健康情報: 7月 2024

2024年7月14日日曜日

病名からの薬方検索(『漢方薬の実際知識』)

 漢方は、これまで幾度ものべてきたように、随證療法であり、病名のみによって薬方を決めて使用することはありえない。病名はあくまでも手掛かりにすぎないのであって、漢方治療の本質である病の陰陽・虚実・寒熱その他の把握をとおしての證の構成には、それほど重要ではない。

 しかし、まず第一に病人の立場から考えると、近代医学の発達と民衆への定着によって、多くの人びとは、現われている一つ一つの症状よりも病名のみをあげて、個人特有の症状を過小評価していること、第二に同じ理由によって、病変を局所的に考え、その局所と関係がないと考えて症状をのべながいこと、第三に請療者の立場から考えると、病人の訴える各種の症状の有機的なつながりを見出すには、多くの学識と経験が必要であることなどの理由によって、初心者が漢方薬を使用するためには、病名を参考にして薬方を決める安易な方法で急場をしのがなければならない。

 ここでは、病名からの薬方の検索をあげたが、このようにしてえられた薬方は、あくまでも随證療法という過程を経て選ばれたものではないため、本来の意味での漢方ではないことを念頭において使用しなければならない。

 

1 内科疾患

1 呼吸器系疾患

 (1)感冒
 感冒の症状は、千差万別であるから陰陽・虚実・表裏・内外・上中下によって薬方をえらばなければならない。第六章 主薬薬方解説でのべた柴胡剤、順気剤、表証、麻黄剤、裏証Ⅱなどの薬方や五苓散、防已黄耆湯、麦門冬湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、初期には葛根湯、虚証には桂枝湯、鼻水の多いものには小青竜湯、こじれて白苔がてきたり、食欲のなくなったものには小柴胡湯、柴胡桂枝湯などが用いられる。老人や病弱者には真武湯を用いることもあるが、附子剤であるから注意を要する。

 (2)インフルエンザ(流行性感冒)
 インフルエンザは、ウィルスによつておこる疾患で、軽いものは感冒と同じような症状を呈するが、重いものは重篤になる。柴胡剤、表証、麻黄剤、裏証Ⅱなどの薬方や麦門冬湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、呉茱萸湯、桃核承気湯、黄連湯、半夏瀉心湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、初期には葛根湯、麻黄湯、白苔ができ、食欲のなくなったものには小柴胡湯、腹中雷鳴や下痢などのあるものには半夏瀉心湯、重症で便秘し意識がもうろうとしているものには桃核承気湯、老人や病弱者には真武湯が用いられる。

 (3)気管支カタル(気管支炎)
 気管支カタルも軽いものは感冒とよく似ているが、気管支の炎症によって咳を起こすものである。急性には柴胡剤、表証、麻黄剤、裏証Ⅱなどの薬方や半夏厚朴湯、麦門冬湯、苓甘姜味辛夏仁湯、炙甘草湯、麻黄附子細辛湯などを選用する。慢性には柴胡剤、裏証Ⅱなどの薬方や半夏厚朴湯、麦門冬湯、小青竜湯、小建中湯、六君子湯、桂姜棗草黄辛附湯、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、初期には麻黄湯、麻杏甘石湯、白苔ができ、食欲のなくなったものには小柴胡湯、痰の切れが悪く顔を赤くして咳こむものには麦門冬湯が用いられる。なお、気管支英異常感を軽快させるために半夏厚朴湯が合方される。

 (4)気管支喘息
 気管支喘息は、呼吸延長を伴う特有なゼイゼイ鳴る発作性呼吸困難を起こす一症状で、体質的なものが多いから体質改善に心がける必要がある。柴胡剤、順気剤、麻黄剤、裏証Ⅱ、瀉心湯類、解毒剤などの薬方や四物湯、桃核承気湯、桂枝加厚朴杏仁湯、小建中湯、大承気湯、苓甘姜味辛夏仁湯、八味丸、芍薬甘草湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、麻杏甘石湯、麻杏薏甘湯、半夏厚朴湯、芍薬甘草湯などの発作をおさえる薬方と小柴胡湯、大柴胡湯、小建中湯などの発作を起こさないようにする薬方を組み合わせて用うる。

