健康情報: 変形性膝関節痛(関節炎)に使用する健康食品・漢方薬

2009年5月14日木曜日

変形性膝関節痛(関節炎)に使用する健康食品・漢方薬

関節痛とは・・・
 関節そのもの、あるいはその付近をも含めた痛みを指します。
 様々な原因がきっかけとなって起きますが、最も多いのは、関節の炎症によるもがあげられます。また、その関節の炎症(関節炎)にも100種類以上のタイプがりますが、その中で最も一般的なのが変形性関節症です。(図‐1)
変形性関節症は、国際統計によれば
45歳以下で約2%、45~65歳で30%、65歳
以上になると63%~85%の層にあると
報告されています。膝や股関節、
腰の骨など、すべての関節におこり
うる症状で、その代表的なものが
変形(へんけい)性膝(せいしつ)関節症(かんせつしょう)です。

変形性膝関節症
 膝(ひざ)の痛む病気の中でもっとも多いのが変形(へんけい)性膝(せいしつ)関節症(かんせつしょう)で、半数以上と言われて
います。その名のとおり、膝の関節軟骨が擦り減ってしまい、関節が変形することに よって、痛みや運動の制限などをひきおこす膝の疾患です。若い頃のケガがもとに
なることもありますが、大半は老化によって引き起こされます。
発症時期 40歳代よりあと、多くは50~6
0歳代で発症する。自覚症状(初ある日なんとなく、たいていは膝の片方が痛みはじめる。
めて気付く(手指や手首、肘の関節などが同時に痛むことはない。)
時)初めはかすかな痛みか、違和感程度であることが多い。進み方次第に痛みが増していく。
進行は比較的遅く、何年もかかって悪くなっていく。主な症状【初期】・朝方、膝がこわばる。膝の後ろがひきつる。ギシギシする。
・膝を使う動作を始める時に痛い。
・階段の昇り降り、正座、あぐらの時などに痛み始める。
【中期】・痛みが強くなり、なかなかとれない。
・階段の昇り降りがかなりつらい。
・膝がはれ、熱っぽい。
・膝を伸ばしきれない、曲げきれない症状が出てくる。
【後期】・じっとしていても激しく痛む。
・数歩歩くのにも激痛を感じる。
・膝の変形が目立つ。
・膝がのばせない、曲げられない症状が強くなる。全身症状発熱、倦怠感などの全身症状は伴わない。
◆ 膝の痛みのメカニズム
膝の構造・・・右図のように膝の関節は、4つの骨で
構成されています。
骨と骨はじかに接しているのではなく、厚さ3~4mm
の弾力に富んだ関節軟骨で覆われています。
関節の動きをなめらかにすると同時に、関節に加わる
衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
痛みの発生経路
①関節軟骨の表面は平滑で、関節液で潤され、通常は非常に滑りが良い。しかし、年をとるにつれ、関節軟骨がえ、次第に水分が減少し、弾力が乏しくなる。
②弾力を失った関節軟骨には、強い圧力がかかるようにり、圧力の大きい部分が
すりへって、でこぼこになる。→軟骨には 神経がないので痛みは感じない。
③軟骨が摩耗してできた物質が関節包(軟骨を包む滑膜)に生じる。その成分ある酵素が科学的刺激となり、滑膜に炎がおこる。→滑膜には、血管や痛みを感る神経が集中しており、痛みを感じる。骨そのものが変形して棘のような突起がき、痛みを感じたり、膝に水がたまったり、膝の曲げ伸ばしがしにくくなったりする。 ⇒日常生活に支障をきたす。(図‐2)
④更に軟骨が擦り減り、軟骨に覆われてた骨が露出し、骨と骨とが直接
接触するようになって、強い痛みを感じるようになる。(図‐3),(図‐4)



原因
1.老化(軟骨の減少、筋肉の衰え)
2.過体重(肥満)
3.姿勢(猫背、骨盤・脊椎のゆがみ)
4.合わない靴
5.膝の負担の多い仕事(正座をする、重い荷物を運ぶ、立ち仕事)
6.怪我(けが)
7.その他

