現病歴〕右側の肩から上腕にかけて痛み,手がしびれる.疲れる.食欲がない.(略)夜間尿1~2回.〔現症〕身長162cm,体重41kg.舌は乾燥ぎみで,腹部軟弱.血圧158-76.〔経過〕二朮湯を投与.2ヵ月後には,肩や腕の痛み,手のしびれはすっかり治った.食欲も出て疲れなくなった.(略)



鑑別
 ①五積散(ゴシャクサン)
 肩から上腕の痛みで要鑑別.五積散では足冷えなど寒冷による症状が見られる.鑑別し難い例もある.
 ②桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)
 上肢の関節痛で要鑑別.桂枝加朮附湯は非常に虚弱で冷え症の者の肩,肘,手首の関節痛や上腕の神経痛に用いる.鑑別し難い例もある.
 ③疎経活血湯ソケイカッケツトウ)
 肩関節周囲炎で要鑑別.疎経活血湯では,手足の冷え,皮膚粘膜の乾燥萎縮傾向などをみることが少なくない.しかし,多くは鑑別困難で試行錯誤によらざるをえない。


●文献・注
 1)浅田宗伯『古方薬議』(木村長久・校訓『和訓 古方薬議・続録』,春陽堂書店,1982,p.55-58)
 2)鳥居塚和生・編著『モノグラフ生薬の薬効・薬理』,医歯薬出版株式会社,2003,p.225-238
 3)大塚敬節は「この処方は『万病回春』に出ていて,もとは朱丹渓から出ている という」(大塚敬節,矢数道明ほか『漢方診療医典・第6版』,南山堂,2001,p.192)という.小山誠次は朱丹渓の出 典となる書を挙げる(『古典に基づくエ キス漢方方剤学』,(株)メディカルユーコ ン,1998,p.490-493).しかし,五淋散の項で述べたように,朱丹渓の撰になる本が限定されていることから,疑点も残る.
 4)龔廷賢『万病回春』5-64a~b:和刻漢籍 11輯p.204
 5)浅井貞庵の『方彙口訣』臂痛門に「さて此の臂痛は俗に云うひぢの痛みなり. 一体が肩より肘(ひじり)までを臑(かいな) と云う.肘より腕(うでくび)まで一尺の処を臂と云う.俗にうでと云う.故に此の臂痛の中には臑痛のことも兼ねて有るなり」(集成78巻p.555)という.
 6)虞摶『医学正伝』(4-56b:和刻漢籍8輯 p.142)
 7)香月牛山『牛山活套』(1-30b:集成61巻 p.378)
 8)歴代漢方医書大成(電子版)V2.0,2007に収載される版を参照した.
 9)浅井貞庵『方彙口訣』臂痛門(集成78巻 p.556)
 10)大塚敬節「漢方の診療を語る」での発言:漢方の臨床,10巻3号,p.32-33,1963
 11)大塚敬節「漢方の診療を語る」での発 言:漢方の臨床,10巻11号,p.3-17, 1963
 12)大塚敬節・矢数道明ら『漢方診療医典 (第6版)』,南山堂,2001,p.193
 13)松田邦夫『症例による漢方治療の実 際』,創元社,1992,p.193-194


『図説 東洋医学 <湯液編Ⅰ 薬方解説> 』 
山田光胤/橋本竹二郎著 
株式会社 学習研究社刊

二朮湯(にじゅつとう)
  やや虚  
   中間   
  やや実  

●保 出典 万病回春

目標 体力中等度の人を中心に用いられる。痰飲(たんいん)(水毒)による肩や上腕の痛み。病人は胃内停水のあることが多いが,必発ではなく,また余り虚証ではない。俗に四十肩,五十肩といわれ,腕を上げると痛みに耐えかね,あるいは何かの拍子に激しい痛みが肩から腕にかけて走ることがある。

応用 頸肩腕症候群,肩胛(けんこう)関節周囲炎(五十肩),上腕神経痛,肩こり。

説明 夜間就眠中に痛みが増強するのも特徴の一つ。手足の冷えが強いものには附子(ぶし)(0.5~1.0g)を加えるとよい。比較的体力のある人の肩や上腕の痛みで,やや急性期で,頸・肩および肩胛部がこる場合には葛根湯(かっこんとう)を用い,体力の低下した冷え症の人の肩や上腕の痛みには桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)を用いる。