 (5)肺炎
 クループ性肺炎は、倦怠感、頭痛、食欲不振、鼻炎、咳嗽から始まり、急激に発熱し、悪寒戦慄を起こし、体温も四〇度以上となり、側胸痛を訴え呼吸困難となり、さび色の痰が出るようになる。気管支肺炎は、症状が多様で潜行性に始まり、気管支炎に続発する際は、悪寒とともに急に発熱し中毒症状を起こす。柴胡剤、麻黄剤、裏証Ⅱ、承気湯類などの薬方や梔子豉湯、梔子甘草豉湯、桃核承気湯、三黄瀉心湯、猪苓湯、桂姜棗草黄辛附湯、炙甘草湯、白虎加人参湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、初期には小青竜湯、白苔ができ、食欲がなく、咳や呼吸困難がそれほど激しくないものには小柴胡湯、便秘し、うわ言をいうようになったものには桃核承気湯、老人や虚弱者には真武湯、四逆湯などが用いられる。しかし、桃核承気湯や附子剤の使用は注意を要する。

 (6)肺結核
 肺結核には、柴胡剤、順気剤、駆瘀血剤、建中湯類、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、瀉心湯類、駆水剤などの薬方や桂枝麻黄各半湯、桂枝加黄耆湯、小青竜湯、桂姜棗草黄辛附湯、炙甘草湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、初期で倦怠感があり、食欲のないものには小柴胡湯、胸痛の強いものには柴胡桂枝湯、盗汗が多く出て倦怠感が強いものには黄耆建中湯、喀血するものには三黄瀉心湯、黄連解毒湯が用いられる。

 (7)肋膜炎
 肋膜炎も結核菌によるものが多く、まったく症状を欠くものもあるが、多くは刺すよ乗な激しい胸痛より始まるものが多い。柴胡剤、裏証Ⅱなどの薬方や当帰芍薬散、小青竜湯、小建中湯、真武湯、人参湯、苓甘姜味辛夏仁湯などを選用する。
 一般に、小柴胡湯、柴胡桂枝湯が用いられるが、熱が高くなく、悪寒、倦怠感、下痢などのあるものには真武湯が用いられる。

 

2 循環器系疾患

 (1)心臓弁膜症
 心臓弁膜症は、弁膜の位置と閉鎖不全か狭窄かによって、種々の症状を現わす。重症では、狭心痛、浮腫、呼吸困難などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、駆水剤などの薬方や半夏厚朴湯、小建中湯、六君子湯、防風通聖散、五積散、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、不整脈を呈するものには炙甘草湯、動悸や息切れが強く貧血しているものには柴胡桂枝湯、連珠飲が用いられる。

 (2)心臓性喘息
 心臓性喘息は、しばしばショック状態となり死への恐怖を訴える。柴胡剤、駆水剤などの薬方や半夏厚朴湯、当帰芍薬散、十全大補湯、小建中湯、六君子湯、防風通聖散、五積散、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、精神不安を解消させる目的で柴胡加竜骨牡蠣湯が用いられ、症状の軽いものには五積散、心下振水音を認め、めまいを訴えるものには苓桂朮甘湯が用いられる。

 (3)心臓神経症
 心臓神経症では、心悸亢進、呼吸困難、針で心臓部をチクチク刺すような胸痛、不安感などを訴える。順気剤、駆瘀血剤、駆水剤などの薬方や小建中湯、防風通聖散、炙甘草湯治どを選用する。
 一般に、咽から胸元にかけてつまったような感じがするものには半夏厚朴湯、興奮しやすく、ヘソ部で動悸を感じるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、めまいを伴うものには苓桂朮甘湯が用いられる。

 (4)発作性頻脈症
 発作性頻脈症では、発作的に脈搏が多くなり、動悸や不安感を訴える。順気剤、駆瘀血剤、駆水剤などの薬方や麻杏甘石湯、小建中湯、防風通聖散、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、胸脇苦満があり、便秘、腹部で動悸するものには柴胡加竜骨牡蠣湯、気がうっ滞し、不安焦躁にかられるものには半夏厚朴湯、脈の結代や不整脈があり、心悸亢進、動悸、息切れなどのあるものには炙甘草湯が用いられる。

 (5)動脈硬化症
 動脈硬化症には、柴胡剤、駆瘀血剤、瀉心湯類などの薬方や麦門冬湯、大青竜湯、小建中湯、真武湯、苓桂朮甘湯、苓桂味甘湯、防風通聖散、八味丸、炙甘草湯、白虎湯、白虎加人参湯などを選用する。
 一般に、のぼせて顔面充血があり、めまい、耳鳴り、不眠などのあるものには三黄瀉心湯、黄連解毒湯、神経質で胸脇苦満のあるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、実証の肥満体質で腹部膨満、便秘のものには防風通聖散、老人などで夜間の排尿回数の多いものには八味丸が用いられる。

