健康情報: 白虎加桂枝湯(びゃっこかけいしとう) の 効能・効果 と 副作用

2013年11月15日金曜日

白虎加桂枝湯(びゃっこかけいしとう) の 効能・効果 と 副作用

漢方薬の実際知識 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊
(2)白虎加桂枝湯(びゃっこかけいしとう)  (金匱要略)
白虎湯に桂枝三を加えたもの〕
本方は、白虎湯證で発熱などの表証が強く、上衝のいちじるしいものに用いられる。
〔応用〕
白虎湯のところで示したような疾患に、白虎加桂枝湯證を呈するものが多い。
その他
一 骨膜炎、関節炎、筋炎など。
2 消風散(前出、皮膚疾患の項参照)



『勿誤薬室方函口訣(106)』 日本東洋医学会評議員 岡野 正憲
 白虎加桂枝湯
 次は白虎加桂枝湯(ビャッコカケイシトウ)です。出典は『金匱要略』で、白虎湯に桂枝(ケイシ)を加えたものです。『口訣』を解釈しますと、「この方は温瘧を治すものです」。温瘧とは体内に隠れた邪気がヴて、夏の時分に暑熱を受けたために起こってきた一種のオコリ病い(マラリアの類)で、発熱が先にくるといわれるものをいうので、温は温病の温と同じで、悪寒がなく、発熱するということであります。温病というものを註釈しますと、四季それぞれの温邪といわれる発病の外因に感じて起こされる多種類の急性病を指す言葉であって、熱病といわれる夏の暑気に応じて発病する熱性病に対応して設けられた言葉であります。
 原文に戻りますと、温瘧という病は関節が煩わしく、うずくというのが目標で、皮膚や筋肉の間に散らばっている邪気が、関節まできて、邪が外に出なくて煩わしくうずくので、辛く清涼の剤で邪を発散させる薬方に桂枝を加えて、体表に達する薬の力を強めているわけであります。ほかの病いであってものぼせがあって頭痛などの劇しいものには効果があります。
 ここで中風といっているのは脳出血、脳梗塞などで半身不随を起こしたものをいい、その類のものにも用いられるということであります。なお『傷寒論』に出てくる中風とは、良性の熱性病を指すもので、ここに出ている中風とは意味が違うものであります。
 「山脇東洋は、このよう場合に、白虎加黄連湯(ビャッコカオウレントウ)を与えるといっております」ということです。


『■類聚方広義解説(37)』 日本東洋医学会名誉会員 寺師睦宗

■白虎加桂枝湯
次に白虎加桂枝湯について述べます。

 白虎加桂枝湯 治白虎湯證。而上衝者。
   於白虎湯方内。 加桂枝二兩。
     知母五分 石膏一銭三分 親枝一分六厘 粳米一銭 桂枝二分五厘
    右五味。以水一斗五升。煮取八升。去滓。煮如白虎湯。
   「溫瘧者。其脈如平。』身無寒。但熱。骨節疼煩。時嘔。
   為則按。當有煩渇衝逆證。


 まず、吉益東洞先生は『方極』で、「白虎加桂枝湯。白虎湯の証にして、上衝するものを治す」といっています。
 煎じ方はまったく前方と同じです。

 「白虎湯方内に桂枝(ケイシ)三両を加う。
  知母(五分)、石膏(一銭三分)、甘草(一分六厘)、粳米(一銭)、桂枝(二分五厘)。
 右五味、水一斗五升をもって、煮て八升を取り、滓を去り、温服す(煮ること白虎湯のごとし)」とあります。
 白虎湯に桂枝を加えた薬方で、白虎湯の証でのぼせの甚だしいものに用います。条文は一つです。
 「温瘧は、その脈平のごとく、身に寒なく、ただ熱し、骨節疼煩し、時に嘔すは、(白虎加桂枝湯これを主る)」。
 これは『金匱要略』の瘧病篇に出ています。温瘧と呼ばれるマラリアは、脈が弦を帯びることは少かぬて平に似ています。身体には寒けがな決て、ただ熱だけがあって、関節が痛み、時に吐きけがあるのは白虎加桂枝湯の主治である、という意味です。
 「為則按ずるに、まさに、煩渇、衝逆の証あるべし」。
 為則、すなわち吉益東洞先生は煩渇と衝逆の症があるからだとまとめています。
 浅田宗伯先生は『薬室方函口訣』で、「この方は温瘧(マラリア)を治す。温は温病の温と同じく、悪寒なくして熱するを云う。この病は、骨節煩疼が目的にて、肌肉の間に散漫する邪が骨節まで迫り、発せずして煩疼するが故に、辛涼解散の剤に桂枝を加えて、表達の力を峻にするなり。他病にても、上衝して頭痛など劇しきものに効あり。中風たちにも用う。山脇東洋(やまわきとうよう)先生はこの処に白虎加黄連湯(ビャッコカニンジントウ)を与うると云う」といっています。