朮(じゅつ)1.5g 茯苓(ぶくりょう)1.5g 香附子(こうぶし)1.5g 黄芩(おうごん)1.5g 甘草1.5g 半夏2.0g 生姜2.0g 羗活1.5g 威霊仙1.5g 陳皮1.5g 天南星1.5g 白朮1.5g
 ●生姜の代りに乾生姜(かんしょうきょう)1.5gを用いてもよい。

 

臨床応用 漢方處方解説 矢数道明著 創元社刊
p681
91 二朮湯(にじゅつとう) 〔万病回春・臂痛門〕
    白朮・茯苓・陳皮・南星・香附・黄芩・霊仙・羗活各二・五 半夏 四・〇 蒼朮三・〇 
    甘草・乾生姜 各一・〇

 「痰飲双臂(ひ)(うで)痛む者、及び手臂痛むを治す。」
 近年大塚敬節氏の経験発表があり、四十腕・五十肩に用いて奇効を奏することがある。その文標は水毒肥満者に効があるが、特別証にとらわれずに用いてよい。
 五十肩・四十腕・上[月専」神経痛などに用いる。


和漢薬方意辞典 中村謙介著 緑書房
二朮湯(にじゅつとう) [万病回春]

【方意】 上焦の水毒による肩関節痛・上腕痛等のあるもの。時に脾胃の虚証を伴う。
《少陽病から太陰病.虚実中間》

【自他覚症状の病態分類】

上焦の水毒 脾胃の虚証

主証 ◎肩関節痛
◎上腕痛







客証 ○関節腫痛
○弛緩性筋肉
 関節水腫
 尿不利
 浮腫
 身重

○胃腸虚弱
 心下痞
 食欲不振


 





【脈候】 弦やや弱・滑。

【舌候】 乾湿中間で微白苔。

【腹候】 腹力やや軟。

【病位・虚実】 水毒が中心的病態である。寒証紙:熱証を伴わず、陰陽は偏らずに少陽病から太陰病にまたがる。虚実も虚実中間を中心に幅広く用いられる。

【構成生薬 半夏4.0 蒼朮3.0 白朮2.5 陳皮2.5 茯苓2.5 香附子2.5 黄芩2.5 威霊仙2.5
         羗活2.5 天南星2.5 甘草2.0 生姜1.0

【方解】 蒼朮・白朮・茯苓の利水作用は水毒を主る。威霊仙・羗活は鎮痛・鎮痙作用があり、利水薬と組合されると水毒による疼痛に有効である。天南星は去痰作用の他に鎮痙・消炎作用があり、黄芩の清熱作用もあいまって疼痛の除去に協力する。香附子・陳皮・半夏・生姜は脾胃の虚証に対応し、心下痞・食欲不振を治す。甘草は諸薬の作用を調和し増強する。

【方意の幅および応用】
A 上焦の水毒:肩関節痛・上腕痛等を目標にする。
  肩関節周囲炎、頚腕症候群、上腕神経痛

【参考】 *痰飲、双臂痛むを治す。又、手臂痛むを治す。是れ上焦の湿痰、経絡の中に横行して痛みを作す。臂痛は風寒湿に搏たるるに因る。或は睡後、手、被の外に在り、寒邪の為に襲われ、遂に臂痛ましむ。及び乳婦、臂を以て児に枕し、風寒に傷られて臂痛を致す。悉く後の三方に依って選び用う。五積散の臂痛,寒に因るを治す。烏薬順気散の臂痛、風に因るを治す。蠲痺湯の臂痛、湿に因るを治す。風湿相搏ち、身体煩疼し、手足冷痺し、四肢沈重するを兼ねて治す。

『万病回春』
*本方は疼痛以外に目標を定めがたいが、水毒があるため水肥りの傾向のものによく応じる。
 また脾胃の虚証の者にも良い。激痛には効果が不十分。手足の冷える者には附子を加える。