 (6)高血圧症
 高血圧症の治療は、血圧を下げることに主眼をおくのではなく、全身の調和をはきり自覚症状を好転させることを目標にする。柴胡剤、駆瘀血剤、瀉心湯類などの薬方や釣藤散、桂枝加朮附湯、桂枝加附子湯、大青竜湯、半夏白朮天麻湯、真武湯、苓桂朮甘湯、防風通聖散、八味丸などを選用する。
 一般に、胸脇苦満があり、便秘のものには大柴胡湯、神経症状の強いものには柴胡加竜骨牡蠣湯、実証の立満体質者には防風通聖散、夜間多尿で、下肢に乳腫のあるものには八味丸が用いられる。

 (7)低血圧症
 低血症では、倦怠感、肩こり、めまい、心悸亢進などを訴える。柴胡剤、裏証Ⅱなどの薬方や半夏厚朴湯、当帰芍薬散、小建中湯、半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯、連珠飲、八味丸、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、疲労しやすく、めまい、四肢冷感などのあるものには真武湯、胃腸機能が衰え、頭痛、めまいのあるものには半夏白朮天麻湯が用いられる。

 (8)動脈瘤
 動脈瘤は、初期にはほとんど異常を訴えないが、しだいに動脈瘤の生じている部分によって、呼吸困難、胸痛、嚥下困難、腹部膨満など種々の異常を訴えるようになる。駆瘀血剤の薬方や柴胡加竜骨牡蠣湯、苓桂甘棗湯、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、胸脇苦満があり、のぼせ、めまい、心悸亢進、動悸などを訴えるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、各種の瘀血症状が著明なものには桃核承気湯、桂枝茯苓丸、手足が冷え、頭痛、めまい、動悸などを訴え、下腹部の痛むものには当帰芍薬散が用いられる。


3 消化器系疾患

 (1)食道炎、食道狭窄、食道癌
 三者は、食道の痛みを訴えるものから嚥下困難、吐逆、通過障害を訴えるものまである。柴胡剤、順気剤などの薬方や桃核承気湯、半夏瀉心湯、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、胸中に気がふかがって心中懊憹するものや、熱い餅などを食べたために熱傷をして起こった食道炎には梔子豉湯、梔子甘草豉湯、咽中炙肉感のあるものには半夏厚朴湯、咽喉の乾燥感、刺激感、咳嗽などのあるものには麦門冬湯が用いられる。

 (2)胃カタル(胃炎)
 胃カタルでは、食欲不振、心下部の膨満感、疼痛、吐き気などの症状を訴える。柴胡剤、表証、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、承気湯類、瀉心湯類などの薬方や大黄牡丹皮湯、桃核承気湯、小青竜湯、五苓散、猪苓湯、茯苓沢瀉湯、五積散、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、平毒頑丈な人が暴飲暴食によって腹痛、嘔吐を起こしたものには大柴胡湯、平素から胃痛を訴え、胸脇苦満のあるものには柴胡桂枝湯、食欲不振で腹中雷鳴、心下痞硬のあるものには半夏瀉心湯、平素から胃が弱く、冷え症で食欲のないものには人参湯が用いられる。

 (3)胃アトニー症(胃筋虚弱症)
 胃アトニー症には、消化不良のほかに、胃部膨満感、圧迫感が強く、食物の胃内停滞や嘔吐を伴うものである。建中湯類、裏証1、裏証Ⅱ、瀉心湯類、駆水剤などの薬方や補中益気湯、半夏厚朴湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、足が冷え、常習性頭痛やめまいのあるものには半夏白朮天麻湯、腹直筋が緊張し、肩こり、腹などを訴えるものには小建中湯、元気がなく、頭重、めまい、食後ねむ気をもよおすものには六君子湯、神経質で、胸やけ、胃痛を訴えるものには平胃散が用いられる。

 (4)胃下垂症
 胃下垂症では、胃の膨満感、圧迫感、胸やけ、全身倦怠感などを訴える。建中湯類、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、瀉心湯類、駆水剤などの薬方や加味逍遙散、補中益気湯、半夏厚朴湯、桂枝加芍薬大黄湯、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、常習性の頭痛やめまいを訴得るものには半夏白朮天麻湯、四肢倦怠感、食欲不振、冷えなどを訴えるものには六君子湯が用いられる。

