桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃仁五・ 桂枝四・ 芒硝二・ 大黄三・ 甘草一・五
本方は調胃承気湯に桂枝・桃仁を加味した方剤で、調胃承気湯證に似て、所謂血證を帯びるものに用いられる。即ち比較的新鮮な瘀血で症状がはげしく大便秘結 の気味で、下腹部に急結の状があり、下血・吐血・衂血等のあるものに応用する。下腹部に於ける急結とは、この部に索状物を証明し、指頭を以て、これを擦過 状に軽く触れる時に、疼痛を訴えることを云う。しかして急結状を証明する際には、吐血・下血等の症状がなくても本方を用いてよい。
本方は調胃承気湯に桂枝・桃仁を加えた方剤で、桂枝・桃仁は局所の瘀血を去り、血行の障害を疎通する効がある。大黄・芒硝は瀉下の効と共に堅塊を解くの効があり、甘草は諸薬を調和する。
本方は月経時に精神異常を呈し興奮する者、月経困難、胎盤残溜して下血の止まない場合、胎児が母体内で死んで娩出しない場合、産後発狂状となるもの、月経不順より来る諸患、歯痛・歯肉出血・眼疾・痔核・前立腺炎・尿道狭窄・骨盤腹膜炎・会陰部の打撲等に用いられる。
『漢方精撰百八方』
15.[方名] 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
[出典] 傷寒論
[処方] 桃仁4.0 桂枝4.0 大黄1.0 芒硝3.0 甘草
[目標] 太陽病が全治しないままに陽明病に移行して、膀胱つまり骨盤臓器に炎症性疾患を生じ、子宮出血や膀胱出血を起こすが、その場合本方を用いて瘀血を除いてやれば癒おる。しかし発熱発汗など表証のある間は本方をやってはいけない。まず桂枝湯類で表証を治した後本方を用いるようにすべきである。表証がなくなった後で少腹急結の腹証のあるものには本方で攻めるようにするのである。本方はまた瘀血のため神経症状を起こして発狂状態になったものに用いてのぼせを下げて治す効がある。
[かんどころ] 本方の腹証は下腹部特にその左側に圧痛のあるもので、そんな場合には一般に用いて差し支えない。本方の腹証を探る場合、下腹部の該当部に軽く擦過するように触診してみると反応性に疼痛を訴えるか、または下肢を屈曲するから、比較的容易にわかる。
[応用] 本方の応用は非常に広汎で、枚挙にいとまがないが、一応適応症を上げてみると左の如くである。下肢神経痛。座骨神経痛を含めて膝関節足関節の神経痛などに腹証に応じて本方を投与すると、鎮痛剤を用いずして治する場合が多い。五十才女。下肢関節リウマチで歩行も不可能のものが本方を半年服用して普通に歩けるようになった。現代医学では脚気はビタミンB1の不足によると認められ、ビタミン剤を与えるが、本方を投与するだけでビタミン剤を一切用いずに脚気がなおる例は多数にあるところを見ると、脚気の本態はビタミン欠乏食のためではなく瘀血を原因とするビタミン利用能力の低下による症状ではないかと思われる。高血圧。本方で下る高血圧がかなり多い。結果的に見て高血圧には瘀血に原因するものが多いと言うことになる。その理由から本方によって脳溢血を予防することも可能である筈であるが、実験的にそれを強調する段階にない。低血圧症も本方によって正常値に恢復する例が多い。腰痛。本方の証のある人の腰痛は比較的簡単に治る。胃弱、胃下垂なども本方で良くなる場合が多い。ノイローゼ、躁鬱病等も本方で鎮静される場合が多い。其の他慢性腎炎、眼底出血、月経不順、顔面皮膚炎、耳鳴、蕁麻疹、顔面浮腫等。
相見三郎著
『漢方薬の実際知識』 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
3 駆瘀血剤
駆瘀血剤は、種々の瘀血症状を呈する人に使われる。瘀血症状は、実証では便秘とともに現われる場合が多く、瘀血の確認はかんたんで、小腹急結
によっても知ることができるが、虚証ではかなり困難な場合がある。駆瘀血剤は体質改善薬としても用いられるが、服用期間はかなり長くなる傾向がある。
駆瘀血剤の適応疾患は、月経異常、血の道、産前産後の諸病その他の婦人科系疾患、皮下出血、血栓症、動脈硬化症などがある。駆瘀血剤の中で、
抵当湯(ていとうとう)・抵当丸は陳旧性の瘀血に用いられる。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は瘀血の証と水毒の証をかねそなえたものであり、加味逍遙散はさらに柴胡剤、順気剤の証をかねそなえたものである。