【症例 五十肩
 ある時五十肩の患者に、最初は葛根湯加朮附を使ったのです。すると、その患者は便秘して、食欲がなくなり、少しも良くならないというのです。この患者は痩せぎすの60歳をすぎた人で、二朮湯を用いるような体質とは思えなかった。しかし『古今方彙』をみますと、臂痛門すなわちひじの痛みというところに、まっ先にこの二朮湯の処方が載っているのです。これは『万病回春』(龔廷賢著)から引いたことになっていますが、これは朱丹渓の店方なんですね。それで記載されている主治をみますと、痰飲つまり水毒があって両方のひじの痛む者、および手とひじの痛む者を治すとあって、二朮湯とは白朮と蒼朮が入っているからそういったわけですね。そこで今話しました患者にこの二朮湯を使いましたら、すごく調子社f良くて、1週間か10日でとんとん拍子に良くなって治ってしまったのです。それ以来というものは五十肩の患者なら太っていようが痩せていようが、なんでもかんでも当分それを使ってみれば、そのうち、これで効く者と効かない者とが自ら分かると思いましたので、五十肩とみればとにかく一応これを使うことにしてやってみたのです。すると中には多少効かないのもありましたが、大体において効くのです。
 しかし、この二朮湯に含まれている薬物をみますと、白朮、天南星、陳皮、茯苓、香附子、黄芩、威霊仙、羗活、半夏、甘草ですから、大してそんなに五十肩に効くとは思えないのですが、実際には非常に効くんですね。ですから、これは五十肩の特効薬ではないけれども、五十肩で治りにくい患者があったら一応使ってみたらいいと思うんです。そんなわけで今も私はさかんにこれを使っております。
大塚敬節 『漢方の臨床』 10・11・4

※この二朮湯に含まれている薬物をみますと、白朮、天南星、陳皮、茯苓、香附子、黄芩、威霊仙、羗活、半夏、甘草ですから、
 → 薬味に蒼朮と生姜が抜けている。


『健保適用エキス剤による 漢方診療ハンドブック 第3版』
桑木 崇秀 創元社刊


二朮湯(にじゅつとう) <出典>万病回春(明時代)

方剤構成
 半夏 生姜 茯苓 陳皮 甘草 白朮 蒼朮 香附子 羗活 威霊仙 天南星 黄芩

方剤構成の意味
 半夏から甘草までは二陳湯,これに白朮・人参・大棗を加えると六君子湯になるが,人参・大棗は除かれている。
 これに香附子・羗活・威霊仙・天南星という発散性鎮痛ないし鎮痙薬を配合したものが本方剤で,本方剤は二陳湯ないし六君子湯を使いたいような胃アトニー者(ただし,人参が除かれているのでその程度は軽い)の痛みを目標につくられた方剤と見ることができよう。
 二朮湯の名は,白朮と蒼朮の両方が入っていることから名付けられたものであろうが、白朮が収斂性であるのに対して蒼朮は発散性で,蒼朮は方剤全体の発散性を増す目的で加えられたものであろう。
 この方剤の特徴は,構成生薬が甘草を除いてすべて燥性薬であることで(潤性で収斂性がある人参・大棗が除かれていることに注意),しかもその大半が温性で補性であることから,この方剤が寒虚湿証向きの方剤であることがわかる。
 なお,構成生薬中に黄芩という消炎性健胃薬が入っているが,これは白朮という胃アトニー向き健胃薬に配して,単なる胃アトニーではなく,炎症も若干ある場合を想定して,この方剤がつくられているのであろうか。

適応
 胃アトニー傾向のある寒虚湿証者,ことに湿の著しい者の五十肩・頸腕症候群。ただし,六君子湯を用い識ほどの虚証ではない。



『健康保険が使える 漢方薬 処方と使い方』
木下繁太朗 新星出版社刊


二朮湯(にじゅつとう)
 ツ
万病回春(まんびょうかいしゅん) 朱丹渓(しゅたんけい)
 どんな人につかうか
 五十肩、頚腕症候群(けいわんしょうこうぐん)の特効薬で、筋肉にしまりのない水毒体質の人で、胃腸があまり強くなく、腕や肩の痛む人に用います。