 (5)胃酸過多症および減酸症
 両者は、胸やけ、おくび、胃部の不快感、胃痛などを訴える。柴胡剤、建中湯類、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、瀉心湯類、駆水剤など英薬方や半夏厚朴湯、梔子豉湯、桂枝加附子湯、小青竜湯、五積散、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、ヘソ部の動悸や疼痛を訴えるものには安中散、心下痞硬や胸やけ、おくびのあるものには生姜瀉心湯、冷え症で腹痛を訴えるが嘔吐、胸やけなどがないか、または弱いものひな小建中湯が用いられる。

 (6) 胃拡張症
 胃拡張症は、過食、過飲などによって胃の機能が弱って拡張したり、幽門部の狭窄によって起こる。軽症では何の異常も訴えないが、重症では口渇、胃痛、胃部圧重膨満感、胃内停水などを訴えるようになる。裏証Ⅰ、瀉心湯類、駆水剤などの薬方や補中益気湯、半夏厚朴湯、小建中湯、人参湯、五積散、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、心下痞硬、口渇、嘔吐、胸やけなどのあるものには生姜瀉心湯、全身倦怠感、四肢厥冷、食欲不振などのあるものには六球子湯が用いられる。

 (7)胃痙攣
 胃痙攣は、胃神経の軽気で、発作時には胃や腹筋が板のように堅くこわばって激しく痛み、顔面も蒼白となる。柴胡剤、建中湯類などの薬方や甘麦大棗湯、呉茱萸湯、甘草湯、黄連湯、五積散、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、激しい痛みを鎮痛、鎮静させる目的で甘草湯、芍薬甘草湯を頓服する。胸脇苦満、胸やけ、悪心、嘔吐があって腹痛の激しいものには柴胡桂枝湯、虚弱体質で疲労しやすく、手足が冷え、のぼせ、腹痛、動悸などのあるものには小建中湯、腹中に冷えを覚え、嘔吐、腹部膨満があり、腸の蠕動亢進と腹痛の激しいものには大建中湯が用いられる。

 (8)胃、十二指腸潰瘍
 両者は、初期にはきわめて軽度の苦痛しかないが、再発をくり返しているうちに愁訴が漸次増強し、強さも増し、持続日数も長くなる。痛みは食後すぐか、一~二時間後に始まり、一般に、二、三十分から一~二時間持続する。愁訴の中でもったもおもなものは疼痛で、悪心や嘔吐などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、建中湯類、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、瀉心湯類などの薬方や半夏厚朴湯を選用する。
 一般に、腹筋が緊張し、痛みのあるものには柴胡桂枝湯、心下痞を訴得るものには半夏瀉心湯、吐血するものには三黄瀉心湯、黄連解毒湯、冷え症でヘソの動悸が亢進し、口に水が上ってきたり、胸やけなどのあるものには安中散が用いられる。

 (9)腸カタル(腸炎)
 腸カタルの主症状は、急性では水様性下痢であるが、慢性では腐敗便で、ともに悪臭のあるガスを放出することが多い。柴胡剤、表証、裏証Ⅰ、裏証Ⅱ、承気湯類、駆水剤などの薬方を選用する。
 一般に、心下部が痞え、腹鳴、下痢、嘔吐などのあるものには半夏瀉心湯、口渇が激しく水様性下痢のあるものには五苓散、下痢が長く続くがそれほど苦にならないものや大便の失禁するものには真武湯が用いられる。

 (10)虫垂炎
 虫垂炎は、急性では突発的な痛みで始まり、はじめは腹部全体が痛み、悪心、嘔吐を訴えるが、しだいに右下腹部に痛みが局在するようになる。慢性では体を動かしたときに食物通過に一致した軽い痛みや牽引痛を訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、建中湯類、裏証Ⅱ、瀉心湯類などの薬方や桂枝加芍薬湯、桂枝加大黄湯、呉茱萸湯などを選用する。
 一般に、腹部全体が緊張して痛むものには柴胡桂枝湯、慢性で右下腹部に鈍痛と圧痛があるものには桂枝茯苓丸が用いられる。

 (11)腸管狭窄と腸閉塞症
 両者には、建中湯類、瀉心湯類などの薬方や真武湯、苓桂朮甘湯などを選用する。
 一般に、腹満、腹痛を訴え、腸の蠕動が亢進するものには小建中湯、腸の蠕動が腹壁をとおして観察できるものには大建中湯が用いられる。

 (12)腹膜炎
 腹膜炎では、悪心、嘔吐、腹満、腹痛、疲労倦怠感などを訴える。柴胡剤、建中湯類、裏証Ⅱなどの薬方や桂枝茯苓丸、桃核承気湯、桂枝加芍薬湯、分消湯、胃苓湯、桂姜棗草黄辛附湯などを選用する。
 一般に、腹壁が緊張、膨満、腹痛のあるものには小建中湯、腹壁が緊張、腹痛および圧痛のあるものには柴胡桂枝湯、疲労倦怠感、貧血、食欲不振のあるものには補中益気湯が用いられる。