治療方法
1.薬物治療
・内 服 薬 : 消炎鎮痛剤、非ステロイド系消炎鎮痛剤
   ・関節内注射 : ステロイド剤,ヒアルロン酸ナトリウム
2.物理療法
   ・温熱療法 ・寒冷療法 ・低周波療法 ・その他
3.手術(他の方法で良い効果の出ない時。)
   ・鏡視下手術
   ・骨切り術
   ・人工関節手術
4.運動療法
   ・ストレッチング
   ・筋力強化訓練(膝・太ももの筋肉、腹筋等)
     軟骨の変形が進んでも、全ての人に痛みが起こるわけではない。
     ストレッチや筋肉トレーニングにより、痛みにくくできる。
   ・その他
5.装具療法
   ・サポーター(膝の動きの補助と保温)
   ・つえ
   ・足底板(体重がバランス良く両足にかかる様にする、O脚の矯正)
6.体重の適正化

※しかし、1~3の治療法は一時的に症状を和らげるだけで、根本的に回復させるもの ではない。しかも、胃腸障害を起こしたり、化膿性関節炎を発生させ、軟骨や骨の
 破壊を早めるなどの副作用を生じる恐れがあり、また手術には大きなダメージがありリハビリの必要性がある。

*漢方療法
 漢方では、体質や症状に重点をおくので、変形性膝関節症も関節リウマチも同じ様
に扱います。
変形性膝関節炎のfirst(ファースト) choice(チョイス)の薬方に、防已(ぼうい)黄耆湯(おうぎとう)があります。
これは色白で太り気味(水太り)で下半身が重だるく、汗をかきやすい、おしっこ(尿)減少気味という場合の膝関節の腫れや痛みに良く効きます。
また、薏(よく)苡仁湯(いにんとう)も良く使われます。これは、体力は比較的あり、亜急性期から慢性期にけての強くはないがなかなか治らない膝関節の痛みに使用されます。
 この他、証に応じて、越婢(えつび)加朮(かじゅつ)(附(ぶ))湯(とう)、桂枝(けいし)加朮附湯(かじゅつぶとう)、桂芍知母湯(けいしゃくちもとう)、五積散(ごしゃくさん)、疎(そ)経(けい)活(かっ)血(けつ)湯(とう)、八味(はちみ)丸(がん)等が良く使用されます。
 また、肥満も変形性膝関節症に悪影響を及ぼすことから、肥満の人には、防風通(ぼうふうつう)聖散(しょうさん)や大柴(だいさい)胡湯(ことう)なども、体質改善の意味も含めて使用(併用)されます。水太りの人に防已黄湯を使うのは前述のとおりで、膝関節の痛みを取るのと、水太りを解消するのと一石二となります。
 長期にわたるものは、瘀血(おけつ)が関与することが多いので、駆瘀血(くおけつ)剤を併用することもあます。

* 生活上の注意
太らない。
正座、重い物を持つ、和式トイレ等、膝に負担になることを避ける。
膝が冷えない様にする。
痛くない程度の運動やストレッチを気長に毎日行う。
ナス科の野菜を食べないようにすると良い場合がある(詳細は不明)。
(ナス科の野菜……ナス、トマト、ピーマン、唐辛子、ジャガイモ、シシトウ等) もち米を食べないと良いとも言われる(詳細は不明)



◆ 軟骨の構成成分
○水分(65~80%)
○軟骨細胞
○コラーゲンなどの蛋白質
→体内で水分の次に多い物質
軟骨においては、プロテオグリカンを 安定してつなぎあわせる糊のような
役割をしている。
○プロテオグリカン・・・蛋白質をもつ多糖で、軟骨、爪、心臓弁などに分布
            細胞中のコラーゲンや水分量を保つ働きがある。
            グリコサミノグリカンが結合したコアタンパク質の集体
 *これらは年齢とともに減少していき、軟骨の水分や弾力性が失われていく。