2 桃核承気湯(とうかくじょうきとう) (傷寒論)
〔桃仁(とうにん)五、桂枝(けいし)四、大黄(だいおう)三、芒硝(ぼうしょう)二、甘草(かんぞう)一・五〕
駆瘀血剤の中で、大黄牡丹皮湯についで実証に用いられる。したがって、瘀血の腹証である小腹急結は著明である。本方は、気の上衝が強く、頭
痛、めまい、不眠、上逆、精神不安、便秘、諸出血(下血、吐血、衂血「じっけつ、鼻血」、月経障害)などがあるものを目標とする。また瘀血のため全身灼熱
感、麻痺感があるが、瘀血が強くなると譫語(せんご、うわごと)をいったり、狂状を呈したりする。本方は、下剤である調胃承気湯(ちょういじょうきとう、
後出、承気湯類の項参照)に、気の上衝を治す桂枝と瘀血を治す桃仁を加えたものとしても考えることができる。したがって、のぼせて神経症状をひき起こした
ものに使われる。
〔応用〕
駆瘀血であるために、大黄牡丹皮湯のところで示したような疾患に、桃核承気湯證を呈するものが多い。
その他
一 ヒステリー、ノイローゼ、神経衰弱、発狂、てんかんその他の精神、神経系疾患。
一 結膜炎、網膜炎、角膜炎、トラコーマ、麦粒腫、眼底出血その他の眼科疾患。
一 そのほか、鼻炎、蓄膿症、耳疾患、歯痛、歯槽膿漏、肺結核など。
『《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会
53.桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 傷寒論
桃仁5.0 桂枝4.0 芒硝2.0 大黄3.0 甘草1.5
(傷寒論)
○太陽病不解,熱結膀胱,其人如狂血自下,下者愈,其外不解者,尚未可攻,当先解其外,外解巳,但少腹急結者,乃可攻之,宜桃核承気湯
(金匱要略)
○産後七八日,無太陽証,少腹堅痛,此悪露不尽,不大便,煩躁発熱,切脉微実,再倍発熱,日晡時煩躁者不食,食則讝語,至夜即愈,宜大承気湯主之,熱在裏,結在膀胱也亦宜本方 (産後)
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
口唇部や歯ぐきが紫色あるいは暗赤色で,頭痛またはのぼせる傾向があり,下行結腸部に圧痛や宿便を認め,下肢や腰が冷えて尿量減少する。
本方は大黄牡丹皮湯,桂枝茯苓丸などと共に所謂駆瘀血剤の代表的処方であるが,本方とこの両者との鑑別は夫々の処方の項を参照のこと。しかしこの三者を合方して使用することも多い。本方を連用すれば所謂古血のある婦人の不妊症を治すこともある。本方が奏効すれば一時出血したりあるいは血塊を下すこともある。本方は通常虚弱体質には投与してはならない。本方を服用後下痢の甚だしい場合は桂枝茯苓丸あるいは当帰芍薬散に転方すべきである。また腹痛をおこした時は柴胡桂枝湯,平胃散などで治療すればよい。本方適応症状に浮腫を伴なうこともあるが,この浮腫は下半身および四肢に局限されており,もし本方を服用後も浮腫がとれず,あるいは逆に全身に浮腫を生ずる場合は五苓散を考慮すべきである。排尿痛,血尿を伴なった下半身の浮腫には猪苓湯が適する。
〈漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
頭痛やのぼせの傾向があって下腹部や足が冷えて便秘し,左下腹部に抵抗圧痛や宿便を認め尿量が減少するもの。
本方は瘀血又は古血を除き,瘀血に起因する諸種の症候群を緩解させる代表的処方として,広く知られた薬方である。瘀血とは血液中に疲労物質や老廃物質があり,酸性に傾いた非生理的血液で,しかもこれがためにもろもろの病的症状を伴うものもふくめて総括的に考えられており,視診上ヒフや可視粘膜が暗赤(紫)色を呈し,末梢血管があたかもウツ血状に見受けられ,自覚的には熱感,頭痛,のぼせの傾向があり,神経症状の伴うものがそれである。これらは常習便秘や門脈ウツ血,肝臓解毒機構の障害に起因するアチドーヂスまたは内分秘失調,更年期障害などの機能的病変と,神経症状などを含めた広範な不健康状態と考えられる。本方が適応するものは顔色栄養とも良好で丈夫な体質の者で,虚弱者,衰弱者には投与しない。通常一般に中年以降の年代層に多く見受けられるが,後天的な病変であるにしても,その多くはこれらの症候群を発現しやすい体質素因を本方による治療とともに,連用によって体質改善がなされる。
※内分秘失調は内分泌失調の誤植?