 (13)腹水
 腹水には、柴胡剤、駆瘀血剤、麻黄剤、駆水剤などの薬方や大建中湯、真武湯、防已黄耆湯、桂姜棗草黄辛附湯などを選用する。
 一般に、口渇、尿利減少のあるものには五苓散、実証で全身浮腫のあるものには分消湯が用いられる。

 (14)肝炎
 肝炎の症状は、全身倦怠感、疲労感、食欲不振、嘔き気、便秘などを訴える。柴胡剤、駆水剤などの薬方や茵蔯蒿湯を繁用する。そのほか、梔子豉湯、小建中湯、人参湯、真武湯などを選用する。
 一般に、初期で咽が乾き、胸苦しく便秘するものには茵蔯蒿湯、胸苦しく心下部が痞え、食欲不振、嘔吐などのあるものには大柴胡湯、小柴胡湯、口渇と尿不利を目標に茵蔯五苓散、またしばしば茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散、五苓散などは小柴胡湯または大柴胡湯と合方されて用いられる。

 (15)肝硬変
 肝硬変は、食欲不振、体重減少、悪心、嘔吐、下痢または便秘、腹部疼痛、疲労倦怠感、腹水、浮腫、黄疸などを訴える。柴胡剤、駆水剤などの薬方や大青竜湯、竜胆瀉肝湯、桂姜棗草黄辛附湯を選用する。
 一般に、初期には柴苓湯、腹水がたまり腹部全体が硬く張っているものには分消湯と小柴胡湯の合方が用いられる。

 (16)胆嚢炎
 慢性胆嚢炎は、自覚症状も軽く、右季肋部の鈍痛を訴えるだけであるが、急性では悪寒戦慄を伴う高熱と右季肋部の激痛で始まり、悪心、嘔吐、食欲不振、発黄などを訴える。柴胡剤、建中湯類などの薬方や茵蔯五苓散、茵蔯蒿湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、胸脇苦満があり、食欲不振、嘔吐などのあるものには小柴胡湯、痛みの激しいものには柴胡桂枝湯が用いられる。

 (17)胆石症
 発作の場合は、しばしば発熱や悪寒戦慄を伴い、また、疼痛が強く、発作後には嘔吐、圧痛があり、黄疸となることもある。柴胡剤、建中湯類、瀉心湯類などの薬方や柴胡桂枝湯加牡蠣茴香、呉茱萸湯、甘草湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、実証で疼痛、悪心、嘔吐、黄疸などのあるものには大柴胡湯、やや虚証で疼痛が激しく、食欲不振のものには柴胡桂枝湯が用いられる。また、胆石発作の疼痛を緩解する目的で甘草湯、芍薬甘草湯を頓服する。

 (18)黄疸
 黄疸は、肝および胆嚢の疾患において、しばしば現われ、皮膚、粘膜、組織、体液の黄染、食欲不振、全身倦怠感などを呈する。柴胡剤の薬方や茵蔯五苓散、茵蔯蒿湯などを繁用する。そのほか、梔子生姜豉湯、小建中湯、呉茱萸湯、半夏瀉心湯、生姜瀉心湯などを選用する。
 一般に、口渇と尿利減少、便秘、上腹部の膨満感のあるものには茵蔯蒿湯、胸脇苦満、発熱、嘔吐、食欲不振、便秘のあるものには大柴胡湯、虚弱体質者には小建中湯が用いられる。

 

4 泌尿器系疾患

 (1)腎炎、ネフローゼ
 急性腎炎の症状は、軽重さまざまであるが、浮腫、血尿、たんぱく尿、血圧亢進なとを訴える場合が多い。慢性の多くはたんぱく尿、血尿がみられ、高血圧となる。尿量は浮腫のあるときは減少す識が、腎機能障害が進行して代償不全となると、強制多尿の状態となる。ネフローゼでは乏尿ないし無尿を特徴とし、たんぱく尿、血尿がみられ、血圧亢進、肺浮腫などが現われ、悪心、嘔吐、筋脱力、昏睡などの尿毒擦状を起こす。柴胡剤、駆瘀血剤、麻黄剤、駆水剤などの薬方や桂枝加竜骨牡蠣湯、半夏厚朴湯、四君子湯、六君子湯、真武湯、附子湯、人参湯、八味丸、茵蔯蒿湯、防已黄耆湯、防風通聖散、桂姜棗草黄辛附湯などを選用する。
 一般に、口渇、尿利減少、浮腫などのあるものには五苓散、発熱、食欲不振、胸脇苦満のあるものには小柴胡湯、妊娠中毒症で浮腫、たんぱく尿などのあるものには当帰芍薬散、実証で浮腫が著明なものには分消湯が用いられる。

