健康情報: 鹿(シカ)を原料とする漢方薬

2009年5月29日金曜日

鹿(シカ)を原料とする漢方薬

鹿(シカ)は、漢方薬の原料として色々と用いられますが、
やはり一番特徴的な部位は角ではないでしょうか?

鹿(シカ)の幼角(ようかく)は、鹿茸(ろくじょう)と呼ばれ、
いわゆる滋養強壮剤に良く使われます。

漢方的な効能は次のとおりです。

鹿茸(ろくじょう) 味:甘 性:温
 1.助陽益精 2.健骨振痿 3.納気平喘 4.温腎縮溺 5.固経止崩

薬理的には、末梢血管拡張作用があります。
更に、衰弱した心臓への強心作用と心血流量増大作用を中心とした循環器系改善作用があります。
これらのことから、男性の滋養強壮だけでなく、女性の冷え症や肩凝りなどにも良いと考えられます。

烏頭桂枝湯(うずけいしとう)に鹿茸(ろくじょう)を加えて用いることが
『勿語薬室方函口訣』(ふつごやくしつほうかんくけつ)に書かれています。

烏頭桂枝湯
寒疝の主剤也故に腰腹陰嚢にかけ苦痛する者に用ゆ
後世にては附子建中湯を用れども此方蜜煎にしたる方が即効あり
証に依て鹿茸を加え或は末とし加入するも佳あり


角化した角は、鹿角(ろっかく、ろくかく)と呼ばれ、こちらも薬として用いられます。

奈良の鹿の角が利用されているかどうかは知りません。

鹿茸(ろくじょう)は、医薬品扱いとなり、健康食品・サプリメントには使えませんので、
ご注意下さい。
代わりに、トナカイの角が、健康食品・サプリメントに使われています。

鹿の角を煮詰めてつくられる膠(にかわ;ゼラチン)は、
鹿角膠(ろっかくきょう)と呼ばれ、
精血不足、虚損労傷および虚寒の吐血、
鼻出血、不正性器出血、血尿さらに陰疽内陥などに用いられます。


この他、鹿の男性生殖器は、鹿鞭(ろくべん)などと呼ばれて
やはり滋養強壮剤に利用されています。

男性生殖器の利用については、
海狗腎(かいくじん)・海狗鞭(かいくべん)と類型同効論
も、ご参考下さい。