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
○中等度以上に体力が充実し,体質のしっかりした人が瘀血による症状を呈し,便秘,上衝するもの。
○瘀血による症状が一般に激しく,精神錯乱をはじめとする種々な精神症状を呈するもの。
○瘀血による症状の主なものは,諸種の出血傾向,月経不順,月経困難,不妊症,口乾,手足の煩熱や原因不明の発熱,のぼせ,皮下静脈の怒張(青すじ),皮膚や粘膜の柴斑,出血斑,皮膚甲錯(肌あれ),頬や口唇,舌の辺縁などが暗紫色になるなどの症状である。
○瘀血があると,自覚的には下腹が固く張ったり,下腹部に腫塊をふれ,それを圧迫すると疼痛を訴えるような腹証がある。桃核承気湯の腹証は瘀血の腹証の一つで小腹急結という。
○小腹急結は特徴のある腹証で,左下腹部,腸骨窩に索状物を触れ,この部分に擦過性に圧迫すると,激しい圧痛を訴え,患者は思わず脚をちぢめる。ただこれは赤痢などにみられるS字状部の索状物とは異なるものである。
○
※柴斑? 紫斑の誤植。
〈漢方治療の実際〉 大塚 敬節先生
○この処方の応ずる頭痛はほとど毎日痛みを訴える。時々発作性にくる呉茱萸湯証の頭痛とはちがう。しかし日によって頭痛のはげしい時と軽い時とがある。肩や頸がこると訴えるものが多い。
○類聚方広義に「経水不調,上衝甚しく,眼中厚膜を生じ,或は赤脈怒起,瞼胞赤爛,或いは齲歯疼痛,小腹急結の者を治す。また打撲損傷眼を治す。」そこでこの方は結膜,角膜の諸疾患で充血,疼痛が甚しく,大便が秘結し,小腹急結の状あるものに効があるばかりでなく,虹彩炎,毛様体炎,鞏膜炎などにも応用せられる。また月経閉止期の婦人の眼疾にこの方の適応症がある。
○この方は会陰部を強く打撲したため,尿道が腫張し,また尿道内に出血して血塊が尿道を塞ぎ,そのために尿閉を起したものに用いて著効がある。
※ほとど? ほとんどの誤植か?
※鞏膜炎(きょうまくえん) 鞏膜(強膜)の炎症。
強膜前面に充血・疼痛・膨隆などを起こす。
結核・リューマチ・膠原(こうげん)病などが原因。
〈漢方診療の実際〉 大塚,矢数,清水 三先生
本方は調胃承気湯に桂枝,桃仁を加味した方剤で,調胃承気湯証に似て所謂血証を帯びるものに用いられる。即ち比較的新鮮な瘀血で症状がはげしく大便秘結の気味で,下腹部に急結の状があり,下血,吐血,衂血等のあるものに応用する。下腹部に於ける急結とは,この部に索状物を証明し,指頭を以て,これを擦過状に軽く触れる時に,疼痛を訴えることを云う。しかして急結状を証明する際には,吐血,下血等の症状がなくても本方を用いてよい。本方は調胃承気湯に桂枝,桃仁を加えた方剤で,桂枝,桃仁は局所の瘀血を去り,血行の障害を疎通する効がある。大黄,芒硝は瀉下の効と共に堅塊を解くの効があり,甘草は諸薬を調和する。本方は月経時に精神異常を呈し興奮する者,月経困難,胎盤残溜して下血の止まない場合,胎児が母体内で死んで娩出しない場合,産後発狂状となるもの,月経不順より来る諸患,歯痛,歯肉出血,眼疾,痔核,前立腺炎,尿道狭窄,骨盤腹膜炎,会陰部の打撲等に用いられる。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
(構成) 桃仁は実証の循環障害を治し,大黄,芒硝は之を助けて瀉下する。桂枝,甘草は気の上衝を治す。故に上部に於て気上衝による神経症状があり,下部及び体表に於て鬱血性の循環障害症状が見られる。上衝がつよいので下剤を以て誘導する働きを兼ねている。
運用 1. 実証鬱血性の体質で神経症状を呈する。頭部がのぼせて足が冷える。実証だから体格がよく筋肉も引しまり,脉も緊張がよくて稍浮んでいることも稍沈んでいることもある。但し稀ではあるが,一見虚証らしく見えて局所的な実のために本方の証を呈することがある。この場合でも脉は緊張しており,他の所見が本方に適合するから使ってよいのだ。望診上鬱血性であるのが本方の特徴で,顔色は赤黒い色調を帯び,殊に口唇や歯齦,時には舌までもチアノーゼ様に暗赤色乃至暗紫色を呈しており,皮膚もその傾向があって,部分的に細い静脈が鬱血して黒ずんだり,暗赤色に見えたりするし,同様の色を帯びたしみや斑紋が見られることも稀ではない,時には爪の色までその色調が見られることがある。