■白虎加桂枝湯による治験例
 次に『陰尚百問(いんしょうひゃくもん)』に載っている治験例を述べます。
 「一婦人、瘧を起こし、乾嘔して食することができない。悪心し、強いてこれを食すれば必ず吐く。発する時は身体疼痛して、寒が少なくして熱が多く、嘔吐ますます甚だし。試みに冷水を与えれば、嘔吐止む。ここにおいて白虎加桂枝湯を作り、熱服せしむ。忽ちにして振寒発熱し、大いに汗出で癒ゆ」とあります。
 次は大塚敬節先生の治験例です。一八歳の色白の男で、頑固な湿疹を治した症例です。幼少の頃から喘息の持病があり、近年になって湿疹に悩む。発疹は顔面、項に一番ひどく、赤みを帯び熱感があり、痒みがひどい。掻くために所々出血している。分泌物は少ない。発疹は四肢にもあって、皮膚は木の皮をさするような感じです。腹診すると、全体に緊張し、大便は一日一回あり、砂糖、コーヒー、牛乳を好みます。
 まず患者の好物を禁じ、消風散(ショウフウサン)を与えたが、七日間の服用で増悪してお化けのようになり、温清飲(ウンセイイン)を一ヵ月あまり与えたが治りません。患者は時々炎が顔に当たるような感じがするといいます。これは上衝の一種と考えて、桂枝湯(ケイシトウ)の入った薬を用いようと思いました。口渇の有無を尋ねると喉が乾くといいます。口渇と、顔に炎が当たるようだということを目標に白虎湯の証とし、これに桂枝を与えました。これがよく効いて、痒みは半減し、三〇日分飲むと八分通り軽快しました。
 しかしそれ以上はよくならないので、石膏の一日量を20gから30gに増しました。それで火のように燃えた感じはまったくなくなり、三ヵ月の服用で全治しました。ただ皮膚はまだ何となく光沢が足りない感じです、と。
 この石膏の量を20gから30gに増量されたところが、大塚先生の腕の切れ味でしょう。


【添付文書等に記載すべき事項】
 してはいけないこと 
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕


 相談すること 
 1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。 
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)
(4)腸虚弱で冷え症の人
(5)高齢者。 
  〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕 
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。 
(7)次の症状のある人。
   むくみ 
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕 
(8)次の診断を受けた人。
   高血圧、心臓病、腎臓病 
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること


関係部位症状
皮膚発疹・発赤、かゆみ
消化器食欲不振、胃部不快感


まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。

症状の名称症状
偽アルドステロン症、
ミオパチー
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。

〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

3.1ヵ月位(消化不良、胃痛、嘔吐に服用する場合には1週間位)服用しても症状がよくならな
い場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

4.長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

〔効能又は効果に関連する注意として、効能又は効果の項目に続けて以下を記載すること。〕
  しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。

〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
  〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく
注意すること。
 〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
 〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。
 〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕

保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
  〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕
(2)小児の手の届かない所に保管すること。
(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
  〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくて
もよい。〕


【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
注意
1.次の人は服用しないこと
  生後3ヵ月未満の乳児。
  〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕

2.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)
(4)腸虚弱で冷え症の人。
(5)高齢者。
  〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
    むくみ
  〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
   高血圧、心臓病、腎臓病
  〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕

2´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
  〔2.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には2´.を記載すること。〕
3.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
4.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
  〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕

〔効能又は効果に関連する注意として、効能又は効果の項目に続けて以下を記載すること。〕
  しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。