1 柴胡剤
柴胡剤は、胸脇苦満を呈するものに使われる。胸脇苦満は実証で
は強く現われ嘔気を伴うこともあるが、虚証では弱くほとんど苦満の状を訴えない
場合がある。柴胡剤は、甘草に対する作用が強く、解毒さようがあり、体質改善薬として繁用される。したがって、服用期間は比較的長くなる傾向がある。柴胡
剤は、応用範囲が広く、肝炎、肝硬変、胆嚢炎、胆石症、黄疸、肝機能障害、肋膜炎、膵臓炎、肺結核、リンパ腺炎、神経疾患など広く一般に使用される。ま
た、しばしば他の薬方と合方され、他の薬方の作用を助ける。
柴胡剤の中で、柴胡加竜骨牡蛎湯・柴胡桂枝乾姜湯は、気の動揺が強い。小柴胡湯・加味逍遥散は、潔癖症の傾向があり、多少神経質気味の傾向が ある。特に加味逍遥散はその傾向が強い。柴胡桂枝湯は、痛みのあるときに用いられる。十味敗毒湯・荊防敗毒散は、化膿性疾患を伴うときに用いられる。
9 荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) (万病回春)
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
p.654
33 荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) 〔万病回春・癰疽門〕
荊芥・防風・羗活・独活・柴胡・前胡・薄荷・連翹・桔梗・枳殻・川芎・金銀・茯苓 各一・五 甘草・乾生姜各一・〇
「癰疽、疔腫、発背、乳癰等の症、増寒壮熱、頭痛拘急状のものを治す。」
この方は化膿症で、初期悪寒発熱・発赤腫脹疼痛のものに用いる。
癰疽・乳腺炎・乳癌・頭瘡・蕁麻疹・疥癬・上顎洞化膿症・湿疹・アレルギー性体質などに応用される。
『漢方処方 応用の実際』 山田光胤著 南山堂刊
81.荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) (万病回春)
羗活,独活,柴胡,前胡,枳実,川芎,桔梗,茯苓,荊芥,防風,連翹,忍冬,甘草,金銀花 各1.5 乾生姜 1.0
〔目標〕 諸種の化膿性の腫物によって,発熱,悪寒,頭痛,拘急(ひきつれ)などがおきて,傷寒(熱病)に似た症状を呈するのに用いる.
〔説明〕 この処方を用いるのは,化膿性腫物の初期から最盛期にかけて熱が高い場合である。この方は,敗毒散から人参を去り,荊芥,防風,連翹,忍冬を加えたものである。大便が秘結するときは大黄,芒硝を加え,熱が甚だしく,痛みが激しいときは黄芩,黄連を加えるとよい.
〔応用〕 癤,癰,面疔,乳腺炎 など.
『漢方治療の方証吟味』 細野史郎編著 創元社刊
p.525
われわれが葛根湯を湿疹とか皮膚炎に用いてみて困るのは、これを一~二服飲むと、静(せい)の状態の病変が、花が咲いたようにパッと一見悪化したようになることです。これこそ瞑眩(めんげん)ですが、これは葛根湯の発表性によるものなのです。このようなことは、荊防敗毒散でも、また消風散でも起こることがあるのです。この葛根湯の場合も、投薬は二~三日分にして様子を見た上にした方が、少なくとも初学に近い人では、無難ではないでしょうか。
『改訂 一般用漢方処方の手引き』 財団法人 日本公定書協会 監修 日本漢方生薬製剤協会編集
荊防敗毒散
(けいぼうはいどくさん)
成分・分量
荊芥1.5~2,防風1.5~2,羌活1.5~2,独活1.5~2,柴胡1.5~2,薄荷葉1.5~2,連翹1.5~2,桔梗1.5~2,枳殻(又は枳実)1.5~2,川芎1.5~2,前胡1.5~2,金銀花1.5~2,甘草1~1.5,生姜1
用法・用量
湯
効能・効果
比較的体力のあるものの次の諸症:急性化膿性皮膚疾患の初期,湿疹・皮膚炎
原典 万病回春
出典
解説
化膿症で発熱,腫脹,疼痛を伴うものに使われる。
注1 化膿症で初期悪寒発熱,頭痛,発赤腫脹疼痛のものに用いる。癰疽,乳腺炎,乳癌,頭瘡,蕁麻疹,疥癬,上顎洞化膿症,湿疹,アレルギー性体質などに応用される。
注2 化膿症で悪寒発熱,頭痛,発赤腫脹疼痛のものに用いる。
注3 諸種の化膿性腫物によって発熱,悪寒,頭痛,拘急(ひきつれ)などが起きて傷寒(熱病)に似た症状を呈するものに用いる。癤,癰,面疔,乳腺炎など。
9 荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) (万病回春)
〔荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、
羗活(きょうかつ)、独活(どっかつ)、柴胡(さいこ)、前胡(ぜんこ)、薄荷(はっか)、連翹(れ
んぎょう)、桔梗(ききょう)、枳殻(きこく)、川芎(せんきゅう)、金銀花(きんぎんか)、生姜(しょうきょう)各一・五、甘草(かんぞう)一〕
本方は胸脇苦満が認められず、肝臓の機能障害によって解毒作用がおちたため、体内にある毒素によって起こる各種の症状に用いられる。本方は、悪寒、発熱、頭痛、局部の発赤腫脹、疼痛とあるものを目標とする。すなわち、化膿性腫瘍の初期ないし最盛期に用いられる。
〔応用〕
次に示すような疾患に、荊防敗毒散證を呈するものが多い。
一 疥癬、湿疹、じん麻疹その他の皮膚疾患。