こうした鬱血は下腹部骨盤内に於て特に顕著で病の本はここに在ると思わ罪るけれども,時には患者の自覚症としては現われずに,頭痛,肩凝り,などの神経症状を主訴としてやって来ることが多い。その際も顔面皮膚には大なり小なり上記の所見が認められ,腹診すると腹壁の緊張は普通又は普通以上によく下腹部に於て少腹急結と称する次の所見がある。自覚的につれる感じ,それは痛みを伴うことがある。他覚的に抵抗と圧痛が認められる。その部位は左下腹に多いが,時には中央,右下腹にも認められることがある。その抵抗は境界があまり明瞭でなく,著しく硬いことはない。恐らくは静脈の鬱血怒張によるものであろう。総裂骨窩動静脈(殊に左側)及びそれに沿い抵抗があり圧痛を認めるのが普通である。この場合必ずしも搏動が亢進しているとは限らない。若し著しく亢進しているときは之に対応して上部に於ける神経症状が著明に発揚性を呈する。頭部顔面がのぼせて,足が冷えるのもこの現れで,下が鬱血のため冷えて,頭部では反って血が上りほてる感じを起すのだ。
恐らくは脳圧がたかまっていると思われる。但し顔面皮膚には鬱血が見られる。そのために頭痛,眩暈,耳鳴,肩凝り,のぼせ感等が強くなり,甚しいときは発狂性にさえなる。この狂状ということは特殊な場合だが桃核承気湯の一つの特徴でヒステリック,狂躁性,話の辻褄が合わないとか,度外ずれな振舞とかにヒントを得て本方を使うことがある。傷寒論 太陽病中篇に「太陽病解せ功;,熱膀胱に結び,その人狂の如く,血自ら下る。下る者は愈ゆ。その外解せざるものは尚未だ攻むべからず。当に先ずその外を解すべし。外解し已り,ただ少腹急結するものは乃ち之を攻むべし。」というのが之で太陽病即ち表熱の状態があってその熱が膀胱経という経絡(一種の刺戟伝導系)に及んで狂状を呈する。腰髄支配に関する部位で膀胱にも関連するが,同時に下腹部にも症状が現われ少腹急結となる。外証(表熱)があるものは禁忌だし,下血するものは自然治癒に赴くから服薬に及ばないとの意である。上の文中攻めるとは下すこと。少腹急結は前述の所見をいう。(後略)
運用 2. 実証の下部循環障害
運用1とほぼ軌を同じくするが,特に下腹部,骨盤内器組織,腰臀部,下肢等に鬱血を主とする循環障害が見られる場合で,月経不順,月経困難,子宮内膜炎,メトロパチー,附属器炎,流産癖等の婦人科疾患で下腹部疼痛,索引感,或は腫痛,或は子宮出血等のあるもの,痔,静脈瘤,打撲,急性大腸炎,虫垂炎,膀胱結石,淋等で出血或は腰腹痛を伴うもの,肛囲炎,癰や皮下膿瘍で皮膚又は肉芽の暗赤色のものなどにひろく使われる。この場合脉は概ね沈緊,腹証は運用1に準ずる。(後略)
運用 3. 実証の皮膚鬱血
皮膚病,じん麻疹,凍瘡等で暗赤色を呈し,下が冷えて上がのぼせるというものに使う。便秘勝ちである上,少腹に急結とか下部鬱血とかがあれば確診が下せる。
運用 4. 実証ののぼせ
のぼせる感じはあっても顔面は紅潮せず,頬がほてることもない。矢張り顔面皮膚には鬱血が見られる。そういう状態で足が冷え便秘するものとして歯痛,脳溢血,高血圧症,動脈硬化症,肺結核で喀血するものに使う。顔面紅潮するのは,瀉心湯や桂麻各半湯などでありそれらは足が冷えない。
運用 5. 実証の鬱血症状に伴う浮腫
例えば月経時の浮腫とか,月経不順に伴う浮腫とか或は男子でも鬱血があって浮腫するものを血分腫といい本方を使う。運用3に挙げたじん麻疹も限局性浮腫である。
〈漢方処方解説〉 矢数 道明先生
実熱の瘀血証で,少腹に急結があり,上逆の甚だしいものを目標とする。いわゆる駆瘀血剤を代表する処方である。血滞による瘀血症状としては,頭痛,眩暈,耳鳴り,不眠,動悸,腹痛,上逆,精神不安,甚だしきときは讝語,狂状となり,全身灼熱感,腰脚寒冷感,シビレ感等の血管運動神経症状を発し,他覚的に下腹部,ことに左下腹部腸骨窩下行結腸に相当する部位又はその附近に索状の抵抗物を触れ,指頭をもって擦過状に軽く触れると甚だしい圧痛が現われる。便秘することが多く,小便頻数,脈は緊で力があり,浮のことも沈のこともある。
〈勿誤方函口訣〉 浅田 宗伯先生
此の方の傷寒蓄血,少腹急結を治するは勿論にして,諸血証に運用すべし。譬ば吐血,衂血止まざるが如き,此の方を用ざれば効なし。また走馬疳(頬部壊疽,水癌),断疽,出血止まざる者,此方に非ざれば治すること能はず,癰疽及び痘瘡、紫黒色にして内陥せんと欲する者,此方にて快下すれば験あり,その他荊芥を加へて痙病及び発狂を治し,附子を加えて血瀝腰痛,及び月信痛(月経痛)を治するが如き、其の効挙げて数えがたし。
【一般用漢方製剤承認基準】
桃核承気湯
〔成分・分量〕
桃仁5、桂皮4、大黄3、芒硝2、甘草1.5
〔用法・用量〕
湯
〔効能・効果〕