 

 (2)腎盂炎
 腎盂炎は、腎臓部の疼痛と悪寒戦慄を伴い、頻尿と排尿痛などを呈する。柴胡剤、駆瘀血剤などの薬方や、五苓散、猪苓湯、八味丸、竜胆瀉肝湯などを選用する。
 一般に、尿意頻数、排尿痛、口渇のあるものには猪苓湯、小便渋通、滞下、膿尿のあるものには竜胆瀉肝湯、疼痛が激しく、往来寒熱、悪心、嘔吐などのあるものには柴胡桂枝湯が用いられる。なお柴胡剤、駆瘀血剤、五苓散、猪苓湯、竜胆瀉肝湯などは、しばしばたがいに合方して使用される。

 

 (3)萎縮腎
 萎縮腎は、腎臓の組織が破壊されて、腎全体が萎縮する病気で、頭痛、肩こり、耳菌り、めまい、浮腫、腰痛などを訴える。柴胡剤の薬方や桃核承気湯、三黄瀉心湯、八味丸、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、胸脇苦満、動悸、息切れなどのあるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、脈の結代や浮腫がでて息苦しいものには炙甘草湯、頭痛、肩こり、便秘、小腹急結のあるものには桃核承気湯、便秘、のぼせ、めまい、不眠のあるものには三黄瀉心湯が用いられる。

 

 (4)尿毒症
 尿毒症は、体重減少、疲労感の増強、貧血の進行、食欲不振、悪心、嘔吐などを訴える。麻黄剤、裏証Ⅱ、駆水剤などの薬方や大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、桃核承気湯、当帰芍薬散、呉茱萸湯、大承気湯、防風通聖散、防已黄耆湯、八味丸、桂姜棗草黄辛附湯、白虎加桂枝湯などを選用する。
 一般に、胃腸が丈夫で、倦怠感、頭痛、めまい、尿利異常のあるものには八味丸、頭痛、めまい、悪心、嘔吐などのあるものには茵蔯五苓散、嘔吐、下痢、筋肉の痙攣、手足の冷えなどのあるものには真武湯が用いられる。

 

 (5)膀胱炎
 膀胱炎は、発熱、頻尿、排尿痛、残尿感などを訴える。排尿時、膀胱に疼痛を訴え、少量の尿が灼熱感をもって排泄され、疼痛は尿道方向に放散する。柴胡剤、駆瘀血剤、駆水剤などの薬方や半夏厚朴湯、八味丸、竜胆瀉肝湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、口渇があり、尿意をしばしばもよおすものには五苓散、排尿時に痛み血尿の出るものには猪苓湯、炎症が強く尿が出ししぶり、痛みの強いものには竜胆瀉肝湯が用いられる。

 

 (6)腎臓結核症
 腎臓結核症は、腎臓部の自発痛、圧痛、排尿痛、頻尿、血尿などあ責、ときに激痛を訴える。駆瘀血剤の薬方や当帰建中湯、猪苓湯、八味丸などを選用する。
 一般に、排尿痛、血尿などのあるものには猪苓湯、尿意が頻数で排尿後に不快感のあるものには八味丸が用いられる。また、しばし猪苓湯と四物湯、桂枝茯苓丸が合方される。


 (7)腎臓結石症、膀胱結石症
 両者は、自覚症状を欠くものから疝痛を訴えるものまであり、悪心、嘔吐、疼痛、圧痛、頻尿または無尿、血尿などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、建中湯類などの薬方や猪苓湯、防風通聖散、八味丸、竜胆瀉肝湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、痛みの激しいものに頓服的に芍薬甘草湯が用いられる。排尿痛や血尿のあるものには猪苓湯、下腹部が膨満し、抵抗と圧痛のあるものには桂枝茯苓丸、桃核承気湯、腹痛が激しく、腸の蠕動が腹壁をとおしてみえるものには大建中湯が用いられる。