目標となる症状
 ①筋肉、関節がだるくしびれ、痛みがある。②運動障害。③軽い浮腫。④水ぶとり体質。⑤胃腸があまり丈夫でない。⑥腕、肩が痛む。

 腹力は中等度ないしやや弱、心窩部(しんかぶ)に振水音を認めることがある。
 滑。 舌苔(ぜつたい)は湿(しめ)って白き厚い。


どんな病気に効くか(適応症) 
 五十肩。四十腕、頚腕症候群、上腕神経痛、慢性関節炎、慢性関節リウマチ、肩関節周囲炎、腰痛症、膝関節症。
この薬の処方 半夏(はんげ)4.0g 蒼朮(そうじゆつ)各3.0g。黄芩(おうごん)、香附子(こうぶし)、陳皮(ちんぴ)、白朮(びやくじゆつ)、茯苓(ぶくりよう)、威靈仙(いれいせん)、天南星(てんなんしよう)、羗活(きようかつ)各2.5g。甘草、生姜各1.0g。

この薬の使い方
前記処方(一日分)を煎(せん)じてのむ。
ツムラ二朮湯(にじゆつとう)エキス顆粒(かりゅう)、成人一日7.5gを2~3回に分け、食前又は食間にのむ。

使い方のポイント
水毒肥満の人に効くが、中程度の体力の人ならこだわらず使える。
甲賀通道の古今方彙(ここんほうい)に「痰飲(たんいん)にて雙臂(そうひ)の痛む者及び手臂(しゆひ)の痛む者を治す」とあるが、上肢にこだわらず使える。
中医学では湿痺(しつひ)(着痺(ちやくひ)、筋肉や関節のだるいしびれ痛み、運動障害、軽度の浮腫)を治す薬で、袪風湿(きよふうしつ)、化痰利水の効ありとされています。


処方の解説
 蒼朮(そうじゅつ)白朮(びゃくじゅつ)茯苓(ぶくりよう)は利水剤で浮腫をとり、羗活(きようかつ)威靈仙(いれいせん)は鎮痛作用があり、特にしびれや痛みに効きます。羗活(きようかつ)は発汗作用があって、特に上半身のしびれやこわばりに効く。天南星(てんなんしよう)半夏(はんげ)は袪痰(きよたん)、鎮静作用があり、天南星(てんなんしよう)は鎮痙にも効く。香附子(こうぶし)は鎮痛、自律神経系の調整、陳皮(ちんぴ)生姜(しようきよう)甘草(かんぞう)は健胃と吸収促進、黄芩(おうごん)は消炎、利尿作用がある。以上の総合効果で浮腫消退、利尿、鎮痛、鎮痙、袪痰などの効果がある。



副作用
1) 重大な副作用と初期症状
1) 間質性肺炎 :発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモ ン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

[理由]
本剤によると思われる間質性肺炎の企業報告の集積により、厚生労働省内で検討された結果、上記の副作用を記載。(平成22年10月26日付薬食安発1026第1号「使用上の注意」 の改訂について に基づく) 

[処置方法]
直ちに投与を中止し、胸部X線撮影・CT・血液ガス圧測定等により精検し、ステロイド剤 投与等の適切な処置を行う。


2) 偽アルドステロン症 :低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行う。

3) ミオパシー :低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと

[理由]〔2)3)共〕
厚生省薬務局長よ り通知された昭和53年2月13日付薬発第158号 「グリチルリチン酸等を含有す る医薬品の取り扱いについて」 及び医薬安全局安全対策課長よ り通知された平成9年12月12日 付医薬安第51号 「医薬品の使用上の注意事項の変更について」 に基づく。


[処置方法]
原則的には投与中止により改善するが、血清カリウム値のほか血中アルドステロン・レニン活性等の検査を行い、偽アルドステロン症と判定された場合は、症状の種類や程度によ り適切な治療を行う。 低カリウム血症に対しては、カリウム剤の補給等により電解質バランスの適正化を行う。



4) 肝機能障害、黄疸: AST(GOT)、ALT(GPT)、Al‑P、γ‑GTP 等の昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う

 [理由]
本剤によると思われる肝機能障害、黄疸の企業報告が集積されたため、厚生労働省医薬食 品局安全対策課と検討の上、上記の副作用を記載した。(平成15年7月9日付事務連絡「医薬品の使用上の注意の改訂について」に基づく)ため。


[処置方法]
 原則的には投与中止により改善するが、病態に応じて適切な処置を行う。

2) その他の副作用

とくになし

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