体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症: 月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症
【添付文書等に記載すべき事項】
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないこと
他の瀉下薬(下剤)
3.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
相談
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
(5)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕
3.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続又は増強が見られた場合には、服用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
下痢
4.1ヵ月位(便秘に服用する場合には5~6日間)服用しても症状がよくならない場合は服
用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
『《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会
53.桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 傷寒論
桃仁5.0 桂枝4.0 芒硝2.0 大黄3.0 甘草1.5
(傷寒論)
○太陽病不解,熱結膀胱,其人如狂血自下,下者愈,其外不解者,尚未可攻,当先解其外,外解巳,但少腹急結者,乃可攻之,宜桃核承気湯
(金匱要略)
○産後七八日,無太陽証,少腹堅痛,此悪露不尽,不大便,煩躁発熱,切脉微実,再倍発熱,日晡時煩躁者不食,食則讝語,至夜即愈,宜大承気湯主之,熱在裏,結在膀胱也亦宜本方 (産後)
〈現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
口唇部や歯ぐきが紫色あるいは暗赤色で,頭痛またはのぼせる傾向があり,下行結腸部に圧痛や宿便を認め,下肢や腰が冷えて尿量減少する。
本方は大黄牡丹皮湯,桂枝茯苓丸などと共に所謂駆瘀血剤の代表的処方であるが,本方とこの両者との鑑別は夫々の処方の項を参照のこと。しかしこの三者を合方して使用することも多い。本方を連用すれば所謂古血のある婦人の不妊症を治すこともある。本方が奏効すれば一時出血したりあるいは血塊を下すこともある。本方は通常虚弱体質には投与してはならない。本方を服用後下痢の甚だしい場合は桂枝茯苓丸あるいは当帰芍薬散に転方すべきである。また腹痛をおこした時は柴胡桂枝湯,平胃散などで治療すればよい。本方適応症状に浮腫を伴なうこともあるが,この浮腫は下半身および四肢に局限されており,もし本方を服用後も浮腫がとれず,あるいは逆に全身に浮腫を生ずる場合は五苓散を考慮すべきである。排尿痛,血尿を伴なった下半身の浮腫には猪苓湯が適する。
〈漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
頭痛やのぼせの傾向があって下腹部や足が冷えて便秘し,左下腹部に抵抗圧痛や宿便を認め尿量が減少するもの。
本方は瘀血又は古血を除き,瘀血に起因する諸種の症候群を緩解させる代表的処方として,広く知られた薬方である。瘀血とは血液中に疲労物質や老廃物質があり,酸性に傾いた非生理的血液で,しかもこれがためにもろもろの病的症状を伴うものもふくめて総括的に考えられており,視診上ヒフや可視粘膜が暗赤(紫)色を呈し,末梢血管があたかもウツ血状に見受けられ,自覚的には熱感,頭痛,のぼせの傾向があり,神経症状の伴うものがそれである。これらは常習便秘や門脈ウツ血,肝臓解毒機構の障害に起因するアチドーヂスまたは内分秘失調,更年期障害などの機能的病変と,神経症状などを含めた広範な不健康状態と考えられる。本方が適応するものは顔色栄養とも良好で丈夫な体質の者で,虚弱者,衰弱者には投与しない。通常一般に中年以降の年代層に多く見受けられるが,後天的な病変であるにしても,その多くはこれらの症候群を発現しやすい体質素因を本方による治療とともに,連用によって体質改善がなされる。
※内分秘失調は内分泌失調の誤植?