 (8)前立腺肥大症
 前立腺肥大症は、排尿時の不快感、排尿困難で始まり、残尿感や尿閉を訴えるようになる。柴胡剤、駆瘀血剤、駆水剤などの薬方や半夏厚朴湯、八味丸、竜胆瀉肝湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、疲労倦怠感があり、胃腸が丈夫で、口渇、排尿困難、残尿感のあるものには八味丸、疼痛が激しく、排尿困難、便秘のあるものには大黄牡丹皮湯が用いられる。


 

5 新陳代謝と内分泌疾患

 (1)貧血症
 貧血は、造血能力の低下、赤血球の破壊が多い、出血が多いなどによって起こり、めまい、動悸、息切れ、耳鳴り、肩こり、手足の冷えなどを訴える。駆瘀血剤、裏証Ⅱ、瀉心湯類などの薬方や桂枝加竜骨牡蠣湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、四君子湯、炙甘草湯などを選用する。
 一般に、貧血の状があって、皮膚乾燥し、ヘソ上に動悸をふれ、胃腸の弱くないものには四物湯、胃腸が虚弱で食欲不振、嘔吐、腹鳴、下痢、四肢倦怠感などのあるものには四君子湯、出血が止まらないで貧血し、のぼせるものには三黄瀉心湯、黄連解毒湯、下部出血があり、貧血して冷えるものには芎帰膠艾湯が用いられる。

 (2)紫斑病
 紫斑病は、皮膚や粘膜などの出血斑、疼痛、全身倦怠感などを訴える。駆瘀血剤、建中湯類、裏証Ⅱなどの薬方や柴胡桂枝湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加附子湯、越婢加朮湯、大青竜湯、八味丸などを選用する。
 一般に、往来寒熱、悪心、嘔吐、疼痛のあるものには柴胡桂枝湯、疲労倦怠感が強く、出血で貧血するものには小建中湯、下部出血があり、貧血して冷えるものには芎帰膠艾湯が用いられる。

 (3)肥胖症(脂肪過多症)
 肥胖症は、疲れやすく、息切れ、動悸などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、承気湯類、解毒剤などの薬方を選用する。
 一般に、腹部が膨満して便秘するものには防風通聖散、胸脇苦満が強く、肩こり、めまいなどがあり、便秘するものには大柴胡湯、腹部膨満が高度で、抵抗と弾力があって便秘のはなはだしいものには大承気湯が用いられる。またしばしば柴胡剤と駆瘀血剤が合方される。

 (4)脚気
 脚気は、足がだるく、麻痺感、動悸、息切れ、浮腫などの症状を訴える。大柴胡湯、当帰芍薬散、桂枝加苓朮附湯、桂枝芍薬知母湯、越婢加朮湯、小建中湯、黄耆建中湯、六君子湯、呉茱萸湯、大承気湯、防風通聖散、八味丸、五積散、小半夏加茯苓湯などを選用する。
 一般に、足に麻痺感があり歩行不能のものや老人には八味丸、胸脇苦満があり、食欲がなく、便秘するものには大柴胡湯、実証体質者で足がだるく、浮腫のあるものには防風通聖散が用いられる。

 (5)糖尿病
 糖尿病はインシュリンの分泌不足によって起こるもので、口渇、尿量の増加、疲労倦怠感などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、下焦の疾患などの薬方や麦門冬湯、六君子湯、調胃承気湯、五苓散、猪苓湯、防風通聖散、炙甘草湯、白虎加桂枝湯、白虎加人参湯などを選用する。
 一般に、口渇、多尿、疲労倦怠感、胃腸障害のないものには八味丸、口渇、尿利減少には五苓散、実証で赤ら顔、口渇、便秘のものには防風通聖散が用いられる。

 (6)バセドウ氏病
 バセドウ氏病は、甲状腺の機能亢進によって起こるもので、甲状腺の腫大、心悸亢進、眼球突出、手指の振顫、神経衰弱治どを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤などの薬方や半夏厚朴湯、甘草瀉心湯、苓桂朮甘湯、六味丸、酸棗仁湯、炙甘草湯、白虎加桂枝湯などを選用する。
 一般に、脈の結代、心悸亢進のあるものには炙甘草湯、動悸、不安感、咽の異常感には半夏厚朴湯、胸脇苦満があり、興奮して動悸、不眠のあるものには大柴胡湯が用いられる。


6 運動器系疾患

 (1)関辺炎
その原因によって種々の別があるが、関節の腫脹、疼痛、発赤、運動障害などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、表証、麻黄剤、裏証Ⅱなどの薬方や小建中湯、黄耆建中湯、防已黄耆湯、防風通聖散、五積散、白虎加桂枝湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、初期で関節浮腫を起こしたものには越婢加朮湯、実証の肥満体質で便秘するものには防風通聖散、いわゆる水ぶとりのものには防已黄耆湯が用いられる。