一 そのほか、よう、疔、癤、乳腺炎、乳癌、アレルギー体質、上顎洞化膿症など
『臨床応用 漢方處方解説』 矢数道明著 創元社刊
p.654
33 荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) 〔万病回春・癰疽門〕
荊芥・防風・羗活・独活・柴胡・前胡・薄荷・連翹・桔梗・枳殻・川芎・金銀・茯苓 各一・五 甘草・乾生姜各一・〇
「癰疽、疔腫、発背、乳癰等の症、増寒壮熱、頭痛拘急状のものを治す。」
この方は化膿症で、初期悪寒発熱・発赤腫脹疼痛のものに用いる。
癰疽・乳腺炎・乳癌・頭瘡・蕁麻疹・疥癬・上顎洞化膿症・湿疹・アレルギー性体質などに応用される。
『漢方処方 応用の実際』 山田光胤著 南山堂刊
81.荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん) (万病回春)
羗活,独活,柴胡,前胡,枳実,川芎,桔梗,茯苓,荊芥,防風,連翹,忍冬,甘草,金銀花 各1.5 乾生姜 1.0
〔目標〕 諸種の化膿性の腫物によって,発熱,悪寒,頭痛,拘急(ひきつれ)などがおきて,傷寒(熱病)に似た症状を呈するのに用いる.
〔説明〕 この処方を用いるのは,化膿性腫物の初期から最盛期にかけて熱が高い場合である。この方は,敗毒散から人参を去り,荊芥,防風,連翹,忍冬を加えたものである。大便が秘結するときは大黄,芒硝を加え,熱が甚だしく,痛みが激しいときは黄芩,黄連を加えるとよい.
〔応用〕 癤,癰,面疔,乳腺炎 など.
『漢方治療の方証吟味』 細野史郎編著 創元社刊
p.525
われわれが葛根湯を湿疹とか皮膚炎に用いてみて困るのは、これを一~二服飲むと、静(せい)の状態の病変が、花が咲いたようにパッと一見悪化したようになることです。これこそ瞑眩(めんげん)ですが、これは葛根湯の発表性によるものなのです。このようなことは、荊防敗毒散でも、また消風散でも起こることがあるのです。この葛根湯の場合も、投薬は二~三日分にして様子を見た上にした方が、少なくとも初学に近い人では、無難ではないでしょうか。
『改訂 一般用漢方処方の手引き』 財団法人 日本公定書協会 監修 日本漢方生薬製剤協会編集
荊防敗毒散
(けいぼうはいどくさん)
成分・分量
荊芥1.5~2,防風1.5~2,羌活1.5~2,独活1.5~2,柴胡1.5~2,薄荷葉1.5~2,連翹1.5~2,桔梗1.5~2,枳殻(又は枳実)1.5~2,川芎1.5~2,前胡1.5~2,金銀花1.5~2,甘草1~1.5,生姜1
用法・用量
湯
効能・効果
比較的体力のあるものの次の諸症:急性化膿性皮膚疾患の初期,湿疹・皮膚炎
原典 万病回春
出典
解説
化膿症で発熱,腫脹,疼痛を伴うものに使われる。
生薬名 | 荊芥 | 防風 | 羗活 | 独活 | 柴胡 | 薄荷葉 | 連翹 | 桔梗 | 枳殻 | 川芎 | 前胡 | 金銀花 | 甘草 | 乾生姜 | 茯苓 | 人参 | 忍冬 | |
参考文献名 | ||||||||||||||||||
処方解説 | 注1 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1 | 1 | - | - | - |
診薬医典 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1 | 1 | - | - | - | |
処方集 | 注2 | 2 |
2 |
- |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
生姜 2 |
2 |
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応用の実際 |
注3 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
- |
1.5 |
1.5 |
枳実1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1 | 1 | 1.5 | 1.5 | 1.5 |
診療の実際 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1 | 生姜 1.5 |
- | - | - | |
処方分量集 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | - | 2 | - | - |
注1 化膿症で初期悪寒発熱,頭痛,発赤腫脹疼痛のものに用いる。癰疽,乳腺炎,乳癌,頭瘡,蕁麻疹,疥癬,上顎洞化膿症,湿疹,アレルギー性体質などに応用される。
注2 化膿症で悪寒発熱,頭痛,発赤腫脹疼痛のものに用いる。
注3 諸種の化膿性腫物によって発熱,悪寒,頭痛,拘急(ひきつれ)などが起きて傷寒(熱病)に似た症状を呈するものに用いる。癤,癰,面疔,乳腺炎など。
(してはいけないこと)
まれに次の重篤な症状が起こることがあります。 その場合は直ちに医師の診療を受けること。
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