〈漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
○中等度以上に体力が充実し,体質のしっかりした人が瘀血による症状を呈し,便秘,上衝するもの。
○瘀血による症状が一般に激しく,精神錯乱をはじめとする種々な精神症状を呈するもの。
○瘀血による症状の主なものは,諸種の出血傾向,月経不順,月経困難,不妊症,口乾,手足の煩熱や原因不明の発熱,のぼせ,皮下静脈の怒張(青すじ),皮膚や粘膜の柴斑,出血斑,皮膚甲錯(肌あれ),頬や口唇,舌の辺縁などが暗紫色になるなどの症状である。
○瘀血があると,自覚的には下腹が固く張ったり,下腹部に腫塊をふれ,それを圧迫すると疼痛を訴えるような腹証がある。桃核承気湯の腹証は瘀血の腹証の一つで小腹急結という。
○小腹急結は特徴のある腹証で,左下腹部,腸骨窩に索状物を触れ,この部分に擦過性に圧迫すると,激しい圧痛を訴え,患者は思わず脚をちぢめる。ただこれは赤痢などにみられるS字状部の索状物とは異なるものである。
○
※柴斑? 紫斑の誤植。
〈漢方治療の実際〉 大塚 敬節先生
○この処方の応ずる頭痛はほとど毎日痛みを訴える。時々発作性にくる呉茱萸湯証の頭痛とはちがう。しかし日によって頭痛のはげしい時と軽い時とがある。肩や頸がこると訴えるものが多い。
○類聚方広義に「経水不調,上衝甚しく,眼中厚膜を生じ,或は赤脈怒起,瞼胞赤爛,或いは齲歯疼痛,小腹急結の者を治す。また打撲損傷眼を治す。」そこでこの方は結膜,角膜の諸疾患で充血,疼痛が甚しく,大便が秘結し,小腹急結の状あるものに効があるばかりでなく,虹彩炎,毛様体炎,鞏膜炎などにも応用せられる。また月経閉止期の婦人の眼疾にこの方の適応症がある。
○この方は会陰部を強く打撲したため,尿道が腫張し,また尿道内に出血して血塊が尿道を塞ぎ,そのために尿閉を起したものに用いて著効がある。
※ほとど? ほとんどの誤植か?
※鞏膜炎(きょうまくえん) 鞏膜(強膜)の炎症。
強膜前面に充血・疼痛・膨隆などを起こす。
結核・リューマチ・膠原(こうげん)病などが原因。
〈漢方診療の実際〉 大塚,矢数,清水 三先生
本方は調胃承気湯に桂枝,桃仁を加味した方剤で,調胃承気湯証に似て所謂血証を帯びるものに用いられる。即ち比較的新鮮な瘀血で症状がはげしく大便秘結の気味で,下腹部に急結の状があり,下血,吐血,衂血等のあるものに応用する。下腹部に於ける急結とは,この部に索状物を証明し,指頭を以て,これを擦過状に軽く触れる時に,疼痛を訴えることを云う。しかして急結状を証明する際には,吐血,下血等の症状がなくても本方を用いてよい。本方は調胃承気湯に桂枝,桃仁を加えた方剤で,桂枝,桃仁は局所の瘀血を去り,血行の障害を疎通する効がある。大黄,芒硝は瀉下の効と共に堅塊を解くの効があり,甘草は諸薬を調和する。本方は月経時に精神異常を呈し興奮する者,月経困難,胎盤残溜して下血の止まない場合,胎児が母体内で死んで娩出しない場合,産後発狂状となるもの,月経不順より来る諸患,歯痛,歯肉出血,眼疾,痔核,前立腺炎,尿道狭窄,骨盤腹膜炎,会陰部の打撲等に用いられる。
〈漢方入門講座〉 竜野 一雄先生
(構成) 桃仁は実証の循環障害を治し,大黄,芒硝は之を助けて瀉下する。桂枝,甘草は気の上衝を治す。故に上部に於て気上衝による神経症状があり,下部及び体表に於て鬱血性の循環障害症状が見られる。上衝がつよいので下剤を以て誘導する働きを兼ねている。
運用 1. 実証鬱血性の体質で神経症状を呈する。頭部がのぼせて足が冷える。実証だから体格がよく筋肉も引しまり,脉も緊張がよくて稍浮んでいることも稍沈んでいることもある。但し稀ではあるが,一見虚証らしく見えて局所的な実のために本方の証を呈することがある。この場合でも脉は緊張しており,他の所見が本方に適合するから使ってよいのだ。望診上鬱血性であるのが本方の特徴で,顔色は赤黒い色調を帯び,殊に口唇や歯齦,時には舌までもチアノーゼ様に暗赤色乃至暗紫色を呈しており,皮膚もその傾向があって,部分的に細い静脈が鬱血して黒ずんだり,暗赤色に見えたりするし,同様の色を帯びたしみや斑紋が見られることも稀ではない,時には爪の色までその色調が見られることがある。
こうした鬱血は下腹部骨盤内に於て特に顕著で病の本はここに在ると思わ罪るけれども,時には患者の自覚症としては現われずに,頭痛,肩凝り,などの神経症状を主訴としてやって来ることが多い。その際も顔面皮膚には大なり小なり上記の所見が認められ,腹診すると腹壁の緊張は普通又は普通以上によく下腹部に於て少腹急結と称する次の所見がある。自覚的につれる感じ,それは痛みを伴うことがある。他覚的に抵抗と圧痛が認められる。その部位は左下腹に多いが,時には中央,右下腹にも認められることがある。その抵抗は境界があまり明瞭でなく,著しく硬いことはない。恐らくは静脈の鬱血怒張によるものであろう。総裂骨窩動静脈(殊に左側)及びそれに沿い抵抗があり圧痛を認めるのが普通である。この場合必ずしも搏動が亢進しているとは限らない。若し著しく亢進しているときは之に対応して上部に於ける神経症状が著明に発揚性を呈する。頭部顔面がのぼせて,足が冷えるのもこの現れで,下が鬱血のため冷えて,頭部では反って血が上りほてる感じを起すのだ。