 (2)リウマチ
 リウマチは、関節、筋肉の炎症や変性、新陳代謝障害、ホルモン障害などによって痛みをきたす症状群を指すが、湿度が高くなると疼痛が激しくなる傾向がある。柴胡剤、駆瘀血剤、表証、麻黄剤、裏証Ⅱなどの薬方や防已黄耆湯を選用する。
 一般に、初期で痛みの軽いものには葛根湯、少し慢性となり、身体が冷えたために痛みの激しくなるものには麻杏薏甘湯、痛みが激しく、赤く腫れて患部に手や衣服がふれても痛みがひどくなるものには甘草附子湯が用いられる。また、表証の薬方はしばしば柴胡剤や駆瘀血剤などの薬方と合方される。


7 神経系疾患

 (1)脳溢血、脳軟化症
 脳溢血は、脳の小さい動物英一部が破れて出血するために起こり、脳軟化症は、動脈の一部がふさがったために起こるものである。頭痛、頭重、めまい、耳鳴り、言語障害、精神の興奮または鈍麻、半身の知覚麻痺と運動障害などを訴える。柴胡剤、駆瘀血剤、瀉心湯類などの薬方や釣藤散、麦門冬湯、桂枝加苓朮附湯、苓桂朮甘湯、防風通聖散、八味丸、白虎湯などを選用する。
 一般に、脳卒中発作直後の精神の興奮をしずめ、出血を止め、充血を去るためには三黄瀉心湯、黄連解毒湯、胸脇苦満があり、精神不安や動悸、めまいのあるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、実証体質者で半身不随となり、便秘、のぼせがあるものには防風通聖散が用いられる。

 (2)神経症(ノイローゼ)
 神経症は、心悸亢進、めまい、精神不安、胸内苦悶感、胸中痞塞感、手足の麻痺感、不眠などの気の症状を訴える(前出、気血水の項参照)。柴胡剤、順気剤、駆瘀血剤、建中湯類、裏証Ⅰ、瀉心湯類、駆水剤などの薬方や人参湯、防風通聖散、八味丸、酸棗仁湯などを選用する。
 一般に、気がうっ滞し、咽中痞塞感のあるものには半夏厚朴湯、気が動揺して、精神不安や胸中苦悶の状のあるものには柴胡加竜骨牡蠣湯、胃腸が虚弱で、頭痛、めまい、肩こりのあるものに半夏白朮天麻湯が用いられる。

 (3)ヒステリー
 ヒステリーは、麻痺感、動悸、手足の痙攣や疼痛などの知覚障害や運動障害を訴える。柴胡剤、順気剤、駆瘀血剤、瀉心湯湯などの薬方や小建中湯、人参湯、苓桂朮甘湯、苓桂甘棗湯、猪苓湯、八味丸、酸棗仁湯、芍薬甘草湯などを選用する。
 一般に、咽中痞塞感のあるものには半夏厚朴湯、痙攣発作を起こしたり、心ぼそがって部屋の隅で泣いているようなものには甘麦大棗湯、のぼせて、精神不安、便秘のあるものには三黄瀉心湯、神経過敏で、興奮しやすく、胸脇苦満、動悸、便秘のあるものには柴胡加竜骨牡蠣湯が用いられる。

  (4)神経痛
 神経痛には坐骨神経痛、三叉神経痛、肋間神経痛などがあり、疼痛が神経の走行に一致して発作的に起こるものである。柴胡剤、駆瘀血剤、表証、麻黄剤、建中湯類、裏証Ⅱ、駆水剤、解毒剤などの薬方や桂枝加竜骨牡蠣湯、三黄瀉心湯、八味丸、桂姜棗草黄辛附湯、五積散、芍薬甘草湯、麻黄細辛附子湯などを選用する。
 一般に、三叉神経痛の初期には葛根湯、坐骨神経痛で冷えが強く、腹から下肢にかけて痛むものには当帰四逆湯、坐骨神経痛で腰以下に力がなく、口渇、尿利異常のあるものには、八味丸、慢性的に足、腰、背などが冷えて痛むものには五積散が用いられる。

 (5)精神分裂症
 精神分裂症は、頭重、疲れ、不眠などを訴えるものから、狂暴性をおび、また、妄想にひたり、ぼんやりするも英もある。桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、桃核承気湯、小承気湯、大承気湯、黄連解毒湯、三黄瀉心湯などを選用する。
 一般に、