恐らくは脳圧がたかまっていると思われる。但し顔面皮膚には鬱血が見られる。そのために頭痛,眩暈,耳鳴,肩凝り,のぼせ感等が強くなり,甚しいときは発狂性にさえなる。この狂状ということは特殊な場合だが桃核承気湯の一つの特徴でヒステリック,狂躁性,話の辻褄が合わないとか,度外ずれな振舞とかにヒントを得て本方を使うことがある。傷寒論 太陽病中篇に「太陽病解せ功;,熱膀胱に結び,その人狂の如く,血自ら下る。下る者は愈ゆ。その外解せざるものは尚未だ攻むべからず。当に先ずその外を解すべし。外解し已り,ただ少腹急結するものは乃ち之を攻むべし。」というのが之で太陽病即ち表熱の状態があってその熱が膀胱経という経絡(一種の刺戟伝導系)に及んで狂状を呈する。腰髄支配に関する部位で膀胱にも関連するが,同時に下腹部にも症状が現われ少腹急結となる。外証(表熱)があるものは禁忌だし,下血するものは自然治癒に赴くから服薬に及ばないとの意である。上の文中攻めるとは下すこと。少腹急結は前述の所見をいう。(後略)
運用 2. 実証の下部循環障害
運用1とほぼ軌を同じくするが,特に下腹部,骨盤内器組織,腰臀部,下肢等に鬱血を主とする循環障害が見られる場合で,月経不順,月経困難,子宮内膜炎,メトロパチー,附属器炎,流産癖等の婦人科疾患で下腹部疼痛,索引感,或は腫痛,或は子宮出血等のあるもの,痔,静脈瘤,打撲,急性大腸炎,虫垂炎,膀胱結石,淋等で出血或は腰腹痛を伴うもの,肛囲炎,癰や皮下膿瘍で皮膚又は肉芽の暗赤色のものなどにひろく使われる。この場合脉は概ね沈緊,腹証は運用1に準ずる。(後略)
運用 3. 実証の皮膚鬱血
皮膚病,じん麻疹,凍瘡等で暗赤色を呈し,下が冷えて上がのぼせるというものに使う。便秘勝ちである上,少腹に急結とか下部鬱血とかがあれば確診が下せる。
運用 4. 実証ののぼせ
のぼせる感じはあっても顔面は紅潮せず,頬がほてることもない。矢張り顔面皮膚には鬱血が見られる。そういう状態で足が冷え便秘するものとして歯痛,脳溢血,高血圧症,動脈硬化症,肺結核で喀血するものに使う。顔面紅潮するのは,瀉心湯や桂麻各半湯などでありそれらは足が冷えない。
運用 5. 実証の鬱血症状に伴う浮腫
例えば月経時の浮腫とか,月経不順に伴う浮腫とか或は男子でも鬱血があって浮腫するものを血分腫といい本方を使う。運用3に挙げたじん麻疹も限局性浮腫である。
〈漢方処方解説〉 矢数 道明先生
実熱の瘀血証で,少腹に急結があり,上逆の甚だしいものを目標とする。いわゆる駆瘀血剤を代表する処方である。血滞による瘀血症状としては,頭痛,眩暈,耳鳴り,不眠,動悸,腹痛,上逆,精神不安,甚だしきときは讝語,狂状となり,全身灼熱感,腰脚寒冷感,シビレ感等の血管運動神経症状を発し,他覚的に下腹部,ことに左下腹部腸骨窩下行結腸に相当する部位又はその附近に索状の抵抗物を触れ,指頭をもって擦過状に軽く触れると甚だしい圧痛が現われる。便秘することが多く,小便頻数,脈は緊で力があり,浮のことも沈のこともある。
〈勿誤方函口訣〉 浅田 宗伯先生
此の方の傷寒蓄血,少腹急結を治するは勿論にして,諸血証に運用すべし。譬ば吐血,衂血止まざるが如き,此の方を用ざれば効なし。また走馬疳(頬部壊疽,水癌),断疽,出血止まざる者,此方に非ざれば治すること能はず,癰疽及び痘瘡、紫黒色にして内陥せんと欲する者,此方にて快下すれば験あり,その他荊芥を加へて痙病及び発狂を治し,附子を加えて血瀝腰痛,及び月信痛(月経痛)を治するが如き、其の効挙げて数えがたし。
【一般用漢方製剤承認基準】
桃核承気湯
〔成分・分量〕
桃仁5、桂皮4、大黄3、芒硝2、甘草1.5
〔用法・用量〕
湯
〔効能・効果〕
体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症: 月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症
【添付文書等に記載すべき事項】
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないこと
他の瀉下薬(下剤)
3.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
相談
相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
(5)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
関係部位 | 症状 |
皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ |
消化器 | はげしい腹痛を伴う下痢、腹痛 |
まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
症状の名称 | 症状 |
偽アルドステロン症、 ミオパチー |
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。 |
含有する製剤に記載すること。〕
3.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続又は増強が見られた場合には、服用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
下痢
4.1ヵ月位(便秘に服用する場合には5~6日間)服用しても症状がよくならない場合は服
用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
5.長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
6.本剤の服用により、予期しない出血があらわれた場合には、服用を中止し、医師、薬剤師
又は登録販売者に相談すること
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注
意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくて
もよい。〕
【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
3.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
(5)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔3.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には3´.を記載すること。〕
4.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
5.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
又は登録販売者に相談すること
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注
意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕
保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくて
もよい。〕
【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
3.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
(5)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔3.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には3´.を記載すること。〕
4.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
5.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
製品名 ▼ | 規格 | 単位 | 薬価 | 製造会社 | 販売会社 |
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JPS桃核承気湯エキス顆粒〔調剤用〕 | 1g | G | 6.7 | JPS | JPS |
本草桃核承気湯エキス顆粒-M | 1g | G | 5.8 | 本草製薬 | 本草製薬 |
テイコク桃核承気湯エキス顆粒 | 1g | G | 5.8 | 帝國漢方 | テイコクメディックス |
ツムラ桃核承気湯エキス顆粒(医療用) | 1g | G | 9.1 | ツムラ | ツムラ |
ジュンコウ桃核承気湯FCエキス細粒医療用 | 1g | G | 10.4 | 康和薬通 | 大杉製薬 |
コタロー桃核承気湯エキス細粒 | 1g | G | 8.5 | 小太郎漢方製薬 | 小太郎漢方製薬 |
クラシエ桃核承気湯エキス錠 | 1錠 | 錠 | 3.2 | 大峰堂 | クラシエ |
クラシエ桃核承気湯エキス細粒 | 1g | G | 9.3 | クラシエ | クラシエ |
オースギ桃核承気湯エキスG | 1g | G | 10.3 | 大杉製薬 | 大杉製薬 |